後輩の俺と先輩の私   作:大和 天

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こんにちは大和 天です!

やっと20話です!21話あるけど20話です!笑
読んでくださっている方のおかげです!ありがとうございます(>_<)

さてさて今回は三神先輩目線です!
えぇ、まぁなんというかはい、難しかったぁ(。-_-。)

お気に入り700突破しました!
みなさんありがとうございます(>_<)

では20話ですどうぞ!


彼は彼女を傷つける。

 

 

 

 

4限目終了のチャイムが鳴ると私の横の席の女の子がガバッと立ち上がる。

 

「おやおや?恋する乙女の香奈ちゃんは今日も愛しの後輩の所に行くのー?」

 

そう尋ねると彼女はほんの少しだけ頬を染めて答える。

 

 

「違うからっ!行ってきま〜す」

 

 

そう言うとパタパタと教室の扉の前まで行くとあっ!と声を上げる。

何事かと思って見ていると机まで戻ってきた香奈はゴソゴソと鞄からお弁当を取り出す。

 

 

「あんたなに動揺してるのよ。お弁当食べに行くのにお弁当忘れてどーするのよ」

 

「………てへっ☆」

 

 

あざといと言うとうるへー!と言いながらお弁当を引っ掴み教室から出て行った。

周りの男子がマイナスイオンが〜、などと言っていたので取り敢えず睨みつけておく。

 

 

ほーんっと香奈って男子に人気があるから困る。

その癖香奈自身は別に男子に興味がある訳じゃないから周りの女の子に妬まれまくりなんだけどね。

 

 

でもそんな香奈が興味を持った男の子がいるなんて私はそのことに興味を持たずには居られなかった。

いったいどんな男の子なんだろうかと。

 

 

かっこいい?

お金持ち?

話しが面白い?

友達がたくさんいる?

 

 

 

 

 

 

私の予想はことごとく外れた。

かっこいい?

顔はなかなかかっこいいけど腐った目が全てを台無しにしている。

 

お金持ち?

別に特別お金持ちって訳ではなさそう。

 

話がおもしろい?

おもしろいどころか口下手なまである。

 

友達がたくさんいる?

香奈曰く自分と同じでボッチらしい。なら私はあんたなんなのさ!

 

 

 

 

そんな彼を香奈は好きになった。

彼なんかよりいい男なんて掃いて捨てるほどいるだろう。

 

不思議におもって1度聞いたことがある。

どうして彼なのか、と。

すると今まで見たことのないような顔をして香奈は教えてくれた。

 

 

 

 

「比企谷くんはちゃんと『私』をみてくれてるの」

 

 

 

思わずはぁ?と答えたら美香には分かんないよー、とニヤニヤしながら言われたのでチョップしておいたんだけどね。

 

 

 

 

そんな幸せそうな香奈を見たのは一緒に居る12年間の中で初めてだった。

 

 

 

 

 

 

 

× × ×

 

 

 

 

 

 

 

お昼ご飯を食べ終えた私は紅茶でも飲もうかと思い、友達に飲み物買ってくると告げ、自動販売機に向かう。

 

 

自動販売機にお金を入れる。

午後のがあるなら午前のも出せYO!などと適当なことを思いながら紅茶のボタンを押し、缶を取り出す。

 

さぁて、帰りますかね!と、踵を返して教室に向かおうとすると昨日も見かけたアホ毛の男の子が目の前を歩いている。

よーし、ちょっくら情報をGETしますかね!とちょんちょんと肩をつつく。

 

 

 

振り返った彼を見て自分の顔から笑みが消えるのがわかる。

 

腐っていた目はさらに腐り、その目の下にはクマができ、左の頬が少し腫れているように見える。

そんな憔悴しきった彼にかける言葉が見つからず無言のまま彼の顔を見つめてしまう。

 

 

「えっと、何か用ですか三神先輩」

 

 

はっと我にかえった私は彼に動揺を悟られないように言葉を絞り出す。

 

 

「えっと……それどうしたの?」

 

「あぁ、ちょっと転びましてね。別に見た目ほど酷くはないんで大丈夫ですよ」

 

「あぁ、そうなんだ……」

 

頬を指差して言った私に彼は苦笑いしながら答えるとそれじゃ、と言い、教室のあるであろう方向へ帰って行った。

 

彼の言ったことが嘘だってことくらい私にだってわかる。

それなら香奈にならなおさら……

 

 

 

スルッと私の手の中から缶が抜け落ち、ガコンっという大きな音で思考を止められた私はそれを拾い上げると教室に急いで帰った。

香奈に比企谷くんのこと聞かないと!

 

 

 

 

 

× × ×

 

 

 

 

 

 

 

結局香奈はその後教室に帰ってこなかった。

 

5限目が終わりスマホを見ると荷物を家まで持ってきて、という趣旨のメールが来ていて私は教室に来た6限目の先生に頭がいたいので帰ると伝え、私の鞄と香奈の鞄を引っ掴む急いで香奈の家に向かった。

 

 

 

家の前に着き、少し呼吸を整えてからチャイムを押す。

ピンポーンという機械音が私を苛立たせる。

 

少ししてもう1度押すが返事がないどころか家に誰かいる気配すらない。

 

もしかしたらまだ帰ってきていないのかも知れないが一応玄関が開いているかだけでも確認しておこうと扉に手をかける。

 

 

すると扉は何の抵抗もなく開いた。

 

見ると香奈のローファーが脱ぎ捨ててある。

 

 

おじゃまします、と小さく呟くと靴を揃えて脱ぎ、家に上がる。

階段を登り香奈の部屋の前まで行くと少しだけ扉が開いていた。

 

一応ノックをしてみるが返事はない。

そーっと扉を開け、中に入ってみると、

 

 

 

誰もいない……だと………?

 

一瞬そう思ったが部屋の隅っこで体操座りをした地縛霊のようなもが目に入る。

 

 

「ほら、鞄持ってきたよ」

 

 

返事はなくまるで石像のごとく微動だにしない。

私は鞄を置くと無理やり香奈の頭をつかみ持ち上げる。

 

焦点の合っていない目がだんだんと私の方を見る。

すると突然その目からブワッと涙が溢れ出す。

 

 

「えぇっ!ど、どどしたの?」

 

思わず声が裏返る。

 

長い長い沈黙の後やっとのことで香奈が掠れた声を絞り出した。

 

 

 

 

「……比企谷くんが…」

 

「比企谷くんが?」

 

「……私とはもう会いたくないって。放って置いてって……私どうしたらいいの?」

 

 

 

………

 

 

……………

 

 

ええぇぇぇぇええっ⁉︎

 

香奈はもういやだ、と腕に顔をうずめる。

 

 

 

 

 

はぁ……

 

 

 

 

 

私は立ち上がると思いっきり香奈の頭を叩いた。

驚きのあまり泣き止んだのであろうかアホみたいにポカーンとした顔で私を見上げる。

 

 

「いたぁっ!ちょっとなによ!」

 

 

私は驚きまくっている香奈に今できる最大のニヒルな笑みを浮かべる。

 

やべっ、顔ひきつってる。

 

そして私は1番の友達に宣言した。

 

 

 

 

 

 

 

「おっし!私に任せろぉっ!」

 

 

ぶふっと吹き出した香奈は少しだけ笑った。

 

 

「……ばか」

 

 

「あんたはそうやって笑ってればいいのよ」

 

 

 

 

 

 

 

× × ×

 

 

 

 

 

 

 

香奈の家を出て気付いたことがある。

 

 

 

やっば、超はずいんですけどっ!

私も泣きたくなってきた……




いかがだったでしょうか?

書き終わって思いましたね、はい。
話進んでねぇー!
書き終わってみると自分でも想像と全然違いました笑

次こそはあの3年生を三神先輩あたりに潰してもらわないと(笑)

てな訳で感想や評価、誤字脱字やご指摘などお待ちしております!

読んでいただきありがとうございました(*^^*)

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