まだ、まだだ!!こんな所で音を上げるようじゃ、俺はあの人を...いや、
『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!俺の歌を聴けぇぇぇぇぇぇ!!』
「ヘッ、今度の相棒は頼もしい歌バカだぜ!!『私の歌を聴けぇぇぇぇぇ!!』」
『『突撃ラブハァァァァァァァァァト!!』』
赤城バサラと天羽奏の歌はカ・ディンギルの砲撃を留め続けている。
「クソッ!歌エネルギー...ここまで厄介なモノだとは思わなかったわ!!早くこのガキ共を黙らせてぇ!?」
「フィーネ何処を見ているうぅ!?」
「テメェら何やってん...だあぁぁぁぁ!?」
「み、皆さんどうしたんです、かぁぁぁぁぁぁぁ!?」
フィーネ、翼、クリス、響の視線がその一点から離れなくなった。
「な、何だあの起動兵器は!?」
「真っ赤な人型!?」
「つ、強そうです!!」
「や、やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
<ガコン!ドカーン!!>
「ふ、不発弾!?」
「不発弾で良かったぜ!爆発したらここら一帯火の海だったぞ!!何だあのイカレた奴は!!」
「で、でもカ・ディンギルが少し傾きました!これで、月を壊す事は不可能です!!」
「こ、こんな事で私の計画が...」
バズーカは寸分狂わずカ・ディンギルに着弾。着弾の衝撃で少し傾き、月の射線上から外れバサラ達もその砲撃から外れた。そして、動力であったデュランダルは何故か沈黙してしまった。これで、フィーネの野望は潰え月が破壊される事は無くなったのだ。
が、
本当の『ライブ』はここから始まるのだ!!
『俺より先に俺の歌を歌うなんてやるじゃねぇか!!でも、歌っつうのは、こうゆう風に聴かせることも出来んだぜぇぇぇぇぇぇ!!』
■□■□■□■□
カ・ディンギルの砲撃がバズーカの衝撃でバサラ達から大きく逸れ何故か沈黙した直後、バサラと奏は突然のことに戸惑っていた。そして、その人型兵器を目の当たりにしたバサラは、
・・・う、嘘だろ!?あの機体はVF-19!?それも赤い...まさか、まさか、まさか、まさか、まさか!?
今までにない、大きな衝撃を受けていた。
「か、奏。今俺は夢を見てるのか?」
「...どうしたバサラ?突然現れた人型起動兵器が気になるのは分かるけど「いいから俺の質問に答えてくれ!!」お、おう。夢でも何でもないぜ。今、此処に存在している。もう一度言う、夢なんかじゃねぇぞ。」
「そうか、そうか...」
「お、おいバサラ!?」
奏の言葉を聞いて漸くこれが夢じゃない事に気付けた。とめどなく溢れる涙と感情が抑えきれない。
「大丈夫、これは、うれし涙だ。まさか、彼に出会えるなんて...」
「一体どうした『俺より先に俺の歌を歌うなんてやるじゃねぇか!!でも、歌っつうのは、こうゆう風に聴かせることも出来んだぜぇぇぇぇぇぇ!!』今度は何なんだ!?」
突如響いた男の声。それは、
「...やっぱり、ファイヤーバルキリー。」
「あのバズーカ不発弾じゃねぇのかよ!!」
「アハハ、あれはバズーカじゃなくて、敵艦...大きな船に歌と映像を直接繋ぐ装置だよ。」
「何でバサラがそんな事知ってんだよ!?」
「...話しただろ。遠い宇宙の不思議な話。」
「ま、まさか!?」
「そう!!今、目の前の機体名はVF-19改エクスカリバー熱気バサラスペシャル!!俺が憧れていたFIRE BOMBERの男ボーカル
赤城バサラが憧れ追い続けていた男、熱気バサラの声だった。
「あれ程我らの連絡を待てと言ったのに。忠告美!!」
「
「...同意いたします
「さて、この
「何を言っているのですゲペルニッチ様。あの男の歌を聴いて何も響かない"モノ"などいなかったではないですか!ゾクゾク美!!」
「それもそうだな。さて、楽しい『ライブ』の再開と行こうではないか!!」
『この
カ・ディンギルを中心に響くサウンド。
「こ、これは...司令!全電波をジャックされています!!」
「状況確認!!」
「全映像端末が次々と
「い、一体何が始まろうとしてるんだ!?」
「歌、ですよ。ライブです。一方的ですけどね。」
「千葉研究員!?」
「私が造った歌エネルギー計測装置が限界突破して壊れてしまいました。司令、彼は今から歌を歌おうとしています。」
「歌を?」
「はい。」
『弾丸ソウル!!』
その歌はここ一帯に留まらず、世界へ発信されている。
「新曲だと!?」
「ど、どうしたんだバサラ!?さっきからお前の行動に付いていけないんだが...」
『バサラ!!私も一緒に歌う!!』
『シビルも来たか!!よし!』
『『俺(私)の歌を聴けぇぇぇぇぇぇ!!』』
突如赤い人型兵器の肩に舞い降りた女性。
「か、完全に飛んでやがる...」
「最近は空飛ぶのが主流ナノカ...私のライブにも取り入れてみよう...」
「つ、翼さんしっかりしてください!!」
翼やバックパックを持たず普通に空を飛ぶ女性に驚愕するクリス。先程バサラ、奏が空を飛んで駆けつけてきた事を思い出し、空を飛ぶことが流行の最先端だと勘違いし、自身のライブに取り入れようとしている放心状態の翼。それを宥める響。此処は
「そ、それよりデュランダルはどうなったのだ!?私の計画は!?」
カ・ディンギルの中心部。デュランダルを置いてある場所でそれは起こった。
<ガシャン!!>
デュランダルは熱気バサラの歌声に共鳴するかのようにそこから飛び出し、
「あ、あれはデュランダル!?」
フィーネ達の目の前に出現した。
「ど、どうなってやがる!?この『歌』はバサラと同じように私らを癒してるが...このマグマの様な感情が抑えきれない!!」
「私もだ雪音。この感情、抑えようにも抑えきれない!!」
「わ、私も!!何て言うか、
それぞれ感じ方は違えど、思った事は同じだった。
「「「この熱い思い!歌わずにはいられない!!」」」
歌う。彼女達は歌う。歌詞も歌い手も知らない筈の歌を。
『『『弾丸ソウル!!』』』
<パリーン!!>
そして、それに呼応するかの様にデュランダルは砕け散り、
「な、何故デュランダルが!?」
彼女達に吸い込まれて行った。
『へ、へへへ。これで、バサラのいる空へ飛びたてる!!』
『流行の最先端は貰った!!』
『翼さん帰ってきてください!!』
三人のシンフォギアはデュランダルと融合し、装いを新たに空中でも行動可能になったのだ。
「何だそれは!?お前達は何を纏っている!?それは私が造ったものなのか?それは何なのだ!?」
『『『シンフォギアァァァァァァァァァ!!』』』
フィーネの問いに三人は答えた。そして、
『『『私達の歌も聴けぇぇぇぇぇぇ!!』』』
奏とバサラが居る上空へと飛び立っていった。
「・・・私はもう眼中にないようだな...」
「貴様は歌わないのか?」
「お前は...」
「名乗っていなかったな。私の名はゲペルニッチ。そして、今一度問おう。貴様は歌わないのか?」
フィーネの前に現れたのは、ついさっきバサラ達を拘束している所に乱入してきたプロトデビルンの男。
「今、計画を邪魔され失意のどん底にいる私に歌えと?ハハハ、お前は何を言っているんだ!!」
「だからこそだ。私の
ゲペルニッチはそう言い残し、上空で待機していたガビルと共に宇宙へ飛び出して行った。
「・・・やってやろうじゃない!!私があんなガキ共に後れを取ってたまるか!!私の、私の...『私の歌を聴けぇぇぇぇぇぇ!!』」
フィーネが叫ぶと同時に空中を漂っていた残りのデュランダルが呼応した。そして、ネフシュタンの鎧と融合。翼達と同じように羽を纏い翼達の後を追って飛び立っていった。