GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!!   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話は横島がシメサバ丸を手にしてしまったあたりの話から書いていこうと思います。親分とかですね、それからシメサバの話は1度区切りにして、アリスの話に入って行こうと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その3

リポート13 無邪気なゾンビと人斬妖刀と未熟なGS その3

 

その日。ある屋敷の前で大量の警察と黒塗りの高級車が並んでいた。その屋敷には木で出来た「関東極悪会」の文字……この日この場所では長年続いていた抗争を収めるために「地獄組」「極悪組」の組長がこの屋敷に訪れていた。

 

「地獄組にも極悪組にもそれぞれの言い分があると思うが、今回はワシの顔に免じて今日限りにしてもらおう」

 

2人の組長の前に座る大親分がそう告げると2人の組長は渋い顔をしながらも

 

「……承知いたしやした」

 

「いたしかたありやせん」

 

2人の言葉に大親分は満足げに頷きながら自身の横の机の上から酒瓶を手にし

 

「では手打ちの杯をかわして……」

 

2人の前の杯に酒を注ごうとした瞬間

 

【カカカカーッ!!!!そんな愚かな事をしてもらっては困る!!!】

 

窓を突き破りシメサバ丸が飛来し大親分と組長を見て、組長を見て

 

【納得しておらんのだろう?従うな、争え、殺しあえ!さぁ拙者を掴め!】

 

シメサバ丸の言葉に2人の組長の内。黒いスーツの組長が立ち上がりその柄を掴み

 

「しねやああああ!!!」

 

シメサバ丸の妖力に完全に操られ、正気を失ったまま刀を大親分に向かって振り下ろした瞬間

 

「おっさん!あぶねえ!」

 

「ぬお!!」

 

横島が飛び出し大親分を突き飛ばすが……それはシメサバ丸の計算のうちだった……

 

【カカカ!!計算通りだ】

 

それよりも早くシメサバ丸は組長の手から飛び出し、柄から触手を放って横島の手に収まる

 

「ちくしょー!おっさんなんて庇うんじゃかったああああ!!!」

 

【カカカッ!!!手に入れたぞ、拙者の身体ああああ!!!】

 

号泣する横島とその後ろで泡を吹く組長2人と親分。そして

 

「あはは♪おっもしろーい♪」

 

号泣する横島をその背中の上から見て楽しそうに笑うアリス

 

「【ヨコシマ……】」

 

そして横島の背中のアリスを見て黒いオーラを撒き散らす蛍とおキヌ。それを見た横島はシメサバ丸を持ったまま

 

「いやー!!ワイは悪くない!無実なんやああああ!!!

 

目から滝のような涙を流しながらそう絶叫するのだった……それを見ていた美神は溜息を吐きながら、横島とシメサバ丸を分離させる方法を考えるのだった……

 

 

 

 

 

横島を助けに来たのに、背中の上の金髪の少女を見て、助けるから横島をぶちのめすに変わりつつある思考を感じていると

 

「はいはい、落ち着きなさい」

 

後ろから美神さんに頭を叩かれ、頭に上っていた血が少し下がるのを感じた。おキヌさんのほうは1円の破魔札で気付けをされていた。美神さんもかなり私達の対処法に慣れてきたようだ

 

「横島君が背負ってるあの幽霊かゾンビの女の子は後回しでいいわ、悪い子じゃ無いみたいだし」

 

美神さんはそうは言うが、横島の首に手を回してしっかりとしがみ付いているその姿を見るとさすがに面白くはない

 

「後にしなさい。まずはシメサバ丸と横島君の切り離し!それが最優先よ」

 

神通棍を手にシメサバ丸と向かい合う美神さんだったけど、2人が鍔迫り合いになる前にシズクが作り出したであろう水の壁が2人を引き離す

 

「……斬りあうのは危険。横島の霊力を吸い上げてる」

 

ぼそぼそと言うシズク。確かに良く見ると刀身に凄まじいまでの霊力が集まっているのが判る

 

「流石にあれと斬りあうのは危険ね。でもそれじゃあ横島君を取り押さえれないし」

 

【カカカっー!!!凄まじい力よ!拙者は無敵になったああああ!!!】

 

「ぜは!ぜは!!!やべえ……力が抜けてきた……」

 

肩で息をしている横島……間違いなく霊力を吸われている事による衰弱……久しぶりに体を手に入れたからか調子に乗ってるみたい。いくら横島の潜在霊力が膨大でも使える霊力はそんなに多くない

 

「急ぐわよ。周りが起きてくると面倒だから」

 

ここまで来る間にいたやくざの皆様はおキヌさんを見るなり気絶した。幽霊に耐性のない人間にはかなり有効な手段だと思うけど、起きたら私達も危ないので急いで決めるとしよう、美神さんと目配せをして同時に破魔札を投げつけるが

 

【甘いわぁ!!】

 

鋭い一撃でお札を空中で両断する、切り裂かれた破魔札から溢れた霊力が花火の様に周囲を照らす、横島の周囲の家具や柱も両断されているのを見る限り、恐らく霊力の刃も同時にはなったのだろう……それにしてもシメサバ丸なんてふざけた名前をしてるけど、その切れ味は間違いなく名刀ね

 

(あの切れ味じゃあ買ったセラミックスでもやばいかも)

 

顔を青褪めさせながら呟く、今私と美神さんは厄珍で買った強化セラミックスのボデイアーマーを着ているけど、あの切れ味では逆に両断されかねない

 

(受け止めて破壊するって言うのは無理ね)

 

日本刀は切れ味はいいが耐久が弱い、セラミックの鎧なら耐えて、シメサバ丸を破壊できると考えていたが、今の切れ味を考えると受け止める事が出来ず両断される可能性が高い

 

【美神さん、蛍ちゃん。私が上手く誘導しますか?】

 

床から顔を出しているおキヌさんがそう提案するが、それは正直止めたほうがいい。高位の妖刀や刀は幽霊さえも切り裂く、いくらなんでも危険すぎる

 

「……少し隙を作ってくれれば私が何とかする」

 

シズクが池の水に手を入れながら私達に声を掛けてくる、その池の水はかなりの量が既に減っている

 

「何か考えがあるの?水で氷でも作るつもり?」

 

シズクが出来る事と言えば氷を作る事だけど、それでもシメサバ丸を破壊できるとは思えないんだけど……

 

「……指先から水を圧縮して刃にする。かなりの水を使うけど、これなら金属でも簡単に両断できる」

 

ウォーターカッターって奴か……シズクは本当に芸が多彩ね。味方になってくれたのは大きい

 

「みーむ」

 

「コン」

 

いつの間にか私達の足元に来ていたチビとタマモがこっちを見上げている。

 

「チビ。普段飛んでるのより早く飛べる?」

 

「みむ!」

 

力強く返事をするチビを見た美神さんは今度はおキヌちゃんを見て

 

「チビと一緒にシメサバ丸の注意を引いて、私と蛍ちゃんとタマモがフォローするから」

 

【はい!頑張ります!後で横島さんに話を聞かないといけないですからね】

 

それは私も思っている。特に背中の幼女については詳しく話を聞かないといけない

 

「良し行って!」

 

「みみー!!!」

 

今まで見たことのない速度で翼を羽ばたかせ飛び立つチビとおキヌさんを見ながら、私もホルスターから破魔札を取り出して援護の準備をするのだった

 

 

 

 

 

シメサバ丸とか言う刀に操られている横島の周りを飛び回るチビ。それは私でも捕まえるのは難しいと思う程の速度だった

 

(あんなスピードで飛べたんだ)

 

「みむううううッ!!!」

 

普段のふよふよと飛んでいる姿からは想像できない素早さで、上下左右に飛び回っているチビ。しかも鳴声までも勇ましい

 

「ぬぬ!こ、このやろおおお」

 

【いい加減に抵抗を止めろオオオ!!】

 

横島もシメサバ丸に頑張って抵抗しているようで思うように動けていない、だからチビとおキヌも危ない所で回避が出来ている

 

「早くしてあげてよ、いつまでも横島君が抵抗できるとは思えないから」

 

美神が焦った様子で牽制にとボウガンを放ちながら私に言う、だけど私はそれほど焦ってはいなかった。横島の精神力はかなり強い、あんなボロ刀がいつまでも横島を操れると思っていない

 

(……とは言えタイミングは重要)

 

水の刃がかすれば間違いなく横島の腕も切り落としてしまう。そんな事をしたくないのでタイミングはとても重要だ

 

「蛍ちゃん!合わせて!1・2の3!!」

 

美神と蛍が同時に放った破魔札それは左右からの挟み撃ちで避けれるタイミングではないが

 

【甘いわぁ!!】

 

銀の閃光が走り再び両断される、私はそれを見てにやりと笑いながら指先をシメサバ丸の刀身に向ける

 

「……甘いのはそっち」

 

破魔札はそれ自体に霊力が込められている。そんなものを両断すれば、内包している霊力が爆発する。その時飛び出した霊力が火花のように炸裂し視界を隠す

 

【てーい!!!】

 

「みーむー!!!」

 

「へぐろお!?」

 

「むきゅ!?」

 

床から飛び出したおキヌが横島の胴体を掴み、チビが思いっきり横島の頭に突撃する、その加速のついた一撃で横島が意識を失い、背中の死霊が横島に押し潰されて変な声を上げる

 

「……行け」

 

横島が意識を失った事で浮遊しているシメサバ丸の刀身目掛け水の刃を飛ばす

 

キンッ……

 

乾いた金属音が響いた瞬間。シメサバ丸の刀身は宙を舞い庭に突き刺さる。少しだけ威力を間違って更に柱を切り裂いたけど大黒柱ではないから大丈夫だろう。そもそもこれは飛ばしたるする技ではないので、これでも大成功だ

 

【ぬかった……わ】

 

シメサバ丸の柄に浮かんだ顔はそう呟くと同時に消える。これで横島は助かった……そう思ったんだけど

 

「どこの組の回し者じゃあ!!」

 

「殺せえ!!」

 

「親分と組長を護れええ!!」

 

ここにくるまでに気絶させていた人間が目を覚まして走ってくる。少しばかり時間を掛けすぎたかもしれない……せっかく人助けをしたのにこれは酷いと思う

 

「私が何とか説得するから何もしないでよ」

 

美神が説得するというが、完全に殺気立っていて説明する余裕もない。そして一番先頭の男が気絶している横島目がけ拳銃を向けた瞬間

 

「「【そっちが死ねえ!!】」」

 

躊躇い事無く私と蛍とおキヌはその男目掛けて拳を繰り出したのだった。霊力で強化されているので面白いようにふっとび意識を失う男と

 

「「「てめえら!ぶっ殺してやらぁ!!!」」」

 

「ちょっとー!?交渉の余地をなくすのは止めてーッ!!!」

 

もうここまで来たら止まる訳がなく、凄まじい乱闘が始まるのだった

 

「み、み、みぎゃああああ!!!」

 

「「「ふぎゃあああああ!!!」

 

気絶している横島に襲い掛かろうとした男達は、横島の頭の上のチビが放った紫電で昏倒している

 

(成長してる)

 

ペットとしての姿ばかりを見ていたけど、やはり悪魔は悪魔。いつのまにかしっかりと攻撃技能を身につけていた。その事に安堵しながら

 

「……沈め」

 

「「「がぼがぼおおおお!!!」」」

 

片っ端から男たちの顔に水を集めて気絶させるのだった。蛍は躊躇う事無く顔面を強打しているし、おキヌはポルターガイストを使って応戦している。そもそも普通の人間が私達に勝てるわけがないのだから、これは当然の結果だ。

 

なお気絶していた親分と組長?が起きるまでの10分間でこの屋敷にいた全員は殆ど昏倒しており、それを見た3人にスカウトされたのだが、それは関係のない話なので割愛しておこうと思う

 

 

 

 

 

俺が助けた親分さんが目を覚まし、俺達を賊として勘違いして襲ってきたヤクザを全員一喝して大人しくさせた後

 

「助かったでボン。ようポン刀の前に飛び出してきたな、いい根性しとるわ」

 

カカカッと笑いながら俺の背中をバンバン叩き上機嫌で助かったと美神さんに礼を言い

 

「ワシらは確かにまぁ人様に褒められるような仕事はしとらん。だけどな筋は通す、それが仁義って言うもんや。しっかり報酬払うさかい話しよか?おい!お前ら!早く客人の座布団とお茶を用意しねえか!!」

 

「「へ、へい!判りやした!!!」」

 

お爺ちゃんって感じなんだけど凄い威圧感だな。親分って言われてるのも判る気がする、強面の連中に物凄く丁寧に屋敷の奥まで案内され、美神さんと親分さん達が話をしているのを別室で待っている時……なんでも俺がいると話がこじれるかもしれないらしので別室で待機するように言われたのだ。最初は俺も美神さんや蛍達と一緒だったんだけど

 

「みーむ!みーむ!!!」

 

ぱちぱちと放電してるチビ。僕はこんな事が出来るようになったんだよ!と自慢しているように見えるし

 

「くーん」

 

擦り寄ってくるタマモは自分を構えと言っているように感じるし

 

「ねー!あそぼーよ!アリス!暇ー!!!」

 

遊べー遊べーと言いながら俺の髪を引っ張るアリスちゃん。とても真面目な話をする雰囲気ではなく、俺達は別室へと案内されたのだ。持って来てもらった煎餅を食べていると

 

「お兄ちゃん!ここは飽きたから遊びに行こう♪」

 

窓を開けて顔を見せるアリスちゃん。まぁ子供だからこういう雰囲気は良くないよな……

 

「ちょっと待ってくれ」

 

机の上の紙にアリスちゃんと散歩に行ってきますと書いて、昼寝をしているチビとタマモにジャケットをかけて

 

「行こうか?」

 

「うん!あっちに公園があるから行こ♪」

 

嬉しそうに笑うアリスちゃんと一緒に俺は公園へと歩き出したのだった

 

「えっへへー♪楽しいねー」

 

ブランコや滑り台で楽しそうに遊んでいるアリスちゃん。もし警察とか来たら俺やばいんじゃないのかな?と思いながら

 

「楽しいのなら良かったよ」

 

その時はその時考えれば良いやと思い、ブランコから笑いながら手を振っているアリスちゃんに返事をすると、アリスちゃんはブランコから軽やかに飛んで俺の前に回転しながら着地して

 

「お兄ちゃん!今日はとっても楽しかったわ♪だからお兄ちゃんにお願いがあるの」

 

両手を組んで俺の顔を見上げながら尋ねてくるアリスちゃん。その仕草自体はとても可愛いのだが

 

(なんだ……この感じ)

 

まるで全身を締め付けるかのような、蛇に睨まれたかのような……表現しがたい感覚が俺を襲う

 

「俺に出来ることなら聞くけど「嬉しい♪」

 

俺の言葉を遮って幸せそうに笑ったアリスちゃんは再び地面を蹴って飛び上がる。だけどそれはとても少女が出来る飛び方ではなく、嫌でも俺はアリスちゃんを警戒してしまった

 

「あのね?お兄ちゃんとっても優しいからアリスのお友達になってほしいの」

 

にこにこと笑いながら友達になって欲しいと言うアリスちゃん。警戒して損したと思った俺は苦笑しながら

 

「いいよ。俺でよかったら友達になってあげるよ」

 

俺がそう言った瞬間。凄まじい寒気を感じた、今まで可愛いと思っていたアリスちゃんが怖いと俺は思った

 

「嬉しい♪でもね?アリスのお友達は皆死んでいるの……」

 

周囲に黒い渦が大量に姿を見せ、そこから悪霊や動物のゾンビが次々に姿を見せアリスちゃんの周りに集まっていく

 

「だからお兄ちゃんも……死・ん・で・く・れ・る?」

 

どこまでも純粋な笑顔で、どこまでも恐ろしい笑顔でアリスちゃんは俺にそう告げた。そしてその言葉を合図に現れた悪霊やゾンビ達が一斉に俺の方に向かってきたのだった……

 

 

 

 

人払いの結界を自身とネビロスに展開した優太郎は街の中を走っていた。彼の勘が告げていたのだ、このままでは大変な事になると

 

「しまった!アリスのやつ結界を!急げ!アシュタロス!このままでは大変な事になる」

 

「どうなるっていうんだ!?」

 

ネビロスの言葉に叫ぶように尋ねる優太郎。ネビロスは眉を顰めながら

 

「魔界から動物のゾンビと悪霊が溢れかえる!アリスはまだ細かい制御が出来ないんだ!」

 

「なんでそんなものを教えた!この大馬鹿ああ!!!」

 

「すまない!アリスが心配だったんだ!!!」

 

絶叫しながら走る優太郎とネビロス……2人は横島が殺される前にと必死で公園へと走るのだった……

 

そして優太郎のビルを抜け出したベリアルもまた

 

「結界!?誰かに襲われているのか!今お義父さんが行くぞオオオオ!!!!」

 

凄まじい雄たけびを上げながら風になっているのだった……

 

リポート13 無邪気なゾンビと人斬妖刀と未熟なGS その4へ続く

 

 




次回でリポート13は終わりの予定です。アリスと言えば死んでくれる?これは外せないですよね。アリスと横島がどんな結末を迎えるのか?そこを楽しみにしていてください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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