どうも混沌の魔法使いです。今回は愛子と柩をメインに書いていこうと思っています。その後は少し日常とかほのぼのを書いて見ようと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします
リポート15 予知探偵と見習いGSと机妖怪 その2
学校を暫く休んでしまった為特別に出された課題を机の上に置いてから1時間。俺は何をしていたかと言うと
「よーし、可愛くなったぞー♪」
「みーむ♪」
「クーン♪」
参考書を見ても判らんし、蛍が来てくれるまでまだ大分時間もある。それに俺1人で考えていても問題が解けると思えないので早々に課題を諦め、チビとタマモの毛並みを整えていた。桶に入れた熱いお湯で綺麗に洗ってやった上に、ドライヤーとブラシでもこもこモードのチビとタマモの完成だ。実に可愛らしい
「……勉強しなくて良いのか?」
部屋の掃除をしているシズクが桶を持ち上げながらそう尋ねてくる。俺は新しく買ったリボンをタマモの首に結んでやりながら
「難しくて理解できん。蛍に電話したけど用事が終わるまで無理って言ってたし」
そもそも授業に出てない時間が多いので、難しい課題をやれと言っても無理と言うものだ
「……あまり他人に頼るのはどうかとおもう」
「それを言われると辛いんだけどなあ……判らない物は判らないんだよなあ」
数式とかは判るわけもないし、科学の実験だって学校に行ってないのに判る訳がない。それなのにリポート提出とかって鬼だよな。そんな事を考えながら机の上で前回りをしているチビを見つめているとバランスを崩したのか、斜めに転がってくる
「みむ!?」
積み上げていた課題にぶつかり驚いたような声を上げるチビ
「あーもう何やってるんだよ」
机の上にへたり込んで目を回しているチビに苦笑しているとチャイムの音が鳴る
「……蛍かもしれない、見てくるからお前は勉強の準備をしていろ。学生なのだから」
見た目ロリのシズクにこうやって注意されている俺って正直どうなんだろう?かなりの駄目人間なのか?
「クウ?」
どうかした?と言う顔で俺を見ているタマモになんでもないと返事を返し
「いいよ、自分で見てくるよ」
シズクの申し出をやんわりと断り玄関に向かうが
(あれ?蛍って合鍵持ってるよな?)
うん、確かに俺は合鍵を渡した。どうしても欲しいって言うから、じゃあ何でチャイム?何か荷物があるのか?それともチャイムを押しているのは誰なんだろうか?と思いながら玄関を開けると
「やあ?」
緑のスカートに赤のチェックのジャケットに黒い帽子と非常に可愛らしい格好をした、夜光院柩ちゃんが居た。昨日琉璃さんに紹介してもらったけど、俺よりも年下だけどもうGSとして活動しているんだよなあ。ちゃんづけって失礼なのかな?と考えていると
「ちゃん付けで構わないよ、あんまり子供として見て貰う事がないんでね。たまには悪くないと思うからね」
俺の考えている事が判る?未来予知が出来ると聞いてたけどこんなにさっと出来るんだなあと感心しながら
「じゃあ柩ちゃん、なんの用?暇だから遊びに来た?」
昨日は依頼を手伝えと聞いていたけどまさか昨日の今日で呼ばれるとは思わない。なので何の用事?と尋ねると
「ボクの依頼を手伝ってくれる約束じゃ無いか。それとも今日は都合が悪いかい?」
まさかの依頼の手伝いをしろと言う話だった。うーむ……手伝うといった以上断るわけには行かない、だけど課題が……
「課題の方はボクの依頼を手伝ってくれたら教えてあげようじゃ無いか、ボクは賢いよ?」
くひひっと笑って明後日の方向を見ている柩ちゃんは正直少し怖いけど、悪い子には思えないし……美神さんに相談したらそれも経験っていって許可くれたし
「じゃあ準備をしてくるから待っててくれる?柩ちゃん」
少し屈みこんで目線を合わせて言うと柩ちゃんは
「くひ♪ああ、いいともさ、待ってて上げるから準備をしてくると良い。タマモとかも忘れたら駄目だよ?」
小さく笑う柩ちゃんに玄関で待っててくれよと声をかけリビングに戻り
「シズク、依頼の手伝いに行くから準備してくれ」
「……それは構わないけど、蛍?」
はたきを机の上において訪ねてくるシズク。俺はノートを破いて蛍への伝言を書く、折角来てくれると言ってたけど、少しは除霊の勉強をしたいと思うから、今回は柩ちゃんの依頼を手伝ってみよう。これも勉強の1つだ
「柩ちゃんの手伝い。チビとタマモも連れて行くよ」
柩ちゃんの名前を出すと少しだけ睨むような素振りを見せたシズクだったが
「……お前が除霊の経験を積むことを考えるなら、甘やかす蛍と美神から離れたほうが良い。良い勉強にすると良い」
シズクがOKと言ってくれたので鞄の中に破魔札とシズク用のペットボトル2本を詰め込んで
「行くぞー、チビ、タマモ」
Gジャンのポケットにチビを入れ、頭の上にタマモを乗せる。その間にシズクは準備を終えているので一緒に玄関へと向かう
「準備できたかい?では行こうか?」
にやっと笑う柩ちゃんによろしくと頼み込み、玄関に手紙を張って俺達は柩ちゃんに案内され除霊の現場へと向かうのだった
~~10分後~~
「ヨコシマァッ!!!なんで勝手に行動するの!しかもどこに行ったのよぉッ!!!」
横島に勉強を教えるために来た蛍は扉の前に張られた置手紙を見て絶叫していた。もしここに土偶羅魔具羅が居たのなら神妙な顔をして、やはりアシュ様と蛍様は親子なのだなと納得しているほどにその叫びはアシュタロスと酷似した物だったりする……
「それで依頼って何をするんだ?俺は正直言って何も出来んぞ?」
歩きながらそう尋ねてくる横島の立ち位置を見てボクは小さく笑みを零す。昨日話の中でさりげなくボクの能力の一部とその影響で身体が弱いと言う話をした。それは本当に数秒にも満たない会話だったが
(ちゃんと覚えているんだね)
今日は晴天で日の光が道路を照らしている。普通の人間なら何の問題もないが、ボクだとしっかり対策をしないといけない天気だ。横島は無意識なのか、それとも意識をしているのかは判らないが自分の身体で日陰を作る位置に立ち、そして歩調もしっかりと合わせてくれている。
(言動ではスケベなことを言っているけど、やはり君はフェミニストだよ。実に紳士的だ)
横島が女性に飛び掛るときは確実に失敗する時だけだし、蛍や美神が邪魔に入る時だけだ。女好きではあるが、その癖手を出すような勇気がないのは何故なんだろうねえ
「そうだね、面白そうな事が起きるかも知れないから行くのさ。くひ!いや起きるから行くのさ」
へっと?驚いた顔をしている横島にボクはにやっと笑いながら
「前にも話をした通り、ボクには未来予知のような能力がある、だけどね……見えない所があるからそこに行くのさ」
きっとそこでなにか面白い事が起きる。だけど横島がいないと未来が見え続けているので横島が鍵だと思い連れて行くことにしたのだ
「……お前は暇を持て余しているのか?」
「くひ!その通りだよ、水神様。ボクは暇で退屈なんだ。なまじ判ってしまうからねえ、何が起きるか」
だからこそボクには横島が興味深い、彼が関わると何もかも変わってしまうからね。あのくえすでさえ変わるのだから、ボクにも何か起き立っておかしくないのだから
「俺にはよう判らないっすけど、柩ちゃんは暇って事だから俺を連れ出したって事っすか?」
「んーまぁそうなるかもねえ?怒るかい?」
横島にとっては蛍と過ごす時間を奪われたことになるうえに、除霊研修の評価ももらえない。怒っても当然だ、だけどボクには横島がどんな反応をするのかが見えない。だからそう尋ねると
「んじゃこれ」
横島は脇に抱えていた鞄からノートを取り出して何かをメモしていた。そしてさも当然のように差し出されたノートの一部を受け取りながら
「なんだい?」
思わず受け取ってしまったのは紙の切れ端、そこには電話番号が書かれている。これは正直予想外すぎるね、これで何をしろって言うんだい?
「暇だったら電話くれたら話し相手程度になるし、遊びにも付き合うからさ。また電話してくれよな!」
にかっと笑う横島。そこには邪な感情など無く純粋な好意から来ているのが判る。こんなことは初めてだよ、ボクは気味悪がられたり、距離を置かれるのが普通だった。それなのにこうして踏み込んでくる人間は始めてだ。図々しいとも思うが、少しだけ嬉しいと思った
「やはり君は年下趣味の変態なんだね。ボクを遊びに連れて行って何をするつもりさ?このロリコン」
ちょっとボクらしくないけど、頬が熱いのが判る。だからあえて横島がダメージを受ける言葉を口にした。ちなみに歳は2歳しか違わないけど、背も低い上に女性らしさがまるでないボクは幼く見える。それに年齢は口にしていないので見た目で判断している横島は
「なんでそうなるんやああ!?」
蹲って涙する横島を見ながら渡されたメモをポケットの中にしまうと
「……お前とは仲良く出来るかもしれない」
シズクの視線はボクの身体の一部に注がれている。そしてシズクが考えているのは強烈なまでの仲間意識
「なんでボクにそんなに仲間意識を持つのさ。ボクにはまだ成長の要素があるからね?」
「……違う。お前は私の仲間」
にやーっと笑うシズク。いやいや、待て待てボクはまだ15歳だ、もっと女性らしく……
(なれるのか……)
そう言えば僕の母親もどちらかと言うと絶壁だったような……そう言えばボクの未来って
(そんなに変わってなかった……)
意識しないようにしていた絶望の未来を思い出し、ボクは横島と揃って思わずその場に蹲ってしまうのだった……
「みむ?」
グレムリンが頭を抱えてボクと同じような格好をしていて、それがバカにされているのか、それともただ単に真似をしているのか?それとも励まそうとしているのか?それがボクには判らないのだった……
何か酷く落ち込んでいた柩ちゃんを何とか励まして柩ちゃんの案内で歩いていると
「あれ?なんで俺の学校?」
途中からもしかして?と思っていたけど柩ちゃんの目的地は俺の学校だった
「くひ♪ここで面白いことが起きるのさ」
なんだろう。俺が怒られるとかじゃ無いだろうな?それか変な妖怪に襲われるとかか?と内心怯えていると
「ん?横島か?」
「あ、どうも「貴様!美少女2人もつれて何をしている!」理不尽ッ!?」
突然顔面を教師に強打された。チクショウ、俺が何をしたって言うんだ。そんなに俺が女の子と一緒だと駄目だとでも言うのか!?
「みむ」
「コン」
痛いの痛いのとんでけーと言う感じで俺の頬を撫でるチビと舐めてくれるタマモ。そのおかげか若干痛みが引いてきた。ちなみに俺を殴った教師はと言うと
「よ、横島君?この顔色の悪いお嬢さんは何者かな?」
「……貴様。いきなり何をする?窒息するか?」
シズクの手から飛び出した水の鎖に締め上げられていた。ナイスだシズク。流石俺達の頼りになるロリおかんだ
【やっぱりシズクちゃんってすごいですね~】
「そうだなーってうおお!?おキヌちゃん!?何時の間に!?」
聞こえてきた声に返事を返したところで気付いた、いつの間にかおキヌちゃんが俺の背中に憑いていた。道理で肩が重いはずだ……
【横島さんが歩いているのを見かけたので追いかけてきたんですよ。それにしても横島さん?】
あ、これ駄目な奴だ……おキヌちゃんの目に光がない上に声が異常なほど冷たい
【また女の子を、しかもこんな小さい子を……やっぱり横島さんはロリコンなんですか?】
「がふっ!?」
ボデイブローにくわえて、おキヌちゃんの絶対零度の視線に晒され俺は体力と精神的なHPがゼロになり、その場に蹲り
「ぷかー」
「……ふん」
俺を殴った教師はシズクの水の牢屋に取り込まれ水死体のように浮いていた。あれ死んでないよな?
「くひ♪面白ッ!面白すぎる!!!」
おなかを押さえてくひひひっと笑っている柩ちゃん。楽しそうで何よりだけど、もし判っていてここに連れて来たのならせめて何か言って欲しかった……まぁ悪戯っ子とでも思えば良いのか?と思いながら俺は
「いえいえ、俺はロリコンと言うワケではなくてですね?」
俺を見下しているおキヌちゃんの説得を試みるのだった。なんか最近こんな事ばかりしているような気がするけど気のせいか?いや、気のせいであって欲しいなあと思いながらなんですか?と不機嫌そうに俺を見ているおキヌちゃんに誠心誠意を込めた土下座+説得を試みるのだった
~暫くお待ちください~
「ほー夜光院柩さんはGSで、シズクさんは水神様でしたか、これは失礼しました」
シズクの水の牢屋に閉じ込められて意識を失っていた教師は信じられないスタミナで復活し、柩ちゃんの話を聞いている。この人も普通じゃねえな、俺が言えることじゃ無いけどさ
【横島さん。年下趣味は駄目ですよ、同年代が一番いいんですからね?】
奇妙な説教を始めたおキヌちゃんに相槌を打ちながら俺のクラスに向かうと
「「「「馬鹿な!?横島が美少女3人と一緒にきやがった!?天変地異の前触れか」」」」
「よし、てめえら、表に出ろ。俺の陰陽術の実験台にしてやる!」
俺が失礼な事を言った馬鹿を攻撃するために札を取り出そうとすると
「……やめろ馬鹿「がぼお!?」
シズクの水が顔面に纏わりつき、陸上で窒息死しかけるというあまりに貴重な体験をする羽目になった……
「あれ?俺の机ボロッ!?なんだよいじめかよ!?」
シズクと柩ちゃんの紹介が終わった所で自分の机の中のプリントを取りに行こうとしたら俺の机がボロボロの机になっていた。その事に対する文句を言っていると
【横島さん!危ない!】
「ふえ?」
おキヌちゃんの声に振り返ると机の間から舌が伸びてくる、そのあまりに衝撃的な光景に思わず停止してしまう
「うわあ!?」
「これは本当に予想外だ。くひ!本当に君と居ると飽きないね、横島」
「コーン!?」
俺と柩ちゃんとタマモを絡めとった舌に引きずられ、俺達は机の中へと飲み込まれてしまったのだった……
【た、たたたたた!大変ですう!早く美神さんと蛍ちゃんに連絡を!】
「……お前は何で私を小脇に抱える!?」
横島達が机の中に呑み込まれる光景を見たおキヌは混乱しきり、シズクを脇に抱えて教室の窓から飛び出していくのだった……なおシズクは心底迷惑と言う感じの嫌そうな顔をしたままなのが妙に印象的だったと残された横島のクラスメイトは口々にそう告げるのだった……
リポート15 予知探偵と見習いGSと机妖怪 その3へ続く
愛子世界に突入です。タマモと柩も投入して更に面白いことにしようと思います。青春空間でタマモが一時的に人の姿になるとか面白いですよね。あと変人じゃ無い柩とかも面白いと思っています。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします