神様死すべし慈悲はない   作:トメィト

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いつものごとく話が進まない。
そして、久しぶりのキャラ崩壊注意。


ゴッドイーターリザレクションに現を抜かして更新が遅れるかもしれません。
いや、ちゃんと書きますけどね?ほら……ゲームって時間を忘れちゃうから……。


第三十八話

 

 

 

 

 前回のあらすじ。

 死亡フラグが現在進行形で立っていることを予想したロミオ先輩は、俺に血の力の目覚め方を教わりに来た。そこで俺が取った手段は死ぬ一歩手前まで追い詰め、生存本能により血の力を目覚めさせる方法だった!

 果たして、ロミオ先輩に無事明日は来るのか!?自らの死亡フラグを打ち破ることができるのか!?乞うご期待!

 

 

 

 

 

 で、その結果。

 目覚めた。

 終わり。

 

 

 

 「おう、ちょっと待てよ仁慈。ほら、もっとこう……あったじゃん?語るべきことがさぁ。俺一晩中アラガミと戦ってその殆どの時間死と隣りあわせだったんだぜ?」

 

 

 「神機使いなんてやってればそのくらい普通普通」

 

 

 「そりゃそうなんだけどさ……」

 

 

 それに永遠とロミオ先輩が死に掛ける光景を語ったって何の面白みもないでしょ。ドラマチックのかけらもない。あったのは生物の本能にモノを言わせた泥仕合だったし。

いや、本来戦いはこういうものですけどね?

 

 

 「俺は自分が今この瞬間に生きていることがどれほどの奇跡の上に成り立っているのかを学んだけどな。っていうか原因であるお前がよくもぬけぬけと……」

 

 

 「いいじゃないですか。そのおかげか、凶悪な血の力に目覚めたんですから。何ですかアレ、アラガミが殆ど動かなくなったんですけど」

 

 

 そう。実はつい先程目覚めたばかりのロミオ先輩の血の力。例のごとく命の危機で目覚めたものなのだが、その命の危機というのがヴァジュラ四体にロミオ先輩が囲まれるという他の支部では壊滅必至、極東では日常茶飯事という状況だったのだ。

 

 

 さすがにまずいと思い、俺も神機片手にスタンバッていたんだがここで生存本能からくる強い意志が実を結びロミオ先輩から紅い色の風が吹きでた。

 そして、その吹き出た紅い風が周囲に居たヴァジュラたちの行動を完全に止めた。俺たちがヴァジュラたちに止めを刺すそのときまで。

 これを見た時、俺とロミオ先輩は同時に思った。

 

 

 ―――――なぁにこれぇ?

 

 

 アラガミの動きを強制的に止めるとか控えめに言ってもチートである。この能力を研究、利用すればアラガミ根絶やしも夢ではないし、アラガミ装甲壁に利用することができるならば完全に安全な地域を作り出すこともできる。ついでにあのサカキ支部長とラケル博士(あのマッドたち)の興味も逸らs―――ゲフンゲフン。

 

 

 「名前をつけるとしたらどんなのがいいでしょう圧殺?」

 

 

 「怖っ!?なんか俺のだけ感じちがくない?」

 

 

 えーっと……統制、喚起、直覚、鼓吹が今ある血の力でしょ。それに圧殺……やだ、すっごく浮いてる……。

 

 

 「こ、これでロミオ先輩もアラガミ絶対殺すマンの仲間入りですね!」

 

 

 「そのフォローの仕方はどうなんだよ……。そもそもその物騒な奴らは一体誰のことをいってるのさ。仁慈以外見たことも聞いたこともないんだけど?」

 

 

 「他のブラッドと極東の皆さん」

 

 

 「見たこと、聞いたことしかなかった人達!?」

 

 

 つーか知り合いしかいねぇ!と叫びを上げるロミオ先輩。

 そんなくだらないやり取りをしているうちに自分たちの周囲が明るくなっていることに気付く。軽く見渡してみると、いつの間にやら太陽がひょっこりと顔を出していた。どうやらこんなくだらないやり取りを俺たちは朝になるまでやっていたようだ。

 

 

 「まぁ、何はともあれ血の力に目覚めてよかったじゃないですか。正直、自分でやっておいてなんですけど……あれで血の力が目覚めるなんてそんなに思っていませんでした。しかもたった一晩で」

 

 

 「今聞き捨てならない台詞が聞こえた気がしたけど、まぁ確かにそうだな。正直今まで俺が悩んできたのはなんだったのかと思うくらいにあっさり覚醒したし……」

 

 

 なにやら落ち込んでいるロミオ先輩だが、覚醒方法が感情の爆発という漠然としたものだからなぁ。目覚めるときは案外簡単に目覚めるのかもしれない。このことに関しては考えないことが一番いい気がする。

 

 

 「……ま、いっか。結果として仁慈の言うとおり血の力に目覚めたんだし。感じていた死亡フラグの気配も完全に消え去ったしな。……みんなが起きたら自慢しよっと!」

 

 

 ロミオ先輩のほうも一応落としどころを見つけたのか、先程の彼本来の歳に見える真面目な表情を消し、いつものニタニタ顔でなにかを呟いていた。

 俺は俺で、今日もアラガミの大群が改修中のアラガミ装甲壁に近付かせないようにお掃除する仕事が始まるのかと溜息をついた。

 

 

 

 

 

             ――――――――――――――

 

 

 

           

 

 

 「先程極東支部から連絡が来てな。アラガミ装甲壁の改修、終わったそうだ」

 

 

 「マジかよ」

 

 

 アラガミ装甲壁ってアナグラとか外部居住区とかを囲ってるんでしょ?結構な範囲のはずなのにそれを僅か一日で終わらせるなんておかしいんじゃありませんこと?

 え?いつものこと?ですよねー。

 

 

 「お前の言いたいことも分かる。俺だって、一週間は最低でもかかると思っていたが……これではまるでピクニックだな」

 

 

 「日をまたぐピクニックはちょっと……」

 

 

 あれはのどかなところを散歩感覚で歩くものだと思うんですよ。

 ジュリウス隊長とくだらない話をすることで徹夜の眠気をごまかしながら一日でお役ごめんとなった仮設拠点をてきぱきと片付ける。ついでに空中でふわふわ飛んでいるザイゴートも片付ける。シエルが。

 

 

 「ふむふむ……このバレットもいい感じですね。今度あげましょうか?」

 

 

 「それはとりあえずいいんで、片付け手伝ってもらえませんか?」

 

 

 何私関係ないですよーって顔でザイゴート撃ち落としてんだ。こっちは寝ずの番をした後なんですが。

 

 

 「………私はほら……周囲の警戒に当たっていますので、片付けはできないんです」

 

 

 「だったらしっかり警戒しろ」

 

 

 つい今しがたお前が撃ち落したものをよく思い出してみろ。ザイゴートだったろ。

 ここまで来させている時点で警戒の意味がまったくないじゃないですかーやだー。

 

 

 「仁慈ー!おでんパン一緒に食べよー!」

 

 

 「てめぇも手伝え」

 

 

 おでんパンを片手ではなく両手に持ってこちらに走ってくるナナに、寝不足も相俟ってかなり荒い口調でそう言った。このくらいは許して欲しい。というか完徹あけで眠気をこらえながら片付けをしているのに両手におでんパンを持つという明らかに手伝う気ゼロのスタイルで現れたんだからな。

 

 

 「おぉう。だいぶおこだね。カルシウム足りてn「―――――――ッ!」うわっ!冗談だよ、冗談!本当は仁慈を手伝うためにきたんだからっ!」

 

 

 ナナは両手に持っていたおでんパンを某ピンクの悪魔のように吸い込んで口の中に含むと俺の横でテキパキと片付けの作業に移った。無理矢理口の中に詰め込んだ所為で頬袋が大きく膨らんでかなり間の抜けた表情だ。

 まぁ、今更手伝われても殆ど終わっているんですがね。

 片付けを終え、手に持てるものを回収して左腕に抱え込む。すると隣におでんパンを食べ終わったのか普通の顔に戻ったナナがつく。

 

 

 「お疲れ様。後でおでんパンあげる」

 

 

 「いらない。睡眠プリーズ」

 

 

 「膝枕でもしてあげようか?」

 

 

 「ベットのほうが寝れそうだからいい」

 

 

 そういうと彼女は再び頬を膨らませてこちらにジト目を向けてきた。その視線から逃げるようにナナが居る場所とは逆のほうに目を向けてみればそこにはドヤ顔のロミオ先輩とぽかんとした顔をしているジュリウス隊長&ギルさんコンビが居た。なかなかにレアな光景である。

 よく見てみると、彼らの近くには今しがた倒したと思われるアラガミの死体があった。おそらく、ロミオ先輩が自分の血の力を彼らに披露したのだろう。

 初見は誰しもあんな表情になると思うし。

 

 

 「フフン、どうだ!これで俺もお前らと同じステージに立ったぞ!」

 

 

 「た、確かにそうだな。まさかここまでとは……」

 

 

 「そうだろう、そうだろう!……でも勝てる気はまったくしないんだよな。特にジュリウスと仁慈」

 

 

 「アレは神機使いとかアラガミとかそういう枠組み外のイレギュラーだからな。気にするだけ無駄だ」

 

 

 ギルさんがぽんと肩を叩く。

 なにやらロミオ先輩が天狗になったと思ったら勝手に落ち込んでいた。意味が分からない。

 まぁ、あのままだと余計な死亡フラグが立ちそうだったからよかったのかもしれないけど。

 

 

 上空から聞こえてくるヘリの駆動音に意識を割きながら漠然とそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「フフ、最近ブラッド(あの子達)の様子はどうかしら。私の予想通りの成長を遂げてくれればいいのだけれど……」

 

 

 一人きりの部屋でそう呟き、ラケルは目の前にある巨大なディスプレイを起動し、ブラッドのさまざまな場面での映像が記録されているものを映し出した。

 何気なしにその操作を行っている彼女だが普通に犯罪である。犯罪ではあるが、そんな事は関係ないといわんばかりの迷わぬ手さばきであった。

 

 

 「ギルのほうは……しっかりと血の力に目覚めたようですね。……光速で動くとは思いませんでしたが」

 

 

 若干声が震えているものの、大まかな流れは変わっていないと一安心する。

 そこからしばらくは普通の日常が映し出されるが、つい最近行われたアラガミ装甲壁全改修のための防衛任務の映像を見たとき、彼女の表情ががらりと変化した。

 

 

 「え……えっ?」

 

 

 普段の様子とはかけ離れ、まるで普通の少女が驚いたかのごとき反応を見せるラケル。最初の頃に見せていた黒幕臭は休みを取ったのかと疑うくらいの変わりようだったた。

 彼女をそんなふうにした原因はもちろん自らが見ていた映像である。今、移っているのはロミオが血の力に覚醒した場面であった。

 

 

 「ロミオが血の力に目覚め……え?王のための贄は……?……えっ?」

 

 

 もう大混乱である。

 何とか考えをまとめようとしているもののまったく纏まっていない。むしろ今彼女の頭の中を埋め尽くしているであろう疑問の言葉がところどころ漏れ出していた。

 

 

 「………え?」

 

 

 

 この日彼女は唯ひたすらに自分の中から湧き出てくる疑問と戦いを繰り広げた。涙目で。

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




決定的な原作崩壊フラグをおったてた仁慈君であった。 
これからどうしようか……。

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