GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!!   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話は鋼鉄の姉妹……つまりマリアとテレサの話にしようと思います。本来はバイパーの後の話ですが、流れの都合上早くすることにしました。厄珍ではなく、アシュタロスとコンビを組んでいるのでテレサは暴走しないので普通にマリアの妹として誕生します。そしてマリアの方もパワーアップさせる予定です、それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


リポート16 鋼鉄の姉妹の再誕
その1


 

 

リポート16 鋼鉄の姉妹の再誕 その1

 

薄暗い研究室の中にふっふっふと言う、不気味な笑い声が響き渡る。声の主は1000の時を生きた錬金術師「ドクターカオス」と恐怖公・水曜日の魔王の2つ名を持つアシュタロスもとい「芦優太郎」だ。2人の視線の先には目を閉じて眠る2人の女性の姿がある

 

「はーはっは!!!やはりお前の力を借りたのは正解だった!これでマリアに限りなく人間に近い身体を与えることが出来る!」

 

上機嫌に笑うカオス。その理由はやはり自身の娘として大事にしていたマリアに人間に近い身体を与えることが出来る喜びからだろう。優太郎は優太郎で

 

「実に楽しみだ!私の持てる技術全てを注ぎ込んだ。有機ボデイとメタソウルの親和性を知ることが出来る」

 

優太郎は蛍の敵が増える事を自覚しながらも、自身の好奇心を満たすことを選んだ。その先に蛍による処刑が待っていても止まる事ができない。それがマッドサイエンティストと言うものだ

 

「では最後の仕上げだ。はじめようか」

 

「うむ!テレサの魂を作る詠唱と有機ボデイを稼動させるのに必要な電力の準備は出来ている!早速始めようぞ!」

 

ふっはははっと笑うカオスと優太郎は最後の調整を終え

 

「ではカオス最後の仕上げだ。電力を霊力へとは私が変化させる、お前は人工魂の詠唱を頼む」

 

「うむ!任された!では」

 

軽く咳き込んでからカオスは着ているマントを大きく翻しテレサへと手を向けて

 

「万物は流転し、生は死、有は無に帰す者なり!ならば死は生、無は有に流転するもまた真たらんや!!!」

 

カオスの詠唱に伴い電力が紫電を放ちながら霊力へと変化しテレサの中に吸い込まれていく

 

「この者、土より生まれし人の影なれど、わが祈りと魔の力より生命と魂を宿らせん!!生命に形あれば形にもまた生命のあらん事を!!!」

 

その詠唱と共に凄まじい雷鳴が周囲へと響き渡るのだった……

 

 

 

柩から送られてきた手紙を見ながら額を揉む、緊張した様子で私を見ている横島君に

 

「残念だけどこれは除霊実習としては認められないわ」

 

柩が私に頼み込んできたのは、愛子の件に自分が関わってないと言う事だ。Bランクとは言えプロのGSが九十九神に囚われた……それは自分の信用が無くなる事になりかねない、特に柩のような前線ではなく裏手に回ることの多いGSにとっては致命的だ。その事実を公表したくないと言う柩の言うことは判る

 

「そうっすか……いやまぁ……そんな事だと思ってましたけど……」

 

はぁっと溜息を吐く横島君、まぁ少しでも自分でGSの経験を積もうと考えたのは中々評価できるけど……正直横島君が1人でそうやって経験を積むために1人で別のGSの所に行くのは早かったと思う……だけど自分で学びたいって思っているのを止めるのは良くない

 

「また今度何か簡単な依頼をする時に連絡してくれるらしいわ。まッ!もう少しGSとしての勉強をしてからにしなさい」

 

「はーい」

 

はぁっとまた溜息を吐く横島君。最近は除霊にもあんまり連れて行ってなかったし、本人にやる気があるなら横島君を連れて行っても良いかも知れない。蛍ちゃんと横島君を連れていっても大丈夫な依頼は何かなかったかなあと依頼の束を確認する事にする

 

「ほら、横島そんなに落ち込まないで、次があるから」

 

「そうやな……もっと勉強して何か出来る事を増やさんとなぁ」

 

蛍ちゃんが横島君のフォローをしているのを見て笑みを零していると事務所の扉がノックされる

 

「横島君、蛍ちゃん。もしかすると依頼者かもしれないからチビとタマモを別の部屋に、シズクは出迎えに、おキヌちゃんはお茶の用意をしてくれる?」

 

横島君達に指示を出して机の上を片付けているとシズクが溜息を吐きながら戻ってきて

 

「……美神。カオスだった」

 

カオス?また何か除霊道具の試作品のテストにでも来たのかな?と思っていると

 

「こんにちわ、美神さん」

 

「ふーん?これが美神?」

 

真っ先に姿を見せたのはマリアに良く似た女性と長髪で好戦的な目をした女性の2人組み……まさか

 

「ふふっふ!我が科学の結晶!有機ボディへとコンバートしたマリアとそしてその妹のテレサじゃ!我が愛しい娘を連れてきたのじゃ!!」

 

マントを広げて楽しそうに笑うカオスと柔らかく微笑むマリアと片手を上げるテレサ

 

「何しにきたの?」

 

態々マリアとテレサを見せる為に来たとは思えず、私はまた面倒ごと?と思いながらカオスにそう尋ねるのだった……

 

 

 

ドクターカオスの後ろで微笑んでいるマリアさんはどこからどう見ても人間だ。柔らかそうなピンク色の髪とその浮かべている表情を見て彼女が人造人間なんて思う人間はいないだろう……そして私には判っている。ドクターカオスだけではここまで完璧な有機ボデイを作ることが出来るわけが無い……主に資金とか設備とか、資金とか資金とかの問題で

 

(家に帰ったらぶちのめす)

 

これは絶対お父さんの仕業だ。最近なんかこそこそしていると思ってたけど、まさかこんな事をしているなんて……私に協力してくれると言っておいてまさか敵を増やしてくれるなんて思ってなかった

 

「マリアなのか?」

 

横島が信じられないという感じでマリアさんに尋ねる。確かにロボットだった知り合いが急に生身の人間になっていれば驚くのは当然の事だ。マリアさんもそれが判っているのか

 

「はい横島さん。どうでしょうか?前のボディの方が良かったでしょうか?」

 

横島に優しく微笑みかけるマリアさん。ロボットの時の表情の固さが無く、非常に優しそうなお姉さんと言う感じがしていて横島の顔が紅いのが判る

 

「いやいや!?今のマリアはすごく綺「横島?」はひい!?」

 

なんで名前を呼んだだけでそんなに怯えるのか理解できない。私は笑顔を浮かべているはずなのに

 

「……悪魔の顔をしている」

 

【怒っているんですね】

 

そこ!余計な事を言わない!私は確かに怒っているけれどお父さんに対してで、横島ではないのだから

 

「私は別に怒ってないわ。怒っているとすればお父さんに対してね」

 

「優太郎さんに?なんで?」

 

「まぁ私の都合って事よ。あんまり気にしないでいいわ」

 

不思議そうな顔をしている横島としまったという顔をしているドクターカオス。本当ならドクターカオスも同罪で叩きのめしたいと思っているが、マリアさんとテレサさんが居る状況では危険だ。もしも戦闘になったら今の私では勝てない可能性が高い、生身の身体ということはもしかすると擬似霊力を取得している可能性があるからだ。それにマリアさんが良い人なのは知っているから、出来れば敵対したくないって言うのもある

 

「それで見せびらかせに来たって事じゃないのよね?何しに来たの?」

 

私を見て怯えているドクターカオスを見ながら美神さんが尋ねる。ドクターカオスはマリアさんとテレサさんの後ろに隠れながら

 

「マリアとテレサを暫く美神でも小僧の所でも良いから預かって欲しいんじゃ、メタソウルの定着や精神面の安定のためには一時的にでもどこかで暮らす方がいいと思っての?依頼料は払うから考えてくれんか?」

 

……すごく嫌な予感がする。マリアさんは横島に対して好意的だ、しかもこうして人間に近い身体をえた事で積極的になるかもしれない、テレサさんについては知らないけど、あの好戦的な目を見ているとどうにも嫌な予感しかしない

 

「まぁそれは良いけどね。お手伝いさんが増えるのはありがたいから」

 

「そう言ってもらえると助かるわい。マリアとテレサがどっちに行くかはお前達で話し合って決めてくれ!できれば情操教育の為にテレサは小僧の所が良いと思っておるが、そこは任せる!ではの!!」

 

強引に話を打ち切って走っていくドクターカオス。それはどう見ても自分の身の危険を感じ取っているからとしか思えず

 

「よいしょ」

 

窓を開けて走っているドクターカオスを見つける。中々のスピードだけどやはり老人だ、思ったより離れてない

 

「おキヌさん【はいどうぞ】

 

おキヌさんから受け取った捨てる予定だった目覚まし時計を握り締め、私は逃げているドクターカオス目掛けて全力で投げるのだった……数秒後スコーンッ!と小気味良い音が周囲に響き渡るのだった……

 

 

 

蛍が壊れた目覚まし時計を窓の外に投げるの見て、俺は安堵の溜息を吐いた。さっきの顔を見ると俺に怒っているかのように思えてからだ

 

「みむ」

 

「コン」

 

依頼者じゃ無いと言う事が判ったので隣の部屋から戻ってきたチビとタマモを膝の上に乗せ頭を撫でていると、視線を感じる。誰がこっちを見ているんだろ?と思って振り返ると

 

「サッ」

 

素早く俺から目を逸らすテレサの姿が見える。正確には俺ではなく、膝の上のチビとタマモを見ているようだ

 

(アンドロイドらしいけど、こう言う所は女の子なんだなあ)

 

チビもタマモも可愛い小動物なので気になって仕方ないのだろう。膝の上でグルーミングしているチビを抱っこして

 

「撫でてみるか?」

 

テレサの方に差し出しながら尋ねるとすごい勢いでこっちを見て

 

「良いの!?」

 

「お、おう」

 

そのすごい剣幕に驚きながらこっちに近寄ってきたテレサにチビを差し出すと

 

「可愛い」

 

「みむう」

 

指で撫でられてくすぐったそうにしているチビ。だけど逃げる素振りも隠れる素振りも見せないので

 

「抱っこしてみるか?」

 

「ほんと!?良いの?」

 

嬉しそうなテレサにチビを渡すと、テレサはチビを抱えてソファーに座り込んでチビを撫でたり、抱っこしたりしている。

 

(こうして見ると普通の女の子だよなあ)

 

あんまりじろじろ見るのも悪いと思い、頭の上にタマモを乗せ、何かを話し合っている美神さんと蛍の傍に向かう

 

【むう……私にはまだ懐いてくれないのに何で】

 

宙に浮かびながら頬を膨らませているおキヌちゃん。最近大分慣れてきたみたいだけど、頭を撫でるのが精一杯で面白くなさそうにしている

 

「まぁチビは気難しいからなあ」

 

【それでも納得行きません】

 

ぷくうっと頬を膨らませているおキヌちゃん。チビの懐く人と懐かない人の基準が判らないんだよなあ……冥子ちゃんとかには割かし直ぐ懐いていたんだけど……何が基準になっているんだろう?

 

「まぁまぁ、そんなに膨れないで折角可愛いのに台無しになるでー?」

 

膨れているおキヌちゃんの頬を突きながら言うと、一瞬驚いたような表情をしたおキヌちゃんだったが、次の瞬間顔を真っ赤にして

 

【うえあ!?】

 

理解不能な奇声を発して壁の中へと消えてしまった。おおう!?なんだこの反応は……俺が何か悪い事をしたのかと首を傾げていると

 

「……むやみに可愛いとか言うな」

 

「あいだ!?」

 

シズクのローキックが脛に炸裂し、そのあまりの激痛に思わず蹲る。最近シズクが攻撃的になっている気がする……なんでだろう?

 

「大丈夫ですか?横島さん?」

 

俺に手を差し出してくるマリアの手を握って立ち上がる。こうして触れても判らない、肌の柔らかさとかどう考えても人間としか思えない

 

「ミス・美神の所にマリアは行きます、横島さんは私の妹のテレサをよろしくお願いします」

 

ぺこりと頭を下げるマリアに咄嗟にうんって言ってしまったけど、どうしよう……俺情操教育なんで判らない

 

「……心配ない。テレサに料理や裁縫は私が教える」

 

おおう……流石頼れるロリおかんだ……シズクが居て本当に助かった

 

「判ったわ。じゃあ今日はよろしくね?マリア」

 

「はい。では夕食の準備を始めます」

 

そう笑ってキッチンに向かっていくマリアを見ていると蛍が俺の肩に手を置いてにっこりと笑いながら

 

「じゃあ横島はテレサさんを家まで案内して?私も後で行くからね?」

 

その笑顔には有無を言わさないとんでもない威圧感があり、俺は何度も何度も頷いてから

 

「じゃあテレサ、家に案内するからついてきてくれるか?」

 

「ん?了解。それにしてもこのチビは可愛いなあ♪」

 

チビに頬ずりしてご機嫌のテレサとタイムサービスの時間帯が近づいているから急げと言うシズクを連れて俺は事務所を後にしたのだった……なおタイムサービスの豚肉の切り落としと卵などの大量の戦利品を抱えながら、足りない食材を買い足す為に商店街に寄ったのだが

 

「おっ!シズクちゃん!今日もお買い物かい!」

 

「シズクちゃん!今コロッケが揚がったから持ってお行き」

 

シズクがいつ間にか商店街の人気者になっていたことに、俺は心底驚愕したのだった……

 

 

 

逃げなければならない。私はそれだけを考えて荷物を纏めていた……ついにマリアとテレサが蛍に出会ってしまった。私がやったのは自分の好奇心を満たすために蛍の敵を増やしてしまった

 

(殺される)

 

魔神だから死にはしないが、痛い物は痛い。それに蛍は私と同質の魔力を持つ為私のバリアは意味を成さない

 

「戻ったら最後の仕上げをするからな、蓮華」

 

培養液の中で眠っている蓮華に声をかける。後は性格の設定とかで終わるのだが、そんな事をしている時間が無い。それに蓮華をボデイガードにすれば余計に蛍の怒りを買いかねない、だから今はこのまま逃げるしかないのだ

 

ガツガツ……

 

「オトーサーン?ドコニイルノー?」

 

ついに来た……私は額から汗を流しながら、廊下から聞こえてくる何かを引きずる音と蛍の抑揚の無い声に心底恐怖した

 

(恐怖公たるこの私が恐怖するなんてありえない……なんていえないんだよなあ)

 

最近トトカルチョの一覧にエントリー予定と刻まれた空欄が増えている。それを見る度に蛍が荒れている、それを知っているのに敵を増やした私を許してくれるはずは無い……

 

(とりあえず逃げよう。落ち着いた頃に謝ろう)

 

向こうの方から聞こえてくる音と逆の方向に逃げれば、間違いなく逃げ切る事が出来る。外に出れば移動用の兵鬼で逃げればいい……私はそんな事を考えながら隠し通路を通り外に出ると

 

「マッテタワヨ?オトウサン?」

 

ハンマーを肩に担いだ蛍が仁王立ちしていた。馬鹿な……どうやって回り込むことが出来たと言うんだ!?

 

「ワスレタノカシラ?ワタシがトクイニシテイルノはゲンジュツヨ?」

 

忘れてたああああ!!!私の馬鹿アアアア!!!なんでこんな大事なことを忘れたんだ!本当に私の馬鹿ぁッ!!!

 

「それにイイコトヲオシエテアゲルワ?オトウサン?マオウノムスメカラハニゲラレナイ」

 

イイエガオでハンマーを振りかぶる蛍に逃げる事も説得することも出来ないと悟った私はもう2度とこんな事はしないと心に誓うのだった……

 

「なんで!なんでなんで!私の知らない人ばかり増えてくのよおおおおおッ!!!!」

 

「あーッ!!!!!!駄目だ!死ぬ!マジで死ぬ!駄目だあああああああ!!!ぎゃああああああッ!!!!!」

 

外から聞こえてくる蛍と優太郎の悲鳴を聞いた土偶羅魔具羅は

 

「では今日はワシが夕食の準備をするかのう……」

 

自分では主を救う事が出来ない事を悟り、その目に涙を浮かべながら厨房へと逃げるのだった……なお優太郎の悲鳴が途絶えたのは、土偶羅魔具羅が調理を始めてから20分後の事だった……




リポート16 鋼鉄の姉妹の再誕 その2へ続く

次回はテレサをメインにした話を書いていこうと思います。テレサは天然キャラって感じで行こうと思います、それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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