神様死すべし慈悲はない   作:トメィト
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最近、早くもスランプに陥っている気がする。内容も毎回同じようなものに感じるし。
これが見切り発車の弊害か……。
今回は短めです。一応リザレクションの体験版は一通り終わったので次回は今回のより早くあがると思います。多分ね。


第三十一話








 Q.片付けても片付けてもまったく片付かないものなーんだ?


 A.仕事



 「やめろ」


 ある晴れた日の朝、ラウンジの中央にある席に座って料理を待っていると、隣に居るギルさんから静止の声がかかった。急にどうしたんだろうか?


 「ごまかすな。さっきの思考、外に出てたぞ。ここには小さい子どもが居るんだ。そういうアラガミとは別の絶望を振りまくのはやめろ」


 その小さい子どもに料理作らせてるけどね、俺等。アレも立派な仕事じゃないかな?本人も好きでやっているみたいだからいいんだけどさ。


 つーか、そうやって言ってみたくもなるさ。極東支部に来てからなんだかんだで十日間くらいたったけどさ、俺はこの十日間一日平均四つの任務をこなす日々だったんだぜ?しかも、それとは別に個人の頼みごとも回ってくる始末だ。


 「そんなにか」


 「うん。朝起きて支度して、自分宛に届いた任務をやって、その途中で追加の任務が入って、終わらせて、また入って……それを永遠と」


 もうホントこれに関しては言ったかもしれないけど、どうせ任務することになるなら初めから言って欲しい。終わったーとか喜んでいるところに追加の仕事をぶち込むとかマジ勘弁。
 それプラス、シエルのバレット実験、エミールの相談、リッカさんのリンクサポートデバイスの実験と素材集めが加わっているんだ。まぁ、このことに関しては自分の意思でやってるからしょうがないけど。


 「……そういえばお前への任務は主にサカキ支部長とラケルだったはずだが」


 「ちっくしょう」


 あの二人が俺の任務を管理してるなんて絶望しかない。人が持てる最終兵器神に祈るも、そもそもアラガミが闊歩しているこの世の中で役に立つとは思えない。神と名のついているものを殺して回っているからこうなったのかな?
 どうでもいいことを考えて、ダブルマッド博士が俺の受ける任務を決めているという事実から必死に意識を逸らす。そうこうしているうちに極東支部の若すぎるお母さん、ムツミちゃんが無邪気な笑顔と共に料理を運んできた。ささくれ立った心が癒されていくのが分かる。
 あぁ^~心がぴょんぴょんするんじゃぁ^~
 ムツミちゃんマジ天使!
 


 「…………」


 「何さ」


 ムツミちゃんの笑顔に癒され、料理をパクつこうとしたとき隣のおギルさんからまるで質量があるのではと思うほどの視線を受けた。どうしたし。


 「……その視線……まさか仁慈、ロリコンなのか?」


 「いきなりなんて事を言い出すんだ」


 そういうこと、ラウンジみたいな大勢の人が来るとこで言うのやめてね?なんか知らないけどこの極東。噂とか情報とかが出回るのすっごい早いんだから。次の日からロリコンとか呼ばれたらさすがに泣くぞ、俺も。


 「別にロリコンじゃありませんよ。いい子を見ていると癒されるじゃないですか。毎日毎日大型アラガミ数体を刈り倒して回る物騒な日常の唯一の癒しですよ」


 ここ最近俺にまわされる任務は殆ど大型アラガミの討伐だ。ヴァジュラを筆頭にボルグ・カムランや現代兵器をブチかましてくるクアトリガというアラガミとも戦ったな。それが一日に最低三回だ。癒しを求めても罰はあたるまいよ。


 「一応俺からも口添えをしておく」


 「ありがとう……!」


 ギルさんマジ頼れる兄貴。彼に深々と頭を下げてよろしくお願いしますといってから食事を再開。大天使ムツミエルの料理を次々放り込む。その様子を見ていたギルさんも自分の目の前に置かれた料理を食べ始めた。モグモグ。
 十数分かけて、料理を完食。大天使(ムツミちゃん)においしかったよと伝え、任務に行く準備をしようと席を立ったところで、


 「あ、仁慈!こっちこっち!」


 ラウンジの壁に取り付けられているテレビの前に居たロミオ先輩になぜか手招きされた。

 
 「何ですか?」


 とりあえずロミオ先輩に近付く。彼の言葉に反応してしまったため気付かないフリをしてスルーのジツは使えないのだ。一応任務があるから長くなる用なら切り上げるけど。
 
 
 「ほら、見ろ見ろ!シプレの新曲だぞ!」


 俺を呼び止めたロミオ先輩は何時も以上の高いテンションで、ラウンジの壁に取り付けられているテレビを指す。
 どうしたんだこの人。葦原さんと会って話していたとき並にハイテンションだ。よく見たら藤木さんもテレビの前でスタンバイしているし……。
 何がなんだかいまいちよく分からないがとりあえず俺もテレビに視線を向ける。するとテレビには明るい黄色に近い金髪をツインテールにして、浮かぶ円盤の上に乗り、歌って踊る女の子の姿があった。何あれ?ボーカ〇イド?
 

 ロミオ先輩が言ったシプレ(?)の外見も違和感を感じるが、彼女が歌っている歌詞の「女の子は恋の計算が苦手」みたいのものにも違和感を感じざるを得ない。むしろ女の子ほど、さまざまな思惑や計算をして恋をする連中は居ないと思う。ラケル博士のことを考えてみろ。あの人絶対全ての物事を計算して行動してるぞ。近い将来男をたぶらかしてとんでもないことをさせそうだ。
 ……いや待てよ。
 ラケル博士はもう女の子という歳でもないし、ノーカウントかn―――――――殺気ッ!?

 
 突然、自分の背筋に冷たいものを感じた。それに対してここ最近の任務でさらに鍛え上げられた身体が反射的に警戒態勢をとった。最小限の動きで周りの様子を観察する。そうしてすぐにその原因を見つけた。
 たった今、ラウンジに入ってきたのかラケル博士が笑顔でこちらを見ていたのだ。当然のごとく笑っているのは表情だけで、彼女の目には冷たいナニカが渦巻いていた。
 うん。見なかったことにした。
 静かに視線を戻すと、移動を始めた円盤の上で電気を周囲にばら撒きながら踊るシプレ(おそらく)とその電気の影響か、神機兵が彼女に忠誠を誓うように剣を構えている。ボーカ〇ロイドじゃなくて常盤台のお嬢様のほうだったか。


 『神機兵、シルブプレ?』


 その言葉を最後に多くの疑問を残してシプレ(ほぼ確定)が画面から消える。そして次の瞬間には神機兵の搭乗者を募集するお知らせが流れ始めた。いいのか?神機兵に乗ってたらエ〇ヤ出てきたけど。


 というか、結局ロミオ先輩は俺を呼び止めてどうしたかったんだ?いや、このシプレとやらの新曲を聞かせようとしたのは俺を呼び止めた際にも言っていたから分かるんだけど、その後が分からない。聞かせてどうしようとしたのか……?
 考えても一向に分かる気配がないので、直接本人に尋ねてみる。しかし、ロミオ先輩は俺の呼びかけに反応せず、同じくテレビを見ていた藤木さんと一緒に仲良く固まっていた。
 ロミオ先輩だけならともかく藤木さんまでどうしたっていうんですかねぇ……。


 「シプレの新曲……すげぇ、いい……」


 「分かってますね、コウタさん……シプレの魅力……ガチで全開でしたね……!」


 「俺さ……大きくなったら、神機兵に乗るんだ……」


 「マジっすか……、やばいっすね……」


 ヤバイのはお前らの頭の中だよ。この脳内お花畑ども。というよりも、藤木さんまさか貴方もロミオ先輩サイドですか……。
 興奮しているのかだんだんと大きな声でシプレについて語り合う二人を見て、そう思う。しかもこの二人俺を呼び止めておいて完全に無視してるよ。俺これもう行っていいんじゃないかな?


 はぁ……とここ最近圧倒的に多くなった溜息を吐いてその場を離れる。ついでにラウンジからも出た。ラケル博士?全力でスルーしました。
 

 ラウンジを出て、結局ロミオ先輩は何で俺にシプレの新曲を聞かせようとしたのかを考えながら神機をとりにいく。まぁ、考えていてもまったく分からないので、最終的にいつものようにノリだろうと結論を付けて本格的に任務の準備を始めた。





         



 他愛なし。
 任務は特に問題もなく終わった。
 俺も順調に極東支部色に染まってきたと思うよ、うん。今回だってターゲットであるクアトリガを倒した後にその色違いが来たり、二体のヴァジュラを相手取っていたら外国にある像っぽい顔面を持ち全体的に青と白で構成されたヴァジュラの別固体っぽいものが乱入してきて、合計三対同時に相手取ったりしたけども……まぁ、ここ最近の日常だし。人間っていうのは慣れる生き物なんだということが良く分かりました(小並感)
 最近酔うこともなくなったヘリで極東に帰還して、竹田さんに任務の報告を済ませリッカさんに試作品リンクサポートデバイス改良のための素材を渡す。


 一連の行動を終えた俺は首をぐるりとほぐしてから、今日一日で体に蓄積された疲労を癒すためにラウンジへ向かう。
 そうして中に入ると、テレビの前で未だにシプレについて語り合う二人のあほの姿があった。ちゃんと仕事した後ですよね?まさか一日中そこで語り合ってたとか言いませんよね?もしそうだったらどうしてくれようか……。


 語りあう雰囲気似てるなコンビに向かって怨念を送ってると、服の袖をくいっと引かれる。一体何事かと思い、後ろを振り返ってみると、


 「この後、時間あるかしら?」


 なんということでしょう。そこには黒光りする笑顔を放つ、外見だけ病弱系清楚女性のラケル博士が……。


 「いや、それはちょっとアレなんで」


 何とか煙に巻こうと口を開くが出てくる言葉はいまいち要領の得ない言葉ばかり。そんなものでラケル博士をごまかせるわけもなく俺はそのまま彼女に連行された。


 「……そういえばシプレってラケル博士に似ているような……」


 「!?」

 
 「……ないか。胸部の装甲が桁違いだっ―――ガッ!?」


 「フフ、ウフフフフフフフ」


 その途中、余計なことを口走って、説教擬きプラス車椅子で脛を攻撃され続けたのはいい思い出でもなんでもない。