東方狐答録   作:佐藤秋

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 これ書き始めたの十一月です。現在三月。できるのおっそ。


第百五十四話 今泉影狼

 

 今の時期、朝早くの迷いの竹林は、空気が冷たくて肌寒い。風邪などを引かないよう格好には注意したのに、紫苑の服装は相変わらずだ。差し押さえられまくっているぶかぶかのパーカーに、長くないスカート。あとは靴下さえ履いていない。

 絶対寒いだろうし、実際紫苑も寒かったようで、ぴったりと俺の背中にくっついている。だから言ったのに。背中で体温を感じながら、まるで赤ん坊だなと考えた。

 

 そんな赤ん坊の紫苑には、魚釣りの方法はもう教えた。また、食べられる野草の見分け方に関しては、経験上すでに知っていたようだ。

 それで今日は趣向を変えて、タケノコ掘りにやってきたというわけ。迷うといけないので妹紅を誘った。

 

 現在俺たち二人の前を、妹紅が先導して歩いている。妹紅はうきうきという擬音が聞こえてきそうな、背中越しでもわかる上機嫌さ。誘ってからずっとこんな様子なので、よほどタケノコ掘りが好きなのだろうと考えた。

 楽しい人には楽しいのだろうが、俺にはその道の楽しさは分かりそうにない。

 

 このまま鼻唄でも歌い始めそうな妹紅が、こちらに振り返り、後ろ歩きになって言った。

 

「それにしても、真からタケノコ掘りに誘ってくるのは珍しいな」

 

 そうだっけと答えようと思っていると、妹紅がピタリと立ち止まる。眉をひそめ、首を傾げながら俺を見た。鏡のように俺も傾げる。

 

「おかしいな、なんかが真に取り憑いてるように見えるんだが」

 

 妹紅は、紫苑を指差しながらそう言った。

 どうやら見えているらしい。取り憑かれている身としては、紫苑が姿を現しているか消しているのか分からないのだが、今は隠れていないようだ。

 

「なんだ、見えてるのか」

「見えてるのか? ってことはやっぱり気のせいじゃなくて」

「ああ、この間会った貧乏神だ。可哀想だから拾って帰ってな。で、一応いまは取り憑かれてる」

 

 見えているということは、触れることもできるということ。寒いと背中に引っ付いている紫苑を引っぺがしながら俺は言った。

 貧乏神? と繰り返す妹紅。俺は紫苑の背中を押して自己紹介させる。

 

依神(よりがみ)、紫苑」

「あ、ああ。藤原妹紅だ。えっと、貧乏神だって?」

「うん、貧乏神」

「それで、今は真に取り憑いている?」

「うん、お兄さんに取り憑いている」

 

 二人のやり取りが山彦みたいで俺は苦笑した。かわいいなこいつら。すぐに人の真似を始める子どもみたい。

 

 こうして並んだところを見てみるとこの二人、格好と雰囲気がなんとなく似ている。初めて紫苑を見たときも妹紅と似ていると思ったっけ。

 

「なあ真、大丈夫なのか。貧乏神って。取り憑かれて、あまりいいもんには聞こえないぞ」

「大丈夫だろう。金持ちならともかく。いくら貧乏になったって、こうしてタケノコでも掘ってればいい話だ」

「そうか? ……まあ、そう言われればそうか」

 

 むかし俺と旅をしているとき、金が無くても生きていけたことを思い出したのだろう。妹紅はすぐに納得した。他の奴ならいざ知らず、妹紅なら理解できると思っていた。

 

 自己紹介を終えた紫苑が、肌寒さを思い出したのか再び俺にくっついてくる。文から服をもらったのだから着ればいいものを。

 そう思っていたら妹紅までくっついてきた。おしくらまんじゅうをする時期にはまだ早い。まあ単に妹紅は、紫苑に逃げられたと思って追ってきただけだろうけど。

 

「なんだ、いろいろ言って悪かったよ。少し気になっただけで、アンタを真から引き剥がす気はないんだ。私だってむかし真に拾われた身だしな」

「そうなの?」

「ああ。貧乏神であるアンタほどの境遇じゃないかもしれないが、こいつに懐く気持ちは分かるつもりだ」

 

 俺を挟んで紫苑に話しかけている妹紅。とりあえず俺をこいつ呼ばわりするのをやめようか。

 

「今までいろんな奴に取り憑いたことがあるんだろうが、真は普通の奴とは違うだろ?」

「うん、全然違う。大人の人で、私が貧乏神って知って嫌な顔しなかったのはお兄さんが初めて。憑いてても怒らないし、それどころかご飯もおなかいっぱい食べさせてくれるし、あったかいお布団も用意してくれる。毎日が幸せ」

 

 そう言うと、紫苑はさらに俺にくっついてきた。寒いだけの理由ではなさそうだ。

 思うのだが、布団の温もりが幸せだと思うなら、もう少し暖かい格好をすればいいだろうに。

 

「だけど、私は貧乏神。人々に不幸をもたらす存在。そんな私が、毎日こんな幸せだって感じて生きていたら……」

 

 急に声のトーンを落として紫苑は言う。

 

「……な、なんだよ。もしかして貧乏神としての存在意義を満たせないから、消滅してしまうって言うんじゃあ……」

「福の神になるかもしれない」

「前向きだった! 紛らわしい言い方すんなよな!」

 

 だんだん会話が楽しげになってきた二人をいくらか眺めたのち、俺はなんでもいいから進まないかと口にした。話すのは歩きながらでもできるだろう。先ほどから一歩も進んでいない。

 

「ああ、そうだな」

 

 妹紅は頷いた。

 そのくせ変わらず紫苑と向き合ったままで前を歩いてくれないので、俺が先頭に立ち適当に進んだ。まあ、変な道に入れば妹紅が何か言うだろう。

 

「今日はタケノコご飯かな。楽しみ」

「そっちが米を準備してなきゃそれは無理だな」

 

 俺を間に挟みつつ、二人はまた会話を始めている。

 

「思ったんだが紫苑のそれ、タケノコ掘りの格好じゃないよなあ。まあ私も適しているとは言えないけどさ。なんで茶碗を持ってんだよ」

「これはお兄さんがくれた私の宝物だから。ずっと大事に持っておくの。タケノコご飯もこれに入れる」

 

 どうやら紫苑の中ではこの後のメニューが決まっているらしい。俺としてはまずは刺身を食べたいところ。採りたての若いタケノコは、刺身でもうまい。

 

「じゃあ、そっちの猫の人形は」

「これは妹がくれた、もう一つの私の宝物。黒猫は幸せの象徴。貧乏神の私が、少しでも幸せになれるようにって」 

 

 紫苑には妹がいたようで、なるほどだからそれほど大事そうに黒猫のぬいぐるみを抱えていたのかと考えた。俺が妹紅からもらった巾着を大事にしているのと同じだ。

 口ぶりからして妹は貧乏神ではないようだが、まあ会ったこともない相手なので、これといって詳しく訊こうとは思わない。紫苑が話したいなら別であるが。

 

「ふーん。大事なものがたくさんあってうらやましい限りだね」

「うん。えへへ……」

 

 しかし紫苑は妹のことは話す気は無いようで、しなびた黒猫の人形をぎゅっと抱きしめるだけだった。

 抱きしめたついでに、口元を人形のところまで持っていく紫苑。茶碗と人形を器用に持って、口元を隠しながら紫苑は言う。

 

「やあ、僕は黒猫のしなびー。妹紅ちゃん、紫苑ちゃんにいっぱいタケノコを食べさせてあげてね」

 

 紫苑が声色を変えて、ぬいぐるみを動かしながらそう喋る。お人形遊びというやつだ。こういうところは女の子らしい。

 

「以外にひょうきんな奴だな、紫苑……」

「しなびてるからしなびーなの。妹紅ちゃん、僕もおなかいっぱい食べたいよー」

「妹紅ちゃん……」

 

 ちゃん付けて呼ばれて、妹紅はまんざらでもなさそうな様子。そう呼ぶ輩は幻想郷には少ないので新鮮なのだろう。俺も大ちゃん以外からお兄さんと呼ばれるのは珍しいから、気持ちは分からないでもない。

 

「それじゃあ、タケノコいっぱいとらないとな。まずは……」

 

 茶碗とぬいぐるみ、どちらもタケノコ掘りには邪魔だからと妹紅に言われ、紫苑はしぶしぶどちらも手から放す。ぬいぐるみはパーカーの襟に引っ掛けて、茶碗は頭の上に乗せた。歩いているのになぜか落ちない。謎の吸着力を見せる紫苑の髪。いやオーラか。

 全身に薄く纏っているオーラに、ガムとゴムの性質でも備えているのかもしれない。バンジーガムかな。

 

 代わりに紫苑は、掘ったタケノコを入れる籠を背負わされた。荷物持ちではない。俺はそれぞれに必要な道具を木の葉に変えて懐にいれているし、妹紅は(くわ)を持っている。

 

 片手で鍬を肩に引っ掛け歩く妹紅と、籠を背負ってふらふらと漂う紫苑。

 タケノコ掘りのポイントに着いたころ、まだ元気にピンピンしている妹紅と、すでに疲労困憊の紫苑。筋力が無ければ体力もない。日課の柔軟体操以外に、体力作りも加えようかと考える。

 

 タケノコ掘りが終わり、紫苑が疲れすぎてぐったりしている。休ませるついでに成果の確認。水筒の水を紫苑に飲ませる。

 タケノコは、籠がいっぱいになるほど採れた。その他に蛇と鳥も数匹ほど採れた。大量と言っていいだろう。タケノコが全部食べられないのは当然として、こちらも下手したら余りそう。

 

 食べられそうな量を取り分けたら、妹紅と二人で料理作業。俺は狐火で、妹紅は術で火を(おこ)す。紫苑は向こうで死んでいるから手伝わない。いやまあ、手伝わせるのは忍びない。

 

「できたぞ、紫苑」

 

 ほどなくタケノコ料理が完成したので、紫苑を呼ぶ。お人形よろしくしなびていた紫苑だったが、それでもふわふわと飛んできた。疲れより食い意地が勝ったようだ。というか結構休んだだろう。 

 

 服が土に汚れるのも(いと)わず、俺たち三人は地面に直接座って食べる。目の前にはたき火。これで蛇や鳥を焼いているので、それを見ておくためにも地面に座るほうが都合がいい。

 

「タケノコおいしい」

「だろ! ここのタケノコはさ、成長が速いから美味いタイミングが一瞬なんだ。それを知らない人間はここのタケノコが不味いとか言うけど、しっかり見極めて採ればこんなに美味い」

「これからここに住む」

「お、住むか?」

「いやいやいや、住まない住まない。なんだその決断力」

 

 楽な道に見えたのか紫苑が人生設計を見誤っていたので、遮った。そんな選択は見過ごせない。妹紅に任せてもなんとかなってしまう気はするが。

 

 タケノコの刺身をポリポリと食べながら、肉の焼け具合を見る。火を受けているほうに焦げ目がついていて、いい感じ。うまそうだ。

 紫苑もそう思ったのか、よだれが垂らしそうな口の形をしつつそれを見ていた。火傷するといけないので俺が取る。

 

「私にもちょうだい」

「ああ」

 

 反射的にそう答えて肉を手渡す。ありがとうと返事が聞こえた。本日初めて聞く声で、声の主は誰だろうと遅れて俺は考える。

 見ると、妹紅でも紫苑でもない少女がそこにいた。狼みたいな耳が生えている。まず間違いなく妖怪である。

 

影狼(かげろう)。お前、いつの間に」

 

 狼少女に向かって妹紅が言った。

 

「えへへ。いい匂いがするから気になって見に来たんだけど、もこたんがいたから出てきたの」

「人をもこたんって呼ぶなって言ってんだろ」

「今日はまた一段と豪華だね。もらっちゃったけど食べていい?」

「そりゃまあ、敢えて追い払う理由も無いからいいけどさ」

 

 察するに、どうやら妹紅の知り合いのようだった。隣に座って何やら仲睦まじくやり取りしている。友達かなあと紫苑と俺は目で会話。

 

「妹紅。そちらさんは?」

「あ、どもども、初めまして。ウェアウルフの今泉(いまいずみ)影狼でっす。人は襲わない妖怪だから安心してね。もこたんとは、同じ竹林に住む友達だよ」

 

 妹紅への問いに、影狼と名乗った少女が答えた。ウェアウルフ、つまり狼人間というわけだ。見た目通りだなと考える。

 

「なるほど、ご近所さんか。ならここで会うのも納得だ」

「そう言うお兄さんたちは、もこたんに依頼してのタケノコ狩りかな? それにしてはやけに親しそうだけど」 

「ああ、こちらの自己紹介がまだだったな。真と、こっちは紫苑だ。俺のほうは妹紅と古い付き合いでな」

 

 むかし世話になったんだよと妹紅が言う。まあそうだな。そのくせに俺をこいつ呼ばわりしてくるのだから油断できない。

 

「二人は人間じゃないのかな? お兄さんのほうは分からないけど、昔からの知り合いなら見た目の年齢がおかしいし、こっちの子なんかはモロに変なオーラなんかが見えちゃってるしね」

「ああ、俺はそちらと同じ動物妖怪だ」

「もしかして狐の妖怪さん?」

「当たり。よくわかったな」

「狐のお面してるしねー。でもそれ以外見た目じゃわかんないなあ。人化の精度ものすごいね」

 

 そりゃもう、この姿を保つことには、昔かなり苦労した記憶がある。この大変さは影狼になら分かることだろう。尻尾を隠すことの難しさは動物妖怪にしか分からない。

 

「だろう。ただ、それじゃああまりにも狐らしさが無いと思ってな。狐であることをアピールするために、このお面は最近買ったんだ」

「そんな理由だったのか!? なんか面してるなーと思ってたけど!」

 

 会ったときにはなんの反応も無かった妹紅だが、一応気づいてはいたらしい。紫苑の登場に気を取られて言わなかったのか。いや、くれた巾着を身につけていてもこれといった言及をされなかったこともあるし、妹紅はそういうことを敢えては言わない(たち)なのだろう。

 男の変化を指摘する必要は感じないので別にいいが、女性の変化には気づいてあげたほうがいいと思う。そんな取扱説明書(トリセツ)があったような。

 

「お肉、おかわりしてもいい? おいしい」

「いいぞ、まだまだあるからな」

「タケノコ食えよお前は。いつもいつも」

 

 狼らしく、影狼は肉を中心に食べている。

 

「ありがとう。お兄さん優しいね」

「そう、お兄さんは優しいの。でも貴女のお兄さんじゃないから、そう呼んじゃダメ。私のお兄さん」

「あれ、妹さんだった?」

「違う」

「だよね」

「なんだ今のやり取り」

 

 妹紅が突っ込んだ。名前的にはこちらのほうが妹らしい。

 

 フランやらこいしやらぬえやらの子どもにも呼び捨てされている身としては、どう呼ばれるかはあまり気にしてない。むかし美鈴に師父と呼ばれて、それはやめろと言ったことはあるけれど。

 とりあえず影狼からは真さんと呼ばれることになった。

 

「影狼、気をつけろよ。この男、動物妖怪相手ならすぐ触ってくるから」

 

 妹紅が人聞きの悪いことを言っている。失礼な、さすがに会ったばかりの相手にそこまでの失礼は働かない。そう言いたかったが、椛と文との初邂逅後、その失礼を働いたことを思い出して、俺は黙った。もう数百年も前のことだというのに、未だに忘れることのできない黒歴史だ。

 

「もこたんたちは、これ食べた後はどうするの? また永遠亭?」

「いつもいつも私が永遠亭に行ってると思うなよ」

「だって、大抵会うのはそこへ行く途中か帰り道だもの」

「……まあ、道案内の仕事もしてるからな。行く回数もそりゃ増える」

 

 輝夜は少々出不精(でぶしょう)なところがあるためか、遊ぶときは妹紅のほうから出向いているようだ。二人の仲が良好でなにより。

 それに輝夜や慧音以外にも、影狼という友達がいるようで安心した。実は友達作りが下手な妹紅をこっそり心配していた俺である。旅の間、そういうことを教えてなかったので、人見知りになるのも仕方ない。

 

「だいたい今日は、真だけならともかく紫苑もいるからな。紫苑が永遠亭に行っても退屈なだけだろ」

「そうかな。輝夜と妹紅の勝負を見るだけでも俺は十分楽しいが」

「楽しそう。私、妹紅の応援するよ」

 

 素手で持った肉を齧りつつ紫苑が言った。それを聞いて妹紅はむず痒そう。いつもアウェーで勝負している妹紅は、味方の応援に慣れていない様子。

 

「はいはい、私ももこたんの応援する。勝負の内容は何するのかな。人狼ゲーム?」

「人狼が人狼ゲームの応援すんなよ。しかも二人でやる勝負じゃないし。最近やってるのは双六(すごろく)系かな。バックギャモンとか」

「知ってる。賽子(サイコロ)振って進めるやつだ」

「そうそう。運も絡むから、貧乏神に応援されたら逆に負けそうだな」

 

 紫苑が頬を膨らませる。つついてみると空気が漏れた。もー、と怒られた。

 

「今はお兄さんに憑いてるから平気だもん」

「悪い悪い。でもやっぱり、憑いた相手を不幸にさせる力はあるわけだ」

「そうだよ。お兄さん、私お小遣いがほしいのねん」

「いやお前が自発的に不幸にさせてくるんかい」

 

 思わず流れるように突っ込んでしまった。紫苑はナチュラルに変なことを言ってくるのでいけない。影狼が手を叩いて笑っている。

 

「じゃあ輝夜に紫苑を取り憑かせたら、向こうが勝手に負けてくれるわけか……」

「そういうこと。私の妹もたまに、それを利用して悪いことしてる」

 

 どんな妹だ。妹を名前に含む輩は悪いことばかり思いつく。

 

「よし、紫苑! 食い終わったら永遠亭に行くぞ! 輝夜に憑いて不運にしてやろう」

「クイーンボンビー! 金持ちに運などいらぬのだ!」

「双六で大差をつけて勝ってやるか」

「サイコロ十個振ってやる!」

 

 腹が満たされた影響か紫苑が元気だ。

 それはズルだろ、と俺の心の呟きはさておいて、結局永遠亭に行くことになったらしい。

 

 ごちそうさまと両手を合わせた後に火の始末。余った食材たちは木の葉に変化させて懐へ。見ていた影狼が感心した様子で声をかけてきた。

 

「すごいね」

「照れる」

 

 そう返した。

 影狼は愉快そう。同じ狼でも、椛たち白狼天狗とは性格が随分違うようで、不思議に思った。ただ、尻尾が左右に振れる様子は同じで、目が行ってしまう。

 

「そろそろ行くか。影狼はどうする? 私たちについてくるか?」

「お肉が食べられるなら行こうかな」

 

 後ろで紫苑が、影狼はくいしんぼうだねと言った。食べ物に釣られてついてくるなんてとも。

 

「お前が言うな」

 

 俺と妹紅、二人で同時にそう答えた。

 

 


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