「な、何だこの光景は!?」
俺は目の前の光景に呆然としてしまった。ここに集まっていた人々を襲い、灰にして行くバケモノという一種のパニック映画のソレが目の前で起こっていたからだ。このバケモノ共は
「に、逃げるんだよぉー!!」
俺はここから一番近くにあるシェルターに向かって一心不乱にその場から逃げ出した。
『_________!!』
「う、歌!?」
しかし、俺が逃げている後ろで"先程まで歌っていた女性の声"が一瞬聞こえた。それは歌を歌っているようだった。そして、俺はそこで立ち止まりあろう事か会場に向けて走り出していた。久しぶりに感じたこの"熱い想い"を持ったまま。
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彼は、今日この会場で行われる『ライブ』に来ていた。その歌手が好きとかではなく、唯友人から「急に行けなくなった。けど、捨てるのは勿体無いからお前行って来いよ。何、騙されたと思って一回聞いてみ。凄いから。」と手渡され丁度その日予定もなく暇だったので来たのである。
彼は、前世と言える記憶がある。一度他人に言ったものの信じてもらえず、馬鹿にされそれ以来自分自身の中に留めている。よくある神様の部屋に召喚され特典をもらったなんて記憶にないし、赤ん坊から育ててくれた両親や祖父母も健在だ。しかし、今の彼を形成しているものは、18年間生きてきた確かな経験と、今もはっきりと覚えている
『ん?___________?知らないアーティストだな。何?新人のグループ?』
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「奏ぇー!!」
槍を持ちノイズ達と戦っていた女性、ツヴァイウィングの天羽奏は一人の少女を守るため、自身を盾にノイズ達の攻撃を一身に受けていた。その身体を守っている防具はヒビ割れ、砕けみるみる内に剥がされていく。そして、
「おい!死ぬな!!」
あろう事か、少女の胸にその破片が刺さり少女は倒れてしまった。
「目を開けてくれ!生きるのを諦めるな!!」
「う、ぁ...」
辛うじて生きていた少女を助ける為、彼女はノイズ達を一掃出来うる技を使うことを選んだ。そして、
『_____!!』
歌い、それと同時に、
『俺の歌を聴けぇぇぇ―――――――――――――!!』
一人の青年の声が会場中に響いた。
「う、嘘!?まだ一般人がこの中に!?」
ツヴァイウィングの風鳴翼は突如乱入した青年に驚き
「...歌が聞こえる。私に流れ込んで...力が、湧いてくる!!」
絶唱を歌っている天羽奏は、自分の中に突如湧き出てくる力に驚いた。青年が歌っている曲の名は
『突撃ラブハート!!』
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俺は、『ツヴァイウィング』ってグループのコンサートに来半分投げやりで来たけど...なんだあの歌声は!?すっげぇじゃねえか!!それに、
「それと、何を考えてるんだ俺は!」
自分自身の行動に今俺は驚いている。そりゃ、憧れのあの人なら間違いなく
「このまま引き下がるなんて出来ない!!この熱い思いを吐き出さずにいられるか!!それに、
馬鹿げている話だけど、
『俺の歌を聴けぇぇぇ―――――――――――――!!』
落ちていたギターで状態がましだったのがこの一本だけだったけどやるしかねぇ!!
『突撃ラブハート!!』
さぁ!!楽しいライブの再開だぜ!!
その日、多数の犠牲を出したがノイズ達は彼女らツヴァイウィングの働きにより倒され、天羽奏に助けられた少女は、辛うじて一命を取り留めた。
彼女達ツヴァイウィングの天羽奏と風鳴翼はシンフォギアと呼ばれる、聖遺物の欠片から作られた鎧型武装でノイズと戦っている。普段首にかけている聖遺物の欠片の中に残った力を、適合者による特定振幅の
だが、天羽奏は適合者ではなく制御薬"LiNKER"を過剰投与した結果、後天的な形で適合者となった。それは、人体への負荷が絶大であり、ギア装着も時間制限付きの限定的なものだった。その影響かは分からないが、"絶唱"を歌った彼女の疲弊は酷く、歌を歌うどころか、動く事もままならないほどに傷ついてしまった。
そして、突如乱入してきた青年は何と無傷。彼が歌っていた場所は不思議と彼を中心に、
「は、初めまして!
特異災害対策機動部二課に新たなメンバーが加わった。
「俺がここの司令官、風鳴弦十郎だ。これからよろしく頼むぞ。」
「はい!!」
『ノイズは彼の靄に触れた瞬間崩れた』との翼の証言から、赤城バサラの歌に不思議な力が宿っているかもしれないと言うことで彼をスカウトしその歌を分析、研究することになった。
『FIRE BOMBER』が大好きだった男が死に、この世界で奇しくも憧れの『熱気バサラ』と同じバサラという名前の"赤城バサラ"として転生した。その青年が繰り広げる不思議な物語が今始まる。