神様死すべし慈悲はない   作:トメィト
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投稿が遅れて本当に申し訳ありません。
理由についてはすでに活動報告に書いてありますのでそちらをご覧ください。
案外早くにパソコン使用の許可を親からいただいたので早速書き上げました。
それではVSイェン・ツィー戦、スタートです。


第十五話




「ビューティフォー」


「初弾、二発ともに命中。頭部の部位破壊に成功しました。しかし、さすがに向こうも気づいたようで、こちらに向けて接近中です」


シエルさんが俺達の狙撃の内容と敵の行動をみんなに伝える。
すると、それを聞いたジュリウス隊長がすぐさまイェン・ツィー討伐のポジションを考え、発表した。


「シエルは後方でサポート、ナナは前衛。俺と仁慈はそれぞれ後方支援と前衛を交互に受け持つと同時に奴のタゲ取りをするぞ」


「「「了解!」」」


ジュリウス隊長の指示が終わり、みんなが返事をした後、狙撃の場所として使っていた高台から跳び下りイェン・ツィーを待ち伏せる。
高台に居たままだったら狭すぎるからね。


待ち伏せてからしばらくしないうちにイェン・ツィーが俺たちの目の前に現れた。走って。


「羽使わないんだ……」


「そんなのシユウだって一緒でしょー?」


「いや、あいつの羽って思ってた以上に羽してるじゃん?だからてっきり飛んでくるのかと……」


「何わけのわからないこと言ってるんですか!来ますよ!」


シエルさんが言うのと同時に、イェン・ツィーは左の羽を曲げて腰と思わしき部分に当てる。
そしてもう片方の羽でこちらを指した。


唐突に行ったイェン・ツィーの☆意☆味☆不明☆な行動にそろって首を傾げる俺を含めたブラッドメンバー。
それがいけなかったんだろう。次の瞬間に状況は急変した。


『周囲の偏食場パルスに異常事態発生!何故か仁慈さんに偏食場集中しています!』


さっき俺を指したのはそれかっ!
しかし、


「偏食場パルスが集中するとどうなるんです?」


分からないので聞いてみた。


『簡単に言うとアラガミに狙われやすくなります。仁慈さんしか眼中にないレベルで』


「マジか」


言葉だけ聞けばなんか素敵っぽいけどアラガミだからなぁ。
にしても、俺はいっつもこんな役割だぜ。もうアラガミホイホイに名前改名しようかな…。
ま、まぁ、さすがにこれ以上は何もないだろう。そう考えていたのだが……世間ではそれをフラグと言う。実際、


ボッ、ボッボッ。
イェン・ツィーの周囲からイェン・ツィーと同じような色鮮やかな色彩を持つアラガミが何の前触れも出現するという非常に面倒くさい状況になってしまったのだ。
そして、その形は、最近やられ役として親しまれているオウガテイルのような形状だった。オウガテイルさん仕事しすぎぃ!


「何急にポップしてるわけ?」


いや、ホントマジで。
さっき俺に偏食場パルスが集中してるってフランさんが言ってたじゃないか。このままだと確実に袋叩きにされるんだけど?
確かに?作戦的には大助かりなんだけどさ、攻撃の集中化。でも複数体は聞いてないわ。
こんなんだったら俺よりジュリウス隊長にしてほしかったんだけど。


「フラン、イェン・ツィーの周囲から小型アラガミが急に出現した。そちらで感知できたか?」


『少々お待ちください………わかりました。そのアラガミ達が出現する少し前、周囲のオラクル濃度が急激に上昇していました。おそらく、あのアラガミがやったのではないかと』


「自らアラガミを生み出すことができるのか……偏食場を集めた能力といい非常に強力かつ厄介だな」


「考察もいいんですけど早く助けてくれません!?」


ジュリウス隊長が呑気に考え込んでいるからまだ戦ってないかと思ったか?
残念!現在フランさんに言われた通り俺が全ての攻撃を襲ってきているので頑張ってさばいているのでした!
ガチで助けてよ……。


「だーっ、もう!いい加減うっとおしいっつーの!」


左右から跳びかかってくるオウガテイルモドキに対し、一度バックステップを踏む。
そして、オウガテイルモドキの跳びかかりを回避すると同時に、一気に始末できる距離にまで誘い出すことに成功した。
その隙を逃さず攻撃を外して戸惑っている二匹を纏めて薙ぎ払う事で屠った。


「ふーっ、まず二匹っと……。まだいるんだよなぁ」


俺の必死の様が伝わったみたいで、イェン・ツィーにはさっき決めたポジション通りジュリウス隊長やナナ、シエルさんが相手をしていた。向こうは俺を狙っているみたいだが。ジュリウス隊長がいい感じでこっちに来ないように立ち回っていた。さすがです。
で、ここで俺の仕事はわいてくる奴らの引いつけと始末なわけである。
さっさと片付けて援護しにいかないとね。


未だにポンポンわき続けているオウガテイルモドキの群れに俺は咬刃展開状態に神機を変化させ突っ込んだ。
























やはり、初の感応種戦にはいろいろとアクシデントが発生するようですね。
ジュリウス隊長とナナさんがイェン・ツィーの相手をしているのを見て思わずそう考えます。
……ちゃんと私も仕事してますよ?


原種であると推測されるシユウとは細かな攻撃方法や、空中にいるときの滞空時間などに差があるのでさすがのジュリウス隊長も攻めあぐねているといったところでしょうか?あ、ナナさんが危ない。
気付いた私はすぐに回復レーザーを撃ちました。
放たれた回復レーザーはナナさんに向けて湾曲を描きながら進み、しっかりと命中します。


「シエルちゃん、ありがとー!」


「どういたしまして」



私にお礼を言ってナナさんは再びブーストをふかせながらイェン・ツィーに急接近し、神機で殴打し始めました。
……こういう時は確か、まっくのうち!まっくのうち!というのが通例だとラケル先生に教わったことがありますね。


標準を合わせ、イェン・ツィーに向けて何発目かもわからない弾を撃ちだす。
それで次の行動を崩されたイェン・ツィーはジュリウス隊長に左の羽を切られていた。


……本当にブラッドは不思議だ。
確かな戦術を立てたわけでもないのに、毎回毎回普通に予想以上の戦果を挙げてしまう。逆に私が理論を中心とした戦術を組み立て、実行するとその能率はぐんと下がってしまうのだ。


こんなのは教えてもらっていなかった。
しかし、どんなに調べても答えが見えてこなかったので一度だけ副隊長に訊いたことがある。「どうして精密な戦術もないのにあんなに戦果をあげられるのか?」と。
そう聞くと副隊長は苦笑しながらこう返したのだ。「みんな考えること苦手の脳筋だから」と。


正直意味がさらに解らなくなったが、このブラッドで過ごしていくうちに何となくわかった気がする。
みんな私よりも早く実戦の中で生きていた。
彼らの動きはすべてそれらから持ち得た情報を元に構成された戦術だったのだと。
それは、当時知識だけだった私とそりが合わないわけだ。


しかし、それは逆に個人の能力に大きく依存していることになる。
一部隊としてそれが正しいとも思えないのだが……


色々とごちゃごちゃな頭で、何となく偏食場のせいで多くの小型アラガミを一人でさばいている副隊長に目を向ける。
すると、


「………やべぇ、神機抜けねぇ」


地面に刺さった神機を必死に抜こうとしている副隊長の姿があった。
って何やってんですかぁ!あの人!


「グォアアアア!」


ほら、背後からアラガミが襲いかかってきていますよ!
咆えているのにも気づいていないのか未だ神機をどうにかしようとする副隊長。
このままだと本当にやられてしまうと思い咄嗟に銃を向けるが、このタイミングでは間に合わなかった。
マズイ、と思ったその瞬間


「……なーんちゃって」


ニヤリと副隊長が笑うと刺さっている神機の持ち手の部分を思いっきり蹴り上げた後すぐさま右に転がり出しました。
何事かと首を傾げるもすぐに意味が分かりました。


なんと、地面に刺さっていた神機が土を抉りながら回転して副隊長に襲いかかろうとしていたアラガミの頭を切り裂きながら上に飛んで行ってしまったのです。


この時点で色々おかしいのですが副隊長はさらに、近くにいたアラガミを踏み台にすると跳びあがり、自分で蹴り上げた神機を空中でつかみました。そしてそのまま捕食形態に移行し踏み台にしたアラガミを丸呑みにしてしまったのでです。


「よし。これで粗方片付いたかな……ジュリウス隊長の方はー……攻めあぐねている感じかね。俺も加勢するか」


肩に担いだ神機を再び構え、そう呟いた副隊長はイェン・ツィーに突っ込み、すれ違いざまにイェン・ツィーの足を部位破壊していきました。


……やはり、副隊長はどこかおかしいですよ。
伝説の極東人なんじゃないんですかね?


ハァと溜息一つついた後私もイェン・ツィーに向けて銃を放つのでした。

































モテモテ状態(アラガミ限定)が解除される頃にはイェン・ツィーはすでに虫の息だった。
隊長が羽を丁寧にそぎ落とすからなんかもう見るも無残な姿になってしまっている。
さすが、あらゆる手段を使って完膚なきまでに叩き潰せと言ったお方は違うでぇ(震え声)


その後も頑張って生き残ろうとあがくイェン・ツィーだったが無駄無駄、ジュリウス隊長が居る時点でもう死ぬしかない。
が、止めを刺したのは何とナナの渾身のフルスイングである。


それを受けて力尽きたイェン・ツィーはボールに用に地面を数回バウンドする羽目になった。ナナ強ぇ。


何にせよ、感応種であるイェン・ツィーを討伐したことに雰囲気が緩和した時、俺たちに向けて話しかける声があった。


「あのー……貴方達は?」


その人は正気かと思えるくらいの意味不明な服を着た綺麗な女の人だった。
また痴女かよ。それはナナでやったよ。もうおなかいっぱいだよ。
俺はげんなりしてその女の人から視線を外した。これ以上疲れたくないしな。


「失礼。フェンリル極致化技術開発局所属、ブラッド隊隊長ジュリウス・ヴィスコンティです。オープンチャンネルに救援要請が入ったため、こちらに参りました」


「フェンリル極東支部、アリサ・イリーニチナ・アミエーラです。救援要請へのご対応ありがとうございます」


「いえ」


そこで隊長とイリーニチナさん?アミエーラさんか。アミエーラさんとの会話が途切れる。


「おーわったー」


「あー……疲れた」


「お疲れ様です、副隊長。後、ちょっと話があります」


「ファ!?な、何をそんなに怒っていらっしゃるんですか、シエルさん」


「貴方の戦い方は無茶苦茶すぎます、見てるこっちの方がドキドキしますよ」


唐突に始まった説教に驚愕を隠しきれないぜ。
ナナはナナでこっち見てケラケラ笑ってやがるし、畜生。
こんな様子だったからか、あちらでジュリウス隊長とアミエーラさんが何を話しているのかは全く聞こえてこなかった。