いやぁ〜、危なかった。
文化祭終わらないかと思ったでござるよ!
一応文化祭編完結しました!
中身がないまま文字数だけ増えました(。-_-。)
では文化祭編ラスト!15話ですどうぞ!
体育館に入ると熱気が俺を包み込んだ。
体育館では今、有志によるバンド演奏が行われている。
だがそれももう最後の1組にまでさしかかっている。
我が総武高校は地域との交流というテーマを毎年掲げている。
だから有志のバンドなどには地域の方や卒業生なども参加を募る。
その甲斐あってか今年も校外からの有志は結構集まったそうなのだが肝心の校内からの有志が集まらなかったそうだ。
3年生は今年受験のためバンドの練習などをする時間がないためあまり参加する者はいない。
また1年生はまだ高校に入って半年、しかも先輩しかいないのにバンドなどをしようと出しゃばる者もそういない。
そしてなぜだか今年の2年生はあまり騒いだり前に出たがらない大人しめの学年なんだそうだ。
そんなこともあって有志が足りない!となり我が校初のミスコンが行われることになったそうだ。
どうやら先輩はもともと男子から人気がある上に文実の副実行委員長ということもあって出るしかなくなったそうだ。
なにそれどこのアイドルだよ。
最後の1組の演奏も終わり、次はいよいよ今年の文化祭の目玉とも囁かれつつあるミスコンである。
まぁ俺はその囁きを聞いてなかったんだけどね?ミスコンの存在をさっき知ったし。
ミスコンは主に3年生が主体になってやるそうで、参加者も10人程だ。
はっきり言ってこんなのに出たがるのは殆ど目立ちたがり屋だ。
そんなに目立ってなんの得があるんだよ。
目立つやつは噂とかすぐ広まっちゃうだろ?
俺レベルのボッチになれば噂をささやかれる以前に存在すらささやかれないまである。
あれ、なんだか目から汗が……
そんなことを考えていると降りていたステージの幕が上がった。
× × ×
「では、エントリーナンバー1番の方どうぞ〜っ!」
と、司会の生徒の声とともに舞台の袖から1人の女子生徒が飛び出してくる。
どうやら1人1人アピールをしていくらしく司会の生徒からの質問に可愛く答えて票数GETっ☆という設定らしい。
こうやって見ているとうちの学校は結構可愛い子や美人な人が多い。
まぁ、俺がそんな人と関係を持てるとしたら主人と奴隷みたいな関係だけどね。
べ、別に変な意味じゃないんだからねっ!
5番目の方どうぞ〜という声とともに出て来た人に目を疑う。
三神先輩じゃん……
なにやってんのあの人……
目を疑ったのはただ知り合いが出てきたからだけではない。
今までみんな総武高校の制服を着ていたのに三神先輩はなんとメイド服を着ていたのだ。
きっとクラスの衣装を借りてきたのだろう。
そんなに勝ちたいのか……
もともと顔は美人なのも相まって男子から歓声が上がる。
先輩!ちょっと勝ち誇った顔しないで!
司会からの質問をいかにも男子が喜ぶ様な答えを選びながら答える。
そして答えるたびに男子から歓声が上がる。
もうこれでもかってくらい男子を手玉に取っている。
俺の中で三神先輩のあだ名がジャグラー三神になりました。まる。
やばい言ったら絶対怒られる。
そして質問の最後にみんなに共通した質問が出される。
「では最後の質問ですっ!三神さんは好きな人はいますか〜?」
ちょっと男子っ!食いつきすぎっ!
と、合唱コンクールの時の女子委員長みたいなイントネーションで会場の男子にツッコミを入れる。
でも確かにそれは俺も気になる。
先輩はモテるのに彼氏ができたことがないなどと意味の分からん事を言っている人なのでその友達っぽい人である三神先輩はどうなのだろうと思ってしまう。
全然三神先輩が好きとか言うわけではないからね!違うからね!
俺はもうジャグラーにホイホイと手玉に取られたりしないんだからっ!
だがなんとなくだが答えがわかる。
三神先輩のことだ、きっとあの人なら票数を取りに来るだろう。
ならもう答えは決まっている。
「んー、好きな人はまだいないかなー。だ〜か〜ら〜、彼氏、募集中でーすっ」
そしてトドメこウインクを決める。
きゃぴっ☆じゃないからね?
あなたそんなキャラじゃないですよね?
それと『まだ』いないって言ってモテない男の子に可能性をちらつかせるのはやめてっ!
昔の俺を見てるみたいになるからっ!
会場(男子)は大盛り上がりを見せ、会場(男子)は一気に熱を帯びていった。
その後、盛り上がりはしたものの三神先輩を超える盛り上がりを見せた人はおらずとうとう最後の人になった。
「では、ラストの人どうぞ〜っ!」
その声と共に出てきた人に皆が驚愕した……
× × ×
会場が男子の歓喜の声とその合間から聞こえる女子のブーイングで騒がしくなる。
えーっと……
取り敢えず何ですかその格好?
先輩はどこから持ってきたかわからないセーラー服を着ていた。
正直に言うとまじかわいい。
かなり鹿波かわいいで略してかな……かなかな………ゴロが合わん!
そんなアホなことを考えている間に着々と質問が続いていく。
この人も三神先輩並みにあざとい答えを連発する。
その度に会場(男子)から歓喜の声が上がり、その合間合間に一部(女子)からのブーイングが混ざる。
ちょっと先輩、マジで嫉妬されてんじゃないですか……
こりゃ友達できないわけだな。
しかしブーイングしているのは主に3年女子なので1年女子などは先輩に尊敬と憧れの目を向けている人もたくさんいる。
そうして司会者の最後の質問でーす、という声とともに会場がざわめき始める。
しかし三神先輩の時とは少し違う。
みんなもう答えはわかってるといった風だ。
俺の108つの特技の1つの聞き耳をすましてみると近くの男子生徒の会話が聞こえた。
「鹿波先輩の好きな人なんて噂ですら聞いたこたないよな?」
「それな〜、さすがにみんな知ってるよな」
へ、へぇ〜、知ってたよ?友達から聞いたし?
え?友達って誰だって?
えーと、鹿波さんっていう人です…
本人やないかい!
と、似非関西弁で1人でツッコミをいれるという友達いない歴史16年の俺。
因みに彼女いない歴も16年。
まぁ強いて友達を挙げるとすればみんなからのお前誰?的な目線とかね!
あれ、目から塩分が流れてくる……
とまぁ、俺のことは置いといてみんながその質問は別に聞かなくてもいいや、みたいな雰囲気になっていた。
俺もその1人だった。
「では、最後の質問です!鹿波さんは好きな人いますか〜?」
司会もやる気ねぇな。
でもまあ仕方ないか、みんな答えを知ってるようなもんだしな。
しかし質問された先輩はうつむいて質問に答えない。
ここからじゃわからないが顔も少し赤いようだ。
会場がざわつく。
そのざわめきの中に先輩の声が流れる。
「………い」
ふっ、と音量を0にしたかのような静寂が訪れる。
司会の人もえ?という顔をしている。
「え、えーと、もう一度答えてもらってもいいですか?好きな人いらっしゃいますか?」
「……………はい」
消え入りそうな声で先輩は答えると会場が突然音量を上げたかのように盛り上がる。
主に男子が。
それと同時になぜだか俺の胸が少しズキっとしたような気がした。
× × ×
結果は先輩の圧勝だった。
なぜなら投票用紙が男子にしか配られなかったからである。
その好きな人って俺かも!と考える勘違い男子が大量にいたらしくみんなが先輩の名前で投票したそうだ。
俺は投票していない。
なぜかしてはいけないような気がしたから。
あの時の胸の痛みがなんだったのかわからなかったから。
文化祭も終わりを迎え、閉会式が行われるとみんなは後夜祭に行くだのなんだのと言って帰って行った。
別に全然行きたいなんて気持ちはない。
本当にないんだから!
しかし思い返してみると今年の文化祭は結構散々な目にあった。
クラス1番の社畜に成り果て、先輩には殴られる。
やだなにそれその人いじめられてるの?
因みに我が高校にイジメはないらしい。
疲れた、本当に疲れた。
来年は何もしたくない。
そんなことを考えながら俺は自動販売機に向かう。
俺に唯一甘くしてくれるMAXコーヒーを買うためだ。
この甘すぎる甘さが俺の疲れた体と脳を生き返らせてくれる。
マッカンで世界は救える。八幡そう思うな。
ガコン、と缶が出てくる。
それを取り出すと安息の地、ベストプレイスに向かう。
夕日を見ながらマッカンを飲めるなんてなんたる幸せ!
そんなことを考えながら俺は曲がり角を曲がるとそこには先客がいた。
体操座りをして膝に顔を埋めているその人の横には俺の手の中にあるものと同じものが置いてあった。
「先輩、なにやってるんですかこんなところで」
ビクッと体を震えさせて、そぉーっと先輩は顔を上げた。
「やぁ、比企谷くん」
「うす」
そう言って先輩の横に座る。
「みましたよ、1位でしたね」
「……うん」
会話がそこで終わる。
普通のやつなら話題がいくらでもでてきて女子を飽きさせないのだろうが俺には無理だ。
できてたらボッチになんてなってない。
しばらくの沈黙の後、先に口を開いたのは先輩だった。
「……ねぇ、私1位だったんだからなにかご馳走してよ」
「そんな約束しましたっけ?」
「……してないけどさ」
そう言って先輩は少しふてくされる。
ふてくされ女子ってかわいい……
はっ!いかんいかん、俺じゃなかったらこのまま告白して振られてるところだったわ。
「先輩、好きな人いたんですね」
思わず聞いてしまった。
この言葉を聞いてからだろう。
モヤモヤとしたものが俺の中に渦巻いているのは。
うん、と先輩は答えると急に俺の方を向いてニヤニヤしてくる。
「え?比企谷くん気になるの?比企谷くんになら教えてあげてもいいけどそれは比企谷くんの好きな人を教えてくれたらね〜」
「俺の好きな人ですか?小町ですね」
「それは妹でしょ!」
ニヤニヤ顔が優しい笑みに変わっていた。
先輩はすっと立ち上がると数歩前に出る。
こちらに顔を向けないままで先輩がポツリと言う。
「私、好きなんだ。その人のこと。やっと気付いたの」
ポツリと呟いたその一言に俺に馴染みのある感情が湧いてきたのがわかる。
それをぐっと飲み込むとやっとの事で言葉が出る。
少しだけ本音を混ぜながら。
「その人は幸せ者ですね」
振り向いた先輩の横顔に夕日が当たり顔を真っ赤に染めていた。
「そう、かな?」
「………たぶん」
「そこはそうですよ、って言うところでしょうが!」
そう言って先輩は頬を膨らませる。
あざといあざとい。
もうぷんぷんって自分で言っちゃうところなんて超あざとい。
先輩は俺の横に座り直すと少しだけくっついてくる。
やめてっ!いい匂いするから!
「じゃ、帰りますか。比企谷くん家まで送ってね」
「嫌ですよ」
「ケチー!」
そう言いながらも先輩はなんとなく嬉しそうだ。
「じゃ、私帰るね」
そう言って立ち上がるとクルッと向きを変え歩き出す。
そして先輩は……
横にあったマッカンを蹴り飛ばし中身をぶち撒けた。
「……ぶふっ」
「笑うなぁっ!!!」
いかがだったでしょうか?
読んで下った皆様が納得できる終わり方かは分かりませんが一応文化祭編完結です。
後夜祭は……需要なさそうだしね!
感想や評価、誤字脱字、ご指摘などお待ちしております!
読んでいただきありがとうございました(*^^*)