神様死すべし慈悲はない   作:トメィト
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今回はとっても短いです。
はじめに謝っておきます。ごめんなさい。


名付け




 「沈め……!」


 「これで……終わりッ!」


 「はいさようならー」


 三者三様の言葉と共に、自分が相対しているアラガミに止めをさす。今回はなかなか珍しいメンツでの任務であった。ソーマさん、ユウさん、俺の三人である。
 何でも、特異点の少女用の食事であるアラガミのコアが必要だということで、普通の任務に偽装してアラガミのコアを集めているのである。俺たちは比較的強いアラガミのコアを回収する組だ。
 相手にするのは主に堕天種や接触禁忌アラガミ達だ。ここ最近、ヨハネス支部長が作ったノヴァに惹かれてかそういった連中が増えているのでそれの掃討もかねていると思うけど。


 今俺達が倒したのは、プリティヴィー・マータ、セクメト、ゼウスの第二接触禁忌アラガミ三人集だ。
 流石に突き抜ける前のソーマさんではきついかと思われたそのメンツは普通に余裕で驚いたことは記憶に新しい。
 ユウさんが初見のはずのセクメトをボコボコにするのはまぁ何時も通りなのでまったく驚くことなかったが、ソーマさんまで初見のはずのゼウスをボッコボコにしてた。本人曰く、俺との話で多少吹っ切れたらしい。ついでに大事なねじも飛んで言ってしまったと見える。
 お前のおかげだといってくれるソーマさんには悪いのだけど、俺には何処かでまたお前の所為かという幻聴が聞こえてしまったよ。


 何はともあれ、俺たちはこうして特異点の少女の高級料理を手に入れたわけだ。


 「ふぅ、終わった終わった……」


 「初見だけど、割と何とかなったね」


 「(こいつら見てると、死神とかいわれて気にしていた自分が馬鹿みたいだ……)」


 「どうかしたんですか?ソーマさん?」


 「いや、なんでもない」


 なにやら元気がないソーマさんに話しかけてみると溜息と共にそんな答えをいただいた。解せぬ。
 

 「それにしても、今日だけで結構なやつを相手したよね」


 「ボルグ・カムラン堕天種(荷電)クアトリガとその堕天種。シユウの堕天種にその系統で接触禁忌アラガミのセクメト、同じく接触禁忌アラガミのプリティヴィー・マータとゼウスか………そこらの支部なら全滅は免れない相手だな」


 「要するに、極東の神機使いはそこらの支部にも匹敵すると……」


 「まぁ、そんな感じだな」


 「へぇ……そうだったのか……」


 ユウさんが他人事のように言ってるけど、あなたは1人で支部三個分くらいの力がありますからね?俺達の中で最も人に近い神機使いなのに最もオカシイ神機使いですからね?ホントどうなってんのこの人。マジ怖い。


 『皆さん!大型のアラガミがそちらに急速接近中です!数は五体!』


 「今日はなんか入れ食いですね」


 「俺やお前が居るからだろう。おそらくな」


 「まぁ、多いに越したことはないでしょ。あのこがどの程度食べるか分からないし。多すぎて困ることはないだろうし」


 確かに。
 ユウさんの言葉に俺は頷き、ソーマさんは鼻を鳴らす。
 ちょうど、俺達を囲むように乱入してきたアラガミたちに向かって俺は神機をブンブンと振り回しながら斬りかかった。
 俺達の食料集めはこれからだ!

 

             ―――――――――――――――――――――



 「名前……ですか?」


 「そうだよ。いつまでも名前がないんじゃか可哀想だし、何かと不便だからね」


 特異点の少女用のご飯と、ついでにほかを欺くためのコアを回収してから三日後、サカキ博士はそのようなことを言った。確かに、俺も心中とは言え、いつまでも特異点の少女じゃ呼び難いし。それには賛成である。
 第一部隊のメンバー達も肯定的な雰囲気を出している。


 「実はネーミングセンスには自信がなくてね。彼女の存在を知っている君達に協力を仰ごうというわけさ」


 下手な名前はつけられないな。
 信慈の記憶に刻まれたDQNネームを付けられて悲しみを背負っていた男のことを思い出す。あれはひどかった。この子はあまり多くの人と関わることはないだろうけど、だからといって適当につけるということはありえないからな。


 「フッ、俺……ネーミングセンスは結構自信があるんだよね」


 「嫌な予感しかしないんですけど……」


 自信満々のコウタさんに引き気味に答えるアリサさん。そんな彼女にお構いなくコウタさんは目を閉じてうんうんと唸り出す。しかし、それもほんの数秒だけだ。すぐにカッ!っと目を見開くと、特異点の少女に向かってその名前を口にした。


 「んーそうだな……ノラミとか!!」


 「………………」

 
 『……………』


 研究所内の空気が凍りつく。
 何時もニコニコ俺とソーマさんの近くに這い寄る特異点の少女もこれには真顔である。あの子が笑顔を消すとはそうとうな事態だぞ……コウタさん……。


 「………………どん引きです」


 「それはちょっと……」


 「なんだよー。そんな事言うなら、アリサか仁慈が言ってみろよ」


 「んー?シロとか?」


 「そのまんまだね」


 「犬、猫じゃないのよ」


 俺の意見はユウさんとサクヤさんに否定された。やはり安直過ぎたか……。
 「ねぇ?ノラミは?」と諦めずに主張を続けるコウタさんを華麗にスルーしながらみんなで考える。


 「というか、この子のことだし本人に聞いてみればいいんじゃないの?」


 ユウさんの一言でみんながハッと特異点の少女のほうを見た。
 彼女は俺や彼らといろいろ話した結果もう普通の人間と比べても劣らない知性を持っている。なら本人に決めてもらうのはいいかもしれない。


 「名前?んー……みんなが決めていいよー」


 本人はそこまで重要視していないようだ。ノラミは嫌らしいけど。特異点の少女の許可(?)も取れたので、再びみんなで考える。


 「レンっていうのはどうかしら?」


 「「それはダメだサクヤさん。なんか早い気がする。いろいろと」」


 「белый цвет(ビェールゥイ ツヴェート)というのはどうですか?ロシア語で白という意味ですけど」


 「長いし発音がきつ過ぎると思う……」


 「ノラミ」


 「コウタさんシャラップ」


 「………シオ」


 こんな感じでカオスになってきた名づけ大会に今まで一言も言葉を発さず、壁に寄りかかっていたソーマさんがポツリとそう言った。小さい声だったが、通常より強化された聴力を持つ神機使いである俺たちは当然の如く聞こえているわけで、誰もがソーマさんの方に注目した。
 ソーマさんは急に注目されたからか、フードを何時もより深く被りそっぽを向く。お手本のようなテレ仕草である。


 「シ、オ……?シオ……シオ………シオ!ソーマ、その名前気に入った!ありがとう!」


 ソーマさんが言ったシオという名前を何回か呟いた後、特異点の少女改めシオはそっぽ向いているソーマさんに近付いてお礼を言った。ソーマさんは返事をしなかったが、フード越しに見えた表情はそこまで悪いものではなかった。
 周りに居る人はその様子をニヤニヤと見ている。


 「どうやら、決まったようだね」


 「そのようです。よろしくシオ」


 「おー、仁慈!よろしくな!」


 「よろしくシオちゃん」


 「よろしくね。シオ」

 
 「よろしく、シオ」


 「みんなも!よろしく!」


 「………ねぇねぇ、やっぱりノラミの方がいいんじゃない?」
 「やだ」


 「んだよチクショー!」


 どんなけノラミを押すんだコウタさん……。
 自分のネーミングセンスのなさを認められないのかかなり無理矢理ノラミを押すコウタさん。その後彼はユウさんに「彼女はノラミではない」と腹パンを食らっていた。
 その光景でいつぞやロミオ先輩に腹パンしているときの事を思い出した。


 


 

 









最近原作をなぞるだけになってしまっている……。
これでは原作崩壊のタグに反することになるな……(仁慈とユウが起こす惨状から目を逸らしつつ)