GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!!   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回はブラドー島に行くまでの話を書いていこうと思います。くえすとかもここで本格的に絡んでくる予定です。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その2

 

 

リポート12 吸血鬼の夜 その2

 

ピートさんとシルフィーさんが送ってきたローマ空港行きのチケット。今は私達は飛行機に乗ってローマへと向かっている

 

「チビとタマモ大丈夫かな?」

 

特別な許可を貰って乗せる事が出来たが、貨物室にいるタマモとチビを心配している横島に

 

「大丈夫よ。危険な事はないからね」

 

それに妖怪だから大丈夫よと付け加えると

 

「……妖怪蔑視反対」

 

シズクが睨む。別に蔑視してるわけじゃ無いんだけど……

 

「こらシズク。そんな事を言ったらあかん」

 

「……うん」

 

水神としての威厳とか誇りはどうしてしまったんだろう?もう完全に妹ポジを気に入っているシズクをどうすれば良いんだろうか?と思ってみていると

 

【私が見てきて上げますよ。横島さん】

 

おキヌさんが顔を見せてそう言う。横島は嬉しそうに笑いおキヌさんの手を握り

 

「頼むわ。おキヌちゃん」

 

【はい!任せてください】

 

貨物室に向かっていくおキヌさん。私は生身だから行くわけにも行かないしね

 

「さーてこれでスチュワーデスさんを……「横島?」なんでもないですよ?蛍さん」

 

スチュワーデスをナンパしようしていた横島を睨む。どうも横島には今の幸福って言うのをちゃんと教えてあげないといけないみたいだ

 

「ほらこれで良いでしょ?」

 

横島の腕を抱え込む、通路の挟んでいるシズクの目が細くなるがそれは無視する

 

「あうあう……」

 

自分で攻めるのは良いけど攻められると弱くなる横島に笑みを零していると

 

「しかしそれにしても唐巣先生が私達を呼ぶ仕事って何かしら?」

 

本を手にそう呟く美神さん。お父さんと悪霊とゾンビの大群にオラオラをしていたその姿は記憶に新しい

 

「そうですね。確かに気になりますね」

 

唐巣神父は間違いなく、GSの中では10本の指に入る強力なGSだ。しかも数少ないSランクでもある、そんな唐巣神父が苦戦する相手とは?……

 

(ここら辺は知らないのよね)

 

ピートさんは知ってるけど何があったかまでは知らない、知っているであろうおキヌさんに聞くわけにも行かないし

 

(出たとこ勝負で行くしかないわね)

 

恐らくだけど、横島と美神さんとおキヌさんの時よりも戦力は多いはず、だから何とかなるだろうと思い。空港に着くまでの1時間だけでも眠る事にした

 

「あうあう……」

 

横島が何か呻いているけどそれは無視し、私は横島の腕を抱えたまま眠りに落ちるのだった

 

【可愛いですよ】

 

「み!」

 

「コン」

 

その頃おキヌちゃんは貨物室で退屈そうにしていたチビとタマモをケージから出して一緒に遊んでいたりするのだった……

 

 

空港の荷物の所でチビとタマモを抱き抱える

 

「あー良かった良かった」

 

チビとタマモを抱き抱える。貨物室に入れるしかなかったチビとタマモがずっと可哀想だと思っていたから

 

「……横島」

 

くいくいっと俺の服を引くシズク。タマモを頭の上に乗せて、シズクと手を繋ぐ

 

【横島さん、私も頑張ったんですよ?】

 

「はいはい、じゃあ背中に憑いて良いよ」

 

わーいと言って背中に憑くおキヌちゃん、荷物の重さとは別の重さを感じるけどまぁ仕方ない

 

「横島、こっちよー」

 

鞄を手にして俺を呼ぶ蛍に頷き歩き出す。なおこの時の横島はとんでもなく目立っている、馬鹿でかいリュックを背負い。頭の上に狐、肩の上にグレムリン。左手には顔色の悪い幼女、背中には幽霊の巫女……回りの人間が避けているのに気付かず、横島は笑いながら歩くのだった

 

「お待ちしてました、美神さん、横島さん、芦さん」

 

「シニョリータ美神こちらです」

 

スーツ姿のピートとシルフィーちゃんに呼ばれてそちらへ向かう

 

「態々どうも、それでもう全員揃ってるの?」

 

美神さんに尋ねられたピートは手元のメモを見て

 

「あともう2人でそろいますよ。疲れているとは思いますが、このままチャーター機へ向かいますついてきてください」

 

そう笑って俺達を先導するピートとシルフィーちゃん、事務所であった時は何にも感じなかったが

 

(なんか変だなあ)

 

おキヌちゃんとかになんか似てる気がする……だけど人間のはずだし、変なことを尋ねたら駄目だよなと思い案内されるまま滑走路に向かう

 

「これでそのブラドー島までいけるの?」

 

蛍がそう尋ねる。俺達の目の前の飛行機はプロペラ式のそこまで大きな飛行機ではない。長距離飛べるようには思えない

 

「途中で島に降りてそこで船に乗り換えるんだ。ほらこっちだよ」

 

そう笑って乗って乗ってと笑うシルフィーちゃんに背中を押されて飛行機に乗り込むと

 

「ん?あれ?おたく、横島?それに蛍?」

 

一番前の座席に座っていたエミさんが俺達に声を掛ける。確かにエミさんなら呼ばれていても当然だ

 

「どうも、お久しぶりです」

 

「元気そうですね」

 

蛍と一緒に挨拶をする。エミさんは俺と手を繋いでいるシズクを見て

 

「令子。あんたの事務所ドンドン魔窟になってるんじゃない?」

 

「うっさい!横島君のせいよ!」

 

ェ!?俺のせいなの!?だけど下手に何か言うと怒らそうなので黙って自分の席に座る、今度はシズクと蛍には挟まれている。チビとタマモは俺の膝の上とシズクの膝の上でころころ転がっている

 

「まぁ良いんじゃない?個性的じゃないワケ?」

 

「個性的で片付けられる問題じゃ無いわよ。このままだとドンドンうちの事務所の人外率が上がっていくわ」

 

エミさんと話をしている美神さん。いや、でもそれは俺のせいじゃ無いと思うんだけど……

 

「美神さんとエミさんは知り合いなのですか?」

 

ピートにそう尋ねられたエミさんと美神さん。エミさんは少しだけ頬を赤く染めて

 

(なぁ?エミさんって年下趣味なんかな?)

 

ピートを見ている熱視線に気付きそう尋ねる。蛍は見ていた雑誌を閉じて

 

(人それぞれだから)

 

まぁそうだよな……いつもの口調じゃなくて似合わない敬語をしているエミさんを見ていると

 

「おう、小僧、お嬢ちゃん。久しぶりじゃの?」

 

「どうも・横島さん」

 

飛行機の奥から顔を見せたのはドクターカオスとマリア。何度か美神さんに除霊具を売りに来ているので顔見知りだ

 

「カオスのじーさんか。元気そうだな?」

 

小僧と言うので俺はカオスのじーさんと呼んでいる。別に怒ったりしないので心の大きい人物なのだろう

 

「おうワシは元気じゃよ?マリアもな」

 

カオスのじーさんの隣で小さく手を振るマリアに手を振り返し

 

「カオスのじーさん。新しい家族のシズクだ。シズク、錬金術師のカオスのじーさんとマリア」

 

チビを撫でていたシズクにカオスのじーさんとマリアを紹介する

 

「……ミズチのシズク」

 

ぼそっと呟いてチビのお腹を撫でているシズク、人間嫌いと言うけど、俺から見ると人見知りが激しいという感じで微笑ましい

 

「悪いなカオスのじーさん、ちょっと人見知りが激しいから」

 

「がっははは!きにせんぞい!今度水を循環する腕輪でも作るかのう……行くぞマリア」

 

「イエス・ドクターカオス。では横島さん。また後で」

 

頭を下げて奥の座席に向かおうとしたカオスのじーさんだが、思い出したように振り返り

 

「そうじゃお嬢ちゃん、ちょっと用事があるんじゃ。少し時間をくれるか?」

 

蛍を呼ぶカオスのじーさん。蛍は小さく頷き、自分の帽子を座席の上において

 

「少し行って来るわ。この場所渡さないでね?」

 

そう笑う蛍に判ったと返事を返し、膝の上のタマモの背中を撫でていると

 

「あー横島君~久しぶりね~」

 

帽子に白いファーつきのコートを着ている冥子ちゃんが飛行機に乗り込んでくる。これであと1人か

 

「もう~横島君も令子ちゃんも冷たいわ~私もクリスマスパーティに呼んで欲しかったのに~」

 

ぷんぷんっと言う感じで怒っている冥子ちゃん。俺よりも年上のはずなのに、どうしてこうも子供っぽいのだろうか?

 

「いやーすんません。来年は絶対誘いますから」

 

「約束よ~所でここ座っても良い~?」

 

蛍の座席を見る冥子ちゃん、うう……言いにくいけど

 

「ここは蛍の席なんで」

 

「そう~じゃあ諦めるわ~」

 

しょぼーんとしたオーラを纏って奥に行く冥子ちゃん、悪いことをしたかな?と思っていると

 

「みぎゃ!?」

 

「クウ!?」

 

チビとタマモがびくんと身体を竦めて俺に擦り寄ってくる。シズクも

 

「……」

 

青い顔をして荒い呼吸を整えているシズク。これは何かあったのかもしれない

 

「美神さん!シズク……え?」

 

飛行機に乗り込んできた、長い銀髪の黒いドレスの美少女。それはクリスマスの夜にあったその少女なのだが、その冷酷な光を宿した目に思わず俺が震えた瞬間

 

「神宮寺くえす!?どうしてここに!?」

 

「あんたが呼ばれるなんて相当やばい山みたいなワケ」

 

エミさんと美神さんがそう怒鳴る。だが神宮寺と呼ばれた少女はふんっと鼻を鳴らして

 

「仕事だから呼ばれただけですわ。そんな事も判らないですか?」

 

馬鹿にするようにそう笑う少女の姿が俺にはやはり泣いているように見えるのだった……

 

 

 

ドクターカオスに呼ばれて離れた部屋で私とカオスは結界を張って話し合いをしていた

 

「あの吸血鬼の小僧と一緒にいる小娘はワシは知らん。恐らく逆行の影響じゃろうが、警戒したほうがいいじゃろう。それとブラドーが襲撃してくるから小僧が吸血鬼にされんように気をつけるのじゃ」

 

ドクターカオスが覚えている限りの事を教わって今後の事に対する情報を得ていた

 

「まぁタマモのお嬢ちゃんとミズチのお嬢ちゃんが居るから大丈夫じゃろうけどな」

 

がっははと笑うドクターカオス。確かにあの面子がいれば横島は大丈夫だろう

 

「ドクターカオス・ミス蛍・異常な霊力を持つ少女が飛行機に乗り込んできました」

 

マリアの言葉に振り返る。異常な霊力?一体誰が

 

「ミス・美神が・神宮寺くえすと叫んでいます・ですが。私の記憶には存在しません」

 

神宮寺くえす!?どうして!

 

「ごめん!ドクターカオス!横島が心配だから」

 

あの魔女をナンパすると横島の命が危ない。私は咄嗟にその部屋を飛び出したのだった

 

「禁忌の魔法使い「神宮寺くえす」話には聞いておったが、調べてはおらんかったな。この依頼が終わったら調べるか」

 

「それが・よろしいと思います・ドクターカオス」

 

カオスとマリアはそんな話をしながら自分の座席へと向かうのだった……

 

「へえ?貴方GS見習いだったんですの?なんの霊力もないのに?」

 

「ぐっふ……まだまだ発展途上なんす」

 

「どうせ役に立ちませんわ」

 

「げぶう……くう、タマモ。俺は何で苛められてるんや?」

 

横島が神宮寺くえすに苛められていた。私が近づくと

 

「お守りがきたようですわ。では御機嫌よう。へっぽこさん」

 

にやりと笑う神宮寺を睨むが逆に睨み返される。とんでもない威圧感と霊力……下手をすると下位レベルの魔族に匹敵するかもしれない

 

「ううう……蛍う」

 

私がいない間に随分と苛められたのか涙を流している横島。かわいそうに……

 

「大丈夫大丈夫。横島はまだまだこれからよ」

 

よしよしっと背中を撫でる。横島はまだこれから成長するのだ、だから焦る事はない

 

【ごめんなさい横島さん。あの人の力が強すぎて近寄れませんでした】

 

「……悪かった」

 

シズクとおキヌさんが近づけなかったのは神宮寺の力が強すぎたせいなのね、幽霊じゃあ確かに不利だけど、まさか水神のシズクまでが気圧されるとは正直予想外だった……あの若さでどれだけの力を持っているのだろうか……下手をすると下位の神魔族に匹敵するんじゃ……なんにせよ警戒するべきね

 

「それじゃあ全員揃いましたし、出発しましょう」

 

「だねー。皆ベルトしてね?」

 

ピートさんとシルフィーさんの言葉に頷き、シートベルトをつける。横島はチビとタマモを抱えて

 

「やっぱりワイは何をやってもだめなんやああ……」

 

しくしくと泣いている横島。肉体的にはタフだけど精神的にはまだ弱かったようだ、どうやって横島を励まそうかと悩んでいると

 

「「「な。なに!?」」」

 

急に飛行機が大きく揺れる、どうしたのかと窓を見ると大量の蝙蝠が空を飛んでいる。これがドクターカオスの言っていたブラドーの襲撃!?

 

「しまった!?襲撃か!?昼間だから油断していた」

 

窓の外を見てそう怒鳴るピートさん。私も窓の外を見ていて

 

『イッタリアーノ!脱出シマース』

 

『チャーオ』

 

パラシュートを装備してとんでいく2人組み。それはさっき挨拶に来た操縦士と副操縦士で

 

「「げえ!?」」

 

私とピートさんの声が重なる。いくら私でもこんな飛行機の操縦は出来ないし、当然ドクターカオスも無理だし、美神さんだって無理だろう

 

「美神さん?もしかして飛行機操縦とか出来ません?」

 

「む、無理に決まってるでしょ!?」

 

みんなが動揺している中横島だけは

 

「うう……」

 

まだハートブレイクで呻いていた……普段なら一番騒ぐけど今は静かにしてくれているので、ちょっとだけ助かる

 

「やれやれ、ワシの出番じゃな。マリア、E-7を取っておくれ」

 

ドクターカオスが筒状の機械を取り出して飛行機に取り付けていく

 

「何をしているわけ?そんなので何とかなるの?」

 

エミさんの言葉にドクターカオスはふふんと笑いながら

 

「一時的な重力制御じゃ、これで墜落だけは回避できるはずじゃ、あとは……そうじゃな」

 

にかっと笑うドクターカオスの視線につられて、そっちのほうを見ると白いクルーザーが浮かんでいた

 

「なるほど船を奪うのね?」

 

「そうなるのう。緊急事態じゃから仕方ないのう……」

 

仕方ないと言いつつ楽しそうに笑っているドクターカオスと美神さん。

 

「と、とりあえず皆さん座席に座って何かに捕まってください!」

 

シルフィーさんがそう叫んで椅子に座ってシートベルトを締める。墜落はしないが水面着陸の衝撃に備えるのは必要な事だ、私も座席に座り、シートベルトを締め隣でぶつぶつ呟いている横島を見て

 

「シズク。よろしく」

 

「……判ってる」

 

私とシズクで守れば何とかなると判断して頼む。シズクは判ったと返事を返す、そして数秒後水面に胴体着陸し、予想よりも遥かに凄まじい衝撃が私達を襲ったのだった……そして隣で聞こえたぎゃっと言う声を最後に私は意識を失ったのだった……

 

 

胴体着陸した衝撃で意識を失っている人物が多い中、私だけは平気だった。その理由は結界だ、あの程度の衝撃私には何の問題もない

 

(自分だけで動くのはめんどくさいですわね)

 

幸いドクターカオスの発明で飛行機が沈む事はなさそうですし、仮にも高名なGS連中。直ぐにでも目覚めるだろう座席から立ち上がり周囲を確認して

 

「大した力もないのにこんな所にくるからですわ」

 

黒髪の少女と妖怪の間。赤いバンダナの少年の胸にガラスが突き刺さっている。どう見ても即死だ……周囲に満ちている血の匂いと濃厚な死の気配……ある意味私は慣れ親しんだ気配だ

 

(……こんな奴どうでも良いですわ)

 

勝手に人の心に踏み込んで出て行って、そして目の前で死んでいる……力もないのにこんな所に来たから……まぁ死んでいるのなら私に出来ることはない、精々あの2人が嘆き悲しむだけ、だから何のことはない。自分に言い聞かせるように座席に戻ろうとして

 

「……ッ!貸しを返すだけですわ!」

 

クリスマスの時のハンカチの貸しを返すだけそれだけと自分に言い聞かせるように叫び。その胸に手を置き二言三言呟くまだ魂が繋がっているから呼び戻せる。ガラスを引き抜き魔法で傷を回復させ、周囲の血を浄化する。これでこの馬鹿が死んだとおもう奴は居ないだろう……

 

「これで良いですわ、これで何の関係もない」

 

ただの赤の他人。それでいい、私の心を勝手に覗き込んだ、愚か者との関わりはこれで切れた。私は自分の座席に座り魔導書を開いた……私が海賊行為なんて野蛮な事はしない、後は美神とかに任せれば良いのだから……

 

だがくえすは気付かない、自分が与えた魔力が混ざった霊力。神宮寺の家が危険視されるのは、先々代の当主が魔族と契約し、その一族には僅かながらに魔力が混ざってしまうその血筋にあった。その異端とされる家系の中でも取り分け、強力な力を持つくえすの霊力。それが横島の中に隠された、いや目覚めるはずのない力を呼び覚ますきっかけになる事を……

 

リポート12 吸血鬼の夜 その3へ続く

 

 




ツンデレってこれで良いのだろうか?私はヤンデレをメインにしているからツンデレが良く判らない。だけどツンデレになっていると信じています。横島魔改造のフラグは徐々に揃っています。YOKOSIMAにならないように頑張っていこうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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