神様死すべし慈悲はない   作:トメィト

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実はGOD EATER2のなかで一番好きだったのはラケル先生です。
しかし、彼女の心情がいまいち分からなかったので、第三者視点となっております。
そしていつもの如くキャラ崩壊注意。



第六話

「実地訓練お疲れ様でした。今回の件であなたは本格的な任務を受けることができるようになりました。おめでとうございます、私も自分のことのように嬉しいです」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

実地訓練を終えてフライアに戻った俺にフランさんが労りの言葉をかけてくる。

それがとてつもなく有難い。うちの隊長も見習ってほしいね。

……初めて会った時はあんな人じゃなかったんだけどなぁ。

 

 

「それと、ラケル博士が仁慈さんの事を呼んでいましたよ。後で研究室に来てほしいそうです」

 

 

「え゛!?」

 

 

思わず変な声が出てしまったがそんなことを気にしている場合じゃなかった。あのラケル博士が名指しで俺を呼んでいるだと?

あの人のこと苦手なんだけどなぁ…。あの、含みのある笑顔とか超怖い。美人なぶんより一層怖い。綺麗な花には棘があるっていうけどあの人の場合棘に致死量の毒と感染力が半端ない細菌とか塗ってありそう。

 

 

「それって俺だけですか?ブラッドの皆とかじゃなくて」

 

 

「はい、そうです」

 

 

oh…最後の望みは絶たれた。せめてレベル上げ位させてほしかったぜ…。

もう完全にラケル博士をラスボス扱いしている俺だが、本気で怖いんです。

 

 

「はは…は、分かりました。……行ってきます」

 

 

自分でもわかるくらいに暗い声でフランさんに別れを告げラケル博士の研究室がある三階に行くためにフライアの中にあるエレベーターに乗り込んだ。

 

 

エレベーターを降りるとなかなかにでかい扉が見えてきた。

此処こそが、我が天敵ラケル・クラウディウス博士の研究所である。

はぁ、辿り着いてしまった……。思わず気分が「がくっと さがった!」状態になってしまうものの、ここでずっと棒立ちしているわけにはいかないので、意を決して扉を叩く。

 

「ラケル博士。仁慈ですが、入ってもよろしいでしょうか?」

 

 

「どうぞ、入ってください」

 

 

失礼しますと一言入れてからラケル博士の研究室のドアを開ける。

俺が中に入ると巨大なモニターをいじっていたラケル博士が表示してあるデータや映像を消してこちらに振り向く。

思わず、向けられた視線に身震いした。

 

 

「よく来ましたね、仁慈。あなたのことはジュリウスから聞いています。よく頑張りましたね」

 

 

カラカラカラと車いすが移動する。すると当然それに乗っているラケル博士も一緒に移動してくるわけで……。

まぁ、何が言いたいのかと言うと、恐怖のあまり金縛りにあったかのように体が動かなくなってしまった。

我ながら情けないな。

 

 

「もしかしたら、貴方が『血の力』に目覚める時もそう遠くないのかもしれませんね」

 

 

ちかいちかいちかいちかい!

ラケル博士、これ以上ないくらいに近いんですけど!貴女の乗っている車いすが俺の脛にダイレクトアタックをかましているんですけど!?

 

 

内心大パニックだった俺だが何とかそれを表に出さないように一生懸命気を張る。

そのことがばれてしまったのかは定かではないが下から俺の顔を覗き込んでいるラケル博士はフフッと笑ってから口を開いた。

 

 

「貴方のこれからの成長を楽しみにしていますよ」

 

 

その直後、ラケル博士はもう用は済んだとばかりに車いすを回転させ再び巨大なモニターに何かを打ち込み始めた。

その様子を見て話しは終わったことを悟った俺は失礼しましたと言い残し、足早にラケル先生の研究室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仁慈が研究室から出て行ったあと、ラケルは仁慈がいた時よりもさらに速いスピードでモニターに向かって何かを打ち込み始める。

数十秒もしないうちにモニターには先程消した映像やデータが再びモニターに表示される。そこに表示されていたのは、主に樫原仁慈の情報であった。

 

 

「あぁ…いい、いいですよ。仁慈」

 

 

その中でラケルは彼が行った神機適合試験の様子を見つつ、その整った顔の頬に手を添える。俗にいう恍惚のヤンデレポーズである。

 

        

「やはりあなたはそうでなくてはいけません。そうでなくては貴方ではない。いったい今までどこに居たのかはわかりませんが……それはもういいでしょう。こうして何も変わらないまま私のもとに戻ってきてくれたのですから。……フフッ」

 

 

言うと、モニターの画面は切り替わり、ジュリウスが仁慈に対して行っていた1VS100の耐久マッチの映像が流れだす。

 

 

『ジュリウス隊長!後何匹残っているんですか!?』

 

 

『三十だ』

 

 

『よしっ!あともう少し!』

 

 

『しかし、このままやっては結果は見えてしまっている。だから、残りの三十匹をすべて出現させようと思う』

 

 

『正気ですかあーた!?こんなところで三十匹も出したら動けなくなるでしょう!?』

 

 

『壁際に追い詰められたという想定で行けばいいだろう。ちなみに、俺はできるぞ』

 

 

『新人とベテランを一緒にするなってんですよぉぉおぉおおおお!!!』

 

 

本当に自分の周囲いっぱいに現れたダミーアラガミを見て仁慈は殆ど悲鳴に近い叫びを上げながらヴァリアントサイズを咬刃展開状態に変化させ一振りする。

逃げ場がないくらいに密集しているため、結構な数のダミーアラガミがその形を崩していく。

 

 

神機を振り切り、咬刃展開によって変わった重心の変化により仁慈の態勢が少しだけ崩れてしまう。

それをチャンスだと思ったのか、仁慈の背後にいる一体のダミーアラガミが飛びかかる。しかし、すぐさま振り向き捕食状態で待機させられていた神機に頭を喰いちぎられた。

 

 

『はい次ぃぃぃいいいいいい!!』

 

 

こんな調子で次々と四方八方から襲い来るアラガミを薙ぎ払っている仁慈の映像を見てラケルはより一層笑みを深めるのであった。

 

 

 

 

 




うちのジュリウスさんがなんかすごくはじけている気がする

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