神様死すべし慈悲はない   作:トメィト
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なるべく早く投稿すると言ったな。アレは嘘になってしまった(土下座)。
本当にすいません。

謝罪もここまでにしてあけましておめでとうございます。今年もこの作品をよろしくお願いします。
多分あと二、三話で完結すると思いますけど。


第五十一話




 ―――――クレイドル組の場合


 防衛班の皆様による精神攻撃で見事にSAN値を減らした俺は、先程よりも覚悟が必要であろうクレイドル組が居る場所へと顔を出していた。
 ……遠目からでも小型中型はもちろん、大型ですら宙を舞っている姿が確認できた。これ、ブラッドアーツを習得できたんだったらブラッド(俺ら)完全に要らないよね。なんだかんだ言って、ゴリ押しで何とかなる気がする……というか何とかしそうな気がするし。もうあの人達だけでいいんじゃないかな?


 「あ、仁慈さん。タツミさんたちはちゃんとブラッドアーツを習得できたんですか?」


 「はい。文句の付けようもないくらい完全に自身の物にしていましたね」


 絶句はしましたけどね。
 バーデルさんのバージル化とか一体誰が予想できたんだよ。


 「タツミさんたちは私よりも長く極東で神機使いをやっていますからね。立ち回り、状況把握、そして自身のことを理解する能力は私よりも長けていると思いますよ」


 一級極東神機使いということですね分かります。
 感応種との戦闘で別のことを考えながらもしっかりと攻撃、回避をするというマルチタスク持ってんじゃないかなと思わせる行動をやってのけたアミエーラさんでもそう言うのか。
 まぁ、極東の神機使いの頭がおかしいこと何て今まで散々言ってたし今更な気がしないでもないけどね。


 「あいつらのことはいい。……おおよそ、俺が考え付く方法でブラッドアーツの習得を試みてみたが……やはりうまくはいかないな。どうやら俺たち普通の神機使いがブラッドアーツを習得するにはお前の『喚起』によるきっかけ作りが必要らしいな」


 「なんですかそれ、聞いてないんですけど」


 考え付く方法があるんだったらどうしてあの時言ってくれなかったんですかねぇ……。
 


 「……お前が防衛班の連中を相手しているときに思いついたからな」


 そんな見え透いた嘘つくんじゃない。
 本心ならば俺の目をしっかりと見て話しなさい。ほら、そんな天空に(わたくし)は居ませんことよ?


 「……ま、今回はそれで見逃してあげます。それで?シックザールさんが考えるブラッドアーツ習得方法は?」


 「お前は知っているか分からないが、本来神機に使われているオラクル細胞や俺たちに投与されている偏食因子は人間の手に負えないものだ。だからこそ、神機にはある程度のリミッターもかけてあるし投与されている偏食因子も予防接種並に弱めて使っている」


 俺やお前、ラケル・クラウディウスは違うがなと最後に付け加えるシックザールさん。
 神機にリミッターって付いていたんだ……。初めて知ったわ。


 「だがな、血の力を使えるブラッドに投与されたのはラケル・クラウディウスが開発したP66偏食因子。これはラケル・クラウディウス本人の中にある偏食因子を既存の偏食因子に混ぜ合わせて作ったもので、要するに多少だがかけられていたリミッターを外したシロモノだ。だからこそ、普通の神機使いにはできないようなことができる」


 なるほど。ブラッドが投与されたのは普通の偏食因子よりもアラガミが持っているものに近づけた状態のもの。だからこそ、あの能力だと。


 「お前の言う感情の揺れによってブラッドアーツや血の力が発現するというのもそうだ。感情の爆発は時に信じられない効果を生む。火事場の馬鹿力なんかがいい例で、それと同じことが偏食因子に現れているのだと考えられる。だからこそ、俺は他に比べて習得しやすいと思ったんだがな……」


 「なるほど……」


 先程自分で言ったとおり、ラケル博士とシックザールさんは限りなくアラガミが持っている偏食因子に近いものを摂取しているし、俺に関してはアラガミのまんまと来ている。彼の立てた仮説が正しいなら一番習得しやすい。


 「なにカッコつけてるんですか。別に最終的に習得できればいいんですよ」


 今まで会話に入ってこなかったアミエーラさんがシックザールさんに対してそう言った。一方言われた側であるシックザールさんは苦笑。
 このやり取りだけで二人の上下関係が分かった気がする。


 「何はともあれ、始めましょうか」

 
 先程シックザールさんが言ったように、自身の中にある偏食因子に対して鎖を解いていくようなイメージを浮かべる。すると、何時もよりスムーズに赤い波動が俺を中心に渦巻き出した。


 「おぉ、なんかやりやすい。シックザールさん、多分貴方の仮説合ってますよ」


 「そうか」


 そう短く返したシックザールさん。そのまま彼は目を閉じて自身の神機を正眼に構える。初めは特に変化もなく佇んでいるだけだったのだが、正眼に構えてから一分くらい経過したときだろう。彼の神機に赤い波動が集まっていく。
 そして、シックザールさんは閉じていた目を見開いて赤い波動を纏った神機をそのまま振り下ろした。
 神機に集まっていた赤い波動は神機から振り下ろされた地面へと伝わり、50mほど離れていたアラガミの集団の下をとり、深紅の棘となってアラガミの集団を突き刺した。

 
 「うわぁ……」


 「ドン引きです……」


 「何でだ」


 エグイ。唯ひたすらにエグイ。
 ぱっと見た感じホーミングらしき動きをしていたし、アラガミを突き刺したときの光景がなんというか磔刑みたいだった。


 「一体どんなこと考えたらこんなものになるんですか……」


 「別に特別なことは考えていない。多少ノヴァとは因縁があるが、それだけだ」


 「左様ですか」


 空を……具体的には緑化した月を見て言っていたことは見なかったことにしましょうか。さぁ、シックザールさんの次はアミエーラさんだ。この人はどうなっているかなっと。


 「全ッ然でない……。ソーマ、なんかアドバイスくださいよ」


 アミエーラさんもアミエーラさんで大分苦戦しているご様子。先程思いっきりドン引きしたシックザールさんにアドバイスを求めていた。俺じゃ、関わっている日数が少ないからね。仕方ないね。


 「アドバイスって言ってもな………そうだな、アリサちょっとこっち来い」


 唐突にアドバイスを求められ驚きながら俺のほうを見るシックザールさん。言わんとしていることは分かる。こういうことはお前の仕事だろといっているんだろう。でもね、俺は彼女の性格をシックザールさんほど把握していないんですよ。だから頼みます。


 そんな意味を込めて視線を返してみれば、彼もわかっていたのか溜息を一つ吐いた後にアミエーラさんに近付くように言った。……このパターンどこかで見たな。デジャヴかな?


 結果は案の定、防衛班で見た光景と同じだった。一体何を吹き込んだのか、アミエーラさんは顔を真っ赤にし、目のハイライトはストライキを起こすという一言で表現すると若干危ない表情を浮かべて狩りを開始した。
 この人達は必ず自分の中に殺る気スイッチを常備しているのだろうか。


 「……………」


 「……………まぁ、この調子なら大丈夫だろう。お前も他のところに行っていいぞ。ブ
ラッドアーツって今アリサの体から渦巻いて、あいつの身体能力を上げているあれの事だろうしな」
 

 シックザールさんの言うとおり、どうやらアミエーラさんのブラッドアーツは自分の身体能力を底上げするようなタイプのようで、ボルグ・カムランの尻尾攻撃を神機の先端にあてて相殺するという曲芸じみた真似を何の躊躇もなくやってのけた。
 

 すげぇ。今までのように必殺技とかではなく、自分の身体能力を底上げするようなブラッドアーツは初めてだなー(白目)。
 とりあえず、この後無茶苦茶全力で退散した。


 

 ―――――――第一部隊&第四部隊の場合。


 
 もう防衛班、クレイドルと続ていくとエミールさんやエリナが在籍している第一部隊が癒しのように感じるよね。
 いや、別に今あげた二人が弱いと言っているわけじゃない。俺たちの周りに居る神機使いが頭おかしいことになっているだけで二人とも十分に実力がある。エミールさんなんて初めて会ったときと比べれば天と地ほどの差があるといっていいくらいだ。


 「くっ!何故だ……何故出てこないんだブラッドアーツよ。我が友は感情の揺れこそがトリガーになるといっていた。ならば我が騎士道精神ですぐに習得できるはずなのに……ッ!まだまだ、覚悟が足りないということなのか!?」


 「えぇい!暑苦しいわね。少しは黙ってできないわけっ!?」


 なんて安心できるやり取りだろうか。失礼ながらそんな事を思わずにはいられない。
 


 「藤木さん。調子の方、どうですか?」


 「あ、じん…じ……?どうしたお前。これ以上ないくらいの笑顔浮かべながら近付いてきて」

 
 「あの二人の反応に対して妙に安心してしまいましてね」


 「あっ(察し)」


 俺の言いたいことがわかったのか同情的な視線を送ってくる藤木さん。この人もきっと苦労したんだろうな。


 「おぉ!来ていたのか我が友よ!だが、すまない。僕は君の期待に応えることができなかった……騎士として、男としてッ!どちらの面でも、情けなく思う」


 「そこまで責任感じなくていいですから」


 本当、何時も全力だよね。この人。


 「あれ、来てたの?」


 「お、お疲れさん。疲れただろ?あいつらの相手」


 「ここに教官先生が来たということは、タツミさんやブレンダンさん、ジーナさんも習得したんですよね……わ、私も頑張らないと……!」


 エミールさんの大きな声が近くに居た第四部隊の人達にも聞こえたようで、周辺のアラガミを駆逐した後にこちらに向かってやってきた。何はともあれ台場さんの切り替え速度はすさまじいな。さっきまで遠めでも分かるくらいにゲス顔でアラガミをミンチに変えてたのに、もう普段の性格に戻ってやがる。女の人ってコワイワー。



 まぁ、何はともあれみんなそろってブラッドアーツの習得を試みて見事に成功したわけです。
 え?適当すぎる?別に詳しく言い過ぎてもだれるだけだしいいでしょう。
 でだ、みんながブラッドアーツを習得した理由をダイジェストで紹介していこうと思う。


 まず、藤木さん。
 

 「仁慈に言われたことを実行したら、案外簡単にできるもんだな……」

 とか言いつつ、あっさり習得した。
 貫通、斬撃、破砕全ての属性を内蔵した凶悪弾をアラガミに撃ちまくる。ちなみにこのバレットはPO回復効果もあり、撃った分を即座に補給し再び放つことができる永久機関と化しているぶっ壊れバレットである。まぁ、藤木さんだし。クレイドル組と同じ部隊にいただけのことはあるよね。


 次にエミールさん。


 「騎士道……騎士道ォォォオオ!!」


 こちらは感情の揺さぶりによって目覚めた。
 普通ではダメなら普通じゃないくらい自分の感情を、騎士道精神を高めればいいじゃないと本人は語る。
 そんな根性で己の壁をぶち抜いた彼が習得したブラッドアーツは神機の刀身についているブーストハンマーの推進力を利用した一撃であった。ここだけ聞くとギルさんのブラッドアーツと似てるかもしれないが、彼の場合はしっかりと敵を捕捉し確実に一撃を決めるブラッドアーツのようだ。ギルさんのは制御が利かないからエミールさんのよりは使い勝手が悪い。


 エリナの場合は、


 「これを習得しないと、あの馬鹿共に余計振り回されることになるでしょっ!」


 まさかの身内に対する感情の高ぶりでの習得である。それほど極東での日常は彼女にとってストレスとなっているのだろう。俺は密かに零號神機兵との戦いが終わったらジュース一本でも奢ってあげようと心に誓った。
 そんなエリナが習得したブラッドアーツは彼女の放った突きに追随する赤い槍である。一突きで大体四つの赤い槍が出現し、中型でも一撃で穴ぼこだらけにしてしまうものである。
 ……このブラッドアーツで、複数の常識にとらわれないキチガイ(極東の神機使いたち)に一気にツッコミ(意味深)を決めてやる、という言葉は聞かないことにする。


 そして次はハルオミさん。


 彼も意外にあっさりとブラッドアーツを習得した。というか、俺がここに来る前に既に習得してしまったらしい。今更かもしれないが、ブラッド涙目の状況である。しかし彼があっさりとブラッドアーツを習得したのはわけがあった。


 「思い出してみろよ。ルフス・カリギュラとの戦いを。あの戦い、俺にとっては嫁の敵討ちなわけだ。あの時はギルのサポートに回っちゃあいたが、これでも感情はかなり高ぶってたんだぜ?条件だけならもう満たしてる。後は俺が意識するか否か、それだけだったのさ」


 あぁ、そうか。そうだよな。ルフス・カリギュラを倒したかったのは他の誰でもない、ハルオミさんだもんな。それは納得です。……聖なる探索なんてなかったんや。


 最後は台場さんであるが……ぶっちゃけ何もいうことはない。
 

 しかるべき結果になったという感じである。


 「アッハッハ!!この弾いいわ!最っ高よ!アラガミがどんどん巻き込まれて死んでいくわ!」


 彼女のブラッドバレットは、跳躍弾から始動する珍しいというか今までに類を見ないもので、アラガミに当てまくりそのあたった人数に比例して威力が上がるというなんとも彼女にしては扱いにくいものであった。
 あったのだが……そんなこと、戦場に出た台場さんが気にするわけもない。むしろ、味方の神機使いをあたった人数に入れてヒット数を稼ぐというとんでもないことまでやってのけている。
 みんなは、とどめの一撃を神機のシールドを使い巧みに防いでいるが、アラガミはそうは行かずしめやかに爆発四散している。


 ……これはひどい。
 初めからいい予感はしていなかったがこれほどとは……。
 穴ぼこを量産し、俺たちにもちゃっかり跳躍弾を当てて威力をまた挙げている彼女を見つつ俺は天を仰いだ。


 まぁ、全員無事に習得出来てよかったよ。




             ―――――――――――――――――




 みんながブラッドアーツを習得してからはや二日が経過し、明日はいよいよ人類の存亡をかけた最終決戦を行う日である。
 緊張からか、まったく眠くならないので今は誰もいないラウンジの一席で眠くなるようにホットミルクを飲んでいた。うまうま。
 なんで今更緊張なんてしてるのかね?もしかしたら、やることがなくなって意識を割く事が出来るようになってしまったからかもしんないけど……。
 窓ガラス越しに見える、若干世紀末な町並みを眺めつつ今までのことを振り返る。


 目覚めて早々神機使いになり、よく分からない化け物と戦わされる。俺がアラガミに近いからか普通ではありえないくらい俺にアラガミが集中してきたりもした。新人のペーペーだったのにマルドゥークと遭遇して死に掛けたりもした。イェン・ツィー死すべし慈悲はない。ブラッドのみんなと困難と呼べるか微妙な事態もまさしく困難と呼べる事態も等しく乗り越えた。俺の正体が唯の偶然の産物だった。


 こうしてみると。濃すぎるな、色々。
 信じられるか?これでまだ一年たってないんだぜ?それなのに、世界の命運をかける戦いに狩りだされることになるなんて……。


 「ホント、おかしいよなぁ」


 「そうだね。仁慈はおかしいね」


 俺の呟きにあるはずもない返答が帰ってきた。
 あるはずのない返答が聞こえた方向に顔を向けてみれば、そこには寝巻き姿のナナが佇んでいた。……寝巻きのほうが普段よりも健全に見えるな。露出ないし。


 「隣、座っていい?」


 割かし失礼なことを考えていると、ナナがそういって俺の隣の席に腰を下ろした。まだ許可出してないんですがそれは……。


 「気にしなーい気にしなーい。って、仁慈ホットミルクなんて飲んでるのー?」


 「寝れないから、寝やすくするためにね」


 あと、ホットミルクを馬鹿にするんじゃない。安心する味だぞ、ホットミルク。


 「あはは。じゃあ私も入れてこよーっと」

 
 何が面白いのか、俺の顔を見てパッと笑った後ナナはラウンジにあるカウンターからコップと牛乳(擬き)を取り出して注ぎ、電子レンジにコップをシュゥゥゥーー!!した。そして、チン!という音がなったとたんにガバッとレンジを開けてホットになった牛乳を取り出すとさっきと同じように俺の隣に座った。


 「それで、仁慈君はどうして眠れないのかなー?何か不安なのかな?お姉さんに話して見なさい?」


 「…………似合わないなぁ、そのキャラ」


 「ストレート!?」


 年齢的にはナナのほうが二歳年上だし、何処もおかしいことはないんだけど……ねぇ?なんていうか、普段の態度を見直してみれば彼女は圧倒的に妹キャラだと思う。ぶっちゃけ、俺はナナとロミオ先輩を年上としてみてないし。


 『飛び火した!?』


 「ん?今何か聞こえたような……?」


 「幻聴だろ」


 俺の言葉にそうかなといって気持ちを切り替えたナナは、浮かべていた表情を何時ものものから真面目なものへと変えた。


 「むー……仁慈が何も話してくれないから勝手に言っちゃうけど、明日のことについてなら心配要らないよ」


 「それまたなんで?」


 「だって、明日の戦いに参加する人達を思い浮かべてみなよ。どう考えても負けるような人選じゃないじゃん」


 「…………」


 確かに。
 今日散々思ったことじゃないか。戦闘力はぴか一を通り越してキチガイ。考えるアラガミ殺戮マシーン。ドウモ、アラガミ=サン。神機使いです、アラガミ死すべし慈悲はないを地で行く神機使いたちだ。逆にこの人達を倒せる奴が居たら出てきて欲しいくらいの戦力じゃないか。


 「……うん。その顔だともう大丈夫みたいだね」


 「まぁね……ありがとうナナ。俺、はじめてナナが年上だと思えたよ」


 「その余計な一言がなければよかったかなー」


 といいながらもナナは笑っていた。つられて俺も笑う。


 一通り笑いあい、ホットミルクではなくぬるい牛乳という絶妙に微妙な飲み物へと変貌してしまったそれを一気に胃の中に流し込む。
 その後、使い終わったコップを洗おうと席を立つと、


 「大丈夫です。不安なら私が君を守ってあげます!」


 「ファッ!?」


 下から生えてきたシエルがそのようなことをほざきました。
 いつから居たんだシエルよ……。


 「うわっ!?シエルちゃん居たの!?」


 「はい。初めからずっとスタンバッてました」


 「「なにそれこわい」」


 「ちなみにピアノの後ろにはジュリウス隊長、ビリヤードの下にはギル、ソファーにはロミオが隠れています」


 シエルの言葉に観念したのか、彼女があげた人物がこれまた彼女の言ったとおりのところから出てきた。こいつら……全部聞いてたのか。


 「いやー仁慈も年相応のところがあるんだなー」


 「逆に安心だな」


 「仁慈、お前の心配しているようなことは起きない。何故なら、俺が居るからだ」


 「ジュリウス隊長、それ貴方の台詞じゃありません。某油女一族の人のです」


 ツッコミを入れつつ、今回こうして隠れていたことには目を瞑ろう。多分たまたま俺を見かけて、元気がなかったから心配になったんだろう。ナナにも気付かれるくらいだからな。


 「よし、これから飲み明かすか」「明日決戦だろうが馬鹿ジュリウス、はよ寝る準備しろ」という修学旅行の就寝直前に行われる会話を聞き流しつつ、俺は心の中で彼らに感謝すると同時に明日はなんとしてでも勝とうと改めて決意した。
 








 




就寝前の出来事



ジュリウス「別にアレを倒してしまってもかまわんのだろう?」
ロミオ「俺、帰ってきたらシプレに結婚を申し込むんだ」
ギル「ノヴァなんか怖かねぇ!野朗ぶっ殺してやるぅぁぁあ!」
シエル「私の計算に狂いはありません」
ナナ「仁慈、無事に帰ってきたら話したいことがあるんだ……」
仁慈「……みんなどうした」
全員『ありったけの死亡フラグ立てておけば大丈夫かなって』
仁慈「(……明日本当に大丈夫だろうか)」