どうして完結した後のほうが投稿はやいんですかねぇ(困惑)。
今回はナナのことについて書いてみました。
恋愛擬きがないように含まれますがツッコミ所満載だと思います。
しかし、恋愛経験のない作者が書いたものなのでこの程度かということで見逃してください(土下座)
はっきりと彼のことが好きになったのはいつだろうか。正直、色々ありすぎて今ではまったくわからない。もしかしたらフライアで初めて会ったときかもしれないし、初の実地訓練で庇ってくれたときかもしれない。血の力がうまく使えなかったときに元気付けてくれたときかもしれない。実はそんな出来事が原因じゃなくて、普段一緒に過ごしているときに自然とそう思ったのかもしれない。
結局、いつ好きになったかは分からないけれど、それを自覚したのは仁慈が終末捕食に飲み込まれたり、その中に残って一日帰ってこなかったときだと思う。彼が居なくなると分かった瞬間に心に穴が開いたような感じがした。もう何もしたくない。何もやる気が起きない。生きる意味を見失ったかのような感覚だった。
このことが分かったとき、シエルちゃんに相談してみた。すると、まずはそれが家族に対するものか異性に対するものかを確かめようという意見をもらった。
盲点だった。
どうやら仁慈が男ということを意識しすぎていたらしい。よくよく考えてみるとジュリウス隊長やロミオ先輩、ギルももちろんシエルちゃんも好きだということに気付いた。けれど、すぐにこれは異性に対するものだということが分かった。
だって、話しているとどきどきするのも、一挙一動が気になり注意深く見てしまうのも仁慈だけだった。
そのことを自覚したらもう居ても立っても居られなかった。なるべく長く仁慈と一緒に過ごしたいと思った。だから、出来るだけ任務に付いて行ったし、新しい回復錠の開発とか道具の開発といって2人きりで素材集めにも行った。
でも、仁慈はまったく意識してくれない。
「どうしてなんでしょう?ラケル先生?」
「どうしてそのことを私に聞くのかしら……」
場所はラケル先生に与えられた研究室。昔サカキ支部長の友人が使っていたという部屋を丸々貸し与えられたらしい。
そこで、またろくでもないものを作っているラケル先生に私はどうやったら仁慈との中が進展するか相談に来ていた。
一方相談を受けたほうのラケル先生は眉間にしわを寄せてついでに指で押さえていた。
「えーっとそれは……年の功?」
「ちょっと表に出なさい」
ぱっと思いついたことを言ったら大変なことになった。ラケル先生の顔が放送できないレベルで歪んでいらっしゃった。急いで発言を撤回するとハァと溜息一つ吐いた後に何時もの人形のような綺麗なラケル先生が帰ってきていた。
「他にも聞くべき人が居たでしょう?お姉さまとか」
「レア博士ですかー。んー……本人には悪いんですけど、多分アレは見た目だけだとおもうんですよね……」
外見はすごく妖艶な美女なんだけど、初心っぽいんだよねー。この前ハルオミさんにお酒誘われてたとき、すっごくうろたえてたし。
そのことを伝えるとラケル先生はやっぱりかと言った風な顔をした。さすがに姉妹であるラケル先生は知っていたらしい。
「だったら、あの人はどうかしら?アリサさん」
「アリサさんは止めとけってコウタさんに初めから釘を刺されました」
シエルちゃんに相談し、自分の中で結論が出た後、比較的まともそうな女性であるアリサさんに話しをしようとしたんだけど何処で聞いていたのかコウタさんが真面目な顔をして「あいつに恋愛の相談をするのは止めておけ」といわれた。
理由を尋ねても教えてくれなかったものの、アリサさんの想い人はそれで大いに苦労しているらしい。その時点で私は察した。アリサさんも結局のところ極東に染まった神機使いの1人だったのだと。
「………」
「他にも神機使い同士で結婚した人もいたみたいですけど、今は引退しているらしくって……」
「ヒバリさんとかフランはどうなの?」
「さりげなーく話をそらされました」
シエルちゃんも軍人として育てられてきたからそういうことには疎い。仁慈に対して若干病みが入っているけどアレは家族愛とかそういうのに飢えているんだと思う。実際私の相談にはなんとも思っていなかったようだし。
「……だからといって私も経験があるわけではありませんし……普段仁慈とはどんな感じなの?」
「普段は……」
―――――ねぇねぇ、仁慈。また新しい道具のアイディアが思い浮かんだから一緒に素材取りに行こうよ!
―――――また、謎の物体Xシリーズを作り出すというのか……。まぁいいけど。とりあえず抱きつくな。自分の格好を考えなさい。
―――――当ててんだよー?
―――――はいはい。熱いから離れましょうねー。
「こんな感じです」
「そこまでしているのにどうしてそんな対応なのかしら……まさか、半アラガミ化によって性的欲求が消失したとか……?」
ラケル先生がそう呟くが多分違う。
よくよく思い返してみると、このようなことは割りと日常的に行っていたから仁慈のほうにも抗体が出来てしまったんだと思う。他にも仁慈はどこか私のことを娘のように見ている節がある。私のほうが年上なのに。
この後も、なんだかんだで付き合ってくれたラケル先生と一緒に話し合ってみたものの結局いい案は一つも浮かんでこなかった。
ラケル先生との話し合いで何の成果も得られなかった私は何時も通りを貫くことにした。よくよく考えてみれば、仁慈を狙っている人は居ない。どちらかといえばジュリウスのほうが人気なのでまったく焦る必要がなかった。うん。
だから、今日も今日とて仁慈に絡むことにした。
「仁慈ー、今日は何をしようか?」
「自分の仕事をしろ。そして抱きつくな。最近スキンシップ激しすぎるぞ。誰かが誤解したらどうする」
自室で隊長としての書類を書いている仁慈に突撃そのまま抱きつきまでが何時ものコンボ。
最初は自室に突撃したことにすごく驚いていた仁慈も、今ではすっかりこの通り。見事なスルーっぷりを発揮している。もう少し新鮮な反応を見せてくれてもいいのに。
「むぅ、それは心外。これは仁慈にしかやらないよ」
「………そうですか」
そう言った後、仁慈は何事もなかったかのように書類に向き合った。一応唯抱きついているだけなのもアレなので、一度仁慈から離れて書類の整理をする。一番最初にコレをしたときの仁慈の顔は「お前事務できたのか……」と如実に現れていてとても腹が立った。仁慈は私をアホの子扱いしすぎだと思う。
書類整理が終わり、それを纏めて机の端っこに置くと仁慈が立ち上がってこちらを向いた。
「いい時間だし、ご飯でも食べに行こうか?」
「さんせーい」
外に出て行こうとする仁慈の後に続き私も廊下に出る。そして、彼が歩き出したと同時に左腕を抱え込んだ。こういった小さなアピールが重要なのである。知らないけど。
仁慈も私の行動に一瞬だけ顔を赤くするも、溜息を吐いて気持ちを切り替えたのかそのまま歩き出した。
そんな2人を見た金髪ニット帽さんは、血涙を浮かべて爆発せよとの呪文を言い放ったらしい。