聖遺物『イチイバル』の反応を検知した特異災害対策機動部二課は、司令が最前線に立ち持ち主である『雪音クリス』の足取りを追っている。
響は親友である小日向未来に日本の機密である『シンフォギア』の事が知られ、二人の関係はギクシャクしていた。
「私は、ここだ...だから、関係ねぇ奴の所になんて行くんじゃねぇ!!」
そして、ノイズと戦い傷ついた雪音クリスを偶然発見した小日向未来は彼女を介抱した。だが、クリスを消すために『フィーネ』が寄越したか、はたまた偶然かノイズ達はクリスが助けられた街の近くに出現したのだった。
『_________!ぅ、ゴホッ!!』
ノイズ達を誘い込み、シンフォギアで撃退しようと歌うクリスだったが、介抱されても十全な状態ではなかったクリスはシンフォギアを纏う事が出来ず絶体絶命。
「フン!!」
そこに現れたのは、常識と云うモノは遥か彼方にフッ飛ばした我らが司令『風鳴弦十郎』。何時もの赤のカッターシャツとピンクのネクタイ姿でクリスとノイズの間に現れた。踏み込むだけで地面を隆起させノイズ達からの攻撃を防御。そして、隆起した地面を拳圧で相手にぶつけるサービスも忘れない。流石O・TO・NAである。
「大丈夫か?」
クリスを抱え離れたビルへひと跳躍し、クリスを心配する。だが、
『_________!!』
今度こそシンフォギアを装着出来たクリス。
「御覧の通りさ。私の事はいいから他の奴らの救助に向かいな!」
「だが...」
『司令はその姉ちゃんの言ったように他へ向かってくれ!後は俺がバックアップする!!』
そこに現れたのは赤城バサラ。バサラは丁度、この街の近くで喉が治った奏のボイストレーニングと自身の新曲の収録を行っていた。
「バサラ君...分かった!後は頼んだぞ!!」
「弦十郎の旦那ぁ!!この車両に乗ってくれ!直ぐに出る!!」
「奏君!今行く!!」
弦十郎は、バサラ達が乗って来た特殊車両に乗り込み各所に指示を出しながら自らも戦って行く。
「私は、一人で十分だけどな!!」
『まぁ、そう言うなよ...って、あれ!?迷子の時の姉ちゃんか!?』
「は~、今更気付いたのかよ...まぁ、私の『歌』に遅れんなよ!!」
『分かってるぜ!よっしゃあぁ!!行くぜぇ!!熱狂ライブの始まりだぁ!!POWER TO THE DREAM!!』
ハハッ、この
『まだまだ消えるんじゃねぇぜノイズの観客達ぃ!!最後まで聴いてけぇ!!1.2.3.4.5.6.7 NIGHTS!!』
は?コイツ何て言った!?『消えるな』『観客』だと!?あのノイズ達をよりにもよって観客扱いかよ!!
「おい!何でノイズなんかが観客になるんだよ!!」
『そんなもん、俺の歌を聴くヤツは動植物だろうとなんだろうと全て観客だからさ!!』
「は?・・・馬鹿かテメェ!?」
『あぁ、自覚してるよ!大馬鹿野郎ってな!!』
自覚してんのかよ!本当に、大馬鹿野郎だな!!
「しゃあねぇ!今日はお前の歌ぁ、最後まで聴いて行ってやるよ!!...ノイズのクソ野郎の分もな!!」
『そりゃ、大歓迎だ!!俺の歌を聴けぇぇぇぇぇぇぇ!!過激にファイヤー!!』
叔母を助ける為、ノイズの囮役を買って出た小日向未来。そして、叔母を安全な場所へ届け未来を助けに行く響。
「ハァ、ハァ...(もう、ダメ...走れない)」
だが、まだ響は未来と合流出来ていない。
「キャ!!」
ノイズの攻撃と走り続けた疲労の為、未来は倒れてしまった。
「ゴメン、響!!」
倒れた未来へ容赦なく襲い掛かるノイズ。
『まだ、諦めるのは早いぜ!ORBITAL BEAT!!』
「こ、この歌って!?」
「歌でバサラの様にノイズを倒す事は出来ねぇけど、元々鍛えてた身体だ!人ひとり抱えて飛ぶのなんざ朝飯前だぜぇ!!」
「あ、天羽、奏、さん!?」
そこへ駆けつけたのは長期療養中だった『天羽奏』。司令から街の人を助けるよう指示され偶然見つけた未来を助けに来たのだ。それに、ノイズ達と戦っていた奏の身体能力はO・TO・NAの司令には劣るが、バサラの歌のお陰で以前と変わらないまで回復している。
「っと、いけねぇ。何時も歌いながら戦ってたのが染みついてら。ま、気にすんな!!」
「キャア!!」
次々と襲い掛かるノイズの攻撃を未来を抱えながら躱す奏。
「そろそろ、後輩が...来た来た!!響!後は頼んだよ!!」
『はい!任せて下さい!!』
「こ、後輩って!?」
響の纏ったシンフォギアの一撃であっけなく倒されたノイズ。
「はぁ~、分かっちゃいたけど...あんだけ私が手こずってたのに一撃とは・・・もう一度『LiNKER』投与してもらおうかな~。」
「絶っ対ダメです!!」
「わ、悪い響!冗談だ、冗談!!じゃ、私は弦十郎の旦那の所に戻るぜ。...響、友達は大切にしな!!」
「わ、分かってます!!」
ニシシと笑いながらその場から立ち去った奏。シンフォギア以外にもノイズに対抗出来るモノを知った奏はバサラと同じ『歌』で対抗する事にした。もう一度LiNKERの投与も考えたが、バサラの歌の影響かボロボロだった内臓が健康体になっていた為、LiNKERを再び投与し、またボロボロになる事を良しとしなかった司令や翼達により反対されたのだった。
(後は、二人でしっかり話し合いな響!)
「あのぅ~、師匠ぅ~。」
「お?」
「この娘にまた戦っている所を、じっくりばっちり目の当たりにされてしまって...」
「違うんです!私が首を突っ込んでしまったから...」
あの後、響と未来は漸く仲直りが出来た。が、再び戦っている響を見てしまった未来は、響の師匠『風鳴弦十郎』の元へ行き響と一緒に事情を話した。
「詳細は、後で報告書の形で聞く。まぁ、不可抗力と云うやつだろう。それに、人命救助の立役者に五月蠅い小言は言えないだろうよ。」
そこへ、突貫してくるピンクの車が1台。
「主役は遅れて登場よ!!」
櫻井博士が運転している車だった。
「後は頼りがいのある大人達の出番だ。響くん達は帰って休んでくれ。」
「「はい。」」
「あ、あの!私、避難の途中で友達とはぐれちゃって、『雪音クリス』と言うんですけど...」
介抱し避難の時離れてしまったクリス。その事を心配した未来はそう弦十郎に聞いた。
「無事だよ。クリスくんから君に会ったらそう伝えてくれと頼まれてね。」
「良かった!!」
「今すぐには会えないが、私達が保護し此処とは別のシェルターにいる。」
「分かりました!!連絡が来たら直ぐに呼んでください!!」
そう言うと未来は響の後を追って帰って行った。
「・・・だ、そうだ。」
「ふ、フン!!れ、礼は改めて私から直接言うぜ!!で、私はこれからどうすりゃいいんだ?」
「君にはここから少し離れたバサラ君が住んでいるマンションの一室で生活してもらう。フィーネがいつ仕掛けてくるか分からないからな。一応、そこには奏君...以前のガングニールの装者も住んでいる。」
「分かったよ。」
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『こ、この反応はアニマスピリチア!?』
『どうされました__様?』
『アニマスピリチアの反応が微弱だが観測した。』
『どうされます?』
『無論、行く以外選択肢はない。』
『御意。』