神様死すべし慈悲はない   作:トメィト
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はっはっは!これもうわけわかんねぇな。


オールスター










 ノヴァがついに動きはじめ、今までエイジスの天井を覆っていた木の幹のような部分が俺たちに振り下ろされる。傍から見ても巨大なそれは質量から考えて強大な破壊力を持っていることは想像に難くない。動き出した俺たちはその超巨大な部分をギリギリで回避しながらノヴァの本体――――女性像の場所まで駆け抜ける。

 「みんな、油断するなよ」

 「言われるまでもねぇよ、ソーマ」

 俺とユウさんの背後から追いついてきたソーマとコウタが両サイドより迫りくる触手を斬りつけ、撃ち抜きながら言う。その言葉に俺とユウさんは首を僅かに上下させることで返事をした。

 ノヴァとはそれだけで世界を滅ぼす厄災。顕現した時点でそれは破滅を約束する現象だ。そんなものに油断なんてした日にはあっという間にのみこれまれ、速攻でゲームオーバーである。

 「それにしても、特異点をあれから抜き出すなんてちょっとムリゲーしすぎやしませんか?」

 「確かにそうね。だって、あのノヴァ浮いてるし」

 「そこら辺は俺かユウさんにお任せしていただければなんとかしますよ?」

 「そうだね。断言しようサクヤさん。何とかします」

 「……なるほど、これが実家のような安心感というやつですか」

 「シオのこと忘れてないか?」

 俺とユウさんに一任するという結論が出たところで普通に神機を出現させたシオが会話に割り込んできた。

 「シオ!どうしてここに!?まさか自力で移動を!?」

 「ソーマはちょっと黙ってようねー」

 ソーマのキャラ崩壊が異常なことになっている件について、思うことがないわけでもないが、とりあえずコウタに抑えを頼んでシオの話を聞く態勢に入る。ちなみに、ほかの人は露払いをしてくれているため安心して会話に集中できるのだ。

 「で、シオ。どうしたんだ?」

 「特異点の場所を教えておこうかと思って」

 「超助かるわ」

 さすがシオ。さっきまで特異点をやっていただけのことはあり、ノヴァの情報がこちらまで筒井抜けだぜ。冗談抜きでマジ助かる。こういう情報がなければ正直やってられないし。

 「特異点は、さっきまでシオが貼り付けにされてた所……つまり、あの顔のおでこにある場所に、ある」

 「……あそこか」

 そうして、俺は自身の視線を先ほどまでシオの体が張り付いていたところに向ける。変に入り組んだところじゃなくてよかったと思う反面、絶対に守りが硬いんだろうなと確信にもにた予感があった。
 弱点をさらしているということは、守る必要がないか絶対にやられないという自信があるかのどちらかだ。終末捕食は基本的に防がれることはないので、前者の可能性も否定できない。しかし、サカキ博士とヨハネス支部長の会話から、あれは地球の意思が関与している可能性があるといっていた。
 その可能性がある以上、前者として切って捨てるのは下策中の下策だといえる。

 「ユウさん。特異点の場所はさっきまでシオがいた場所だそうです。さっさと行って終わらせちゃいましょう」

 「了解」

 自分の体の何倍もある大きさの触手を神機で切り裂きつつ、俺の近くに来てくれた。本人は何気なく行っているのだろうが、その力量は本当にすさまじい。なにをどうやったら普通の神機使いの身体能力であのぶっとい触手を両断できるのだろうか。ジュリウスの時も思ったけど、新型でロングブレードを使うやつらは化け物か。俺?俺は別だよ。半分くらいアラガミと同じ感じだし、ぶっちゃけある程度の技能があれば後は力でごり押しできる。できる限りそうしないようにはしているけどね。

 「なら、俺は道を開くか」

 「シオも!」

 「バックアップは任せてよ!」

 「そうね。今までいいところなかったけど、先輩の意地を見せようかしら」

 「えぇ、えぇ。私にお任せください。仁慈さん。あなたの道を拒む下劣なものは一切私が排除しましょう」

 約一名とても恐ろしいものがいた気がするが、今は無視。というかスルー。後々怖いが気にしない。してはいけない。
 とりあえず、やるべきことは決まった。あとなすべきことはそれを成功させるためにこの神機を振るうことのみ。

 「終末捕食だろうと、ノヴァだろうと、アラガミなら死ね!!」

 


―――――――――――――




 仁慈は一度、肩の力を抜くようにして短く息を吐くと、一気に全身に力を巡らせる。瞬間的に送られた力のおかげで、いつも以上の出力を出すことが可能なのである。爆発が起きたのではと思われるくらいの轟音をまき散らしながら、その人外に近しい身体能力で一気にトップスピードまで上り詰める。その背後には極東始まって以来の麒麟児。新人でありながら、あっという間に隊長格まで上り詰め、数多くの人が恐れおののくアラガミを大も小も、堕天種も接触禁忌も関係なしに屠っていく生粋の神喰らい。

 極東どころか世界でも三本の指に入るだろう強さを誇る。その二人が今、協力してノヴァに向かって行っている……もし、アラガミに知能があったのならば思わず卒倒し、本能から勝てないと悟って逃げ出すだろう。だが、相手はノヴァ。そのような機能は持ち合わせておらず、あるのは世界の環境をリセットさせることのみ。ノヴァはプログラミングされたように、自分に仇名す不届き物を排除するために触手をぶつける。しかし、それは先ほどまでのものとはまるで違うものだった。
 触手は彼らに向かう途中にその形を変えて、いくつにも分岐してユウと仁慈に襲い掛かる。逃げ場をなくし、飽和攻撃で彼らをしとめることにしたのだ。実に合理的な攻撃だ。

 その、この状況において確実に致命傷となるであろう攻撃に対して、仁慈とユウは特に行動を起こすことはなかった。いや、むしろ先ほどよりも進むペースを上げている。……一見すればそれは自分からやられに行ったと見えるだろう。普通ならば絶望するこの状況において、やけを起こし、死に走ったのだと。

 が、極東が世界に誇る二大キチガイがそんなことで自ら命を絶ちに行くわけがない。彼らが信じているがゆえに、そのスピードを上げたのだ。その証拠に、彼らを狙っていた触手が、彼らに触れる前に、紫色の光弾に当たりことごとく霧散する。

 『圧倒的な力……!』

 「仁慈君、ユウ君。ここは私たちに任せたまえ!」

 「ちょ、ペイラー……!勝手に男神の方の制御権奪うんじゃない!」

 「ハハハハ!いいじゃないか。君だって一人で二つを完全に操るのは難しいだろう?」

 「……致し方あるまい」

 「子どもか!?」

 かっこよく助けに入ってきたにも関わらず、こどものようなやり取りを行うサカキとヨハネス。仁慈は全力でツッコミを入れつつ、再び周囲を包囲される前に前へと進む。
 ノヴァも、触手だけでは彼らを止められないと思ったらしい、時間稼ぎとして触手と自分の中から余った偏食因子とコアを再錬成し、複数のアラガミ生み出して襲わせる。ノヴァの目的は自身が終末捕食を起こすまで、彼らを近づかせないこと。触手とアラガミの人海戦術はとても有効的な攻撃だった。

 だが、仁慈たちの側にも、一騎当千の神機使いたちがいる。仁慈とユウの背後からソーマとシオが飛び出し、二人に襲い来るアラガミを一太刀のもとに叩き切る。さらにその背後から、コウタとサクヤの凶弾が第二陣としてこちらに向かっていたアラガミたちのコアを見事に撃ち抜いた。そして、第三陣は……

 「■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ――――――!!吼え立てよ、我〇憤怒!(ラ・グロンドメ〇ト・デュ・ヘイン)

 「アリサ!それ以上はいけない!」

 完全に黒化(オルタ化)したアリサに再び仁慈はツッコミを入れる。いろいろなものを犠牲にして放たれたその攻撃は、まさにどこかの誰かが思い描いた憤怒の顕現。アリサは、銃形態にしている神機から炎のバレットをまき散らしてアラガミと触手をまとめて焼き払うと間髪入れずに通常状態に戻す。アリサが今まで行ってきた努力が一瞬の形態変化を可能にした。そうして、形態変化をさせた神機を燃えたアラガミと触手に突き立て、完全にとどめを刺す。

 あまりのエグさに仁慈は未来でソーマが見せたブラッドアーツを思い浮かべた。


 さて、そんなことがありつつも、彼らはノヴァの目の前まで来た。自身を襲い来る触手を二人して足場として、一気にノヴァの眉間にある部分へ行く。


 ノヴァに王手がかかった瞬間、わずかな油断がピンチを招くことになる。


 みんなのフォローに回っていたサクヤの背後から触手が迫り来ていたのだ。この場面において、サクヤに自分のことを気にしている余裕なんてなかったのだ。なぜならエイジスはノヴァの腹の中といっても過言ではなかったからである。
 皆のフォローに回っていたサクヤが少し、ノヴァから離れた自分攻撃……しかも背後からのものが来るとは思ってもいなかったのだろう。

 気づいた時にはもう遅い、サクヤがハッと振り返ったときには既に触手は彼女の目の前まで来ていた。

 「……あぁ、リンドウ。私も、今そっちへ行くわ」

 死を覚悟したサクヤは脳裏に愛しい男のことを思い浮かべながら目を閉じた。ソーマとシオは間に合わない。サカキとヨハネスは攻撃範囲が広い攻撃が多すぎるため、サクヤを巻き添えにしかねない。コウタは地面を転がって触手をさばいているため狙いを定めることができない。アリサは狂化で正確さに欠ける。

 まさに絶体絶命。

 サクヤだけでなく、ほかの人たちもこの後の光景を思い浮かべて、一気に青ざめる。









―――――――――――だがそんな時、サクヤの耳に聞き覚えのある声が響く。










 「おいおい、せっかく会いに来たのにどこに行くっていうんだよ、サクヤ。俺まだ配給ビールもらってないんだぜ?」

 「……え?」






―――――――――その声はサクヤが一番聞きたかったもので






 「往々、なんとなく来てみたけど、すげぇことになってんな。来てよかったわ」

 「あ、あぁ……あぁぁ……」





―――――――――一番会いたかった人のものだった。







 その風貌は、この数か月で伸びきった髪の毛を風に遊ばせ、腕輪をなくしてアラガミにに侵食された腕は黒く染まっていて、チェーンがまかれている。
 髪と同じく全く手入れができなかった服はぼろぼろで、もはや服の意味をなしていなかった。
 そして、右手には侵食された腕と同じ色の神機のようなものが握られており、人間の腕をしている左手には、彼の代名詞たる神機が握られている。
 



 一見すれば放浪者のような格好のその男。しかし、第一部隊の人間はその人物が誰なのか、はっきりとわかっていた。



 元、第一部隊の隊長。
 様々な任務を一人でこなし、ソーマですらかなわなかった極東の神機使い最強の一角。
 今では頭がおかしいと、極東最強だと言われるユウの師匠。その名は――――――





 






 「ま、後輩にばっかり良いかっこさせられないでしょ。だから、俺も混ぜてくれよ」

 「……リンドウ……!」











 ――――――――雨宮リンドウ、参戦。







 

 


 

 



まるでスマ〇ラのようだ。

何はともあれ、まさかのリンドウさん参戦。
侵食?シオのチェーンと気合で何とかしましたが?そして、その後、アーク計画でごたごたしている極東支部に侵入してレンくんをかっぱらってきました。

その後、レン君のゆゆじょうパワーで片腕の侵食を停止させ参戦しに来ました。

さすがリンドウさんだぜ!


……うん。好き勝手やりまくり、そしてこのご都合主義……ほんとごめんなさい。