神様死すべし慈悲はない   作:トメィト
<< 前の話 次の話 >>

92 / 94
久しぶりに書いた結果仁慈のキャラが行方不明になった気がする……。

それはともかく唐突に始まったif編。
せっかく終わったんだから蛇足だろ、とか……むしろ過去編も蛇足だったのにまだ続けるのかとか色々あるかもしれませんが書きました。
第一回目はまさかのラケル先生である。しかし、イチャイチャは控えめ。というか私がイチャイチャ駆けないの忘れてた。

そんな感じですが、どうぞ。


IF END  ~もし、○○と一緒になったなら~ 編
ラケル・クラウディウス






 「……………て……」

 
 どこか遠いところから声が聞こえてくる。常日頃から耳にしているような、自分の頭に馴染んでいる声だった。その声のおかげというか所為と言うべきか、少しだけ意識が浮上したが、連日連夜の出勤で休憩を欲している我が体には無意味なようで引き上げられた意識はより一層深いところに潜って行ってしまう。

 「………き……て……」

 しかし、俺を呼ぶ声は未だ諦めていないらしく身体を揺するというオプションまでつけてまだまだ声をかけてくる。

 「………きて……く……ぃ……」

 いい加減しつこいな。
 意地でも起きないという意思が俺の身体を無意識に動かしたらしく、身体を揺らしてその手から逃れ、掛布団を深くかぶり完全に身体を覆う。外からの音を遮断した状態になる。これは静かに寝るときと冬場に重宝するスタイルである。それと同時に絶対に起きないという意思を伝えることもできるすぐれものだ。
 だが、相手はなおも諦めないらしい。俺が装備したアーマー(布団)を剥ぎ取り、耳元で小さい声で囁いた。

 「早く起きてください。そうしないと、解体してしまいますよ」

 艶やかな声で囁かれた声は、それと比べ物にならないくらいの内容。ここで聞いたことある声が誰のものか完全に把握し、急いで寝ていた身体を叩き起こした。背中の方では声の主である女性がその細腕をこちらの首に伸ばしている気配を感じ、上半身を起こし身体を反転させる。
 そこには俺が思い浮かべた声の主の姿があった。
 
 喪服のような全身黒い服に身を包み、車椅子に乗っている。腰のあたりまで伸びる美しい金髪は見る者を魅了し、顔を隠すようになっている黒のヴェールはミステリアスな雰囲気を醸し出し、まさに年齢不詳の美女という感じだ。

 ―――ここまで言えばわかるだろう。俺を起こしにきた女性が誰なのか。

 「早く起きてください仁慈。新しいアラガミの調査に行くのでしょう?」

 「デートプランが新種アラガミの捕獲とかどうかと思うんですけど?」

 彼女の名前はラケル・クラウディウス。
 俺達が元々所属していたフェンリル局地化技術開発局ブラッドの創設者であり、ここ最近起きた騒動の元々の元凶である人物だ。そして、ついでに俺の彼女でもある。

 「私たちにはちょうどいいでしょう?」

 そういってラケルは相変わらず胡散臭い笑顔を浮かべた。


 ――――――――――――――


 元々、俺は彼女のことが苦手だった。だってどう考えてもラスボスなんだもの。この風貌であの言葉遣い、そしてなんといっても研究者にも似たような立場の人間……どう考えてもラスボスである。
 と、そんな感じだったのだが。色々解決していくうちに思っていた人物像とは違うことが分かり……というより違う人物像になったため、また何やかんやあって平和をとりもどすことに成功したのである。まぁ、詳しいことは本編をどうぞ。

 それはともかく、その後は特に何もなく過ごしていたはずなのだが……ある時、ラケルに呼び出され、のこのことその場所に向かい………喰われた。

 当然言葉のとおり物理的に喰われたわけではない。性的にである。
 車いすはどうやら姉のレア博士に自身のことを気づかれないためのカモフラージュだったらしく普通に二足歩行でやって来たのだ。本人曰く「私くらいなら十年あれば脊髄回復なんて容易いですよ」ということらしい。思わず納得してしまった。
 で、そんなこともあり、なんだかんだで責任を取って付き合うこととなった。そうしてことあるごとに解剖されそうになること数百回。何とか今日まで生きてきたのである。
 ……この感想、彼女に使うようなものじゃないよな。いや、成り立ちから言って普通の恋人関係ということじゃないから比較しても意味ないんだけど。


 そんなことを思いつつ、今日の研究対象であるアラガミのところにやって来たのであった。

 「で、今回はどいつ?」

 「最近出現した新種のアラガミ、オロチ……の変異種です。通常なら金色の毛並みが赤毛になっていることから、紅蓮のオロチと個体名が付いています」

 「絶対強い奴やんけ」

 ラケルの言葉を聞いて改めて俺の視線の先に見える紅いオロチを観察する。外見は完全に色違いって感じなんだけど……この世界、色が変わるだけでもだいぶ違うので油断ならない。とりあえず、作戦は命を大事にということで。

 「まぁ、行ってくる」

 「はい行ってらっしゃい。ここで死んだら私のおもちゃ確定ですので、頑張ってくださいね」

 「もっとマシな応援の仕方はないのだろうか……」

 ある意味ではこれ以上ないくらいの激励だけどさ。死んだあとの死体をこいつにいじくられるとか死んでもごめんだからさ。


―――――――――――――


 「…………」

 カット。
 紅蓮のオロチのと戦いは熾烈を極めた。それはもうマジで極めた。
 相手の攻撃が一撃必殺なのはいつもと変わらない仕様なので別にいいのだが、攻撃範囲がめっさ広い。クロムガウェインみたいに口から剣の形をした炎を出してブンブン振り回してきた時なんて死を覚悟したね。
 というか、カス当たりでも一撃貰って左腕がお釈迦になったし。いくら俺の身体が半分アラガミだとしても、ここまで焼き切れていると再生まではかなり時間がかかりそうだった。完全にスパンと切れたわけではないけれどね。結構深かったからね。仕方ないね。

 まぁ、怪我をすることはどうでもいいんだ。固有名持ちの新種アラガミと戦う時は大体怪我して帰ってくるものだから。問題は、

 「…………………」

 ラケルが帰って来てから一度も言葉を発しないことである。いつもであれば、あのうさん臭い笑みと脳を蕩けさせる様な声で解剖したい、解体したい、合体したいと欲求を獣のごとくぶつけてくるのだがどういうわけかとてもおとなしい。
 正直、こっちは気が気じゃない。嵐の前の静けさなのだろうかと思わず身構えてしまう。

 
 結局お互い無言のままラケルの研究所に到着した。俺は彼女を送り届け、紅蓮のオロチでの疲れを癒そうと部屋に戻ろうとした時、体が硬直してしまった。
 思わず後ろを振り返ると俺の服の裾をちょこんと摘まんだラケルが居た。その姿は病弱そうな外見に非常にマッチしており、思わず庇護欲を掻き立てられてしまうものだった。しかし、今もなお部屋に戻ろうとしている俺からすれば、男を指二本だけでその場にとどめているということになり、やはり普通ではないのだと改めて認識することになった。
 
 そんな俺の思考なんて知らないだろうラケルは、本当にいつもとは違うしおらしい態度で口を開いた。

 「……部屋に寄っていってください」

 「……了解」

 無視をした場合後々の報復が恐ろしいことになるので、素直に部屋の中に入る。ラケルは俺が部屋の中に入ったことを確認すると研究室の扉を閉めて鍵をかける。そして、車いすから立ち上がると俺に思いっきり抱き着いてきた。どういうことなの。

 「………どゆこと」

 「すみません。調子に乗りました」

 俺の質問にそう答えるラケル。
 全く話の全貌が見えてこないので俺は詳しい説明を彼女に要求した。

 曰く、いつもいつも自分の無理難題に答えてくれることがうれしくてついついエスカレートしてしまい、紅蓮のオロチという不確定な強さを持つアラガミに一人で突っ込ませてケガさせたことを後悔しているらしい。初めての同類、初めて自分が心の底から寄りかかることができる人だから自重を忘れてしまったのだと。
 要するに加減が分からなかったということなのだろう。彼女の生い立ちを聞いた限りだととても他人に甘えられるようなもんじゃなかっただろうし。

 「無茶振りはいつものことだから別に気にしなくてもいい。怪我なんて尚更だ」

 人間の適応能力をなめてはいけない(確信)
 無茶振りも怪我の痛みも慣れてしまえばどうということはないという若干ながら危ない思考を持ちつつラケルの頭を軽くなでる。
 すると彼女は胡散臭い笑みを引っ込めて、まるで幼い少女のような柔らかい笑みを浮かべてより一層俺の身体に顔を埋めてきた。

 「………フフッ」

 「………」

 ぎ、ギャップがひどいことになってて素直にかわいいと思えない自分が居る……!けれど、安心しきっているこの表情を曇らせるわけにはいかず、何とか頭を撫で続けるのだった。
















 






 











 「フフッ、相変わらずあなたは甘いですね」














 











 このあと、無茶苦茶襲われた。

 

 






樫原仁慈

唐突にラケルに襲われた被害者兼被験者兼恋人。
付き合い始めは完全に逆レなのだが、それでもと責任を感じて一緒になることを決める。
解剖されそうになることも慣れ始め、無意識に警戒することはなくなってきたが、イチャイチャまでの道のりは遠い。
ついでにナナをはじめとする人たちの襲撃から平穏も遠い。

ラケル・クラウディウス

言わずもがな俺たちのラスボス。
色々あって仁慈を手に入れようと強硬手段を取った。具体的には逆r(ry
今まで甘えられなかった分、抑え込んでいた自分の欲求を仁慈にぶつけているため、仁慈が大変なことになってしまっている。
今回は反省して、普通に甘えることを覚えた。しかしそれを行うタイミングは全く考えていないので、うっかり人前でそれをすることもあるらしい。負担は仁慈もち。