神様死すべし慈悲はない   作:トメィト
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ナナ偏の後半です。
今回なんか雑な部分が目立ちますが大目に見てくれると助かります。
我慢ならなければ指摘してくれてもかまいませんけどね。


第四十一話



  「よくもまぁ、あのアラガミの群れから逃げおおせましたね」


 俺がナナを抱えて逃げているときでも結構な数のアラガミに襲われたけど、あのときのジュリウス隊長たちの相手はそれをはるかに上回り、そしてその殆どが大型という状況だったはずだ。
 ヒバリさんも、俺が運び出す直前まで最大出力で暴走していたナナの力が原因で周囲に居る殆どのアラガミがあそこに向かっていたと証言してるし。あんな狭いところでどうやって逃げたんだろうか?


 「……?何か勘違いをしているようだな。俺たちは逃げてきたのではなく殲滅して帰還したんだ」


 「立てたはずの死亡フラグがストライキを起こした……だと……?」


 特に誇るわけでもない、まるで普段話をするような感じで己がやったことを口にするジュリウス隊長。
 もちろん。ジュリウス隊長に死んで欲しかったわけではない。この結果は俺が望んだものだ。望んだものなのだが、なんと言うかどこか納得できない……。まるで、優勝の人の反則が発覚して繰り上がりで一番になった……そんな感じだ。



 「と、そんなことよりナナの様子はどうだ?」


 「なんかサカキ支部長がナナの力が外に漏れださないような特別な部屋があるといってそこに連れて行きましたけど」


 極東に帰還した時はついついサカキ支部長に任せてしまったが、今にして思うとどうしてそんな部屋が既に用意されていたんだろう?
 そこまで考えたが、あのラケル博士と通ずるところがあるサカキ支部長のことだ。〝こんなこともあろうかと″の精神で用意したんだろ。きっと。たぶん。メイビー。


 「そうか。それならひとまずは安心といったところか。……今日はもう遅い。各員明日に備えてしっかり休んでおけ」


 どうやらジュリウス隊長はナナのことをサカキ支部長にまかせたようだ。まぁ、俺たちにできることなんてぶっちゃけほとんどないからなぁ。こればっかりは本人の心の持ちようだと思うし。
 ナナを心配しているのかどこか暗い表情のブラッドメンバーとアラガミ装甲用の素材が結構手に入ったと喜んでいる藤木さん、今にも死にそうな顔のフォーゲルヴァイデさんを見送り俺も部屋に戻ることにした。


 「ちょっといいかな?」


 したんだが、どうやら俺の仕事はまだ残っているらしい。
 いつの間にやら俺の背後にぬるっと忍び寄っていたサカキ支部長に話しかけられ、俺はもっと普通に話しかけなさいと注意したのち、ここではなんだからと言うサカキ支部長についていった。


 そんな感じでホイホイとサカキ支部長について行くと、連れて来られたのはいつもの支部長室ではなくその下の階層にある研究室であった。部屋の存在は病室に用があった際に知っていたが実際に入るのはこれが初めてである。
 初めて入る研究室に入室すると、床一面に張り巡らされた電線と部屋の中央に置かれていた四画面式のディスプレイが一番に目に付いた。
 何ここすっごい歩きにくいんだけど……。


 「少々ごちゃごちゃしているが気にしないでくれたまえ」


 「いや無理だろ」


 そんな事言うならどうして支部長室ではなくこっちに呼んだのか。


 「どうしてこんなごちゃごちゃして話の聞き辛いところにつれてきたのか、とでも言いたげな顔だね」


 何故ばれたし。


 「なに、唯の経験則だよ。それでだ。君が気になっているであろうここに来てわざわざ話をする理由だが……実はこの部屋の奥にある集中観察室にナナ君をかくまわせてもらっていてね。未だに精神が安定していないから、ここで様子を見ながら話をしたいというわけだ」


 「その集中観察室ってなんですか?」


 「昔ある事情で作ったものでね。ナナ君の血の力も外に影響を及ぼさないような構造になっているんだ」


 まったく俺の問いの答えになっていないんですがそれは……。まぁ、今は良いか。それよりここにナナが居るって言ったけど大丈夫なんですかね?
 その旨を四つのディスプレイを持つ機械をいじくっているサカキ支部長に尋ねる。


 「今からしっかりと説明させてもらうよ」


 彼はカタカタと打ち込んでいた手を休めて、椅子の背もたれに寄りかかるとゆっくりと口を開いた。


 「まずはどうしてあそこまでアラガミ達が集まったのかということから話そうか。君たちが血の力を発現させる時、その周囲に強力な偏食場パルスを発生させるんだけど……昨日の任務遂行時にアラガミの異常行動の原因となった強力な偏食場パルスはナナ君から発せられたものだと推測される」


 「でしょうね。何故あんなにヤクシャ・ラージャが来たのかは別として、その後に現れた大多数のアラガミがこっちに来たのは明らかにナナの血の力が原因でしょう」


 タイミングが完璧すぎたし、何より強力な偏食場パルスを発している所為か、血の力を出すとき特有の赤い波動がナナの体から吹き出していたのも確認しているしね。


 「やはり気付いていたようだね。正確には不完全な血の力の覚醒の効果だ。さて、あの不可思議なアラガミバーゲンセールの原因も解明に近しいようなことをしたことだし、ナナ君の様子について話そうか」


 「お願いします」


 「現在の彼女の状況だけど、きわめて精神が不安定な状態だよ。今は落ち着いているが、正直いつあのときのような状態になってもおかしくはないね。どうやら何かしらのトラウマを抱えているようでそれが全ての原因のようなんだけどね……」


 「こればっかりは本人次第ですからね」


 「その通りだ」


 心の問題とは大体そんな感じでしか対処できない。もしくは何かしらのイベントというか派手な出来事が起きれば荒治療になるものの回復の可能性が出てくる。
 え?なんでナナにトラウマがあるってわかるかって?
 あの錯乱のしようはそんな感じだろうとあたりをつけてるだけですよ?要は勘みたいなものである。多分間違ってないと思うけどね。


 「話も終わったし、もう部屋に戻ってもらって結構だよ。ナナ君との面会はもう少し精神が安定してからのほうがお互いに良いだろうしね」


 「そうですね」


 まぁ、精神が安定してきたらおでんパンでも作ってお見舞いの品として持っていこう。そのついでに彼女の話を聞けば多少は楽になるでしょう。
 もちろん無理強いする気はないけどね。





             ――――――――――――――――――――――



 さて、翌日である。
 昨日の解散時と同様にみんながナナを心配しつつ任務に出る中、何故か俺はソロでアラガミ討伐の任務に当たっていた。毎回思うんですけど、どうして俺だけソロプレイなんですかね。
 おっと、愚痴はいいとして、今日の任務のターゲットはスサノオという外見がボルグ・カムランと似通っている第一種接触禁忌アラガミである。
 しかし、ボルグ・カムランでは盾となっている両腕の部分が口になっていて神機を好んで捕食するという変わった偏食因子を持っている。神機使いの天敵といってもいいだろう。一説ではアラガミ化した神機使いの成れの果てとも言われているが真相は定かではない。


 「GuAaaaaa………」


 もう倒したけど。
 ボルグ・カムランで言う尻尾の部分(スサノオでは剣というらしい)をぶっ壊し、右腕を切り落とされたスサノオは俺にコアを喰われ、その形状を崩しつつあった。
 そんなスサノオを踏みつけつつ竹田さんに任務終了の報告を入れる。ちなみになんでスサノオを踏みつけているのかと聞かれれば神機を喰われそうになったからである。


 「竹田さん。任務完了しました」


 『はい。こちらでも反応の消失を確認しました。第一種接触禁忌アラガミの単独撃破お疲れ様でした。任務が終わった直後で申し訳ありませんが、外部居住区に侵入したアラガミの討伐をお願いします』


 この前対アラガミ装甲壁全改装してなかったっけ?突破されんの早すぎない?


 「了解しました」


 『ありがとうございます。では今から迎えのヘリを―――――えっ!?それは本当ですか!?』


 「どうかしましたか?」


 声の感じからしてまた厄介ごとっぽいけど。


 『外部居住区に侵入したアラガミたちがフェンリルの運送車に群がっています。腕輪の反応や強力な偏食場パルスを発しているところからナナさんが乗っているものと思われます!』


 oh………。
 確かに昨日トラウマを克服するには派手な出来事とかイベントが起きれば回復の可能性はあるとは思ったけどさ。回収早すぎだろ。
 というか、ナナって車運転できたのか……。


 『仁慈さん!ヘリの準備ができましたのでそちらに向かわせます!』


 何時も以上に焦っている竹田さんの声に返事を返そうと口を開こうとしたとき。僅かに残っていたスサノオの死体を捕食しようとしているヴァジュラと目が合った。
 ……どこからこいつが現れたとか、何気に俺ピンチだったんじゃないかとか、そういうことは後で考えるとして……


 「竹田さんヘリは別の部隊に回してください」


 『えっ?』


 「いい足見つけました」







              ―――――――――――――――――――



 走る走る走る。
 なんか勢いで脱走じみたことをして車をパクって走ってるけど、緊急事態だから少しは許して欲しい。
 外部居住区に侵入したアラガミを何とか全員釣り上げて、私は昨日自分が錯乱したお寺がある場所へと盗んだ車を走らせた。
 その辺で車を止めて、後ろに乗せてある神機を担いで外に出る。どうやら外部居住区のアラガミだけでなくここに来るまでにすれ違ったアラガミたちも付いてきてしまったようでその数は数十体にも及んでいた。


 「うわー」


 狙っておいてなんだけどこの数はさすがに予想外だったなー。
 自然と私を囲むような形で距離をつめてくるアラガミの群れを睨みつけながら両手に持っている神機をよりいっそう強く握り締める。
 いつもの調子ならこのくらいはいけるんだけど、今は自分でも分かるくらいに精神が不安定だからなぁ……。
 けれど、


 「やらないと、だね」


 もう自分だけが守られるなんて絶対に嫌だから。


 正面から襲い来るオウガテイル三匹の噛み付きを、頭にブーストハンマーを叩き込むことでやり過ごし、背後と両側から猛スピードで飛んでくるザイゴートをしゃがんで回避する。ザイゴートたちはお互いにぶつかり合ってふらついていた。
 その隙を突いて、脚に力を込めて地面を蹴り上げ、ふらついているザイゴートたちの上を取ると空中で一回転をして遠心力を上乗せした攻撃で地面に叩きつけた。


 死んだザイゴートたちの屍骸を踏みしめて着地し、今度は遠距離から雷を落とそうとしているヴァジュラテイルに向けてハンマーに内蔵されているブースターを吹かし急接近しそのまま加速した分のエネルギーを乗せて振り切る。
 それを喰らったヴァジュラテイルは背後にいた複数体のアラガミを巻き込んでお寺の壁に埋まった。



 「グルァ!!」


 「―――っ!」


 危なかったー。
 ちょっと力込めすぎてふらついているところにオウガテイル堕天種が飛び掛って来て、とっさにバックステップしてなければ頭食べられてたかも……。


 「やっぱり……きつかったかな……?」


 何時より切れるのが早い息を整えながらぼそりと呟く。
 多少は減ったもののまだまだ多くのアラガミが私を囲っていた。しかも、



 「GAAAAAAAAAAAAAAA――――――!!!」


 「くっ」


 すっごく強そうなのが来た。
 ヴァジュラのような体躯ではあるけど、全身が黒く顔は人間の顔のようになっている。周囲に紅い雷を撒き散らしながら向かってくる姿からは絶対に勝てないと思わせるオーラがあった。
 その黒いヴァジュラ擬きを呆然と見つめていると、急にその黒いヴァジュラ擬きが咆えこっちに向けて紅い雷の弾を放っていた。


 「ヤッバ……ッ!」


 呆然としていた時間が完全に隙となり、回避行動が遅れる。このままじゃあ直撃する!
 一か八かでジュリウスや仁慈がやっているように、紅い雷に神機を振るった。



 ――――その直後、想像を絶する衝撃に思わず神機を手放しそうになるが、歯を食いしばって無理矢理神機を振りぬいた。
 私を狙った雷はすぐ隣にある石垣に当たって霧散した。


 「はぁ……はぁ……なんとかなった……」


 けど、今の攻撃を防いだことで体に力が入らなくなってしまった。もう回避する力すら残ってない。
 対して黒いヴァジュラ擬きはまだまだ力が有り余っているようで既に次の攻撃に移っていた。


 私、ここで死ぬのかなぁ……。それはやだな。まだ食べたいものいっぱいあるし、ブラッドのみんなと一緒に過ごしたいなぁ……。


 紅い雷が再び放たれる。
 せめてもの抵抗として、絶対に目を逸らさないようにと自分に迫り来る雷を睨みつけて――――



 「――――ピカ〇ュウ十万ボルト!」


 ――――――そんな聞き覚えの有る声が耳に届いた。
 

 そして、その次の瞬間。
 私の目の前に青白い色の電撃が落ち、黒いヴァジュラ擬きが放った紅い雷を消し去った。


 「えっ?」


 唐突に起きた出来事に頭がまったくついてこない。何で上から電撃が?というか今の声完全に仁慈のだよね!?
 

 「おー、ギリギリセーフって所か?」


 何がなんだか分からずにおろおろしている私のすぐ隣からさらに私を混乱させた仁慈の声が聞こえてきた。
 こんな状況なんだけど、文句のひとつでも言ってやろうとそちらに視線を向ける。





 「よしよし。よく間に合ったな。えらいぞー」



 「グルル……♪」


 するとそこにはヴァジュラに乗って頭をなでている仁慈が居た。
 もうわけが分からないよ……。



 「ナナ無事か?」


 「精神的にはもう死に掛けてるよ……」


 「……?まぁ、いいや。ぱっと見、傷はなさそうだしね」


 その場を去っていく、ヴァジュラをじゃあねーと言って見送った仁慈は改めて私のほうに体を向ける。そして、軽く右手を握るとコンっと私の頭を軽く叩いた。


 「まったく……まだ本調子じゃないのに無茶して」


 「ごめんなさい」


 怒っているトーンではなく、どことなく安心したというトーンで言われる言葉だったので思っていた以上に罪悪感を感じてしまい、反射的に謝罪の言葉が出る。
 

 「いや、怒っているわけじゃないんだ。本当に無事でよかったよ」


 握っていた右手を解いて今度は優しく私の頭をなでる仁慈。
 ……そういえば、前にもこうしてなでられていたことがあったなー。なんか仁慈の手は安心する。なんて言うんだろ……こうされていると昔お母さんに撫でられてたときのことを思い出すなー。
 そんな事を思いながら、ほのぼのとした気持ちで仁慈のなでなでを享受していたら、横から大きな咆哮が飛んできた。


 「グゥォオオオオオオァアアアアア!!」


 「あ、そういえば今戦闘中だった……」


 すっかり忘れちゃってた……。
 

 「あ、まだ居たのかお前」


 仁慈のほうも完全に忘れていたっぽい。
 人間の言葉なんてアラガミは分かっていないはずだが、仁慈の言葉に反応するかのように背中から翼を生やし始めた。
 

 「うわ、変形した……」


 「おぉ、なんか強そう。ナナは今までの疲れがあるだろうし、後ろのほうに下がってな」


 神機を背中に担ぎつつ、一歩前に出る仁慈。そうは言うけど今は囲まれているはずなんだけど……。そう思い、チラリと後ろを見ると先程まで居たアラガミは居なくなっていた。いつの間に……。


 「ピカ〇ュウが喰ってった」


 そうなんだ。でもね。
 確かに今の私の体力はそこをつきかけている。でも、今仁慈と話していた時間で少しだけ戦える体力はある。それに、私はもう決めたから。


 一歩前に出た仁慈の隣に、神機を前に構えて並ぶ。
 私は決めた。前のように唯、守られているだけじゃない。私だって戦ってみんなを守るんだ。
 仁慈は、私を見て少しだけ驚いたような表情を浮かべたがすぐに顔を前に戻した。


 「下がってるのが嫌なら、一緒に戦うか」


 「うん」


 


             ――――――――――――――






 ヴァジュラとおっさんが合体したようなアラガミ強すぎワロエナイ。
 何だあの攻撃範囲と威力は。ガードしてもブッ飛ばされるし、どう頑張っても飛べそうにない翼ぶん回して攻撃しかけてくるし、どうしろって言うんだよ。


 ナナのほうも攻めあぐねているようで、ブースト吹かせて近付いてはバックステップを繰り返している。これはどうしたものか……。
 物凄い勢いの突進をジャンプで回避し迫り来る紅い雷は神機振ってお返しすることで対処しているがこのままだとジリ貧で負ける。どうにかして打開策をひねり出そうと頭をフル回転させるが、いい案がまったく浮かばない。
 もういっそのこと突撃でもかまそうかと、若干投げやりな思考になりかけたその時、おっさんヴァジュラの動きが止まった。
 もしや、この現象は……。


 思い当たる節がある俺はざっと周囲を見渡す。すると、いつの間にやらここに到着していたジュリウス隊長と共に群がっている小型アラガミを掃討しているロミオ先輩を発見した。


 「足止めしてやるから、さっさと止め刺しちゃえよ!」


 彼の言葉に頷くことで返事をすると、ちょうど隣にバックステップで帰ってきたナナとタイミングを合わせて一気におっさんヴァジュラに襲い掛かった。
 具体的にはナナがおっさんの部分に思いっきりハンマーを振り抜き、顔面を崩壊させ俺がその部分に神機を差し込む。
 鎌の形をしているから中に入れづらいが、無理矢理突っ込んでコアを直接捕食した。
 この一撃でおっさんヴァジュラを倒した俺たちは、すぐにジュリウス隊長とロミオ先輩に加勢し、十分後にはその場に居たほぼ全てのアラガミを殲滅した。
 その後、ナナがパクって来た車に乗って極東へと帰ってきたのだった。



 「ねぇ、仁慈」


 「なんぞ?」


 脱走擬き、独断専行、車の無断使用、神機の無断使用その他もろもろの罪状でお説教を受けていたナナと一緒に食堂へ向かう。
 その途中、彼女が急に話しかけてきた。


 「私さ。こんな感じで次々アラガミをおびき寄せちゃうんだけどさ……これからもブラッドとして仁慈と、みんなと一緒にいて……いいかな?」


 もしかしたらこれがナナのトラウマだったのかもしれないな。
 あの時もお母さんって呟いてたし。この体質、というか血の力の所為でお母さんが死んでしまった。だからこそ、あの状況でああなったと……そう見るべきか。


 どこかすがるようなナナの視線に俺は思わず苦笑する。


 「大丈夫だろ。ブラッドどころかこの極東の人達はアラガミに囲まれたくらいじゃあ死なないし。万が一駄目でも俺は一緒に居てやるよ」


 まぁ、ありえないけどなと最後に付け加え、少しだけ強く彼女の頭を撫でる。
 本来こういうボディータッチはセクハラっぽいから控えるべきなんだけれども、安心させるには有効な手段というのもまた事実。下心がないからゆるしてくだしあ。


 「うん!」


 満面の笑みを浮かべるナナ。
 うん、やっぱり彼女には笑顔や元気一番だな。


 おなかすいたぞーといいながらラウンジに爆走していくナナの背中を見送りながら俺はしみじみそう思った。












 「あ、そういえば仁慈。あのヴァジュラ、どうやって手なずけたの?」


 「神機突っ込んでコアの直前で止め、言うこと聞かなければ殺すと雰囲気で分からせた」


 こういったらナナにドン引きされた。解せぬ。

















            ―――――――――――――――――――
  






 ナナと仁慈がラウンジでご飯を食べ、その時たまたま居合わせたサカキがナナの血の力が正しく覚醒したことに気付いて大騒ぎしている頃。
 いつぞやに仁慈を大画面で移していた部屋にラケルはいた。


 「………」


 しかし、その様子は前回のようなうろたえた態度ではなくどこか呆然としているような様子である。
 

 しばらく呆けていたが、何かの確信を得たのかゆっくりと頭を上げてぼそりと一言呟いた。



 「荒ぶる神々の霊圧が……消えた……?」



 もう、このひと駄目なんじゃないかな。