神様死すべし慈悲はない   作:トメィト
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今回にてこの「神様死すべし慈悲はない」は完結となります。
皆様最後まで読んでいただき本当に感謝いたします。皆様の感想が励みとなり、無事完結させることが出来ました。
また、番外編や別の二次創作を書くかも知れません。そのときはまたよろしくお願いします。

最後に、本当にありがとうございました。

追伸

活動報告にて、次の作品や番外編についてアンケートを行っております。
気が向いたらでもいいので、覗いていってくれれば幸いです。


最終話






色々面倒だった終末捕食問題を何とか解決して極東に戻ってきた俺を迎えてくれたのは、ナナが満面の笑みで放ったお帰りという言葉と、それ以外のブラッドメンバーからのキックとパンチと竜巻アタックだった。解せぬ。一体俺が何をしたというのだろうか……。


 「うるせぇ、何食わぬ顔で帰ってきやがって……少しは心配したこっちの身にもなってみろ」


 「そうだそうだ!日ごろの恨みッ」


 「心配したんですからこのくらい許してください」


 「俺の目の前であんなに楽しそうな戦いを繰り広げるなんて喧嘩売っているとしか思えんな」


 「一斉にしゃべるな」


 聞き取りづらいんだよ。後、ジュリウス隊長とロミオ先輩は後で一緒に任務に行こうぜ。普通の任務では味わえないスリルをくれてやる。主にフレンドリーファイアでな。
 今もなお殴ろうとしてくる奴らを適当に裁いて地面に転がしつつ、俺は文句を垂れる。


 「せっかく帰って来たのにお帰りよりも先に手が出るなんてひどい人たちだなー」

 
 「俺を地面に転がすだけじゃなく踏みつけている奴が言える台詞かっ!?」


 先に仕掛けてきたのはそっちじゃナイデスカー。
 そもそも、心配したから殴ってくるとか意味不明ですしおすし。どうしてナナのようにお帰りの一言もくれなかったのか……。


 「肉体言語だ」


 「本当にぶっ飛ばしますよ?」


 反省どころか思いっきり開き直ったジュリウス隊長に「それは言葉ではない」とだけ言って腹パンを決めてロミオ先輩の隣に沈める。その流れを見たギルさんとシエル、ナナは戦慄したような表情で俺を見つめてきた。


 「だが、本当にどうやって帰って来たんだ?終末捕食は特異点がいないと暴走するんじゃなかったのか?」


 「それに昨日、仁慈のバイタル反応が消失したって聞いたんだけど……その辺も含めてしっかりと説明してくれるよね?」


 と仰ってるのは未だに抱きついて離れないナナ。状況だけ見れば恋人同士にも見えるかもしれないが、悲しいかなギチギチと首を澄めていることや目のハイライトがないことからどう考えても殺人を犯そうという人とその被害者にしか見えないと思う。しかし、そんな事を気にするような奴はこの場に居らずむしろナナの言ったバイタル反応消失の方が気になるようでそろいもそろって俺との距離をさらに縮めた。


 「みんな近い近い。ちゃんと話すからいったん離れて」


 「バイタル反応消失と聞いて落ち着けるわけないでしょ」


 「あ、エリナ居たんだ」


 「ちっちゃくないわよっ!」


 「何も言ってないでしょ……」


 「我が友よ!何があったのか一字一句洩らすことなく聞かせt「カット」」


 今から話そうとしているのに再び騒ぎ出す周囲を何とか収めてとりあえずラウンジへ向かう。話すにしても、出撃ゲートのまん前はさすがにアレだろう。
 ムツミちゃんに泣かれて俺の良心に多大なダメージを負いつつみんなが近くに座ったことを確認して、俺は何が起きたのか話し始めた。


 


            ―――――――――――――――――― 





 ブラッドメンバーを終末捕食の中からはじき出した後、俺は当初の予定通りアラガミの群れに突撃をかます。カラーリングは黒一色だが、別に量産型というわけでもないらしく一体一体が普段任務で出てくる普通のアラガミ同じくらいの力量を持っていた。ここは終末捕食の中であいつらはおそらくアルマ・マータが終末捕食内から作り出したアラガミだろう。意識のある特異点ならばある程度の操作は可能だ。だからこそこのような滅茶苦茶なことが出来るのである。しかし、特異点であるのは何もアルマ・マータだけではない。もちろんのこと俺も特異点である。つまりここは相手のホームグラウンドでもあるが俺のホームグラウンドでもある。まぁ、何が言いたいのかというと……俺もこの場においては俺も普段の俺じゃないと言うことだ。


 「うぉぉおおおおりゃぁあああ!!」


 気合を入れて神機を一振りするだけで周囲のアラガミたちは根こそぎ空中へフライアウェイした。ここでは俺たち特異点が唯一にして絶対のルール、つまりここで意識することは常に最強の自分を思い描いていることである。
 

 振り切った勢いを一切殺さず、腕を、腰を、全体を使って次の攻撃への予備動作としきりつける。遠くから見たらさながら台風のような感じになっていたのではなかろうか。攻撃をいったん中断すれば、アラガミで出来た壁は食い破られ、俺が通ってきた場所が道のようになっていた。
 

 これはすごいと自画自賛しながら、それでも無数に沸いて出てくる黒いアラガミたちに対して溜息をついた。用があるのはこいつらではないというのに……。今度は連携を交えつつ遅い来るアラガミを片っ端から塵に変えつつ俺はもうひとつの特異点であるアルマ・マータの元へと向かう。それは何故か?当然この終末捕食の制御押し付けて俺が自由になるためである。


 現在の状況は二つの終末捕食が喰らいあっている状態であるものの根元の部分では融合が進んでで居るという摩訶不思議な状況になってしまっている。一体何がどうしてそうなってしまったのかは専門外だから分からないが、それにより特異点がひとつあれば二つの終末捕食を保つことが出来るという俺にとって都合が良すぎる状態なのだ。なので、俺はもうひとつの特異点であるアルマ・マータを探しているのである。


 宛てはないが、アラガミの出現率が高くなっていることからこの方向だろうと辺りをつけてこちらに襲い掛かってくるアラガミを全て通りすがりざまに草を刈り取るようにサクサク切裂いていく。攻撃を掻い潜ってカウンター気味に頭蓋に踵落しを喰らわせたり、倒したアラガミを踏み台にして別のアラガミを越えて振り向きざまに真っ二つにしながら。
 黒いアラガミたちを捌きつつ、十分ほど走るとようやくお目当てのものを見つけた。木の幹らしきものと融合しているアルマ・マータである。いや、今の奴はヴィーナスの人間部分にラケル博士を突っ込んだみたいになっているからアルマ・マータとはいえないかもしれない。


 『……ふふふ、何しに来たのかしら?退屈で私とお話でもしたいの?』


 「寝言は寝ていってくれませんかねえ……。お前と話するくらいなら1人で〇×ゲームやったほうがはるかにマシだ」


 アルマ・マータとして覚醒したばかりのように余裕を持ってこちらに話しかけてくる姿は暴走した後の姿も知っているこちらとしては必死に取り繕っているようでとても滑稽だった。あらあら残念と余裕をかましているアルマ・マータに気付かれないように俺の後ろに神機を作る。これは、アルマ・マータが終末捕食から黒いアラガミを作り出したことと同じ要領である。あれ?さっきから俺紅茶みたいな行動取りすぎじゃね?英霊にでもなるのかな?と思いつつも神機を作り続ける。そこは突っ込んではいけないところなのだ。


 『じゃあ一体何しにここに来たのかしら?』


 「お前に終末捕食の管理を押し付けに来た。お前は終末捕食を起こせて、俺はここから出れる。winwinじゃないか」


 『冗談。今の終末捕食は私が狙った効果を出さないわ。世界を飲み込む前に目の前の脅威を排除しようとしているもの。ここで言う目の前の脅威とはお互いにもうひとつの終末捕食……二つの力が均衡している中でこの状態では地球の生態系のリセットなんて無理だもの』


 じゃあなんでアラガミを俺に差し向けたんですかね……。そう考えるも向こうは応えず、やってくれたなといわんばかりの視線を向ける。まぁ、そんな事は関係ない。やってくれないのであれば力ずくと相場が決まっている。なので俺は今まで作っていた神機をアルマ・マータに向けて全て投げた。咄嗟のことだったからか全ては防ぐことは出来ず、何本か擬似神機がアルマ・マータの体を貫く。


 『ぐっ……な、なにを……』


 「いや、やってくれないっていうから無理矢理やってもらおうかと……」


 『そ、それが神機使いのやることなのっ!?』


 「何言ってんだ。何をしてもアラガミをぶっ殺すのが神機使いだろ」


 コイツおかしいんじゃねーの?という視線を向けてみればそこには信じられないものを見たという感じで驚くアルマ・マータの姿が。どうしてそんな事を思ったんだか。今時正々堂々なんてことを口にする奴は物語の主人公にも居ないぜ。
 とりあえず、自分から動き出さないように再び擬似神機を練成して動けないように刺しておく。ついでに俺の中にある偏食因子も流しておいたからこいつが特異点として君臨しつつ、アルマ・マータがもう終末捕食内で好き勝手できないようにする。要領としては上書き。アルマ・マータが終末捕食に働きかけようとしても磔にしている擬似特異点がそれをかき消す仕組みだ。


 「それじゃ」


 『えっ、ちょっ……えぇっ!?』


 混乱しているアルマ・マータを完全に無視して、俺はそこらの壁に穴を開けて脱出した。




            ――――――――――――――――


          



 「こんなもん」


 『…………』


 何この無言。俺何かした?
 まったくもって心当たりのない俺は首を傾げるしかなかったのだが、そんな俺を見かねたのかロミオ先輩が首を横に振った後に口を開く。


 「いや、ただ仁慈は仁慈なんだなぁ……ってことだよ」


 「???」


 まぁ、分からないなら分からないでいいだろう。無理に考える必要もないだろうし。


 「なら、バイタル反応が消失した件は一体どういったことですか?私とヒバリさん、それでかなり慌ててしまったのですが」


 「ん?簡単な話ですよフランさん。俺の右腕見てください」


 フランさんの疑問に答えるため、俺は右腕を見やすいように少し持ち上げる。すると全員気がついたのか、支部長室で話を聞いていない人たちは信じられないような目を向けてきた。


 「腕輪が……ない……?」


 「はい。事情があって、腕輪なくても神機使えるんですよ」


 驚くのも無理はない。普通だったらとっくにアラガミ化してその辺を喰い散らかしていることだろう。素で偏食因子に適応しあまつさえ利用している俺がとんでもないレアケースなんだ。このことが他のところにばれたら実験動物まったなしである。


 「なんで?」


 「詳しいことはラケル博士に聞いて。あの人が元凶だから」


 「ちょっ」


 戦っていた疲れもあってエリナの疑問に答えことも面倒だった俺は説明をジュースを飲んでいたラケル博士に投げた。すると、疑問に思った人がラケル博士の元に殺到していた。なにやら助けを求める声が聞こえた気もするがそこはスルーして俺は自室へと帰ろうとした。が、何故かブラッドメンバーが立ちはだかった。なんでさ。


 「すいません。もう寝たいんですけど……」


 「大丈夫だ、すぐ済む」


 ジュリウス隊長の言葉に首を傾げる。そんな俺を他所に、ブラッドメンバーはみんなで顔を合わせて笑みを作った。そして声をそろえて、


 『帰って来てくれてありがとう。これからもよろしく!』


 ……どうして、その言葉を俺を殴る前に言ってくれなかったのかとか何故このタイミングなのかというもろもろのツッコミは置いておこう。今俺がすべきことは、


 「こちらこそ、これからもよろしく」


 彼らの言葉にしっかりと答えることだと思うから。



















































 ―――――後日談。




 ジュリウス・ヴィスコンティ

 
 フェンリル所属極地化技術開発局所属ブラッドの元隊長。ブラッドが何故か正式に極東支部に配属することになったため極東の神機使いの一員として日々アラガミを刈り倒している。現在では隊長を仁慈に譲り、唯の一隊員として新隊長の仁慈の胃にダイレクトアタックをかましている。最近のマイブームは終末捕食で出来た大木近くに出現するようになった新種のアラガミを片っ端から刈り倒すこと。



 ロミオ・レオーニ


 自身に壮絶な死亡フラグが立っているという電波を受け、仁慈に血の力の覚醒を手伝ってもらい見事その死亡フラグをへし折って生き残り、最後まで戦うことが出来た。目覚めた血の力から大いに重宝されるが本人は納得いっていない模様。しかし、彼の能力は非常に便利で主に新人神機使いの付き添いとしての活動が続いている。最近、終末捕食で出来た大木を調べるために派遣されてきたヴァリアントサイズを使う神機使いリヴィと一緒に居ることが多く目撃されている。


 シエル・アランソン


 軍人として育てられてきたため初めは機械のような人間であったが、ある事件を通して人間味溢れる性格に変わる。たまたま開発した進化する銃弾であるブラッドバレッドの研究に日夜力を注いでいて、最近試し撃ちには仁慈のほかにジーナも呼んでいるらしい。二人してアラガミを一方的に狙撃していく姿を見て仁慈は「もう俺要らないんじゃないかな」とげっそりとした顔で言ったという。極東で飼っているカピバラがなかなかなついてくれないのが悩みの種らしい。


 ギルバート・マクレイン


 不幸な出来事によりフラッキング・ギルと呼ばれ、ブラッドに居た頃は大層荒れていた。本人にとってあの時の自分は黒歴史らしい。ハルオミと共に敵であるルフス・カリギュラを討伐した後は何をどう間違ったのかスピードキチとして目覚め、ひたすら速さを探求し続けている。最近、日常生活のほうでは落ち着いてきたため、極東でもいい兄貴分として慕われている。しかし、ひとたび任務になると暴走を始め、よく新人神機使いたちを肉体的にも精神的にも置いてけぼりにするらしい。終末捕食によって出来た大木を調査しに極東に訪れたフェルドマン局長とハルオミを交えて飲んでいる姿が近頃発見されている。


 香月ナナ


 ハンマーを好んで使い、見た目からは考えられない力任せな攻撃を得意とする。生まれたときから偏食因子をもっているゴッドイーターチルドレンというもので、血の力の制御に苦労した。しっかりと制御が出来た後は、様々なことに活用し、最終決戦では決して欠かすことの出来ない重要な役目を見事に完遂した。持ち前の明るさと接しやすさその他もろもろの所為で極東の男性陣をことごとくと勘違いに巻き込んだ。本人に自覚はなくそれで多くの男子が涙で枕を濡らしたらしい。最近では何の変化かよく仁慈の部屋に遊びに行ったり、劇薬を作成したり、任務に出たりしているらしい。はたから見ればどう考えても男女の関係であるが本人達に自覚はない。ただ、ナナはまんざらでもない様子。


 
 ラケル・クラウディウス


 全ての元凶。大体コイツのせい。ゲスイまど〇。シプレの中の人。様々な呼び名がある。元々終末捕食を行うために行動を開始していたが、仁慈があまりにも規格外というかキチガイ的な行動を取るため中にいる荒ぶる神々の意思がボイコットを起こし何もすることがなくなった。初めは情緒不安定気味だったが、極東のアニメ文化に触れ、ロボットに目覚める。サカキと組んで持ち前の優れた頭脳をくだらないことに活用しようとしては姉に全力で止められている。最近ではシプレの新曲を出そうと画策している。


 
 レア・クラウディウス


 ラケルに思いっきり利用されるかわいそうな人。ブラッドが極東に行ってからまったく出番がなかったが、ラケルも一緒に極東に行っていたため本編より気苦労はなかったらしい。終末捕食が零號神機兵の暴走が原因ということになったので、神機兵を作れなくなってしまい途方にくれていたところ、サカキに声をかけられ極東の技術者となる。ラケルの中の意思が消えたことにより不必要に怯えなくはなったものの、別の暴走癖がついたラケル相手に苦労している。しかし、本人は姉妹のコミュニケーションが取れて割りと嬉しそうである。時々、疲労がピークに達していると姉妹で暴走する。




 フラン=フランソワ=フランチェスカ・ド・ブルゴーニュ


 元フライアのオペレーター。若いながらも冷静なオペレートは神機使いを大いに安心させ任務成功に一役買っている。フライアに居た頃はグレム局長の態度といやらしい視線にイライラしていたようだが、極東に来てからそれは解消されているらしい。近頃は後輩が二入ほど出来たので極東のベテランオペレーターのヒバリと共にオペレーターのイロハを叩き込んでいる。最近ではハルオミがやたらと絡んできて査問会に突き出そうか真剣に悩んでいるらしい。




 樫原仁慈


 二つの人格とアラガミの意思が混ざり合ったことによってたまたま出来た人格。記憶としては主に樫原信慈がベースとなっているが肉体は仁と呼ばれる子のものであるため戦闘にも早くから適応した。持ち前のセンスと、人外スペックの肉体を使って迫り来るアラガミをことごとく刈り倒した。終末捕食から帰って来た彼の体は半分が人間で半分がアラガミというわけわかめな状態だったがまったく問題がなかったので今では放置している。その後、ブラッドの隊長としてさらに難しい任務を任されるがどれも息一つ乱さないで帰ってくるため最近では血の怪物ではなく理不尽の権化と呼ばれている。今では極東にこの人在りと言われた伝説的神機使いの元第一部隊隊長と同じくらいの知名度を誇っており、どちらが強いかよく議論されているらしい。仁慈本人は会ったことがあるらしく「あの人、人間じゃなくてアラガミだろ」という言葉を残し、お前が言うなとそうツッコミされたらしい。



 













 











 「これが今回の目標?」


 『そうです。このアラガミは独自の進化を遂げているらしく、もう既に三つの部隊を壊滅に追いやっています』


 場所は中心に大きな竜巻が発生している嘆きの平原。そこに、大きな刃を携えた鎌を刀身としている神機を担いだ男が1人立って通信越しに聞こえる女性の声に問いかけていた。そんな彼の目の前に居るのは背中にブースターのような翼を生やし、斧のごとき刃を両腕に携えた竜帝カリギュラ。それもカラーは黒である。色違いということも相俟って絶大な存在感を放つカリギュラは普通の神機使いはもちろんのこと大抵のアラガミでも振るえ、狩られる獲物にしかなりえない。そんな強者特有のプレッシャーを放っていた。


 「……ねぇ、そんな強い奴の相手を普通1人にさせる?」


 『問題ありません。切り札には切り札を、イレギュラーにはイレギュラーを、化け物の中の化け物には同じ位の化け物をぶつけるのが定石です』


 しかし、そんなカリギュラを前に男は普通だった。むしろ余裕さえ感じるたたずまいで通信越しの女性と会話している。そんな男にカリギュラは激怒し、その強靭な声帯から発生する咆哮を男に向けた。
 

 「おぉ……耳がぁ……」


 『お怒りのようですが、何かしました?』


 「帝の名に恥じず、傲慢なんだろう。俺が無視してるから怒りやがった……」


 『まぁ、頑張ってください』


 「適当だなぁ」


 咆哮を向けられた男はそれで通信を切ると、軽い掛け声を上げて自分が立っていた高台から飛び降り、黒いカリギュラの前に静かに着地した。
 黒いカリギュラは自らを無視する不届きな輩を排除しようと男が地面に着地した瞬間に自分の右腕を横薙ぎに振り切った。そこらに乱立したビルすらをも両断するその腕は男に吸い込まれるように近付いていき、


 ズガン!


 止まる。
 黒いカリギュラは一体何が起きたのか理解できなかった。いや、理解したくなかった。自分が腕を振り切った先を見てみれば、そこには片手に持っている神機で自身の腕を防いでいる男の姿があった。


 ありえない


 そう考えるも、目の前の光景がその考えを完全に否定する。
 混乱を極める黒いカリギュラ。しかし、目の前の男はそんな事関係なかった。彼の仕事はいつも一つ、人類に仇名す神々を、一切の慈悲もなく殺すこと。



 決着は一瞬だった。混乱した黒いカリギュラには何がなんだか分からなかったが、自身が最後に見た光景は首から先がなくなっている自分の体であった。



 黒いカリギュラを沈めた後、男は再び通信機に手を当てて、帰りのヘリを要求した。



 「フラン、帰りのヘリちょうだい」


 『……相変らず意味不明の早さですね。驚きを越えて気持ち悪いです』


 「仕事をしっかりと完遂したのにこの罵倒である」


 グズグズ崩れている黒カリギュラの肢体を捕食しながら男はがっくりと肩を落とす。


 『……仁慈さんたった今追加で任務が入りました。貴方が帰り用として呼んだヘリでそこに急行してください』


 「……はぁ、またか。分かりました、ブラッド隊隊長樫原仁慈、只今現場に急行させていただきますよ」



 ――――樫原仁慈、神機使いになってから早三年。今日も元気にアラガミを喰らっています。



 

 
 




黒カリギュラ「グォオオオオオオ!!!(俺を無視するんじゃねぇええ!!)」

仁慈「あ゛?」

黒カリギュラ「(´;ω;`)」