GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!!   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は愛子の世界ですが、原作とは違う流れにしています。逆行の記憶があるので、前のように閉じ込めていると言う訳ではないんです。しかし生徒は居ます、でも閉じ込められた生徒は居ないんですよ。それがどういうことなのか?そこを楽しみにしていてください。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その3

 

 

リポート15 予知探偵と見習いGSと机妖怪 その3

 

シズクを脇に抱えて事務所に飛び込んできたおキヌちゃんの話を聞いて、私は深く溜息を吐いた

 

「絶対あいつ判ってたわね」

 

柩はこうなる事を判っていて横島君を連れて行った。しかも今回は学校で古い机となると考えるまでも無く、妖怪の特定が出来た。蛍ちゃんに視線を向けると蛍ちゃんは直ぐに頷いて

 

「九十九神ですか?」

 

「正解。良く勉強してるわね」

 

古い机と言う事はもしかすると九十九神化している可能性がある。霊力は普通の妖怪よりも高くなる事が多いし、特殊能力を持っていることも考えられる

 

「横島……また女の子の妖怪に好かれそう」

 

「……考えられる」

 

横島君は妖怪に好かれる性格をしているみたいだし、学校の九十九神と考えると女の子の可能性が高いわね

 

「はー仕方ない、準備していくわよ。おキヌちゃんは先に学校に行って、これを学校の先生に渡しておいて」

 

私の名刺と除霊に関する書類一式をおキヌちゃんに預け、私達は除霊の準備を整えて横島君の学校に向かうのだった

 

 

 

 

 

 

ど、どうしようかなぁ……私は思わず取り込んでしまった横島君と見知らぬ少女を前に焦っていた。私の中には今生徒は1人もいない……詳しく言うと生きた人間は閉じ込めていないのだ。逆行した記憶があるから、ちゃんと謝って全員解放した……だから

 

(どうしよう。私の記憶の中にあることは出来ないわ)

 

一応生徒の幻影見たいのは用意できるけど……こうして取り込んでしまった以上妖怪として横島君になにか言われるかもしれない

 

「あううう……ど、どーしよ」

 

今更吐き出すことも出来ないし、何とか友好的な横島君との出会いをするにはどうすれば……

 

「ちょっと愛子。いつまで頭抱えて呻いてるのよ」

 

私の目の前に来て喋る狐の姿のタマモちゃん。彼女の方が妖力が強いので私の中で眠ってくれてはない

 

「ううう……だ、だってえ……わ、私どうすれば良いのか判らないよ」

 

思わず飲み込んで眠らせている横島君達をどうすれば良いのか判らず半分泣いていると

 

「まずこの世界だけでも良いから、私の人の姿にして」

 

「う、うん」

 

指を鳴らして私の記憶の中にあるタマモちゃんの姿に変える。とは言え外見だけだけど……彼女の姿を知っているので、これ位は簡単に出来る

 

「うん。やっぱりこっちの方がいいわね。ありがと愛子」

 

自分の今の状態を確認してから嬉しそうに笑ったタマモちゃんは

 

「じゃあ私も手伝ってあげるから。ほら早く教室を考えるわよ」

 

「う、うん。ありがとう」

 

多分私だけだと絶対混乱して教室とか幻の設定がおかしくなる。私はタマモちゃんに言われるまま、私の世界の書き換えを始めるのだった……そして8割ほど終わった所でタマモちゃんが

 

「よし、じゃあ後は頑張ってね」

 

「なにを!?」

 

私に何を頑張れって言うの!?タマモちゃんの言うとおりにしただけで、私これからどうすれば良いかなんて判らないわよ

 

「だから~愛子の世界なんでしょ?愛子が楽しいと思った学校。そこに横島と柩を入れれば良いの、きっと横島と柩は気付くと思うけど、大丈夫よ」

 

何を根拠にそんな事を言うのだろうか……私が不安に思っていると

 

「私もさりげなくフォローするから、令子と蛍が来たらそれと無く自供して、自分が悪い妖怪じゃ無いって事を説明すればいいわ。それに横島もきっと助けてくれる。愛子なら判るでしょ?」

 

タマモちゃんの言いたいことは判った……タマモちゃんはにっこり笑いながら

 

「「だって横島は美女・美少女の味方なんだから」」

 

私とタマモちゃんの声が重なる。タマモちゃんはそう言う事と笑って

 

「じゃあね。後は頑張って」

 

手を振って横島君のほうに歩いていくタマモちゃんを見ながら、私はもう1度横島君と楽しい学生生活が出来るかな?と言う小さい不安を感じながら私の世界の最後の調整を始めるのだった……だけど今の私の中にさっきまでの不安は無かった。きっと今の横島君も私を受け入れてくれるという確信があったから……それだけで私の中の不安は綺麗さっぱりと消えてしまうのだった……

 

 

 

 

 

「あいたたた……」

 

なんか机から舌見たいのが飛び出して、避けるとか破魔札を取り出そうとか思う間もなく俺達は飲み込まれてしまった

 

「って!柩ちゃんとタマモは……」

 

一緒に飲まれたはずのタマモと柩ちゃんを探さないと思い立ち上がった俺が見たのは……俺の精神を破壊しかねない光景だった

 

「チガウ、チガウ、オレハロリジャナイ」

 

着地に失敗したのか放置されたのか判らないが、頭を下にしてお尻を突き出す形で気絶している柩ちゃん。その所為で下着が丸見えになっている。案外可愛い猫のプリントがされたものだった

 

(ドウスレバイインダ……)

 

めくれているスカートを戻せば良いのか?それとも着ている上着を掛けてあげればいいのか、それともこのまま見ていれば……

 

「ってチガーウ!!!」

 

俺はロリじゃ無いからドキドキなんかしてない。あ、でも最近妙に甘えてくるシズクが可愛いって

 

「って違うんだああ!!!」

 

駄目だ。俺は間違いなくシズクの策略に掛かっている。いけない、このままではいけないんだ。俺はロリコンじゃ無い、うん。俺はバインバインのお姉様が好き、うん。それは間違いない

 

「とりあえずスカートを戻してあげよう」

 

あの格好は余りに憐れなのと俺の正義を破壊しに来るのでめくれているスカートを戻してあげようとしていると

 

ガラッ!

 

「ヨコシマアッ!!!」

 

怒声にも似た声に振り返ると目の前に飛び込んできた光景は、勢いをつけてこっちに飛んでくる人の姿をしたタマモの姿。

 

(白と水のストライプ!?)

 

一瞬見えた可愛らしい下着に目を奪われてしまった。しかしそれが良くなかった

 

「膝ぁッ!?」

 

怒っている様子で放たれた凄まじい威力のとび膝蹴りの直撃を顔面に喰らい、俺の意識は吹き飛ばされるのだった……って言うか……

 

……満月じゃ無いのに何で人になれているんだろうか?そんな事を考えながら、俺の意識は闇に沈むのだった……

 

「くひ、いくらボクがプリティーでも寝ている間に悪戯しようとするなんてとんでもない変態だね。君は」

 

俺が気絶している間にタマモが柩ちゃんにとんでもない誤解を植え付けている。これはとんでもない冤罪だ……

 

「違います。本当違いますからぁ……もう許してぇ」

 

なんでか人になっているタマモにビンタされ、柩ちゃんに見下されてもう俺の体力も精神力も0だ。お願いだからもうこれ以上苛めないでほしい

 

「まぁもう良いか、言ってることが本当だって判っているし」

 

「そうね。貴女良い性格してるわ、男を手玉に取る悪女になれるわ。この私が保証する」

 

なんかタマモがとんでもない事を言っている。お願いだから俺の中にある可愛い子狐のタマモのイメージを破壊しないで欲しい、勿論今のタマモも充分に可愛いのだが……なんか今の怖い会話をしているタマモが子狐のタマモとは思いたくないのだ。心情的に

 

「くひ♪嬉しいねえ、傾国の美女に褒められるなら、そんな風になっても面白いかも」

 

タマモと柩ちゃんが声を揃えて笑う。えーとまさか

 

「知ってたの?」

 

2人に尋ねると実にイイエガオをしながら頷く

 

「なんでこんな事をするんやあ!?」

 

どうして知っているのに俺を責めていたのかと言う気持ちを込めてそう絶叫すると、タマモと柩ちゃんは声を揃えて

 

「「面白いから」」

 

物凄い美少女なのは認めるけど、なんでこんなに性格が悪いんだぁと俺が絶叫していると

 

「あの?もういいかしら?」

 

おっかなびっくりと言う感じで話しかけてくる黒髪の美しい美少女が俺を見ていた」

 

「横島は本当に女好きねえ!」

 

「節操という物を知らないのかい?」

 

「イヒャィ!いひゃいいいい!!!」

 

どうやら声に出てしまっていたようで赤面している少女を前にタマモと柩ちゃんに頬を抓り上げられ、俺は涙目で絶叫しながら2人に許しを請うのだった……

 

 

 

 

 

横島の頬を抓り上げながらボクの中の冷静な部分が告げる、こんな事は夜光院柩らしくないと……だがそれに対してボクの幼い部分が告げるもっとこの人を困らせようと……困らせて迷惑をかけて、それでもまだボクに優しくしてくれるのか?それを確かめたいと思っている

 

(なんて子供っぽいんだ)

 

こんな事は僕らしくないと判っているのに止める事が出来ない。ボクはサディストではないと言うのに……

 

「全く君がロリコンなんて知らなかった。これからの付き合いは考えさせてもらうよ、劣情を向けられるのは困るからね」

 

自分で言っていて悲しくなるが、ほぼ平らに近い胸を押さえて逃げるように距離を取る。その時に横島に冷たい視線を向けるのも忘れない

 

「違うって!本当に違うから!!!お願いだからそんな目で見ないでぇ!」

 

顔を押さえて泣いている横島。なんて面白いのだろうか……

 

「冗談だよ。さていつまでも泣いてないで状況整理をしようか」

 

このままだとボクが自覚してなかったサディストとしての面が目覚めてしまいそうなので、話を切り上げて状況を確認する事にする

 

(多分この女が妖怪なんだろうケドね)

 

この長い黒髪の女が妖怪なんだろうなあ……妖力も感じるし、とは言えボクは直接除霊が出来るタイプではないので手を出すことができない

 

(上手く誘導してみるかなあ)

 

横島の手腕を確かめる意味も込めてここはあえて何もしないで横島の判断に任せてみよう。

 

「タマモか、うんうん俺の選んだリボンが良く似合ってる」

 

ちらりと横島の方を見ると横島は自分の前に居るタマモを見て嬉しそうに笑いながら、リボンを見て微笑んでいる

 

「え♪そう?これ似合う?」

 

タマモが九尾の狐と言うのは知っているけど、なんでそんなに普通の少女みたいな顔をするのだろうか?傾国の乙女と呼ばれる九尾の狐がなんとも少女らしい顔をしているのは正直少しだけ違和感がある

 

「おお、似合う似合う。すっごい可愛いぞ」

 

……横島は何を考えているのだろうか?妖怪の腹の中で人間になっているタマモの頭を撫でて可愛い可愛いと連呼している。ボクから見ても頬が赤くなっているタマモ……誰がそんな事をしろと言った?と腕を組んで横島を見つめていると

 

「じゃあえーと……「愛子って皆に呼ばれてるわ」そっか、じゃあ愛子。ここは埃っぽいし、椅子も何もないからタマモと柩ちゃん。それに愛子にも良くないと思うから場所を移動しよう。できれば椅子と机のある部屋に案内してくれないか?」

 

「ええ、いいわ。ほらこっちよ」

 

横島に頼まれた愛子はボク達を案内するために先に教室を出る

 

「じゃあ行こうか?柩ちゃん」

 

そう笑いながらボクに手を向けてくる横島。こういうフェミニストの部分もあるのだから、もっと落ち着いた性格になればもっと女性に好かれるのではないだろうか?……少し考えてみて面白くないと思ったので言わないことにして黙り込む

 

「じゃあ早く行きましょうよ。横島」

 

「おう!行くかタマモ」

 

なんかなぁ……面白くない。それに妙に頭がぼーっとしてくる……どうも思考が纏まらないのを感じながら横島に手を引かれ、ボクはその部屋を後にしたのだった……

 

 

 

 

私は美神さんと横島の学校に向かいながら今回の妖怪の事を考えていた。まず間違いなく

 

(愛子さんね)

 

机妖怪の愛子さん。青春大好きのちょっと変わっている妖怪だけど、悪い人ではない。しかし問題は……

 

(逆行しているかどうなのよね)

 

横島蛍としての記憶の中に愛子さんの姿がある。妖怪でありながら教員免許を取って、六道で教鞭をとっていた。現に私も愛子さんの生徒として色々勉強を教えてもらったのを覚えている。だけどそこは問題ではない、もう忘れかけている記憶だけどこれだけはしっかり覚えている

 

(私ね、昔蛍ちゃんのお父さんの事好きだったのよ?ふふ、これは秘密にしていてね?)

 

その時は確か小学校6年のときだったと思う。中々衝撃的な言葉でお母さんに言ったら、あの机まだ諦めてなかったのねと言って怖い顔をして出かけていき、それから半年愛子さんの姿を見なかったので覚えていた

 

(また敵が増える。しかもかなりヤバイのが!?)

 

助手席で除霊道具の確認をしながら私は内心穏やかではなかった。逆行してきた事で真っ黒くなっているおキヌさんはまあいいだろう。普段は優しいけど何かをトリガーにすぐ黒くなって暴走するから、それに小竜姫様も良い。まず会う機会がそうそうないからだけど愛子さんだけでは駄目だ。学校に行く以上必ず遭遇するし、それにあの面倒見の良い性格……そして何よりも優しい

 

(あの人は駄目。一番危険だわ)

 

今の横島のそばにはいない清純派の乙女である愛子さんはとても危険だ。もしかすると私では太刀打ちできないかもしれないほどに強力な敵になるかもしれない

 

「……急ごう。机妖怪が女だったらまた大変なことになる」

 

【そうですよ!急ぎましょう!】

 

「判ってるからそう騒がないで!運転の邪魔!!!」

 

車を運転しているのにシズクとおキヌさんに焦らされて怒っている美神さんを見ながら、私はまだ遠くに見えているだけの横島の学校を見て

 

(柩もいるらしいし不安だわ……)

 

最近判った事だけど、横島が人外に好かれるだけではなく、訳ありや心に何かを抱えている人間にも好かれるような気がする。その点で言うと柩は間違いなく訳あり+心に闇を抱えているで横島に引かれる可能性が極めて高いと言える人間だ

 

(どうかこれ以上敵が増えませんように!)

 

両手を合わせてきーやんに祈る。今でさえ敵が多いのに更に増えたらどうしようもない。だから神であるきーやんに祈ったのだが

 

【それは無理だと思いますねえ。もっと増えないと面白くないじゃ無いですか】

 

「面白くないってどういう事よッ!?」

 

「ほ、蛍ちゃん?」

 

「……ど、どうかしたのか?疲れている?」

 

【蛍ちゃん……少し落ち着きましょう?私もまだ落ち着いていますし】

 

脳裏に響いてきたキーやんの声に思わず絶叫してしまうのだ……そして心配そうにこっちを見てくる美神さんたちに小さくなりながら

 

「なんでもないです」

 

と小さく泣きそうな声で呟くことしかできなかった。これもあれも全部きーやんの所為よ。絶対何とかして逆襲してやると心の中で固く誓うのだった……

 

 

リポート15 予知探偵と見習いGSと机妖怪 その4

 

 




次回は青春空間に飲まれてしまった柩とかの話を書きたいと思っています、しかし厳密には青春空間ではなく更にランクアップしているんですけどね!スイーツ空間?とでも言うのかな?まぁとにかくそんな感じで進めたいと思っています。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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