リポート12 吸血鬼の夜 その6
父さんの古城の中には危惧していたグールの姿は殆ど無かった……そのおかげで体力も霊力も温存したまま進む事ができている、だが外から聞こえてくる怒声から激しい戦いが行われているのだと判る
(外に回っているのか?)
島の皆が正面から城の中へと突入してくれたおかげか、城内にグールの姿はない。多少姿の見えるのは吸血鬼化した狼程度だが……僕とシルフィーの睨みで逃げていく、すんなりと地下から1階へ上がる事が出来た
「敵は全然いないわね。このまま最上階にだっていけるんじゃない?」
美神さんがそう言うが、そんなことはないと自分で判っているようで引き締まった顔をしている。
「まだまだこれからだよ。魔族が危険な吸血鬼を開放してるから」
シルフィーがそう呟く、この古城には思考が危険で危険視されている吸血鬼が何体か封印されていたはずだ。だけど封印されているはずの地下にその姿が無かった。それはつまり封印が解除されているという証拠だ
「その吸血鬼って言うのはどんなワケ?知っているなら教えて欲しいんだけど?」
エミさんにそう言われるが、僕とシルフィーは首を振りながら
「危険な吸血鬼としか聞いて無いので、何とも言えないです」
残念ながら危険だからとしか聞いていない。ただ人間撲滅思考の持ち主としか聞いてないのだ
「うん。それに地下はあんまり入ったら駄目だって言われたしね」
父さんではないが、村の皆にも言われていた。1000年以上前の吸血鬼だそうだが……
「まぁ先に進むしかないよ、ここから先は暗くなるからより注意してね」
そう笑う唐巣先生。1階はまだ光が入って来ているが、2階は完全に闇に包まれている、つまり吸血鬼の世界と言える。生身の美神さん達が先頭を歩くのは無謀と言えるだろう
「マリア。すまないが、前を頼むぞ?」
ドクターカオスがマリアさんにそう声を掛ける。彼女はアンドロイドだから吸血鬼にされる事はない筈だ
「任せて・ください・銀の弾丸は・装填済みです」
銀の弾丸。吸血鬼の弱点の武器だ、さすが1000年の時を生きる錬金術師。備えも完璧のようだ
「僕とシルフィーも前に出ます」
吸血鬼である僕とシルフィーも前に出て当然だ。噛まれなければ支配されることはないし、仮にもブラドーの血を引いているのだから並の吸血鬼の支配を受けるはずもない
「それじゃあ私と唐巣先生は中衛に回るわ、エミは後衛で臨機応変にお願いね。蛍ちゃんも同じく後衛、状況次第で動いて」
てきぱきと指示を出す美神さんに頷き。僕達は2階へ続く階段に足を向けたのだった……
「所で美神さん。横島君と神宮寺は?」
そう言えば姿が見えない、おかしいなもう合流してきてもおかしくないはずなのに……
「確かに遅いわね……おキヌちゃん見てきてくれる?」
美神さんがおキヌさんに声を掛けると、幽霊のおキヌさんは小さく頷き。壁の中に消えていった……バンパイヤミストで移動できる僕かシルフィーでも良いんだけど、ここは案内の出来る僕とシルフィーが離れるわけには行かない。だからおキヌさんが適役のはずだ
「さ、私達は気合を入れて進んでいくわよ、案内よろしく」
美神さんの言葉に頷き、僕とシルフィーを先頭に光のない古城の中を進み始めるのだった……
俺と神宮寺さんは偶然見つけた書庫で30分以上留まっていた……シズクは退屈そうに椅子に座って、膝の上のチビと遊んでいるし、タマモは膝の上で丸くなって暇つぶしをしている。俺としては早く蛍や美神さんと合流したいんだけど
「神宮寺さん、先に進まなくていいんですか?」
本を読んでいる神宮寺さんにそう尋ねる。神宮寺さんは見ていた本を閉じて
「少し待ちなさい。私が探しているのは希少な魔導書だけですわ、本を見れば直ぐ判るので少しまってなさい」
そう言ってまた本棚を探し始める神宮寺さん。こんな事をしていて良いのかな……俺も少し本を見るかなあと本に手を伸ばすが
「止めておきなさい、ここにいるのは程度は低いとは言え魔導書の数々です。貴方みたいに霊力の低い者が見て良い本ではありませんわ」
神宮寺さんに脅されて伸ばしかけた手を戻そうとして、ふと気付く
「なんかこの本。凄い感じがするんすけど?」
「はぁ?貴方みたいなへっぽこに何を感じる事が出来るというのですか」
不機嫌そうに俺のほうに来た神宮寺さんは俺の手元を見て
「何の本もないじゃないですか」
え?どうしてだよ。目の前にあるじゃ無いか、俺は再度その本に手を伸ばし本棚から引き抜いた
「……貴方は霊力がないくせに特殊な目を持っているようですわね、全く宝の持ち腐れですわ」
なんかひどい事を言われてる気がする。と言うか特殊な目ってなんだよ
「……横島。そこには何の本もなかった、だけど横島はその本を見つけることが出来た。それは貴方の目が特別って事」
シズクの説明に頷く、そうか俺は陰陽術だけじゃなくて、何か特別な目があったのか。そう言えば前にゾンビの中の魂を見たような気がするな……まぁその時の1回だけだけど
「その様子では知らなかったようですわね。まぁ良いですわ、貴方の特別な能力も判りましたし」
何か納得した様子で俺の渡した本を懐にしまい神宮寺さん、一瞬見えた黒いレースの下着が眩しい」
【横島さん!?】
「へぶう!?」
本棚から突然顔を出したおキヌちゃんに顔面に拳を叩き込まれる。更に
「ふん!」
「ぎゃああ!?」
強烈な頭部への打撃に絶叫する。なんて重い打撃なんだ……美神さんか蛍のそれに匹敵するぞ……
「今度そんな事をすれば頭を握り潰すので覚えていなさい」
冷酷な響きを持っている神宮寺さんの言葉に何度も頷いていると、今度は脛に鈍い激痛が走る
「……てい」
シズクの強烈なローキックの威力。そう言えば初めてシズクに攻撃されたかもしれない……俺は脛を抑えて思わずその場に蹲ってしまうのだった……
「みみー!?」
「クウ」
ピクピク痙攣している俺を心配しているチビの小さい手と、俺の頬を舐めるタマモ。最近俺を心配してくれるのはチビとタマモだけだ……俺はそんな事を考えながら痛みが引くのを待つのだった
「まぁ良いですわ。さっさと行きますわよ」
俺を見下ろして歩き出す神宮寺さん。背中に憑いたおキヌちゃんに冷たい感触を感じながら、ゆっくりと古城の中を歩き出したのだった……
「ひっひゃひゃ……久しぶりに人間の女を見たなあ……」
俺達の前に巨大な吸血鬼が姿を見せる。3メートル弱の巨人
「ぎゃあああああ!?ば、化け物オオオオ!?!?」
「みみみみみーッ!!!!」
俺とチビの絶叫が重なる。こんなのと戦うなんて正気の沙汰じゃ無い。チビをGジャンのポケットの中に押し込み、更に結界札でチビが外に出ないようにして、美神さんから預かった防護札を手に取る
「ひゃははは!久しぶりに人間の血を頂きだぁ!!!」
吸血鬼が笑いながら拳を神宮寺さんに手を伸ばす。役に立たないかもしれないが、女の子が殴られるのを見てる訳には!俺は咄嗟にポケットの中の防護札を手に神宮寺さんの盾になろうとした瞬間
「……馬鹿!危ない!」
シズクが俺の服を掴んで引き寄せる、タマモも俺の頭の上で怒っているような仕草を見せる
「愚かしい判断ですわ、横島忠夫。私の力を知らないにも程がありますわ」
神宮寺さんの手が輝いたと思った瞬間。吸血鬼の拳があらぬ方向に捻じ曲がる
「っぎゃあ!?」
吸血鬼が悲鳴を上げた瞬間。神宮寺さんが素早くバックステップをし
「消えなさい、ゴミ屑」
青黒い炎が吸血鬼を飲み込んだと思った瞬間、凄まじいまでの悲鳴が古城に響き渡ったのだった
「殺したんすっか?」
痙攣している吸血鬼を見てそう尋ねる。吸血鬼の全身はボロボロに炭化していてる。これはまさか死んだ……
「コン」
励ますように俺の頬を舐めるタマモ。結界札の効果が切れた事でチビも顔を出している
「別に殺してませんわ、殺しはしないと言う契約ですもの、まぁ2度と目を覚ます事は無いと思いますがね」
にやりと笑う神宮寺さん。その姿は蛍や美神さんに聞いた「魔女」と言う名に相応しい笑顔だった……
「まぁこんな程度ですわね。ほら行きますわよ、へっぽこ」
服の埃を払いながら言う神宮寺さんに頷き、俺はその後ろをついて歩き出すのだった……
(あの人怖いなあ……)
(……あんまり近づこうなんて思わない事、あれは人間じゃ無い、人の形をした悪魔)
シズクの言葉に辛辣な響きがあった。確かに怖いとおもう、だけど……それ以上に
(彼女は泣いているんじゃ?)
判らない、あれほど強い彼女が泣いているとは思えない、だけど何故か俺は彼女がやはり泣いているように見えてしまうのだった……
(横島さん……やっぱりですか)
一緒にいるおキヌは気付いてしまった。横島がくえすの内面を感じ取っている事に、誰よりも優しい横島だからこそ感じる事が出来る彼女の弱さ
(私はどうすれば)
横島がくえすの内面を知ってしまえば、きっと横島は彼女の手を掴む、それを理解しているが、おキヌは思ってしまった。今の彼女のままではいけないと、彼女には横島の存在が必要なのだと
(ああ、本当に横島さんには困らせられてしまいます)
横島の傍にいると飽きる事はない、だけどその代わり気を揉むことになる、それが嫌なのだが、横島らしいと思いおキヌは横島の好きにさせる事にして
【横島さん、怖いですけど頑張りましょうね】
今は横島を独占すれば良いやと割り切り、横島の背中から抱きついて首元に腕を回すのだった……
古城を進んでいる突然断末魔の悲鳴が木霊する、若干城の内部の温度が上がったような気もする。間違いなく……
「くえすね」
横島君が吸血鬼を倒せるとは思えない、恐らく一緒にいるくえすが倒したのだろう……
「その危険な吸血鬼と言うのは何体いるんじゃ?」
カオスの問いかけにピートは考える素振りを見せ
「確か2体か、3体だったと思います」
3体となると、残りは2体……それは間違いなく次の階に続くフロアに待ち構えているはずだ。そしてその予想は当たっていた
「こっちもお出ましみたいね」
3階へ続く階段の続く広間の前で腕組をしている吸血鬼。その身体には甲冑を身に纏い、腰には剣の鞘が見える。さしずめ吸血鬼の騎士様って言うところかしらね
「俺はただ戦いたいだけだ、俺を楽しませろ!現代の退魔師ッ!!!!」
腰の剣を抜き放ち、唐巣先生に突進する騎士。唐巣先生はそれを見ると眼鏡を投げ捨て
「美神君!フォローは任せた!!!」
力強く地面を踏み込み、騎士の剣を紙一重で躱してその顔面に拳を叩き込む唐巣先生。本当眼鏡を外すと好戦的になるわね、唐巣先生は……とは言えこの場合ではそれは得策と言える。こうして前に立って貰えば、私達が戦いやすくなる
「ピート!シルフィー!前衛よろしく!蛍ちゃん下がるわよ!」
強靭な肉体を持つピートとシルフィーが唐巣先生と一緒に前衛を勤めてくれれば良い。
「エミは霊対撃滅波よりブーメランとお札でサポートして!」
「言われなくても判ってるワケ!」
私の言葉に返事を返すと同時にブーメランを投げるエミ。吸血鬼相手にどれだけ効果があるかわからないし、これならば通常攻撃の方が効果があるかもしれない
「しゃらくさいわ!!!」
素手でブーメランを弾く吸血鬼。どうもかなりの実戦経験のある騎士みたいね。霊力で加速したブーメランの側面を裏拳で正確にはじくなんて芸当は早々出来るものではない。となると普通に遠距離攻撃をしても避けられるか防がれる可能性が高い
「蛍ちゃん、ソーサーで足元を狙う事って出来る?」
ここにこれだけの騎士がいるというのは明らかに私達を消耗させるための作戦だろう。まだ魔族とも戦わなければならない可能性がある以上向こうの思惑に乗る必要はない
「行けます。だけど唐巣神父が少し問題ですね」
間合いを詰めて吸血鬼と激しい接近戦をしている唐巣先生。ソーサーが爆発すれば唐巣先生も危ないかもしれない
「問題ない。唐巣が落ち掛けたらマリアのロケットアームで回収する。それでどうじゃ?」
私と蛍ちゃんの話し合いに割り込んできたカオス。確かにそれで良さそうね、左手にソーサーを作り出す蛍ちゃんに合わせて
「行けッ!!」
手にしている破魔札を吸血鬼に投げつける。狙い通り顔面で炸裂したが
「この程度で!!」
一瞬で爆風を振り払い突進してこようとする吸血鬼の足元目掛け、蛍ちゃんがソーサーを投げつける。狙いは足ではなく、石造りの廊下
「先生!」
ピートとシルフィーが私の目的に気付いて唐巣先生の腕を掴んで、身体を霧状にする。そして次の瞬間
「ぬおお!?」
床が抜けて下半身が完全に下の階に落ちた吸血鬼。その腕は自身の身体が落ちないようにしっかりと床の上にある
「マリア?あれを持ってる?」
「勿論です」
マリアに差し出された白い欠片。それは吸血鬼の天敵であるにんにくだ、それを見たピートとシルフィーが顔を逸らす。だけどこれ以上に適した武器はないだろう
「待て!き、貴様!?正々堂々戦う気はないのか!?」
何とか抜け出そうともがいている吸血鬼を見ながら、手にしているにんにくを振りかぶり
「それじゃあ極楽へ逝ってきなさい!!」
「----ッ!!!!」
吸血鬼の口にストライクで飛び込むにんにく。そして吸血鬼は目を白黒させ、声にならない絶叫を上げ動かなくなった
「良し、これで良いわ。進みましょう」
渋い顔をしている唐巣先生や、悲壮そうな顔をしているシルフィーとピートを連れ私達は3階へと登って行ったのだった……
あの美神令子がこんな使えないのを助手にしている理由が判らなかったが、こうして一緒に行動していると段々判ってくる
(才能の塊ですわ。このへっぽこ)
強力な霊視の目に、妖怪と心を通わせる能力、そして私を超える潜在霊力……
(今まで優秀なGS候補の名前にあがっていないのが不思議ですわ)
GS協会にはスカウトの制度もある、これだけの逸材が何年も放置されていた理由が判らない……
(まぁどうでも良いですわ)
私はこの城の中の貴重な魔術書を求めてきただけ、このへっぽこがどうなろうと関係ない
「チビ、あーん」
「みーん♪」
だから肩の上のグレムリンの幼生に木の実を与えているへっぽこなんて関係ない
「大分歩いたなあ、タマモ水飲むか?」
「コン」
水筒を床の上において妖狐に水を与えていようが関係ない
「……ふう」
「疲れたか。おんぶするか?シズク」
【横島さんの背中は私のですよ!?】
「いや。俺の背中は俺の物なんだけど……」
幽霊とミズチの痴話……
「いい加減にしなさい!!!ここがどこだか判ってるんですの!?」
敵の本拠地のど真ん中で何をしているのですか!と怒鳴ると横島は
「すんまへん、でもいつも気張ってたら疲れません?神宮寺さん」
にへらと笑う横島にはっとなる。確かにさっきの吸血鬼と戦ってから随分と自分でも緊張していたのが判る
(こんな馬鹿に気付かされるなんて)
魔法は精神状態が深く影響する。休むときには休むべきなのかもしれない
「丁度良いですわ、私にも何か飲み物を用意しなさい」
「……自分で用意しろ。魔女」
【横島さんは貴方の召使ではありませんよ】
不機嫌そうに私を睨むミズチと幽霊。ミズチは私の炎では難しいかもしれないが、幽霊ならその霊体を燃やし尽くす事は不可能ではない。1度力の差を教えるためにもと手に炎を集めようとした瞬間
「はい。どうぞ神宮寺さん」
丁度良いタイミングで差し出された紅茶のペットボトル。本来ならこんなのは私の飲むべきものではないが、贅沢を言うことは出来ない。近くの瓦礫に腰掛け封を開ける、紅茶とは思えない香りに少しだけ眉を顰めながらもそれを口にする。
「あーそれにしても蛍とか美神さんとかシルフィーちゃん大丈夫かなあ」
心配そうにしている横島。私を待っていなければ一緒に行動していたはずなのに、なぜ私を待っていたのかが判らない
「言おう言おうと思っていたのですが」
「何をですか?」
幽霊を背中に背負い、左の膝の上にミズチを座らせ、右膝の上で妖狐の背中を撫でている横島に
「なんで私を待っていたんですの?芦蛍とまで離れて」
待っていたとは聞いていた、だけど本当の事だと思えずもう1度尋ねると
「そりゃ決まってるじゃ無いですか、神宮寺さんみたいな美少女をこんな所において……ぎゃああああ!?」
待っていたと繰り返し言う横島。直ぐに幽霊に頭を叩かれ、ミズチに脇腹に肘を叩き込まれ、妖狐に噛まれて悶絶している横島。本当に馬鹿な男だ、だけど
「くす」
面白い男だ。こんな奴と一緒ならもう少し楽しい青春を過ごせたかもしれない、そう言う面ではあの芦蛍が羨ましい……
(って私は何を考えているのですか!?)
こんな馬鹿を気に掛けるなんて私らしくない、魔法使い神宮寺くえす様の考える事じゃ無い、こんな考えは全く合理的ではない
「まぁ良いですわ、急ぎましょう」
さっきの爆発の事もある、向こうも間違いなく戦っているはずだ。本当ならどうでも良いことですが、全滅されると私1人ではブラドーと戦うのは不利。早いうちに合流しましょうと呟き歩き出した瞬間。ピシッと言う音が響く
「しまっ!?」
一瞬で崩れる古城の床。このタイミングでは飛行魔法も間に合わない、落下に備えて魔力と霊力でバリアを作ろうとした瞬間
「神宮寺さん!!!」
止めようとしている幽霊とミズチを無視して私のほうに飛んで手を伸ばしてくる横島。私は咄嗟にその伸ばされた腕を掴んだ……掴んでしまった。冷静に考えれば、落ちながら浮遊魔法を使うほうが正しいと判っていたのに
「このおッ!」
空中で無理やり体勢を立て直し、自分の身体で私を護ろうとした横島に身を任せる事を選んでしまった
(こんなの私らしくない)
こんな博打とも言えないことを選んだ自分の考えが間違っているのが判っているのに、私は横島を振りほどこうとせずほぼ無意識に横島の背中に手を伸ばしていた。そして私と横島は下の階へと落ちて行ったのだった……
【横島さんとあの人を2人きりにはできません!!】
「……まて、放せ」
「みみみみー!!!」
「きゅうううううう!!!!」
そしておキヌちゃんはシズクを抱え、暴れるタマモとチビを捕まえて同じように下の階へと飛び降りるのだった……
リポート12 吸血鬼の夜 その7へ続く
次回は美神と横島達の合流の話を書いていこうと思います。ブラドー編はあと2~3くらいで終わりにしたいですね、それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
後来週の水曜日か木曜日にもう1度更新しようと思っているので平日更新もどうかよろしくお願いします