東方狐答録   作:佐藤秋

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第五十八話 永夜異変後①

 

 二つの異変を解決し(俺は何もしていないが)永琳たちと別れて三十分、俺と妹紅は人里まで戻ってきた。正確に言うならば"元々人里があった場所"だろうか、未だに慧音の手によって人里は隠されたままである。

 いくら慧音でも、一晩中仁王立ちで人里を見守っているわけはないだろう。異変前に慧音と別れた、村の入り口があったはずの場所まで降りて、慧音がどこにいるか探してみる。

 

「慧音ー、戻ってきたぞー。どこにいるー?」

「ここだ」

「ひゃあっ!?」

 

 慧音の声が聞こえたかと思ったら、妹紅がかん高い声をあげる。見るといつの間にか妹紅の後ろに、慧音が姿を現していた。

 

「お、慧音ただいま。どこにいたんだ?」

「二人ともおかえり。最初からずっとそこにいたよ。ただしこれで姿を隠してたけどな」

「? 何だそれ?」

 

 慧音が手に持っていたものを見せてくる。小さい上に暗くてよく見えないが、おそらくあれは木の葉だろうか。俺が食料を持ち運びするときに、好んで変化させる木の葉に似ている気がする。

 

「これは見隠しの葉といってな、頭にかざすと自分の姿が隠せるんだ。妹紅の道具なんだが、今回特別に貸してくれた」

「へぇ……って、見たことあると思ったら俺がむかし妹紅にあげたやつじゃないか」

「なに、そうなのか?」

 

 慧音は確認をとるように妹紅に目をやる。そういえば先ほど妹紅はすごい声を出していたけど、姿を消していた慧音に何かされたのだろうか。

 

「あ、ああ……小さいとき私が誘拐されて、真に助けてもらったことは話しただろ? その後に真からもらったんだ」

 

 気を取り直して妹紅が説明する。慧音も妹紅も、俺と酒を飲んだとか誘拐されたとか、お互いいろいろ話してるんだな。

 

「ほう! これにそんな素晴らしい背景があったとは…… ん? なんで真はこんなもの持ってたんだ? もしやこれを使って如何わしいことでもしていたのでは……」

「するか。それは誘拐の後、俺が妹紅のために作ったんだよ」

「……慧音はさっき私にしたことを思い出してみればいいと思う」

 

 如何わしいことって何だよ、覗きとかか? 生憎だがそういったことをすることによって得られる快楽(プラス)罪悪感(マイナス)ではマイナスが勝るため、俺は悪いことはあまりしない。ただし人を驚かすことはするけれど。

 それにそもそもその道具が無くても、俺は自分の姿を隠すことができる。そのことを言うとややこしくなるので言わないが。

 

「作った? 真がこれを?」

「そうだよ。いや、未だに妹紅が持ってたとは驚きだな」

「ま、まぁな。 ……そんなことより異変なんだが……」

「あ、そうだったな。まだ月は欠けたままだが、二人が戻ってきたということはもう心配無いということか?」

「ああ、明日からまたいつも通りに戻るはずだ。あの月は永遠亭の連中の仕業で……」

 

 妹紅が慧音に今回の異変の全容を話し出した。慧音は永遠亭の連中のことも知っているし、紫のことも知っている。

 説明は比較的簡単に終わった。

 

 

「……というわけだ」

「なるほど……夜が明けないとは思っていたけど、そっちは八雲紫の仕業だったんだな。となると夜明けまではまだ時間があるのか」

 

 妹紅が一通り説明を終えると、慧音はそう言って空を見上げた。未だに偽物の月が浮かんでいるが、少しずつ動いているのが見てとれる。

 

「そうなるな。慧音は朝まで見張りを続けるつもりか?」

「ああ、元々そのつもりだ。少し時間は延びたようだが、あまり大した違いはない」

 

 万が一のために人里を隠した慧音だが、異変の詳細が分かった今も危険があることは変わりない。実際俺たちも、妖力を回復しようと人間を襲おうとしてた妖怪にあったしな。今夜くらいはこの状態を保っておいてもいいだろう。

 

「ふーん、そうか。じゃあ朝まで俺たちも付き合うよ。一人で退屈だっただろ」

「そうだな、元々私も慧音と一緒にここにいるつもりだったんだし」

「いいのか? 別に一晩なんてあっという間だぞ?」

「ああ。実は異変解決が終わったら慧音も入れて飲もうと思ってたんだ。待ってるあいだ丁度いいだろ」

「む……まぁ明日は休日だしそれもいいかもな」

 

 元々俺だって異変解決の途中から、三人で飲もうと思っていた。大人数で飲む宴会も楽しいが、小ぢんまりと酒を飲むのも俺は好きだ。

 俺は酒を取り出そうと、自分の懐に手を入れる。

 

「よっしゃ決まりだな。 ……あ」

「どうした?」

「……これだけしか酒が無いや。この前かなり宴会をしたからな…… 二人は持ってないのか?」

「……真じゃあるまいし持ってるわけ無いだろ」

 

 妹紅が首をふるふると左右に動かす。しまったな……食料も酒も、最近ストックが減る一方だ。今度改めて追加しておくとして、とりあえず今はどうしたものか。ちなみに諦めるという選択肢は無い。

 

「うーん……都合よく近くに飲める屋台とかやってないかなー。ラーメンが食べられるとなお良い」

「あのなぁ……人里の中にはあるかもしれないが、今は私が隠してるんだ、あるわけないだろ」

「まぁそうだよな」

 

 ふむ……ここで俺が思い付く選択肢は

 

①『答えを出す程度の能力』を使い人里に危険がないことを確かめてから慧音に元に戻してもらう。

②近くに奇跡的に屋台が存在すると信じて探してみる。

③博麗神社に行って取ってくる。

 

 といったところか。

とりあえず①は却下だ。これは真っ先に思い付いたが慧音に頼まれたわけでもないのにこんなことできない、慧音の決意を無にしてしまう。他の方法が無いならまだしも思い付いたのならそっちを選ぼう。

 となると、②か③になるが…… よし、今回は『答えを出す程度の能力』を使い②を実行して、存在しなければ③にしよう。③でも無理だったらもう知らん、萃香の持っている瓢箪をこっそり拝借でもすればいい。

 とりあえず今は一縷の望みをかけて選択肢②を実行する。

 

「『近くに酒の飲める屋台が無いか』……ぅえ!?」

「どうした?」

「……い、いや、なんでもない。それより二人ともこっちだ、近いぞ!」

「近いって何が?」

 

 自分で能力を使っておきながら、出てきた答えに変な声が出る。

 変な声を誤魔化しながら、俺は近くの森に二人を呼んだ。

 

「おい真、どうしたんだ。言っておくが私はここからあまり離れるつもりは……」

「大丈夫、もうすぐそこみたいだから。 ……ほらあった」

「あったって何が……ぅえ!?」

「マジか……」

 

 森の中を少し進むと、そこにはなんと一台の屋台が存在した。慧音が俺と同様に変な声をあげている。屋台から下がっている提灯(ちょうちん)には『八目鰻』の文字が書いてあり、一人の少女が歌いながらその屋台を引いていた。

 

「遠く~遠く~離れていても~♪ ……ん、人間のお客さん? いらっしゃいませ~。 ……あれ貴方……」

「ん? あれ、お前は夜雀の……」

「最近どこかで見たような顔ね。どこだったかしら?」

「……覚えてないなら別にいいや。それよりやってる?」

 

 屋台を引いている少女は、今夜戦った夜雀だった。確か名前はミスティアだったか…… ミスティアは俺の顔を覚えていないようだが普通はそんなものだと思う。

 それよりも今この屋台をやっているかのほうが重要だ。

 

「あ、はーい、やってますよ~。ちょっと待ってね、よいしょ……さあ、どうぞどうぞ座ってください」

「おう」

「……妖怪が屋台を開いてるとは珍しいな」

「しかもこんな時間に……いや、この場合夜のほうが普通なのかな」

 

 ミスティアに促され、俺たち三人は屋台の席に腰を下ろす。俺が左端で慧音が右端、一番背の低い妹紅が真ん中だ。屋台自体は珍しくもないが、こんな時間に妖怪がやっているのが珍しいのか、妹紅と慧音はキョロキョロと内装を見渡している。

 

「ご注文は? といっても今は八目鰻しか無いんだけどね」

「……じゃあそれで。あと適当に酒を」

「私も真と同じものを。慧音は?」

「あ、じゃあ私も」

「はいはーいかしこまりましたー」

 

 聞く必要があるのか分からない注文を取られ、ミスティアは目の前で八目鰻を焼き始める。八目鰻とはなんとも珍しいが、まぁ酒に合うならなんでもいい。

 ミスティアはその後、俺たち三人の前にそれぞれコップ一杯の酒を置いてきた。

 

「…………」

「どうした? 俺の顔になんかついてるか?」

 

 二人と乾杯して酒を飲んでいると、ミスティアが俺の顔をじーっと見てきた。そんなに見つめられると照れるじゃないか。

 

「……貴方さっき真って呼ばれてたわよね。 ……尻尾と耳は無いけれど、もしかして貴方私を助けてくれた妖怪?」

「う……」

 

 ミスティアに俺のことを思い出される。間違ってはいないのだが、ここで「はい私が貴女を助けてあげた妖怪です」とは言いにくくないか。俺はお前を倒して妖力を分けただけなのだが。

 

「(……なんで真は黙っているんだ? 違うなら違うって言えばいいだろ)」

「(違わないからな。多分今夜会った妖怪だよこの子)」

「……こっちの白い髪の子も見覚えがあるわ! 貴方やっぱりあのときの妖怪ね!」

「あ……うん、まあ、そうだ」

 

 ミスティアがカウンターから身を乗り出し顔を近付けてくる。俺はあのとき狐の耳と尻尾を出していたからミスティアも半信半疑だったものの、妹紅の存在で確実に思い出されてしまったようだ。平々凡々な俺とは違い、妹紅のあの長い白髪とか目立つよなぁ。

 

「……お礼も言わせずに行っちゃったからまた会いたかったの! ありがとね、貴方のお陰で今こうして元気に生きているわ」

「……大袈裟だなぁ」

 

 ミスティアが俺の手を取ってギュッと握る。なんだその台詞は。俺は医者か。

 

「そっちの貴女も、ごめんなさいね。大丈夫だった? 怪我とかしてない?」

「あ、うん、大丈夫。まぁその、結果オーライというか……」

 

 ミスティアが顔だけ妹紅のほうを向く。妹紅はあのとき視界を奪われただけなので怪我は無い。確かに結果オーライだ。

 

「そう? それなら良かったわ。よーし、折角恩人とそのお連れさんが来たんだからサービスするわよ!」

 

 そう言ってミスティアは八目鰻を焼く作業に戻っていった。八目鰻しかないというこの店で一体どんなサービスができるのだろうか。

 

「……妹紅、この妖怪と何かあったのか?」

「いや、ただの人間に間違われてちょっと襲われただけだ」

「何っ! 怪我とかしてないか!? こいつ人間を襲う妖怪だったのか……」

「だから無いって。それにこの子も異変の被害者で……今夜は妖力を回復しようとしてたみたいだ。私はもう気にしてないよ」

「そう……妹紅がいいならいいんだ」

 

 そう言って慧音は酒をあおる。心配性だな慧音は。

 意外と飲むペースが早いため、慧音のコップはもう空だ。俺はミスティアに追加の酒を注文する。

 

「ミスティア、慧音におかわりを……」

「はーい、ちょっと待っててね。 ……はい焼けた、八目鰻三人前と……こっちはここ特製のお酒だよ」

 

 ミスティアが瓶に入ったお酒を下から取り出す。見ると達筆な文字で『雀酒』と書いたラベルが貼ってあった。この店特製の酒らしい。

 

「ちょっといいか?」

「どしたの?」

「その……あまり値が張るものを出されるのも困るんだが大丈夫だろうか」

 

 幽々子の件を経験して、会計は少し警戒する。俺はミスティアに小声で尋ねてみた。

 

「ああ大丈夫。計算が面倒だからここでは一律2銭500文だから……っていうか恩人からお代なんて貰えないよ。沢山飲んでってね」

「そ、そうか……ならいいんだ。でも別にタダにしてもらう必要は無い、大したことしたわけじゃないんだし……お代はちゃんと払うよ」

「え、いやいやいいって。私の奢りだと思ってさ」

「女の子に奢ってもらうわけにはいかないな。俺のことを恩人だと思うなら俺に気を使わせないでくれ」

「む……変な感じで頑固だね、そう言われちゃうと困るなぁ……」

 

 ミスティアが頬をポリポリと掻く。妖怪はあまり金銭に執着はしないみたいだが、それでは俺の中のルールに抵触するのだ。俺は香霖堂でもしっかりお金を払っている。

 

「……じゃあ三割引の……えーと……一人あたり2銭でどう? いくら恩人の頼みとはいえ、さすがに他の人と同じ扱いは出来ないわ」

「……まぁそのくらいの厚意には甘えようか。ありがとな」

「……貴方やっぱり変わった妖怪ね」

 

 そう言ってミスティアはくすくすと笑った。何やら計算が間違っている気もするが気にしない。安くしてもらえるならそれに越したことはないのである。

 

「おい真、なに話してるんだ。このお酒ものすごく美味しいから真も飲んだらいい」

「この串焼きも美味しいなぁ……意外と当たりだこの屋台」

「そうだな……俺にも注いでもらおうか」

 

 俺は自分のコップの中身を飲み干し、空になったコップを慧音に差し出す。妹紅を挟んで慧音はゆっくりと雀酒を注いでくれた。

 俺は少しだけ白く濁ったその酒に口をつける。うん、相変わらず酒の美味しさは分からないな。後に引かない味わいなので、個人的にはとても飲みやすいとは思った。

 

 

-・-・-・-・-・-・-・-・-・-

 

 

「う~ん……妹紅ぉ……」

「はいはい、私はここだよ。しっかり掴まって」

「んん……ありがとう……」

「……じゃあ妹紅、後は頼んだ」

「うん」

 

 空が白んでくるまでミスティアの屋台に厄介になり、酔っぱらった慧音は妹紅に任せてそろそろ神社に戻ることにした。俺はいつもの如くゆっくり飲んだため軽くしか酔っていないが、妹紅は慧音と同じくらい飲んでいたのに酔いが浅い。これなら慧音を任せても大丈夫だろう。

 

 

 少しだけ肌寒い朝の風が軽く火照った顔に当たって気持ちいい。俺は気持ち高めに飛びながら博麗神社まで飛んでいく。

 神社に戻ると、縁側で足をブラブラさせている萃香の姿を発見した。

 

「おかえり真、遅かったね。 ……どっかで飲んでたの?」

「ああ、そんなところだ。萃香は随分早いな、まだ早朝だぞ」

「そりゃあ時間的には早いだろうけど、今回は夜が長かったからね。半刻前にはもう起きてたよ。霊夢はまだ寝てるみたいだけど」

「昨日遅くまで頑張ってたからな。俺も今から寝るから、霊夢が起きたら言っといてくれ。朝飯もいらない」

「はいよー」

 

 萃香に伝言を頼んで、俺は今から寝るとする。朝に寝るとはなんとも不健康な生活みたいだが、今回は夜中にラーメンを食べようとしてたのだ、そのくらいはどうってことない。

 部屋に戻るのもいいが、折角なので神社の屋根に登って朝日を浴びながら寝ようと思う。俺は神社の中に入らず、そのまま上へ飛び上がった。

 

 神社の屋根に背中をついてそのまま天を見上げる。屋根の上ってなんか良いよな、俺もバカと煙の仲間入りだ。実は何度かここでは眠ったことがあるので、寝られることは確認済みである。

 背中が固いのは良いとして、頭が固いと眠りにくい。頭に当たる部分だけうまいこと変化で柔らかくさせる。

 

 こんなところに来ておいてなんだが、俺は暗い場所のほうがよく眠れると思っている。右腕を目の部分に当てて光を遮ると、俺はそのまま目を閉じた。

 

 

 

 

「……zzz」

 

 真のヤツ…………で寝……やがる……

 

「……zz……」

 

 うーん…………顔が……えない……

 

「ん……」

「あ、起きた」

 

 周りに誰かの気配を感じて目を覚ます。声も聞こえたみたいだし、すぐそこに誰かいるのだろうか。

 

「んー……? 魔理沙か……おはよう」

「もうこんにちはの時間だぜ」

「んー……おそよう」

「おそよう。しょーもなっ」

 

 体を起こして上を見ると、俺を覗き込んでいる魔理沙がいた。魔理沙の作る影が丁度俺の顔を覆い、太陽の光をあまり眩しいと思わない。

 

「よっ」

「ぐふっ……おっと」

 

 寝起きで油断していると、魔理沙が俺の膝の上に座ってきた。傾いていてバランスが取りづらいので、俺は咄嗟に魔理沙を支える。

 

「アリスから聞いたんだけど、昨日の夜から異変が起きてたみたいだな。もう解決しちゃったのか?」

「ん? ああ、そうだな」

「あーやっぱりかー。くそっ、全然気付かなかった…… やけに夜中にパッチリ目が覚めたと思ったんだよ。まさか夜が長引いてたとはなぁ…… 冬と違って分かりにくいぜ!」

「そうだなぁ……」

 

 魔理沙は妖怪ではないので、月の異変には自力で気付けない。霊夢だって紫に言われたから異変解決に赴いたみたいだし、それは仕方ないと思う。

 アリスは自力で気付けたんだろうか。そうだとしたら、幽々子といいアリスといい、妖怪か人間かよく分からないヤツらは洞察力が高過ぎるな。

 

「異変解決の宴会は? もうしたのか?」

「今夜やる。魔理沙も来るか? 知らないヤツは多いと思うが」

「行く」

 

 魔理沙は俺に体重を預けながら即答した。異変解決後に宴会をするとは決まっていないが、もはや恒例になりつつある。紅魔館での宴会から魔理沙は全ての宴会に参加しているのだ、簡単に断るはずもない。それに魔理沙はフランやレミリアをよく知らない状態で紅魔館の宴会に来ていることから、人見知りという言葉には縁の無い存在とも言える。

 

「よし、じゃあ一緒に行くかー。夜までまだ時間があるな…… それまで何するか……」

「昼寝の続きしようぜ、私も朝早かったから今のうちに寝溜めする」

「……ここで?」

「ここで。よいしょ」

 

 そのまま魔理沙に押し倒される。魔理沙は俺の胸に頭を乗せ、ポンポンと叩き感触を確かめてきた。

 

「……うん、いける。これくらいの固さなら余裕で寝れるな」

「……下で霊夢に布団借りて寝ろよ」

「めんどくさい」

「めんどくさいて……ちょっと降りるだけだろうが。急がば回れ以前の……」

「真、うるさい。眠れないだろ」

 

 魔理沙が自分の口元に人差し指を立ててくる。どうやらもう意見を変えるつもりは無いらしい。

 魔理沙はそのまま目を閉じて黙ってしまった。ううむ、動けない…… しかしさっきまで寝ていたのに、また眠るのはどうなんだろう。

 

 俺は視界に入る青い空と白い雲を、ぼーっと眺めることにした。

 

 


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