GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!!   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話は愛子の登場する教室漂流を含めて、少し小話集みたいな感じにしたいと思っています

おまひまの柩も搦め手行こうと思っています。


リポート15 予知探偵と見習いGSと机妖怪
その1


リポート15 予知探偵と見習いGSと机妖怪 その1

 

「あー今日も家に帰れないのかなあ」

 

深く溜息を吐きながら机の上の書類の山を見る。毎日協会の仮眠室に泊り込んでずっと書類整理をしているが、GS協会の再建や、叔父さんのリストにはあったが、社会的に地位があり上手く逃げられてしまった大物の政治家達の犯罪を証明する方法など考えることは山ほどある。しかも毎日増え続けるから終わる気配がない、そしてまた仮眠室に泊り込み疲れるという悪循環に完全に私は捕まっていた

 

(横島君の所の保護妖怪のこともあるしなぁ)

 

安全だというのは判っているけど、それでも一応制度的な問題で1度視察に行かないといけないなあと考え事をしていると、こんこんと扉を叩く音が聞こえる。また書類の追加かなあと思いながらどうぞと言う。扉が開き姿を見せたのは職員ではなく

 

「どう?捗っている?」

 

仕事の帰りなのか少しだけ汚れた服装で姿を見せた美神さんに少しだけ驚きながらも、仕事の帰りだから直接報酬を貰いに来たのかな?と思いながら

 

「どうも美神さん、お久しぶりです。今日は仕事帰りですか?」

 

「まぁそんな所ね?割と簡単な仕事だけど蛍ちゃんに経験を積ませる為にとった仕事よ」

 

そう笑う美神さん。確かに蛍ちゃんは若いけどかなり才能のあるGSだと思う、勿論横島君もそうだけど……まだまだGSと呼ぶレベルではないので早く霊力が覚醒すると良いわね

 

「それで今日は何の御用ですか?」

 

アポも無しに私の部屋に尋ねてきた美神さん、何か特別な用事でもあるのかな?と思いながら尋ねると

 

「いつまでも缶詰じゃ気がめいるかなと思ってね?話を聞きに来たのよ」

 

そう笑って私の椅子の前に座る美神さん。最近は気の休まることも無かったし、こうして態々尋ねてきてくれたのは嬉しい。

 

「気遣いどうもありがとうございます。お茶で良いですか?」

 

私が用意するわよ?と言う美神さんに気分転換に良いんですよと呟き、私は椅子から立ち上がるのだった。書類整理を手伝ってくれるという美神さんに簡単な書類だけを渡して、私だけじゃ無いと無理な書類の山を見ていると……思わず深い溜息を吐いてしまう。黒坂の事件の遺族との話し合いとかもあるし、GS試験のこともあるし……また絶対徹夜コースだ

 

「随分と疲れてるみたいね?今度の休みに家に来なさいよ?街で何か奢って上げるわよ?」

 

「……何時になるか判りませんけどね」

 

その気遣いは嬉しいけど、休みが何時になるのか判らないんですよ?と呟きながら、あははっと私が乾いた笑い声を上げていると美神さんが

 

「琉璃。そんなに厳しいの?今のGS協会」

 

私は紅茶のお代わりをカップに注ぎながら背もたれに背中を預けて

 

「唐巣神父と冥華おば様が手伝ってくれてるけど厳しいですよ……本当に」

 

幽夜叔父さんの残してくれた資料のおかげで上層部は一掃し、新しい体勢になろうとしているが、天下りってやつで別の場所で再起しようとしている連中が多すぎる。しかもその大半が除霊具の販売に関係する会社なので今のGS協会には備蓄されていた除霊具しかなく、満足に若手を育てることも出来ていない……そしてそこを若い私のせいにしてたたきに来ているのだと説明すると

 

「ふーん。じゃあ琉璃、いくら出せる?」

 

「はい?」

 

何を言われたのか理解出来ず思わず訪ね返すと美神さんは悪い顔をして

 

「あいつらのせいで何人死んだ?10や20じゃ聞かないわよ?それを幽夜と黒坂の所為にして罪を逃れた連中。そんなのが我が物顔でいるの間違ってない?」

 

「エミさんですか?」

 

正解と笑う美神さん、バレれば私も美神さんも危ない。だけどこれが一番良い道なのかもしれない

 

「それにタマモは幻術得意よ?ええ、なんせあの九尾の狐ですもの」

 

私は無言で指を2本美神さんに向ける。個人的な資産の問題で出せるのは指2本だというと

 

「20万ね。OK」

 

あ、あれ?200万のつもりだったのに?私が驚いていると美神さんはその長い髪を翻しながら

 

「私に任せておきなさい。全部解決してあげるわ、その代わり……今度のGS試験の時はよろしく♪」

 

ウィンクをして部屋を出て行く美神さんの背中を見ながら

 

「あーあの人には勝てないなあ……」

 

どうも腹の探りあいでは私はあの人には勝てないとおもう。だからずっと美神さんには味方でいて欲しいなあと思いながら、保護妖怪の書類を用意しながら

 

(今度は視察もしないとなぁ)

 

九尾の狐と言う名前だけで危険視するものが多いから1度は視察に行くべきだなあと思いながら書類に必要な部分を記載していくのだった……なお後日私に迷惑をかけていた元上層部の連中は、数日の間に全員警察へ自首し、私は1週間と2日ぶりに家に帰ることができ、自慢の髪に綺麗に櫛を通し洗う事が出来さらに自分のベッドで眠れて私は心から休むことが出来たのだった……

 

「はーやっぱり我が家はいいなあ」

 

手早くトーストと目玉焼きを用意しながら今日の予定を考える。2、3日なら私が代行するから休みなさいと言ってくれた唐巣神父に甘えてゆっくり休むことにした。今のうちに視察を終えてもいいかもと考えながらリビングに向かうと

 

「やあ?会長殿。ボクにもトーストをくれないか?」

 

「柩?どうやって入ったの?」

 

顔見知りと言う訳ではないが、私は彼女の名前を知っている。夜光院柩だ……神出鬼没なのは知ってるけど、なんで私の家に

 

「くひひ♪横島忠夫の所の保護妖怪の観察に行くんだろ?ボクに行かせて貰ってもいいかい?行かせてくれるなら代わりにこれを上げよう」

 

大量の商品券を見せてくる柩に溜息を吐きながらもう1つトーストを用意しながら

 

「それはいらないわよ、それと柩だけは行かせないから。私も行くわよ?」

 

「くひ!その返答は予想通りだよ。会長殿」

 

もうこの子苦手だわ……未来予知の能力を持っているからこの結末も判っている癖にと苦笑しながら、柩の分の朝食を用意するのだった……

 

 

 

 

妙神山から戻ってから数日がたった。なんせ酷い筋肉痛で動くことも出来なかったので、体調が整うのを待っていたのだ。その間にはタマモは美神さんが連れて行っていて、昨晩やっと帰ってきたのだ。やけに疲れていたけど、何をさせていたのかが気になるが、きっと除霊とかの手伝いなんだろうなあと割り切ることにした。俺にはまだ霊能力の知識が足りないのだから、判らないことの方が多いのだから

 

「くう……」

 

「おーおいでおいで」

 

久しぶりに家に帰ってきて、しかもかなり疲れている様子で足元に擦り寄ってきたタマモを膝の上に乗せてブラシで尻尾の毛を整えてやっていると

 

「……机の上を片付けろ。朝食の時間」

 

今日は蛍もおキヌちゃんもいないので頼りになる我らのロリおかん。シズク様のお通りだ

 

「……ロリおかん言うな」

 

「へぶう!?」

 

タイムラグなしで放たれた水鉄砲に吹っ飛ばされる、ま、また口に出てたかあ

 

「みーむ!?」

 

慌てて飛んでくるチビに大丈夫と言いながら机の方に戻り、机の上の本やブラシを片付けながら

 

「朝飯は?「……アジの開きと大根の白味噌、あと漬物と卵焼きと海苔」

 

完璧すぎる和食。流石は俺達のロリおかんだ。頼りになる、しかも裁縫や掃除も得意と来た。実にハイスペックな幼女様だ

 

「……チビにはみかんとりんご。狐には油揚げ」

 

「名前で呼んでやって欲しいんだけど?」

 

タマモはプライドが高いので狐呼びを怒る。シズクはそれを見て楽しんでいるような素振りを見せているので困っているので、そう尋ねると

 

「……人になれるようになったら考える」

 

うわぁ……悪い顔をしてるなあ……とは言え外見は子供でもシズクは竜神で水神様なのだからあまり無茶を言うことも出来ず、それでいいですと呟き俺は箸を手にしたのだった

 

「みーむむ♪みーみみ♪」

 

歌いながらみかんの皮をむいているチビ。最近どんどん器用になってるなあ、なんか電撃砲見たいのも使ってたし……確実に成長してるってことなのか?アジの身を解しながらそんな事を考えていると

 

「みむ!」

 

「乾電池?どうしたんだ?」

 

果物を食べたところでチビが電池を引きずってくる。何がしたいんだろう?と思って見ているとキラキラとした目で俺を見ている

 

「えーと好きにしてもいいぞ?」

 

何を言いたいのか判らないけど、多分乾電池が欲しいのだと思って好きにしていいぞ?と言うと

 

「みみむ」

 

「充電してるのか!?」

 

電池から電気を充電しているのかぱちぱちと放電するチビを見て、思わず味噌汁を噴出しかけてしまうのだった……

 

 

 

 

昨日の除霊のレポートをお父さんに確認してもらう、使い魔で見ていたからどういう除霊だったか判っている筈だし、自分では良い仕上がりだと思うけど一応確認してもらった方がいいと思ったのだ

 

「うん。今回も良い仕上がりだよ!流石私の娘だ!」

 

サムズアップをするお父さん。最近ますます魔神らしさが消えてただのお父さんになりつつあるけど、頼もしいからいいか。出来れば変なことをするのは止めて欲しいけどね

 

「ありがと、じゃあこれを後で美神さんに提出してくるね」

 

今度のGS試験に出てみないか?と美神さんに声をかけて貰った。1つ気がかりなのはそこでメドーサの配下の人間が動くと聞いていたのでそれがどうなるかだ。でもその前に天龍童子のこともあるし、それから考えてもいいかもしれない。それに今は何時起きるか判らない出来事よりも気になっている事がある

 

「所でべスパとかはどうなるの?」

 

私の記憶を見ているから知っている筈、私の姉妹はどうなるのか?と尋ねると

 

「ああ、それは心配ないよ。近いうちにべスパ……いや、蓮華と会わせてあげるから楽しみにしていると良い」

 

蓮華?なんでべスパで蓮華なんだろう?と首を傾げていると

 

「蜂の好きな花から名前を貰うことにしたんだ。さすがに蜂を名前に付けるのは可哀想だからね」

 

確かに名前に蜂が入っていると怖い印象になってしまうかもしれない、前は喧嘩する事が多かったけど、今回は仲の良い姉妹として過ごせる。それは私にとって何よりも嬉しい

 

「花の名前って言うのはすごく良いセンスだと思うわよ。お父さん」

 

「そうかい?はは、命名図鑑と睨めっこした甲斐があるよ」

 

そう笑うお父さんにつられて笑う。こうして笑い合えることって本当にいいなあと思う

 

「じゃ、お父さん。私美神さんにレポートを渡したら、横島の家に行くから」

 

「判ったよ。気をつけていっておいで」

 

笑顔で見送ってくれるお父さんに手を振り返し、愛車になっているバイクに跨り横島の家へと向かうのだった

 

「よこしまー?ってあれ?」

 

合鍵で横島の家に入ると見覚えのない靴が2足。それと話し声が3つ……何か嫌な予感を感じつつ横島の名前を呼びながらリビングに向かうと

 

「おお!?すげえ!柩ちゃんの言う通りだ!時間ぴったりに蛍が来た!?」

 

「くひ!そうだろ?ボクはすごいんだよ。横島忠夫」

 

横島の真向かいに座る目の色がおかしい少女とその隣で

 

「はーい、お久しぶりね?蛍ちゃん」

 

神代瑠璃が座っていて、笑顔で私に手を振ってくる、私は目の前の光景を理解出来ず、湯飲みを手にしている横島を見つめながら

 

「どういうこと?」

 

なんでGS協会の再建で忙しい神代琉璃と横島と面識の無い筈の夜光院柩がいるのか理解出来ず尋ねると

 

「んーなんか保護妖怪が増えすぎたから視察だって、危なくないかの確認だそうだ」

 

ああ、確かに保護妖怪といっても妖怪は妖怪。危険視される可能性を考慮してこうして尋ねてきてくれたのね。GS協会の長の言葉に逆らってまでこっちの妖怪を除霊にしに来る様な馬鹿はいない。それに美神さんを敵に回す危険性も理解しているはずだし……これは琉璃さんの判断に助けられたと言ってもいいだろう

 

「まぁそう言うわけ。と言っても皆大人しいから視察は全然OKだけどね」

 

そう笑う琉璃さんの視線の先をつられて見ると

 

「……こっち、こっち」

 

「みー!みむむー!みーむ!!」

 

シズクが振るはたきを追い回しているチビ、最近こういう光景を良く見るけど、妖怪としての本能が目覚めてきているのかな?狩猟本能的な……何かが目覚めかけているのかもしれない

 

「ああ、それは心配ないよ。芦蛍……くひひ♪あのグレムリンは凶暴化することなんてありえない、あれはああして遊んでいるだけさ」

 

「……私の考えを読んだの?」

 

さぁ?どうだろうねえ?と笑う柩。こいつはなんか苦手だわ……何を見ているのか知らないけど信用してはいけないタイプの人種だと思う

 

「ああ。その判断でいいよ?くひ、ボクはそう言う立ち位置の方が楽で良い」

 

本当苦手だわ、私の思考を今も読んでいるし……はぁっと溜息を吐いてしまう。横島は私の気持ちを知る由もなく

 

「よーしよーし!可愛い可愛い♪」

 

タマモを抱っこして満足げに撫で回していた。タマモの目が若干鋭いように見えるのが不機嫌だからかもしれない

 

「ん。横島君の保護妖怪は安全と私神代琉璃と夜光院柩が確認しました。これ証書だから無くさない様に、あとエンブレムね?忘れずに身に付けさせて」

 

「うっす!ありがとうございます」

 

書類横島に渡すと立ち上がる琉璃さんと柩を見ていると思い出したように

 

「くひ♪このボクの貴重な時間を使ったんだから、今度ボクの依頼を手伝っておくれよ?横島忠夫」

 

私と琉璃さんが止めることの出来ないタイミングで柩が横島にそう頼み込む

 

「え?うっす!了解しました」

 

ってなんでこのタイミングで返事するかなあ!?にやりと笑って出て行く柩と琉璃さんを見送ることしか出来なかった私は

 

(家に帰ったらトトカルチョを確認しよう。絶対確認しよう)

 

確実に柩の名前が追加されていると確信し、家に帰ったらすぐにトトカルチョを確認することを心に誓った

 

「今日何作るの?手伝うわよ?」

 

とりあえず今は夕食の準備を手伝おうと思いシズクに尋ねる。今判らない事は後回しにしても問題がない。特に柩と琉璃さんの事は今の私ではどうすれば良いのか判らないのでお父さんに相談しようと思うから

 

「……今日は洋食を作ってみようと思っていた」

 

そう、じゃあ今日は私が先生ってことね。中々気難しいシズクと仲良くなるのは難しかったが、ここ最近は一緒に料理を作ることもあったので少しは仲良く慣れたのかな?と思いながら2人でキッチンへと向かうのだった……

なおその頃アシュタロスはと言うと

 

「増えてる!?なんで!?何故どんどん増えるんだぁ!?横島君!君は本当に何者なんだアア!?」

 

『夜光院柩 4.7』

 

の文字に絶叫しているのだった……そして手元の紙を見ながら

 

「もう普通にやっていては駄目かもしれない、そう画期的な一手が必要だ!ええい!こうしてはいられない!」

 

このままでは蛍が不利だということを悟ったアシュタロスは慌てて階段を駆け下り、地下の研究室へと向かうのだった……そしてこの時作られた薬が新たな騒動を起こすことになるのを誰も知る良しがなかったのだった……

 

 

リポート15 予知探偵と見習いGSと机妖怪 その2へ続く

 

 




次回は愛子を出して行こうと思っています。ただこの愛子には逆行の記憶があるので流れは大分変わると思います

出来ればほのぼの見たいな感じにしたいと思っています。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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