穣子side
前回、虫に服を食べられちゃって裸で人里へ向かっていた秋姉妹とそれを助けた謎の少女。しかし、新たな問題に直面する。
「静葉、大丈夫!?ねえ!」
「わ、私のせいで…」
「う、う…だ…じょ……ぶ」
「静葉ー!」「おねーちゃん!?」
静葉が高熱でぶっ倒れたのだ。穣子ちゃんピーンチ!
「人里は…!」
「このあたりのはずだよー?」
穣子(どうすればいいの!?)
頼みの綱だった人里がどこにも見当たらないのだ。とりあえず助けを呼ぶ。人里にも近いはずだから誰かいるかもしれない。
「誰かー!」「助けてー!」
とにかく精一杯叫ぶ。
すると誰かが走ってくる。近くに人がいたのだ 。
「大丈夫か!?って何故服を来ていない!?」
(男なのが運のツキだけど!)
穣子は心の中で猛烈に突っ込む。裸を異性に見られたのだ。恥ずかしいに決まっている。が、それどころではない。
(でも時夜くんになら…ってそうじゃなくてえーと、なんだっけ?)
それどころではない(そうそれ!助けを求めないと)
「助けて!静葉が、静葉が…!」
「何?」
男は静葉の額に手を当てると、険しい顔で言い放つ。
「…これはすごい熱だ!急がなければ!」
そして男は静葉をお姫様抱っこして走っていく。
私達はあわてて追いかけた
男の後を追った先には家があった。 男はあわただしく扉を開け放つ。
「慧音!急患だ!!服を貸してやってくれ!!!」
「なんだ妹紅、あわただし…」
この男は妹紅という名前らしい。
そして慧音と呼ばれた女性は男を見て唖然としていた。それも仕方ないだろう。二人とも左手の薬指に同じ指輪をはめているのだから、おそらくこの二人は夫婦。しかも夫が裸の女(静葉)を、それもお姫様抱っこで抱えているのだ。
そんな女性に気づかず、男は私に服を渡して静葉に服を着せる。そんなことをしたら
「も、妹紅の浮気者ー!!!」
と言われても仕方ないだろう。
慧音と呼ばれた女性の頭から怒りのあまり角が生えて…え、角!?
「まて、違うんだ、落ち着け!」
「問答無用!」
「はうっ!?」
女性の頭突きにより、男の脳天に角がおもいっきりささる。
(あ、死んだ。ってこんな時に死なないで!喧嘩しないで!)
「神は言っている。ここで死ぬ定めではないと。」
(復活した!?というか神ってバレてるし!心の声読まれてるし!?)
心を読まれた穣子が内心そわそわしていると、少女が夫婦の間に割って入る。
「このひとは服を虫に食べられちゃったおねーちゃん達を助けてくれたの!しかっちゃだめっ!」
「「………」」
雰囲気が変わった。頭が冷えたのだろう。穣子は内心ホッとする。
「…何があったのか聞かせてくれ。返答次第だ。」
「…ああ、」
~夫と少女説明中...~
「すまない!悪かった!」
話を聞き終えた女性は男に猛烈な勢いで土下座をした。
…少し床が揺れている。この女性の頭突きは半端ない。
「わかりゃあいいんだよ、わかりゃあ。」
謝られた男はそんなことはどうでもいいと言わんばかりにタバコを加えている。漂う雰囲気はどっからどうみてもヤ○ザである。
「それより、静葉は無事ですか!?」
「それが、、、ただの風邪ではないようだ。医者に見てもらった方がいいだろう。妹紅、案内出来るな。」
「ああ。しっかりついてこいよ、急ぐぞ!」
「は、はいっ!」
私達は静葉を助けるため、急いでいくことにした。
ドングリころころドングリこ♪
静葉が高熱さあ大変♪
妹紅が出てきてこんにちは♪
妹紅よ静葉を助けてね♪