神様死すべし慈悲はない   作:トメィト
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シエル覚醒イベントを期待していた方はすいません。
それは次回に持ち越しになりそうです……。


第十八話








部屋に戻った俺は現在、今日自分が知り得た情報の整理をしていた。


いつの間にかアラガミの動物園と呼ばれている極東地域に向かう事になっていた。
色々あったがとりあえずは、これだろう。
別に極東に向かう事に文句はないけどさ。
俺たちを置いてけぼりにして勝手に決めるのはどうかと思うのです。


もう一つは神機兵の件だ。
シエルから話を聞いた後、自分でも神機兵について調べてみた。自室に備えてあるターミナルを使ってだ。
……最近ターミナルが俺にとってのグーグ〇先生のような感じになってきているような気がする。


まぁ、それはいい。
神機兵を調べた結果、賛否両論だったな。シエルの言ったようなメリットもそうだし赤い雨にさらされても平気だからより安全にアラガミを倒すことができると記載されていた。
シエルの情報にはなかった批判でデザインに対する批判があったのには笑ったな。


「しっかし、赤い雨ってなんだ?」


初めて聞く言葉に思わず首を傾げる。
分からないなら調べる。これ基本。と言うわけで助けてターミナル先生!


カタカタカタとターミナルを操作し、赤い雨についての情報を集める。


赤い雨


2074年から極東地域で観測されるようになった異常気象、およびそれによって降下する赤い色をした水滴のことを指す。
人間はこの雨に触れること高確率で「黒蛛病」を発症する。降下後しばらくすると赤みが抜け、通常の雨と同じ性質になることが確認されている。
現在、その根本的な発生要因は判明していない。


なるほど。
人体にはという事はこの赤い雨の中でもアラガミは問題なく行動できるわけだ。
これは確かに厄介だな。これを防ぎ、アラガミと戦うことが出来るのは大きなメリットかもしれないな。
赤い雨と神機兵に関しての考察をしながら、赤い雨の内容で黒蛛病についても調べる。


黒蛛病


赤い雨に触れると高確率で発症する病気。
相手は死ぬ。


雑っ!?説明雑っ!?
なんだよ、相手は死ぬって。相手って誰だよ。説明がエターナルなブリザードじゃねえか。
ツッコミどころは多大にあったが、とりあえず情報として頭の中に入れておく。


「こうして考えると今俺が何言ったところで全く意味をなさないよな」


あの話の後、既にフライアは極東に向けて進路を変更しているし、神機兵についてはすでに開発が終わって世に出回っている。
つまり、俺にできることは今まで通りにアラガミを片っ端からぶっ殺すことなのだが…


どうにも嫌な予感がする。
シエルの言葉に不安を感じた時と同じような感覚を覚える。
ラケル博士も手を加えているというのが末恐ろしい。彼女ならチョイチョイっと改造し自分も遠隔操作できるようにしていてもおかしくないように感じる。


「……いや、やっぱ考えても仕方ないな。寝よ寝よ」


再び思考の海に落ちそうになった意識を何とかサルベージし、俺は睡眠によってその意識を落とした。

























フライアが極東地域に向かいだしてから少し経った。
それだけなのに、アラガミが微妙に強くなったり、今までよりも多くのアラガミが現れたりするんだけどどういうことなの……。


ま、まぁ。
任務の成功が多少面倒になったがおおむねいつも通りの生活を俺たちは送っていた。


……ゴメン、嘘ついたわ。
シエルが殆ど俺の任務に付いてきたり、最近構ってなかったのがいけないのかナナも対抗するように任務について来たり、そのことを聞きつけたロミオ先輩が「両手に花じゃん!うらやましいな、このこの!」と言って来たのを作画崩壊パンチ(ただの腹パン)で沈めたりしてました。
してましたというか、しました。
と、いうわけで俺の目の前にはお腹を押さえて地面にうずくまるロミオ先輩がいます。
一体誰がこんなひどいことをッ!


「お前だよ!お前!」


予想以上に復活早かったですね、ロミオ先輩。
もう少し沈めるつもりで放ったんですが。しっかりと腰もいれましたし。


「ガチだなお前。全く、伝言を伝えに来た先輩に対して何て対応なんだ」


「用事があるならはじめっからそういえばいいのに。余計なこと言うからですよ。昔から言うでしょう?口は災いの元って」


「だからって急に腹パンが来るとは思わないだろ……って、そうじゃない。このままだと話が脱線してしまう」


「初めから正しいレールに乗ってませんけどね」


「そういうこと言うなよ……。伝言っていうのはだな、また局長室に集まってほしいんだと」


「またですか……前回話題に上がった神機兵の事ですかね?」


「さぁ?そこまでは聞いてないからわからないけど。グレム局長だからな。いいことではなさそうだぞ」


「何でちょっと他人事なんですか」


「だって今回呼ばれたのはジュリウスにシエル、あと仁慈だけだぞ」


「うわぁい」


メンツ的に見ればブラッドの隊長に副隊長、最近入隊したばかりとはいえ参謀ともいえる位置に属するシエルが呼ばれるのは分かるけど。


「まったく嬉しくねぇ」


あの部屋タバコというか葉巻臭いからあんまり行きたくないんだよな。
今回も吸ってたら絶対に咳き込むわ。


「ま、頑張れ副隊長。応援してるぜ!」


「いい笑顔で送り出してくれますねコンチクショウ」


しかも親指を立てるサービスまで付いてきている有様。
覚えてろよ……。
爽やかな笑顔で送り出すロミオ先輩に恨めしい視線を向けてから、俺は局長室に向かった。


























局長室に向かう途中で同じく呼び出されていたジュリウス隊長とシエルに会った。
目的地が一緒だから当たり前っちゃ当たり前なんだけど。


「ジュリウス隊長。今回呼び出されたのって前回話題に上がっていた神機兵と関係あったりします?」


「なんだ?ラケル先生から聞いていないのか?今回の任務は無人制御された神機兵の護衛だ」


聞いてないんですけど……。
また俺だけか?それともラケル博士を避けている俺の自業自得か?判断しずらいな。


「へぇー。実戦で実験できるくらいには完成してるんですね」


俺たちが護衛っていうのは自分の心情的にはいまいち納得できないけど。
だが、今後の事を考えれば必要だという事もまた事実。


「そのあたりは微妙なところだと思います。どうやら有人制御の神機兵が非人道的だという方たちが多く、このままでは神機兵生産の目処が立たなくなる可能性が出てきているようです。なので、今回の実験は多少の無理があっても実行しなくてはいけないのです」


俺の言ったことにそうシエルは答えた。
……なるほどねぇ。このまま成果が出なかったら計画自体が凍結もしくは消滅、多少の無理をしてでも有用なデータを取っておきたいわけか。
色々面倒だなぁ、大人の世界は。


こんな感じで三人で話しているとすぐに局長室に到着する。
俺たちの代表としてジュリウス隊長が一言かけてから局長室に入ろうとしたところで、ひとりでに扉が開く。
一体どうしたのかと体をずらし、見てみれば浮かない顔をしたレア博士が局長室から出るところであった。


彼女がこちらにお辞儀をしたので俺達もお辞儀で返す。
しかし、彼女はこちらの反応など確認せずにさっさと立ち去って行った。
……なんぞ?


「ジュリウス・ヴィスコンティ以下2名入ります」


もうすでに入ってますけどね。
レア博士が開けたときにズカズカとね。
声に出したら話が進まないので言いませんけどね。


部屋の中にはエラそうに踏ん反りかえって椅子に座っているグレム局長と相も変わらず死にそうな顔をしているクジョウ博士の二人がいた。
やっぱ、神機兵絡みの話か。


「君たちもラケル博士から聞いていると思うが、今回の任務は無人運用される神機兵の護衛だ。詳しい内容は……あー、クジョウ君」


「はい、無人運用された神機兵が現在の段階でどこまで戦えるのか……これを知りたいのでできれば皆さんには神機兵がアラガミと一対一で戦う状況を作ってほしいのです」


「…………露払いをしろ。という事ですか?」


おや?珍しくジュリウス隊長の声音が低いぞ。
機嫌でも悪いのか?


「そうだ。今回の主役はあくまでも神機兵だ。そのことを肝に銘じておけ」


「………失礼します」


ジュリウス隊長はそのままくるりと後ろを向き、退室しようとする。
俺とシエルはそれに慌ててついて行った。




「珍しいですね。ジュリウス隊長があんな対応をするなんて」


局長室を退室した後、多少の距離を取ったところで先程気になっていたことを本人に向けて話してみる。
すると、彼は何時もの真顔のままこう言った。


「いくら有用だからと言って、我々が機械のお膳立てをするのが少々納得できないだけだ。俺達神機使いを含めたすべての人が安全を確保できるように作られた機械を俺たちが危険を冒して守るっということがな」


「へぇー。本音は?」


「あんなのより俺の方がよっぽど強い」


だから納得いかないんですねわかります。


「……さすがに冗談だぞ?」


「分かってますよ」


貴方はなんだかんだいってしっかり隊長してますものね。
なんか大変な状況に陥っているときと、戦闘中に限りますけど。
さて、こんな経緯で入ってきた今回の任務だが絶対順調に進まない気がするんだよなー。
ソースは俺。


何となく、嫌な予感を感じつつも俺はジュリウス隊長やシエルと一緒にロビーへと向かった。