GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!!   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです、今回の話は小竜姫がやっと横島と会うことが出来る話です。ただいま出ている小竜姫は逆行してきた小竜姫ではなく、この時代の小竜姫です。まぁ逆行してきた自分の影響をかなり受けていますけどね、あと鬼門の扱いはかなり酷いのでご了承ください。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その3

 

 

リポート14 ちょっぴり危険な恋する龍神様♪ その3

 

どんどん近づいている龍族の気配……この感じは間違いない、ミズチのシズクの物だ。それに人間の気配が2つに幽霊と魔族が1人ずつ……

 

(ほう。九尾の狐の転生体まで連れておるか)

 

妙神山の奥の部屋の中で目を閉じていた老人……いや年老いた猿が楽しそうに笑いながら目を開く

 

「この時を大分待ったのう……」

 

この老猿の妙神山の最高責任者である猿神……その名を斉天大聖老師と言う。日本人には「孫悟空」の名が聞きなれているかもしれない

 

「漸く動き出しそうじゃな」

 

神族や魔族が関わっている横島に関するトトカルチョ……ではなく、過激派魔族と神族を探し出す為に最高指導者により、特別に逆行を許されたのである。つまり仕事であるが……

 

「これでトトカルチョが大きく動くのう……特にあの頭の固い小竜姫がどうなるか見ものじゃい」

 

……どうも娯楽として考えているような素振りを見せているのが極めて不安である

 

「さてどうなるか楽しみじゃのう」

 

楽しそうに笑いながら老師はキセルをくわえ、窓から門の所にたどり着いた横島達と、門の近くで待機している小竜姫を見て更にその笑みを深めたのだった……

 

 

クロと言う人狼に妙神山への近くまで案内してもらったが、横島が気絶していたので起きるまで近くで体を休めることにしたのだ。

 

「なるほどね、チビが勝手に森の中に行って追いかけて行ったのね」

 

シズクからどうして横島が単独行動をしたのか?と言うのをシズクから聞いていた美神さんが頷く

 

【ちびちゃん、あんまり好き勝手していると駄目ですよ】

 

「みむう……」

 

両手で頭を抱えてごめんなさいと言いたげな素振りを見せているチビ。今回は自分も悪いことをしたという自覚があるのか、おキヌさんの説教をも素直に聞いている

 

「……横島が天狗と人狼の一騎打ちに乱入して、2人を正座させてて面白かった」

 

若干黒い笑みで笑うシズク。面白いというのはどうかと思うけど、確かに霊格の高い人狼と天狗が正座している光景を見るのは面白いかもしれない……滅多に見れる光景ではないし……

 

「ふーん……娘さんの為に天狗と一騎打ちしようとしてたクロさんと天狗の争いに乱入……横島逃げるな、ちょっと横島そこに正座「はひい!?」

 

こっそりと隠れようとしていた横島を睨む、天狗と人狼と言えば妖怪の中でも、かなり強力な種族だ。それを相手にロクに霊力も使えない横島が割り込む?そんなのは自殺行為としか言い様がない

 

「ひ、人助けでして……」

 

確かに横島のいい所は優しさだけど、自分が大怪我をしては意味がない

 

【横島さん、私達凄く心配したんですよ?】

 

「本当よ、妖怪に攫われたと思って」

 

私達の傍に居れば護ってあげる事は出来るが、自分で危険な場所に行かれてはどうしようもない

 

「本当にすいませんでしたぁ!!!」

 

土下座しかねない勢いで謝る横島だけど、正直今回はそれだけで終わらせることは出来ない

 

「【ちょっと本気で反省しましょうか?】」

 

私とおキヌさんが握り拳を作り、そのまま振りかぶり全力で横島の頭へと振り下ろしたのだった……

 

「ううう……頭痛い」

 

「くう」

 

大きなたんこぶを作って泣きながら私達の後ろを歩いてくる横島。そのたんこぶを舐めて痛みを和らげようとしているタマモ

 

「……そんなに怒らなくても良いのに」

 

普段は私達も横島の味方をするけど、今回はそうも言ってられないだけの事を横島はしている。やはり、あんまり甘やかしすぎてはいけないと今回はそれを痛感した

 

(今回ばかりはね、私も心配したし)

 

妙神山はかなりの数の妖怪が住む場所でもある、本当に下手をすれば骨も残さず食い殺された可能性もあるのだから

 

(ここで少しは霊力が覚醒すれば良いんだけど……)

 

横島の霊力の覚醒には小竜姫さんが関わっていたとは聞いている、だけどそれが今かは判らない。もしここで横島がもう少し霊力に覚醒してくれれば少しは安心できるんだけど……なんせ横島は妖怪を惹きつけるから何かあってからでは遅いからだ。だから自衛の手段は出来れば身に着けてほしいと思っている。

 

「そろそろ無駄話は終わりよ、見えて来たわよ」

 

美神さんの声に顔を上げると巨大な門が目の前に来ていた。妙神山の入り口だ……しかしこうしてみると本当に大きいわね。結界の基点も兼ねているから大きくなるのは判るけど、威圧感が凄まじい

 

(鬼門は気づいているわね)

 

門についている2つの鬼の顔がこっちを見ているのが判る。まぁそんなに強くないと聞いているので全く問題はないと思うけど……

 

【この門を潜る者、汝一切の望みを捨てよ 管理人】

 

門の前に立てられた看板を見た横島が眉を顰めながら

 

「管理人って言うのがなんか胡散臭いですけど、何かいやな予感がしますね。それにあちこちから見られている気配がするし……」

 

さすが横島と言うべきなのかもしれない、自分を見ている鬼門の視線に気付いている

 

「こんなのはハッタリよ、ハッタリ!」

 

美神さんがふんっと鼻を鳴らしながら門を軽く叩く、美神さんは凄く優秀なGSなんだけど、どうも基礎を疎かにするような気がする。今も霊視は全く使ってないし……そして叩かれた鬼門は

 

「「何をするかぁ!この無礼者がぁ!!!!」」

 

凄まじい怒鳴り声を上げた思わず耳を塞いでしまうほどの大声だった

 

「「しゃ、喋った!?」」

 

驚いている美神さんと横島を見ながら私はおキヌさんとシズクに近寄って

 

(気付いている?)

 

鬼門は確かに私達を見ていた、だけどそれとは全く異なる視線が私達を今も観察している

 

(はい、とっても嫌な気配ですね。でも懐かしいです)

 

(それはお前に似ているからだ)

 

そうなのだ。私達を見ている視線は何故かおキヌさんにとても似ている。でもそれは友好的なものではなく、嫉妬とか恨みとかの負の念が込められた物だ

 

(心当たりある?)

 

勿論私には心当たりなんてない、そもそも妙神山の記憶はあんまりないし、老師とパピリオと遊んでいた記憶しかない。だから妙神山のことは殆ど判らない

 

(ここまで来ているんですけど、えーとえーと)

 

何かを必死に思い出そうとしているおキヌさんを見ていると鬼門が

 

「我らはこの門を護る鬼!許可無き者は我らを潜る事まかりならん!!」

 

「この右の鬼門!」

 

「そしてこの左の鬼門ある限り!おぬしのような未熟者ににこの門は開きはせん!!」

 

声を揃えて勇ましくそう叫んだ瞬間

 

「あら?お客様ですか?」

 

のほほんとした声が響き門が開く。そこから顔を出している赤毛の女性を見た瞬間理解した。あの視線の主はこの人なのだと、その可能性は充分に考えていた。だけどそれはあんまり考えたくない可能性の1つだった……

 

「「しょ、小竜姫様ぁ!!!わ、我らにも役割と言うものがああああ!!!」」

 

号泣しながら叫ぶ鬼門の声も今の私には気にならない、もっと警戒しなければいけないのは目の前で穏やかに微笑んでいる小竜姫さんだ……

 

「そう硬い事を言わないでください、私も暇なのですよ?」

 

雰囲気も喋り方も私の記憶に僅かに残っている小竜姫さんと同じなのだが……その目に映されている黒い光に私は完全に圧倒されてしまうのだった……

 

 

 

 

 

門から出てきた赤毛の少女が美神さんを見て穏やかに微笑みながら

 

「それで貴方達は?ここに来たという事は紹介状を持っているのですね?」

 

確かに唐巣神父は紹介状がないと修行は無理だと言っていた。だからこの山の関係者ならそれを訪ねるのは当然なのだが

 

(なんか変だなあ?)

 

なにが変と言うとそれが何かは判らないのだが、妙な違和感を感じる。それ何か判らないので余計にもやもやする

 

「私は美神令子。唐巣先生の紹介で弟子の芦蛍と一緒に修行に来たの、あっちのも一応助手だけど、まだどういう修行をすれば良いのか?って言う方向性も見えないからなにかアドバイスを貰えると嬉しいわ」

 

美神さんが俺を見ながら目の前の女性にそう言う。鬼門とか言うのの言葉を信じるなら小竜姫って言う名前なんだろうけど……

 

(んーむ。なんかシズクに似た気配を感じる)

 

名前の通り竜に関係する神様なのだろうか?しかしそれにしても……

 

(美人だなあ)

 

凛とした雰囲気を纏っていて、どうも今まで俺の知り合いにはいなかった美人だ……

 

「唐巣……ああ、あの方ですね。人間としてはとても筋が良かったですよ、人間にしては上出来の部類ですよ」

 

唐巣神父って俺からすれば凄い人なんだけど……それになんかこうぱっと見は美人なお姉さんなんだけど……こう、なんと言うか観察されているような気がして……

 

(なんか怖いなあ……)

 

初めてシズクに会った時に感じた。こうなんとも言えない嫌な予感……美人なお姉さんと思い込むのは危険なのかもしれない……とは言えこんな美人なお姉さんに何もし無いという事は出来ないので

 

「初めまして、俺は横島忠夫です。お名前を教えていただけませんか?綺麗なお姉様」

 

両手を握りながら尋ねる。一瞬背筋に氷柱を突っ込まれたような寒気を感じたが、気のせいだと信じたい

 

「あらら、お上手ですね」

 

おろ?案外好感触?こういう所にいる人だったらもっとお堅い人だと思ってたのに……もしかしたら行けるかも知れないと思った瞬間

 

「小竜姫様に何をするか!この無礼者!!」

 

「げふう!?」

 

突然動いた門に殴られる。自分で動く事が出来るのか……これは正直予想外だ

 

「うぐぐ……はっ!?」

 

頭を押さえながら立ち上がろうとすると目の前に影が落ちる……だらだらと冷や汗を流しながら顔を上げると、そこには

 

【「「横島?」」】

 

前髪で視線を隠している蛍と赤い人魂を周囲に浮かべているおキヌちゃんに、底冷えするような冷たい笑顔を浮かべているシズク

 

【「「反省しようね?」」】

 

「い、いやああああああああ!!!!!」

 

~~~暫くお待ちください~~~

 

「し、死ぬうう……」

 

大量の水。容赦のない打撃、そして人魂による精神的なダメージにより俺は本気で死ぬと思った

 

「みー!みー!!!」

 

「コーン!コン!!!」

 

必死に鳴きながら俺の頬を叩くチビと舐めて傷を癒そうとしてくれるタマモ……暫く動けずにその場で蹲っていたが、徐々に身体の感覚が戻ってくる。蛍が言うには潜在霊力が俺の治癒力を高めてくれているらしいが、シズクが言うには自分の加護だ。と言う俺には正直どっちでも良いのだが、回復力が高いと言うのは良いと思える、除霊の時とかにはきっと役立つとおもう

 

「よっと!サンキュー、チビ、タマモ」

 

「み♪」

 

「コン♪」

 

俺を心配してくれたチビとタマモに礼を言っていると、鬼門達が小竜姫さんに

 

「規則通り、この者達に試練を与えるべきです!」

 

試練?そういえば唐巣神父がそんな事を言っていたような気がする

 

「そうですか、ではやりたいようにしてください。私は待っているので」

 

そう笑って近くの岩場に腰掛けた小竜姫さんは俺達を見つめている。何か落ち着かないものを感じていると

 

「さぁ!この門を潜りたければ我らと戦ってもらおうか!!!」

 

「でか!?」

 

近くの岩が変化して巨大な鬼の身体になる。思わずそう叫んでしまうとシズクが

 

「……見かけだけだから心配ない。鬼はそんなに強くない」

 

「それはシズクが龍族だからでしょうが」

 

呆れたように呟く蛍。俺には良く判らない話だ、エミさんから貰った本には龍族は妖怪・神・魔族。どの種族の中でも強い力を持つ者が多いということだけだ、しかし俺からすれば鬼も妖怪も自分よりも強いわけで、結局隠れるしかないわけで……

 

「お、俺は「みーむ!!!」チビ?」

 

チビとタマモを抱えておキヌちゃんの近くに隠れようとしているとチビが力強く鳴いて俺達の前に立つ

 

「無理無理!怪我!怪我するぞチビ!」

 

チビはハムスターより少し大きい程度、あの巨体の鬼に勝てるわけがない

 

「みむむッ!!!」

 

チビは力強くもう1度鳴くとバチバチと放電を始める

 

「みみみみー!!みみみみー!!!みみみー!!!」

 

「「ほほう?面白そうだ、待ってやろうではないか」」

 

鬼門がそうは言うが、俺としては気が気ではない、ここまで大事に大事に面倒を見て、育ててきたチビが怪我をする光景なんて見たくないのだ

 

「み、美神さん!チビが!チビがぁ!?」

 

「落ち着きなさい、何か考えがあるのかもしれないんだから黙ってみてる」

 

そんなぁ!チビがあんなのに勝てるわけがない!蛍とシズクを見ると

 

「大丈夫よ。いざとなったら直ぐに助けるから」

 

「……心配は必要ない、私なら鬼なんて瞬殺」

 

ぶいっとピースするシズクと破魔札を準備している蛍。俺も最悪あの霊力の篭手を使う覚悟を決めていると

 

「みみ!みむむみみみみ!!みみみみみいいいいいッ!!!!!」

 

チビの放電音が段々大きくなっていく、そして4つ這いになったチビは翼を羽ばたかせ、尻尾を高く掲げる

 

「みみみみみみみみーーーーッ!!!!」

 

チビの身体を電撃の光が包んだ瞬間チビは力強く吼えながら口を開く

 

ゴウッ!!!!!

 

バッキャアアアアンッ!!!!

 

「「「はい?」」」

 

チビが放ったとは思えない巨大な光線が門の近くの岩を砕く、それは鬼門を狙っていたが外れたと言う感じだ。チビは再び翼を羽ばたかせ電撃を溜め始める

 

「「待て待て待て!!!」」

 

鬼門が慌てて止めに入るがもう遅い……何故ならば既にチビは電撃の充電を終えていた

 

「みっぎゃああああああああ!!!!」

 

「ふぐおおおおおおう!!!!」

 

「ひ、左のオオオオオ!!!!!!!」

 

チビの電撃砲の直撃を喰らった左の鬼門が吹き飛ばされ山の下へと落ちていく。凄まじい破壊力だ

 

「けぷ」

 

口の中から煙を吐き出しているチビはそのまま地面を歩いてきて

 

「み……」

 

飛ぶ力もないのか俺のズボンを引く抱き上げて頭の上に乗せると

 

「みーむ」

 

もぞもぞと髪の間に潜り込んで眠ってしまう。しかしさっきの電撃は凄まじかった……いつのまに『はかいこうせん』を覚えたのだろうか?

 

「……じゃあお前も落ちとけ」

 

「え?うおおおおおおお!?」

 

そして残っていた右の鬼門もシズクの超水鉄砲で谷のそこへと落とされてしまった。真っ黒い笑みで笑っているシズクが中々恐ろしい

 

「私がやらなかったら駄目とか言わないわよね?」

 

「いえ?別にそんな事は言いませんよ?」

 

にこにこと笑っている小竜姫さんに美神さんが

 

「ほら、早くここの管理人とやらに会わせてよ、あの鬼とか貴女じゃ話にならないから」

 

その瞬間穏やかに笑っていた小竜姫さんの気配が代わる。俺は咄嗟にチビとタマモを胸に抱え

 

「蛍!」

 

「え!?な、なに急にどうしたの!?」

 

突然手を握られた事に驚いている蛍の手を掴んで近くの岩場に隠れながら、近くに浮いていたおキヌちゃんに

 

「おキヌちゃんも早く!こっちに!」

 

【は、はい!でもどうしたんですか?】

 

納得はしてないと言う感じでも俺の傍に来るおキヌちゃん、そして次の瞬間凄まじいまでの暴風が小竜姫さんから放たれる

 

「シズク!」

 

その爆風に飛ばされてきたシズクを岩から身を乗り出して捕まえる

 

「……最初から私も助けろ」

 

ジト目で見てくるシズクから目を逸らす。正直シズクは強いから大丈夫とか思っていたが、やはりシズクも助けるべきだったのかもしれない

 

「な、なななな!?」

 

驚いている美神さんに小竜姫さんは穏やかに笑いながら

 

「美神令子さん?貴女は霊能力者の癖に目と頭で考えすぎですよ?お弟子さん達は私に気付いていたみたいですよ?特に横島さん……でしたか?」

 

急に名指しされておどおどして、思わず腕の中のシズクを見ていると、小竜姫さんはちょっとだけ睨むような素振りを見せてから

 

「まぁそれはおいおい話すとしましょうか。どうも貴女は大技を好んでいるみたいですしね、しかし基礎を疎かにするのは褒められたことではないですよ?もっと初心を大事にするべきで。特に弟子を育てると言う意思があるのならなおの事です」

 

声こそは穏やかだが、それは若干攻めているように俺には感じられた。師匠としての心構えが足りないと言うことを指摘された美神さんは面白くなさそうに近くの石を蹴って

 

「横島君。蛍ちゃん、私は荷物を拾ってから行くから先に入ってなさい、良いわね?」

 

有無を言わさない口調に頷き、蛍達と一緒に門の中に入った瞬間

 

「きゅーん♪♪」

 

どこかで聞いたような可愛らしい声と凄まじく巨大な影。咄嗟に顔を上げるとそこには俺に向かって飛び掛ってくる巨大な動物の姿

 

「は?「きゅー!!!!」おんぎゃああああああ!?」

 

受け止める事もできずその巨体に押し潰された俺の意識は簡単に闇の中へと沈んでいくのだった……慌てた様子の蛍とか小竜姫様の俺の呼ぶ声が聞こえたような気もしたが、俺はその言葉に返事を返すことは出来なかったのだった……

 

そして闇の中で俺の耳の中に飛び込んできていたのは

 

「やっと会えました、ずっとずっと待っていたんですよ?」

 

楽しそうに笑う女性の声。その声自体はとても優しい物で、安心できる物だったのだが……何故か、そう何故か理解できない恐怖を俺は感じているのだった……

 

 

「ふーむ。未来の小竜姫が大きく干渉しておるのう……」

 

ワシはキセルをくわえながら、小僧たちを招き入れている小竜姫を見て眉を顰めた。本人は自覚していないが、かなり精神的に未来の自分に引きずられている

 

「ワシが見に行こう」

 

昔なじみの竜の老人がワシに声をかける。小僧を押し潰しているモグラの保護者として妙神山に滞在してもらっている。ワシはまだそう表に出るわけにもいかんので

 

「頼む。それにあのままでは小僧が死んでしまうからの」

 

本当は名前を知っているが、その名で呼ぶわけには行かないので苦笑しながら窓の外を見る。そこには

 

「きゅ?」

 

小僧を押し潰しているモグラの姿。子供ゆえに力加減が全く判っていないのだ、そして自分の巨大さも

 

「あい判った。ではの」

 

階段を下りていくその友人の姿を見つめながら、キセルを吹かす

 

「今度はワシにどんなものを見せてくれるのか?楽しみにしておるぞ、横島」

 

未来の世界の弟子にして、この世界では数多の可能性を見せている横島の姿にワシは笑みを抑えることが出来なかったのだった……今度はあんな未来にならぬよう、しっかりと道を示してやろう。それがワシにとっての贖罪になるのだから……

 

リポート14 ちょっぴり危険な恋する龍神様♪ その4へ続く

 

 




次回は美神の視点と小竜姫様の視点で進めて以降と思います。そして再登場のモグラちゃんです、マスコットの存在はやはり心癒されるものがありますよね。チビが電気ネズミになりつつあるのはスルーしてください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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