神様死すべし慈悲はない   作:トメィト
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本編完結した次の日に番外編をあげるという暴挙。


番外編
ついに出会う2人


 終末捕食をなんだかんだで無力化してから一年程が経過した。
 未だにアラガミ達がその辺にはびこって好き勝手やって居るものの、終末捕食を作り出す期間と後日判明した黒蛛病および赤い雨はその役目を終え、綺麗さっぱりなくなるなどということもあったりした。他にも零號神機兵が終末捕食の原因となったために、神機兵開発を禁止されて行き場がなくなっていたレア博士が極東支部に配属されることになったりもした。
 そんな激動の一年を過ごしきり、ようやく落ち着き始めたかと思われた矢先、新たな問題が極東支部へと舞い込んできた。





 「ふぃーっ……本日のお仕事終了ー」


 何時もの如く、目標となるアラガミをコロコロした俺は神機をリッカさんの元に預けそのままエントランスをスルーしてラウンジに向かう。目的はもちろんムツミちゃんの料理である。ムツミちゃんの料理は心も体も満たしてくれるから本当にすばらしい。思わず心がぴょんぴょんするレベル。


 ウィーンと開く自動ドアを潜り抜けてラウンジに入ってみれば、ビリヤード台の近くに大きな人だかりが出来上がっている光景が俺の目に飛び込んできた。一体何事よ。
 入ってきたときには既にそうなっていたため、まったく状況がつかめない俺は、何時もの位置に居るけれどちょくちょく人だかりのほうをチラ見しているムツミちゃんに話しかけた。


 「ねぇ、ムツミちゃん。あの人だかりは一体何なの?」


 「わっ!?びっくりした……お帰りなさい、仁慈さん!気付かなくてごめんなさい」


 やだ、すっごくいい子……。天使や。


 「いや、別にいいよ。あと、ただいま」


 「はい!それで、あの人だかりですよね?実は極東支部で最も強いとされている、元第一部隊の隊長さんが帰って来たんです!」


 あぁ、噂に名高い元第一部隊の隊長さんか。確か、さまざまなキチガイ的な行動で周囲の人の胃(主にコウタさん)にダイレクトアタックをかますことに定評があるらしい。よくよく見てみれば人だかりの中心にいる元第一部隊隊長と思わしき人と話しているアリサさんやソーマさんの姿も確認できた。現状報告でもしているのだろう。


 「ムツミちゃん、悪いんだけどオムライスもらえる?」


 「はーい。本当にオムライス好きですねー」


 「おいしいからね」


 ムツミちゃんにオムライスを頼んだあと、空のコップに飲み物を入れて一気に半分ほど飲み干す。正直、元第一部隊隊長と言っても関わりないしあんな風にわざわざ近付いていかなくてもいいだろう。挨拶なら別のときにすればいいし、任務帰りであの人だかりに突撃していく気分にはなれない。
 この状況で俺と同じくここに座るのは一体誰なんだろうかと、ちょっとだけ隣に視線を向ける。するとそこには先程まで人だかりを作っていた張本人。元第一部隊隊長その人がニコニコと笑顔を振りまきながらこちらを眺めてきていた。髪の色は金に近い茶髪で瞳の色は綺麗な蒼色をしており、銀髪赤眼の自分とは対照的だなとふと思った。


 「…………あの、何か?」


 とりあえず、話しかけてみる。
 どうしてわざわざ俺の隣に座り、こちらをニコニコと眺めてくるのか分からない。何かやらかしてしまったのだろうか?あれか、新人なら挨拶しに来いやゴラァってことだろうか。


 「君が最近噂の神機使い?」


 「……どんな噂かにもよりますね」


 「どんな任務でも息一つ乱さずに完遂するとか、彼が通った後にはアラガミ一匹残らないとか、アラガミ絶対殺すマンとか、理不尽の権化とか」


 「…………」


 それ俺ですわ。
 

 いや、待ってくれ。何も俺は狙ってやったわけではないし、間違ってもかっこいいとか思っていない。コレは俺が任務を受けていると勝手に周りが言い出したんだ。俺は悪くねぇ。確かに、最近は慣れてきたのか大型アラガミボスラッシュ程度では動じなくなったし、向かってくる奴は片っ端から片付けたりしたけど……ねぇ?


 「あっはっは。その反応、どうやら君が噂の神機使いのようだね。分かるよ、俺も覚えがある。普通に仕事してるだけなのに、勝手に二つ名が増えていくのは極東支部では良くあることさ」


 「どいつもこいつも拗らせ過ぎじゃありませんかね……」


 アッハッハと笑っている元第一部隊隊長さんの横で俺は溜息を吐く。これが慣れの差なのかね……。


 「そういえば、自己紹介がまだだったね。極東支部元第一部隊隊長、現フェンリル極東支部独立支援部隊クレイドルの神薙ユウだ。よろしく」


 「ここ最近極東支部に正式に所属することに成りました。ブラッド隊隊長、樫原仁慈です」


 「君もこれから色々言われるだろうし、面倒な仕事を押し付けられることもあると思う。俺もそうだった。だから、困ったときは頼ってくれ。こっちの事情でクレイドルはしばらく極東支部に滞在するからね」

 
 そう言って手を差し出す元第一部隊隊長改めユウさん。このとき俺は感動していた。俺と同じことに悩み、そして乗り越えてきた人が助けてくれる。コレはとてもすばらしいことだと知っているからである。
 俺は差し出された手を両手で掴み、


 「ぜひともお願いします!」

 
 と言ったのであった。





 ――――――このとき、ユウに集まってきていた極東の人たちは思った。あぁ、コレは絶対何か起こるなと。2人の化け物が手を組んでアラガミを抹消しに行くんだろうなぁと誰しもが思った。そして、予定調和の如くその予想は当たることとなる。





 彼らが出会ってから二日後。
 極東支部の半径50キロ圏内に一週間ほどアラガミが湧かなくなったという出来事が起きた。
 ちょうどその現象が起きる前にユウと仁慈がいい笑顔で極東支部に帰って来た光景が目撃されていた。





 この2人を知る、極東支部第一部隊隊長の藤木コウタは思った。


 お前らが、変な二つ名を付けられるのは当然だと。


 今日も彼は部屋に常備している胃薬を飲んで職場へと向かっていった。