神様死すべし慈悲はない   作:トメィト
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というわけで、ノヴァ戦決着です。
後は後日談を二話ほど上げて過去編完結になると思います。

タイトルが適当?
思い浮かばなかったんだ……非力な私を許してくれ……。


決着!終末捕食VS世紀末!





リンドウの参戦……それは、第一部隊をはじめとする極東勢にとって、これ以上ないほどの応援だった。特に、サクヤは自らが最も想っている最愛の人が生きていたことをきき、今までにないくらい絶好調だった。早撃なんてこれまでの比じゃないくらいの速度で撃っていて、残像が見えるくらいだ。連射が持ち味と言ってもいいコウタのアサルトの速度すら超えている。人海戦術をとって、大量の触手を展開しているノヴァが全く先に進めていない状態となっている。

「サクヤさんが覚醒した……。なんだあの発射速度……」

「サクヤ、はりきってるなー」

「最終決戦の時にする表情じゃないですよね。見てくださいよ、ものすごい緩みようです。あれはお茶の間で放送できない顔ですよ」

 「………お前も人のことは言えんだろ。ついさっきまでの自分の姿を思い出してみろ」

 サクヤがここ数か月全く吸収できていなかったリンドニウムを満タンまで吸収したことによる脅威の射撃技能で自分たちの役目がなくなった四人はサクヤの様子を見ながらそんなことをこぼす。
 しかも、サクヤの近くには復活したリンドウが居座っており、サクヤを攻撃しようとする触手は彼の持つ二つの神機によって瞬く間に切り裂かれてサクヤの近くにすら行くことができない状況になっていた。もちろん、自分に向かってくる触手を始末するのも忘れない。アラガミ化した右手の影響か、失踪前よりも身体能力が上がっているリンドウはまさに天下無双の強さを誇っていた。
 また、彼らのテリトリーにかぶらない程度の場所には、サカキとヨハネスのコンビだ。彼らは今までに連れ添っていた仲のため、完成度の高いコンビネーションを誇っていた。こちらもお互いがお互いの隙を埋めるように触手に対して広範囲の攻撃をぶつけて牽制している。自身の才能を遺憾なく発揮している二人と先ほど挙げた夫婦(暫定)コンビのおかげで仕事がなくなったソーマ、コウタ、アリサ、シオはお互いに顔を見合わせると先行してノヴァの本体へと駆けていった仁慈とユウの援護に向かうため彼らと同じ道を走っていった。

 一方、彼らにフォローをもらいながら先行した仁慈とユウは自分たちに向かってくる触手を逆に自分たちが進む道としてノヴァの本体を目指していた。このまま行けば、難なくノヴァの本体につくこととなるのだが、そんなことを相手が許すわけがない。

 彼らが本体に近づくにつれて、ノヴァも仁慈とユウに対する攻撃の手を一層強める。触手の数をさらに増やし、彼らが道にしている触手を攻撃する、揺らす。先ほどと同じように自分から新たなアラガミを作り出して向かわせるといったありとあらゆる手段をとった。

 「ノヴァも必至だね。ここまで濃いものを用意してくるとは」

 「そうですね。……二手に分かれますか。俺は右に行くんで、ユウさんは左の方をお願いします」

 「了解」

 短くするべきことを定め、その直後、二人は真逆の方向に跳躍する。右側にとんだ仁慈は先ほど、エイジスに来る直前までやっていた疑似空中戦の経験から、宙に浮いているアラガミを攻撃しつつ踏み台とすることで、空中を陣取っているアラガミを片っ端から撃墜している。もちろん、触手の処理も忘れることはない。まさに極東最凶のキチガイだけのことはある。だが、ユウも負けてはいない。リンドウやソーマ、仁慈のようにアラガミが混ざっているわけでもないユウは、常識はずれのスピードで触手上を駆け抜けることで、触手に張り付き尚且つ空中に浮いているアラガミを自分に引き寄せた。そして、ある程度アラガミが集まったところで体を反転させて今まで引き寄せてきたアラガミと向き直る。そして、神機を半身に隠すように構えると、まるで居合切りのように瞬間的に神機を振り切った。常識外れな速度で移動していたユウを追いかけるために速度を出していたアラガミたちは急に止まることができず、ユウの手によって細切れにされていった。
 
 だが、向かうところ敵なし、無双の強さを誇る彼ら二人でも、四方八方自分のことを狙うアラガミと触手に不安定な足場で戦うのは少々分が悪かった。これがもし、アラガミだけであるならば彼らもこのまま殲滅させていただろう。
 しかし、今回の場合は話が違った。ここは言わば敵の拠点である。四方八方あるものすべてが彼らの敵といっても過言ではない。そんな状況のなか、ほぼ無限にわき続けるアラガミを足場の悪い状況で相手にするのは難しかった。

 やがて、小さな隙から戦いの均衡は崩れ始め、その触手とアラガミたちが仁慈とユウを殺そうと迫りくる。それは狙われている本人も分かっていたものの対応ができないとできるだけ被害を最小限にとどめようと動き出す。
 唐突だが、ここで忘れてはならないのは先ほど暇になった四人の存在だ。ここまでわかりやすいピンチをただいま絶賛フリー状態の彼らが見逃すだろうか。……答えは否である。

 「ある意味、終末捕食よりも珍しいユウのピンチ!」

 「助太刀するぞー!」

 ユウの方にはアサルトを構えてどこか興奮した様子のコウタと、いつも通り天真爛漫な笑顔を浮かべたシオが助けに入り、

 「………お前でも、ピンチになったりするんだな。意外だ」

 「仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ仁慈さんのピンチ………死すべし!」

 もはやお前は誰だと思いたくなるような怨念を背負ってアラガミを駆逐しにかかるアリサとその彼女から必死に目を背けつつ仁慈に語り掛けるソーマが仁慈の方に助けに入った。
 
 彼らは仁慈やユウが真っ直ぐノヴァの方に向かえるように、仁慈やユウを襲うアラガミや触手の対処を行った。
 
 「いっやっふー!おいしいぞーおいしいぞー!」

 「ちょ、シオ!もう少し抑え気味で頼む!おい!聞いて!!」

 シオは人間と同じく思考能力を持ち、その姿こそ人型であるが正体はアラガミと何ら変わりない。人間にはない高い身体能力と自身の体から分離した神機を存分に利用し、神機を捕食形態にしたままアラガミからアラガミの間、アラガミから触手の間と縦横無尽に駆け回る。コウタはそんな彼女の片手に捕まり、無邪気に飛び回るシオの隙をアサルトで埋めていた。しかし、あまりにも自由に飛び回るものだからたまらずコウタは自重せよとの声をかけている。最もその状況に置かれてもなお、シオのフォローを的確にこなすあたりさすがは極東の環境化を旧型の神機で生き抜いてきただけはある。

 仁慈の助けに入ったアリサとソーマの方も同様だ。仁慈をつけ狙っていたアラガミや触手の相手を一心に引き受けていた。
 が、その状況はコウタ・シオペアとは一線を画する。愛が歪んで突き抜けたアリサが狂戦士のごとく暴れまわり、普通の神機使いとは比べ物にならないくらいの身体能力を持ったソーマが一生懸命彼女のフォローに回っている。というか、若干それでも追いついていない。

 「くっ!最近アリサのほうがよっぽど化け物なんじゃないかと思い始めたぞ……ッ!」

 彼女のなりふり構わない暴れっぷりを、アラガミと触手への強襲を繰り返しながらソーマが嘆く。
 そんな彼らの行動で生まれた隙を無駄にすることなく仁慈とユウはノヴァに向かう。このままではらちが明かないと考えた。二人はもはや小細工なしで正面から突っ込むことに決めた。何かしら困ったらとりあえず正面突破。古事記にもそう書いてある。

 ユウは仁慈の腕に捕まり、仁慈はユウを捕まえたまま一気に跳躍。ノヴァの女性体の額にある部分にまで接近した。そこで仁慈はユウの手を放すと二人そろって神機を捕食形態にさせ、捕食を試みる。が、そこが重要な場所であるということの証明なのか捕食形態の神機をはじき返した。唖然とする二人に、触手の攻撃が入る。致命傷は避けたものの二人ははるか後方まで吹き飛ばされてしまった。

 「なんだあれ堅っ!?」

 「でも、それに伴いあれは重要な部分であるという可能性が高い。次はこじ開けよう」

 「なら、ちょいとばかり俺も混ぜてくれよ」

 吹き飛ばされながら作戦会議を始める仁慈とユウ(キチガイ二人)。そんな彼らを受け止めながら会話に乱入してくる男がいた。――――そう、このたび緊急参戦したリンドウである。
 彼は失踪前と変わらないとっつきやすい笑みを浮かべながら自分も連れて行けと話しかける。

 「り、リンドウさん」

 「サクヤさんはいいんですか?」

 「ん?あぁ、大丈夫だ。サクヤは今までにないくらい絶好調らしいからな。ちょっと見てみるか?背中に目でもついてんのかってくらい正確な射撃を四方八方にばらまいてるぜ」

 「いえ、なんとなく想像ができるのでいいです」

 仁慈は先ほどちらりと見えたアリサの様子を見て顔を青くしながらリンドウの申し出を断った。

 「で、俺は仲間に入れてくれるのか?」

 「お願いします」

 「おう、お願いされた。……さて、今さらながら先輩の威厳を示すとするかね」

 どこまでも軽く、深刻さを思わせない口調でリンドウは言葉を紡ぐ。そんな彼の様子に無意識化で表情を緩めていた二人は彼に期待していますとだけ言って、再びノヴァの女性体に向かう。

 ――――――――この時を持って、極東最強のキチガイトライデントが誕生した。……地球は思わず声にならない悲鳴を上げたというが、定かではない。





――――――――――――――――――





 「いやー!二人とも本当に強くなった……なッ!」

 「神機の二刀流なんてことやらかすリンドウさんにだけは言われたくないですわ」

 「とか言いつつ、ユウさんもできそうな気がするのは俺だけでしょうか」


 まるでエントランスでだべっているかの如く、軽快な会話を行う三人。言葉だけなら非常に和む状況なのだが、視覚情報が加わるとその印象は一変する。なぜなら誰もかれもが自分の身長よりも大きな武器を振り回して道をこじ開けているからだ。アラガミの血やら触手から出た緑色の液体やらを周囲にまき散らしつつ、彼らは再び女性像に向けて跳躍した。今度はリンドウが、額をこじ開ける役目である。

 「うぉぉおおおおおお!!開けぇぇぇえええええ!!!」

 右手に持っている、侵食された腕と同じような神機を突き立てて、少しの亀裂を入れる。そのすぐあと、左手に持っている本来の神機も同じように突き立てて、亀裂をさらに押し広げた。

 「今だ!」

 人が入れるくらいの大きさに穴をあけたリンドウは、すぐさまノヴァの女性像から離れる。そんな彼と入れ違いになるように二人はリンドウが空けた穴の中から内部へと侵入する。

 侵入した先には大きな空間がただぽつんとあるだけだった。唯一つを除いて何もないがらんどう。そんな中に唯一あることが許されているものがあった。アラガミには必ずこれがあり、彼らの心臓といっても過言ではないもの……ノヴァのコア、すなわち特異点だ。



 仁慈とユウは特異点の存在を認識した瞬間、神機を振りかぶる。

 

 「まだまだ、人類は頑張っていきますので――――」

 

 「――――終末捕食はおかえりくださいませぇぇぇ!!」

 

―――――――――本当にその叫び声でいいのかと思える言葉を口にしながら同時に、駆けだす。そして、寸分違うことなく特異点を切り裂いた。
 












リンドウ「キー〇レード!」
ユウ「……ハハッ!(甲高い声)」
仁慈「やめろォ!」

自分で二刀流リンドウ出した時にふと思い立ったことです。キー〇レード。