最近ペース遅くてすみません(。-_-。)
しばらくこんな感じになるとおもいます
今回は前話のアンケートで募集した内容です!
イメージと違ったらごめんなさい!
では33話ですどうぞ!
「はぁぁぁぁあああ……」
今年が始まって約10日、新年早々こんなに大きなため息を吐くなんて思ってもみなかった。
どうしても彼に告げなければならなかったのである。
たとえこの身が引き裂かれんばかりの悲しみと虚脱感に伴われようとも。
私だってあんな事は言いたくなかった。
でも仕方がなかったのだ。
気分はまさに乙姫と彦星。
今なら2人の気持ちがわかる。
誰だよロマンチックとか言ったやつ!全然そんなことないから!
「はぁぁぁぁぁああああ……」
私はもう一度盛大にため息をつくと、机に突っ伏した。
すると事の始まりである、12回連続でクラスメイトの今一番恨んでるランキング第1位の女から声をかけられる。
「言ってきたの?」
「……美香が言えって言ったんじゃん」
「まーねー。で、なんて言ってきたの?」
声色から楽しんでいるのがわかる。
そんな事に少し苛立ちを感じながらも、私が彼に告げた言葉を少し泣きそうになりながら再び口にした。
「比企谷くんとはセンター試験終わるまで会わないからっ!」
× × ×
カリカリとペンと紙の擦れる音が聞こえる中、私の持つペンは少しも動いていなかった。
止まる事なく紙に数字をスラスラと書き続ける美香を見ながら、はぁと小さく溜息をつく。
いつまでもこのままじゃ埒があかない。
この手の問題はいくら考えても時間の無駄である。
こいつを頼るのは癪にさわるが仕方がないだろう。
そう思いながら参考書の答えを開こうとすると、向かい側に座っていた美香にバタンと私の手ごと机に叩きつけられた。
「答えを見るな!てか、答え見る前に私に聞きなよ!そのために居るのに!」
「問題が解けなくて答えを見るだけでも負けた気持ちになるのに、美香に答え聞いた日には私は屈辱で枕を濡らさないといけなくなっちゃうよ……」
「そんなにっ⁉︎ほ、ほら、教えてあげるからこっちおいで」
ポンポンと自分の横を叩きながら美香はそう言うと、私が座りやすいように端にずれてくれる。
美香は昔から勉強を教えるのがとても上手い。
高校受験の時にもこうやって週末に、仕事で両親がいない私の家に来て、私のわからないところを教えてくれた。
スラスラと余白に公式を書き、どこにどれを代入するかを口で説明しながら公式に書き込んでいく。
「くっ……分かりやすい」
「ふっ、まぁな。それじゃもう一回やってみて」
格好つけた美香に少しイラっとしたが、言われた通りに公式に当てはめて問題を解いていくと、あっという間に解き終わってしまった。
「できた!さすが私!」
「私を褒めなよそこは……」
そんな美香の言葉を無視してパタンと床に倒れて伸びをしていると、美香もキリのいいところまで終わったのかふぅー、と息を吐いた。
「休憩しよっか」
「そうだねー、私コーヒーいれてくる!」
「ミルク多めでよろしく!」
わかってるー、と美香に返事をして私は起き上がると、部屋を出てキッチンへ向かう。
ケトルに水を入れてセットし、コーヒーの粉をマグカップに入れる。
お湯が沸く間、ふと考えてしまう。
彼は今どこで何をしているのだろうか。
寒いからといってコタツでダラダラしているかもしれない。
布団に包まって寝ているかもしれない。
もしかしたら本屋さんにでも行っているのかもしれない。
彼に会わないと告げてからまだ一週間も経ってないが、彼に会いたい、声を聞きたい、一緒に笑っていたい、と気持ちが溢れてくる。
気が付けば彼の事を考えている。
絶対に居ないとわかっていてもいろんな場所で彼の姿を探してしまう。
こんな気持ちは今まで生きてきた中で初めてだった。
きっとこの気持ちには名前があって、みんなもっと早くに体験しているのだろう。
しかし私には初めての体験でどうしたらいいのかわからない。
そう、どうしたらいいのかわからないのだ。
だから世間ではよく言われるのだろう。
初恋は実らないと。
× × ×
マグカップを両手に持って私の部屋に戻ると、美香はスマホで何かをしていた。
机の上に美香のぶんのマグカップを置くと私の方も見ずにサンキュー、と呟く。
私も美香の向かい側に座り、まだ熱すぎるコーヒーをちびちび飲んでいるとスマホから顔を上げた美香がねぇねぇ、と話しかけてきた。
「前にも聞いたけど香奈ってさ、なんで比企谷くんの事好きなの?」
「ごふっ!ゴホゴホ……な、なによいきなり」
ゴホゴホとむせている私を他所に、美香は追い打ちをかけてくる。
「ほら、前に香奈がさ、ちゃんと『私』を見てくれる、とかなんとか言ってたじゃん!アレってどういう意味だったの?」
余程その事が聞きたいのか、中3の時に私の弱みに付け込んで毎日のように意地の悪い事を言っていた時の顔をしている。
要するに生き生きとしているのだ。
なんならあと150年くらいは生きれるんじゃないかってくらい。
長くなるけどいい?と聞くと美香は無言で頷いた。
「えっと、美香はずっと一緒のクラスだったからわかると思うんだけど、中学2年くらいのころかな、私初めて告白されてさ。初めての事だったし、相手の男の子もかっこよかったし、何より嬉しかったの。
それでその男の子に聞いたんだ。『私のどこを好きになったの?』って。
そしたらその子なんて言ったと思う?『鹿波はみんなに優しいし、かわいいから、かな?』だってさ。
それでなんかその時思ったの。
『あ、この人は本当の私の事は見てないんだな』って。
だからそれを聞いた時、なんか嬉しかった気持ちが一気に冷めちゃった。
きっとこの人と付き合ってもこの人の事は好きになれないし、何かあってもこの人は私を守ってくれないなって。
そしたら、いつの間にか『男子に自分を可愛く見せる』っていう仮面を付けてたの。
いつかこんな偽物でできた仮面を顔に貼り付けた私の下にある、本当の私を見てくれる人が現れてくれないかな、って期待してね」
私がそこまで一気に話し終えると、あのさ、と美香は話を続ける。
「香奈がなんであざとさ全開男手玉に取りまくり巨乳スーパージャグラーになったかは分かったよ?でもさ、なんで相手が比企谷くんなの?もっと他にかっこいい人居たでしょ?」
「私そんなに手玉にとってないから。あと私の胸は関係ないよね?」
なんでいちいち人を罵らないと会話できないのかねこの人は。
でもまぁ、12年も一緒にいたら慣れちゃってむしろこれを聞くと安心するレベル。
なぜだかいつもは見せない真剣な顔で私を見つめる美香を見ていると、多分こんなことを聞くのも私のためなんだろうな、って分かってしまう。
美香はいつも私が悩んでいる時や悲しい時には、慰めの言葉もかけずに私の力でその問題を解決させようとする。
そんな美香がかっこよかった。
私にはどうやっても手に入れられない強さを持っているから。
だから私は美香のことが嫌い……
「そんなの決まってるじゃん……」
でも、そんなの気にならないくらい美香は大切な人で、そして大好きな人なんだと思う。
「私が惚れちゃったんだよ」
× × ×
美香が『私が惚れちゃったんだよ』という私のモノマネをしながらケラケラと笑い転げていると、私のスマホの着信音が鳴った。
見てみると小町ちゃんからメールが来ていた。
『香奈先輩こんにちはー!お兄ちゃんが香奈先輩と行く予定だったけど勉強忙しいから行けないって言われた、って言ってたので代わりに小町は今お兄ちゃんとららぽにデートに来ていまーす!また今度お兄ちゃんとデートに行ってあげてくださいね!それじゃ、勉強頑張ってください! 小町』
ご丁寧に比企谷くんと小町ちゃんのツーショットが添付されていたのを見て、ふつふつとさっきまで抱いていた感情とは程遠いものが溢れてくる。
「……美香これ見てー」
「んー?なになに?」
読むにつれてみるみる顔が青くなり、目が泳いでいる美香にとびっきりの笑顔を向ける。
「こういう時はなんていうのかなー?」
「て、てへぺろっ☆」
そして私の怒りが爆発した。
いかがだったでしょうか?
ちょっと暗かったかもしれないですね(。-_-。)
次回は明るくできたらいいなって思ってます!
アンケート答えてくださった方ありがとうございます!
残りの方はもしかしたらセンター試験終わった後の話になるかもしれません!ごめんなさい!
そろそろ終盤に近づいてますね
ここからが自分の書きたかったところでもあるので頑張ります!
感想や評価、誤字脱字やご指摘等お待ちしております!
読んでいただきありがとうございました(*^^*)