歌が力に!?俺の歌を聴けー!!   作:小此木

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第3話

 

 

ノイズを退治...っても、ほぼ翼さんが倒したけどな。俺、行った意味あったんだろうか?ま、まぁ、し、新人だしぃ~。元一般人だしぃ~。・・・はぁ。

 

「おい、そこに装飾はいいからテーブルを持ってきてくれ!!」

「ちょっと、ここにクラッカー置きっぱなしにしたの誰よ!?」

「早く料理を並べてくれ!!」

 

さて、初めて熱気バサラのようにノイズを相手に突撃ライブを慣行した俺だが、早々に基地に帰って紅茶を片手に優雅なひと時を満喫...

 

「ここに料理を並べればいいんですね?」

「えぇ。そこでいいわよ。帰って早々悪いわね。」

 

出来るはずもなく、さっき少女を助けた立花響ってお嬢ちゃんの歓迎会の準備をしている。なんせ、翼さんと同じような戦闘服を身に着け戦ったんだ。諸々の事情を聞き対処しないといけない。・・・でも、歓迎会って...いや、アットホームなところを見せてこちらから危害は加えないことを見せ、色々聞く手筈なのだろう。流石司令!・・・でも、何故だろう、今寂しく感じるのは。俺の時はこんな大掛かりな歓迎会ってなかった気がするな~。グス。

 

「そろそろ、到着する頃合だ!!全員持ち場に付けー!!」

 

司令の一声で俺達は整列し、歓迎するためにクラッカーを装備した。ちくせう。哀しみと~、切なさと~...やめよう。彼女を歓迎することを優先しよう。じゃあ、

 

『ようこそ、人類守護の砦。特異災害対策機動部二課へ!!』

 

歓迎会の始まりだぁ!!

 

 

 

 

 

あ、あれ?司令直々にするって言ってたから、皆周知の事だと思ったのに...翼さんと緒川さんには言ってなかったのかよ。翼さんちょっと頭を抱えていたぞ。ま、まぁ、博士の次は俺って順番だったから響ちゃんに自己紹介をしよう。

 

「俺はここの職員兼"ファイヤーボンバー"のボーカル赤城(あかぎ)バサラってんだ。赤城でもバサラでも好きに呼んでくれ!!」

「あっ!?貴方はあの時の!!」

「よう!さっきぶり。」

「え、えっ!?ファ、ファイヤーボンバーって最近頭角を表し始めた新人グループじゃないですか!!」

「おぉ!!立花ちゃんのような若い子にも知られるようになったのか~。まぁ、ここに入れば一応君の先輩って事になるんでよろしく。」

「は、はい。」

 

 

 

~翌日~

 

 

 

今日初めて櫻井博士から響ちゃんと一緒にキチンとしたシンフォギアについての説明を受けた。一応司令と翼さんも同席している。

 

何々、シンフォギアってぇのは、聖遺物?の欠片から作られた鎧型武装?で、欠片の中に残った聖遺物の力が、適合者による特定振幅の波動()によって活性化しエネルギーに還元された後、鎧の形で再構成されたもの。んで、シンフォギアを装着する適合者は「装者」って呼ばれている。シンフォギアが装者にもたらす特性は、身体機能上昇、音波振動衝撃によりノイズの侵食を防護するバリアコーティング機能、更にはノイズの在り方を調律し人間界の物理法則下に強制固着させて攻撃を有効化する。んで、補足に位相差障壁の無効化の3つに大別され、これらの機能からノイズに対抗できる唯一の兵器であり、「アンチノイズプロテクター」という別名を持ってるらしい...って難しいわ!!なんだそれ!?こっちの物理法則に固着?わけわかめだ!!

よし!難しいから歌で起動するトンデモ兵器って覚えておこう。

 

 

「どう?貴女に目覚めた力について少しは理解してもらえたかしら?質問はどしどし受け付けるわよ?」

「は~い。櫻井博士質も~ん!!」

「赤城君。何かな~?」

「専門用語がいっぱいあって分からない所が多かったから、後で用語を纏めたレジメが欲しいのと、どうして俺は『適合者』でもないし、シンフォギアも扱えないのにノイズに対抗出来るんですか?」

「「・・・」」

 

え゛?何?この沈黙!?

 

「き、君の"歌"は正直言って現段階では分からないの。でも、シンフォギアではないエネルギーである事が分かったわ...ごめんなさいね。」

「い、いえ。気にしないでください。まぁ、分かるまで気長に待ちますよ。」

「あれ?でも、私も聖遺物というものを持ってません。なのに何故...」

「これが何なのか君には分かるはずだ。」

 

ん?司令が持っているのは・・・誰かのレントゲン写真?

 

「はい、二年前の傷です!!」

 

司令が持っていたのは何と、響ちゃんのレントゲン写真だった。それを皮切りに司令と響ちゃん櫻井博士の話は進んでいく。そして、

 

「...奏ちゃんのガングニールの破片なの。」

「ま、マジかよ...」

 

レントゲンに映っているものの正体に俺と翼さんは驚愕した。ほぼ再起不能と言われている天羽奏さんが纏っていた今は無きシンフォギア、『ガングニール』の破片。それを知ったからかは分からないが、翼さんは部屋から出て行ってしまった。

 

「そ、そう言えば私を助けてくれたお姉さんは何処です?私の中にあるのがあの人のシンフォギアなんですよね!?」

「彼女は絶対安静で病室から出られないわ。」

「え?」

「彼女、ツヴァイウィングの天羽奏君は君を助けたが、無理が祟ったのかベッドから体を動かす事もままならなくなってしまってね。だが、君が責任を感じることは無い。彼女は、今ちょっとだけ休んでいて、次のステージの準備をしているだけだから。」

 

その言葉は誰の耳にも立花響を気遣って発している事が分かった。それを言った司令自身も、無論立花響も例外ではない。

 

「ッ!?わ、分かりました。今度あの時のお礼と、お見舞いに行きます!!」

 

 

 

 

 

 

しばらくして、けたたましい警報音が鳴りノイズが出現した事を知らせる。当然俺達ニ課が出動する事になったけど、翼さんが先行しその後に響ちゃんが追っていく形になった。

 

「置いてきぼりを喰らった。まぁ、二人いるし、翼さんがいれば大丈夫だよな。前もそうだったし。歌とギターの練習...でも...いや、奏さんの所に行こう。俺の、いや。FIRE BOMBERの曲を聴いて元気になって、もう一度歌ってもらうんだ。俺の知らない曲を。翼さんともう一度一緒に!!」

 

俺はここに入るまで平々凡々な高校生で、歌も自分で歌うのは"前世の記憶"の事で控えていた。それが、あの日突然変わった。俺は無我夢中で前世で憧れだった人達..."FIRE BOMBER"の男ボーカル"熱気バサラ"の大名手である『突撃ラブハート』を下手な俺の歌で歌い微力ながらツヴァイウィングの手助けをした...と思う。殆ど歌うのに夢中で何も覚えていないという寂しい事実だけど...でも、俺がもっと上手くそれも、熱気バサラの様に歌えたなら、プロトデビルンや敵兵の心に響くような歌を歌えたなら、奏さんが動けなくなるという事にはならなかったと今も思っている。

 

「もっともっと練習して、熱気バサラの様に歌う!!」

 

今の俺の目標は、熱気バサラの様に自由に、力強く、誰もが聴き入る歌を歌う事。俺の歌はノイズを倒すものじゃない。俺の歌は皆に聴いてもらう為のもの。無論ノイズ達にだって。俺は、歌で宇宙戦争が終わった歴史を知ってる。俺は、歌で異星人と交流した人達を知ってる。俺は、歌で敵だった異星人に交友を開いた人達を知ってる。俺は、俺は!!

 

 

 

 

 

 

『GOOD-BYE!!』

 

立花響と風鳴翼が対峙している時、天羽奏の病室から男の歌声が響き続けていた。

 

そう、こんなベッドに別れを告げようぜ!!

 

人は様々な歌を聴いて、それで元気になった人なんて数え切れない程いる。そうさ!!俺の、俺の歌で!!少しでも奏さんを元気にしよう!だって、歌には不可能なんて無いんだぜ皆ぁ!!

 


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