神様死すべし慈悲はない   作:トメィト
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今回の話について
全く話が進んでいないよ!すいません!
そんな感じですが、二十話どうぞ。



第二十話







あー……一週間の懲罰房行と言う名の休日が終わりを迎えてしまった……。
これから再び毎日アラガミと戦わなければならないと考えるととても憂鬱とした気分になる。
まとまった休日もらったりすると、次仕事や学校行くのがとてつもなく面倒に感じるよね。
屈強な懲罰房の監視担当と思われるフライア職員に何故か敬礼されながら俺は懲罰房を後にした。


懲罰房は色々とやらかした人が入る場所なので普段フライアで使っているロビーなどからは結構離れていたりする。多分人が着にくくするためだろうけど。
で、その関係上今の俺の目的地であるロビーがとても遠い。つまり何が言いたいのかと言うとロビーまで行くのが面倒くさいです。
懲罰房でぬくぬくとしていた所為なのか完全に腑抜け切っているなぁと自分でも思いつつ、ジュリウス隊長に簡単なリハビリを兼ねた訓練でもやってもらおうかと考える。


……やめよう。
あの人がそんなことするわけがない。訓練と言いつつ殺意しか感じないようなメニューを出してくるに違いない。ソースは俺。


ならばどうやって自分の根性や戦いの勘などを取り戻そうかと考えていると、前の方からフライアの職員が歩いてきた。
フライア職員は何故か俺を見ると怯えだすという摩訶不思議な性質を持っている。
そのたびに俺の心にダイレクトアタックするのだがいったい彼らは気づいているのだろうか。
まぁ、むやみに怯えられるのは相手的にも俺のメンタル的な意味でもよろしくないのでなるべくフライア職員と距離を取りすれ違おうとした。しかし、


「やぁ。仁慈君。懲罰房から出てこれたんだね、おめでとう!」


「!?」


誰だこいつ。
こんな爽やかな奴知らないんですけどっ!?
最近フライアに勤め始めた新人さんですかね?
声を掛けられた衝撃が大きすぎて、その後彼が何を言っていたのかは全く分からなかったが、去っていくときも爽やかな笑顔と共に手を振られたことだけは記憶に残った。


……なんかどっと疲れた。
普段慣れないことをすると疲れがたまるのはよくあることであるが、まさか人に普通に話しかけられたことがこれほどの疲労をかんじさせるとは。
っていうか今の理論で行くと俺が人と会話することが慣れていない人という事に……うん、これ以上考えるのはやめよう。なんていうか……よくない。うん。


これ以上考えてもいい結果は出なさそうなので完全に思考を放棄する。
さて、さっきの職員は俺が見た幻という事にしてとっととロビーに向かおう。


「仁慈君!懲罰房からでることができたのかい!?」


またかよ。








正直、超展開すぎて全くついていけていない。
割と真面目に説明が欲しい。
今現在、なんとかしてロビーの前に来ている俺だがここに来るまでに五人のフライア職員に絡まれていた。
このフライアに来たころには考えられない現象である。しかし、彼らに絡まれているうちにだんだんと俺に話しかけてくる原因が分かった。


俺に話しかけてきたフライア職員は総じてグレム局長にいい感情を抱いていたわけではないらしく、シエルに命令を下したとき彼らの怒りも有頂天だったらしい。
そんな時、俺が色々と暴言を交えつつグレム局長を言いくるめたために、俺に話しかけてきたんだと。
どんだけ人望がないんだ、グレム局長。上に立つものとしては致命的だぞ。


で、ついでに話しかけてくれるようになったついでにどうして俺を避けていたのか聞いてみたところ、適合試験での俺の態度がそうさせたらしい。
曰く、適合試験は神機と人間の喰い合いで、結構な痛みを伴うそうだ。
それに対して俺は痛みを感じた風ではなかったため、元から化物やら一瞬で神機を手なずけた化物、実はアラガミと言った風な噂が立ったらしい。


最近、ブラッドメンバーに人外と言われ、一週間前にコンゴウを蹴り飛ばした俺としては何とも否定しづらい噂であった。
っていうか初めの噂も割と自業自得だったでござる。


なんでだ。
俺にたまっている疲労が任務でも感じたことのないくらいに膨れ上がっている。実は精神が貧弱なのかもしれない。
そう、自己分析しつつ俺はロビーに入った―――――――瞬間、結構な速度で飛んできた何かが俺の鳩尾に攻撃を入れてくれやがった。


「おぐっ!?」


当然、意識外から与えられた痛みは通常より大きな痛みとして俺にフィードバックする。何が言いたいかと言うと超痛い。
具体的には家の中でタンスの角に足の小指ぶつけたくらい痛い。思わず涙が出てきちゃうレベル。
一体誰だ、精神的に弱っている俺を肉体的にも殺そうとしてくる奴は……。
未だに鳩尾にぐりぐりと何かを押し付けるような事をしているものの正体を暴こうとそこに視線を向けると、


とても満足そう……と言うか若干トリップしている感じのシエルがぐりぐりと自分の頭を俺の鳩尾にこすり付けていた。
……何故だろう、シエルから犬の耳としっぽが生えているように見える……。
幻術かな?
だがしかし、なんというか女の子特有のいいにおいがするんだよなぁ。


「し、シエルザン!?ナンデトツゲキヂテキタンディスカ!?」


やべぇ、ちょっと動揺して変な言葉が出た。
それにしても……一体この1週間の間にシエルに何があったというのだろうか。
声をかけたにもかかわらず一向に離れる気がないシエルに耐えかねて、ロビーにいるほかのブラッドメンバーに助けを求めてみる。


ジュリウス隊長……じゃれ合っていると判断していい笑顔をこちらに向けている、次。
ナナ……イイ笑顔でこちらを見ている。動く気配ゼロ、次。
ロミオ先輩……ニヤニヤしている。後で腹パンな「なんで!?」……次。
ギルさん……帽子を深くかぶってそっぽを向いた。完全に見捨てたようだ、次。
フランさん……カタカタ機械をいじってこちらに気付いてすらない。
結論、助けはない、現実は非情である。





































その後、俺がぐりぐり地獄?天国?から解放されたのはまさかの1時間後であった。
しかも今はぐりぐりしていないとはいえ、ぴったりと俺の隣についてきている。


「あのー、シエルさん?少々距離が近すぎやしませんこと?」


「そうですか?久しぶりに会ったのですし、このくらい普通でしょう」


「久しぶりって……3日前にも会いに来たでしょ」


「いいえ。73時間45分24秒ぶりです」


「お、おう」


怖い。この子怖いよ。
本当に俺がいなかった1週間で何があったの!?
少なくとも1週間前まではこんな子ではなかったのにっ!いったい誰だ、あんなに純粋だったシエルをこんなにしたのは!
ちょっと病んでるように感じるんですけどぉ!


「どうしてそんな正確に把握しているんだ?」


「仲間のことは随時知っておいた方がいいっとラケル先生が……」


ちっくしょう。
またラケル博士かよ。あの人マジで精神が病んでそうだから、他人をそっちの道に引きずり込むなんてどうってことないように感じる。
もう、何か変なことが起きたら大体ラケル博士の所為なんじゃないかなぁ?


「ハハハ……はぁ……」


乾いた笑いが思わず口からこぼれる。
もう自分の部屋に帰って寝たいよ。
俺は何とかしてシエルに離れてもらい、俺たちの方を見てニヤニヤしていたロミオ先輩に通りすがりに腹パンをかまし、いい笑顔でおでんパンを差し出してきたナナにそれを彼女の口にツッコミ、ギルさんに軽く挨拶をして、俺の心境を全く察してくれなかったジュリウス隊長に話しかける。


「こんにちは、ジュリウス隊長。俺のことで何か言いがかりとかされました?」


「いや、大丈夫だ。どうやらお前の説得……と言うか暴言に近い理論が効いたようでな。あからさまに暴言を吐いたお前にしか処罰を下せなかったらしい」


それを聞いて少し安心。
俺の暴言のせいでジュリウス隊長に責任やら何やらが行ったらさすがに申し訳がないからね。
……そう言えば、処罰で思い出したけど、


「あの……ジュリウス隊長。どうして俺が1週間の懲罰房行で済んだかわかりますか?」


よくよく考えてみれば、俺は命令違反だの暴言だの結構なことをやらかしている。いくらある程度理論の通ったことを言ってもあの局長の性格なら何とかして査問会くらいにはかけそうなものだが……。


「あぁ、そのことか。それならフランのおかげだ」


「えっ?フランさんの?」


予想外の名前が出たので少々戸惑う俺。
そんな様子を知ってか知らずか、ジュリウス隊長はそのまま言葉を紡ぐ。


「なんでも、フライア職員にグレム局長の悪い噂(あることないこと色々あるよ)を流し、フライア職員の仁慈に対する悪印象を消しつつ、グレム局長が好き勝手にできないようにしたらしい」


え、えげつねぇ……。
今何気ない普段通りの顔で仕事をこなしているフランさんがそんなことをしたのか……。
しかし、変な噂が流れている(自業自得)ときに恐れないで話しかけてくれたり、今回のように陰ながら助けてくれるなんてフランさんマジ天使。
天使!女神!フラン!


真実を知った俺はとりあえずフランさんを拝むことにした。
その場面を見られたのか、フランさんが何やらおかしな人を見るような冷たい視線を送ってきた。
今日懲罰房を出てからそれが一番ダメージがでかかった。