GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!!   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は「おキヌちゃんのクリスマス」に+αを加えてやってみようと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その3

 

 

 

リポート11 平和な時間 その3

 

色々と考えておキヌちゃんとタマモへのプレゼントを買いに厄珍に相談する事にしたと蛍に言うと

 

「じゃあ私からアドバイス。織姫を紹介されたら気をつけて」

 

織姫?ん?どういうことだ……なんか名前からすると凄い美人そうだが……

 

「霊糸を編む事が出来る一族なんだけど、まぁ人間に見られないと機織から解放されないらしいのよ」

 

ふむふむ……それでなんなんのだろうか?なぜ気をつけなければならないのだろうか?と首を傾げていると

 

「まぁ多分今は凄いおばあさんなんだと思うから、絶対に顔を見ないで織物だけ貰うと良いわ。顔を見ると付き纏われるから」

 

おおお、これは良い話を聞いた。絶対に気をつけないと

 

「……気をつけていくと良いの。はい、これお弁当」

 

差し出されたおにぎりの包み。本当にシズクは気が利くなあ

 

「ありがとな。クリスマスパーティの始まる前には帰るから」

 

チビもタマモも留守番をさせる。危険な事になったら困るから家に置いていく

 

「うーす、厄珍。ちょっと頼みたい事があるんだが」

 

厄珍堂に向かい厄珍にクリスマスプレゼントを頼みたいというと

 

「ふむふむ幽霊にプレゼントアルか!それなら良い物がアルよ!」

 

任せておけと言わんばかりに差し出されたのは長方形の

 

「超高級のお線香!「舐めとんのか!己は!!」アイだぁ!?」

 

厄珍にチョップを叩き込む、いくらなんでもお線香なんて買えるわけがない

 

「幽霊にも着せてあげる事が出来る服とかないのか?チビとタマモにも服とかさ」

 

織姫の事を言うことは出来ないのでそう尋ねると

 

「エクトプラズムを加工した服を作ってくれる知り合いがいるアルよ。幽霊は基本的に死んだときの格好だから喜ぶアルよ」

 

あーこれが織姫って事だな。蛍に聞いておいて良かった

 

「ただし1着数百万はするあるよ、だからお使いに行って来てくれたら上げるアル」

 

にやにやと笑う厄珍から地図とその場所に行くための道具を借りる

 

「結構ごついなあ」

 

ジャンバーにナップザック……かなりの量の道具が見える

 

「ただし絶対に顔を見てはいけないアルよ。小さい窓から商品を受け取るアル。絶対に顔を見てはいけないアルよ」

 

邪悪な顔をしている厄珍。俺が女好きなのを知ってるから絶対に顔を見ると思ってるんだろうなあ

 

「はいはい、わあーてる!」

 

蛍から聞いてるから顔なんて見る気ねーよと心の中でベロを出す。厄珍から受け取った地図を見て

 

「しゃっ!行くか!!」

 

蛍と美神さんへは安物だけど、ブレスレットとペンダントを買って来た。それなりに綺麗な物を選んだつもりだ。きっと気に入ってくれると思う

 

「さぁここからが本番だな」

 

シズクとタマモとおキヌちゃんとチビへのプレゼントを手にする為に。俺は織姫が待つと言う山へと向かうのだった……

 

 

 

美神さんの主催のクリスマスパーティに向かう途中で

 

「なにか買って行かないとね」

 

招待されているのに何も買わないで行くのは失礼だと思い、近くの洋酒専門店に足を向ける

 

「ふむ。たまには一杯良いかの?マリア?」

 

「あまり・強くないので・気をつけて・ください。ドクター・カオス」

 

大柄な老人と無表情の女性。今の女性の口から聞こえたドクターカオスの名前

 

(本当に日本にいたのね)

 

最近ドクターカオスの名前で売り出されている除霊具。大半が偽者だが、最近売り上げが上がっている除霊具は値段もそこそこで性能が良いと評判になっている

 

(本当なら挨拶する所だけど……)

 

GS協会長として挨拶する所だけど、勝手に連れて行くと美神さんも迷惑がるかな?と思っていると

 

「ほほう?これは珍しい……GS協会長神代琉璃じゃな?ワシはドクターカオス。カオスと呼んでくれれば良い、よろしくのう」

 

にっこりと笑うドクターカオス。私は持っていたワインの瓶を棚に戻し

 

「神代琉璃です。錬金術師と名高いドクターカオスに会えるとは光栄です」

 

差し出された手を握り返す。ドクターカオスはうむうむと頷き

 

「今度必要ならば声をかけておくれ、生きるのに金は必要じゃからのう……美神の知り合いと言うことで割引して売ってやるぞ」

 

そう笑って私の手に電話番号の書いたメモを押し付け

 

「ゆくぞ、マリア」

 

「イエス・ドクターカオス」

 

マリアと呼ばれた女性が私の前を通りかけた瞬間。凄まじい目で見られた気がした

 

(え、え!?なんで私睨まれたの!?)

 

顔こそは無表情だが、その目は明らかに敵意を剥き出しにして私を睨んでいた。なんで?と私が混乱している間にドクターカオスとマリアは店を後にした

 

「私何かした?」

 

睨まれた理由の判らない私は何か気に触ることをしたのだろうか?と考えるが結局判らない

 

「うーん、後で美神さんに聞いてみよう」

 

今日初めて会ったので当然判るわけもなく、私はウィスキーとワインを2本ずつ購入し、店を後にした

 

「今嫉妬したな?マリア、神代琉璃に?」

 

帰り途中ドクターカオスは上機嫌だった、マリアが琉璃を睨んだ理由、それは嫉妬だ。生身の身体を持たないマリアにとって琉璃や蛍の存在はあまりに羨ましい物だった。なまじ魂が人間と同じだからこその苦しみ

 

「……イエス・ドクターカオス」

 

若干声のトーンが低いマリアにカオスは穏やかに微笑み

 

「もう少しだけ、もう少しだけ待っておくれ。我が娘……あと少しなんだ」

 

「……はい・待ちます・ドクターカオス」

 

その言葉に込められた重さを理解したマリアは小さく頷く、その後はカオスもマリアも無言で借りているマンションへと向かうのだった……

 

「遅れてすいません、美神さん」

 

「いらっしゃい、琉璃」

 

美神さんに出迎えられマンションの中に入る。そこで私を出迎えたのは

 

「みみみみみみみみみみみーーーーーッ!!!!!!!!」

 

物凄い勢いでハムスターの台車を回しているグレムリンだった……なんか見たような気もするけど、あの時はギリギリだったからうろ覚えだったけど……確かに見たような気がしなくもない

 

「えっと……え?」

 

予想外の事態に動揺していると蛍ちゃんが

 

「横島がいないからまだ始まってないんですよ。パーテイ」

 

そう言われるといるはずの横島君の姿がない

 

「どこへ?」

 

いると思っていたのにと思い蛍ちゃんに尋ねると美神さんが

 

「厄珍のお使い、もう少しで帰るんじゃない?」

 

暇そうにしている美神さん。招待状では1時間前が待ち合わせ時間なのに……

 

「……探してくる」

 

ぼそりと聞こえた声に振り返ると冬場なのに半袖ミニスカートの少女がいた、だけど……判る。彼女は人間じゃ無いと

 

「……ミズチのシズク。横島に世話になっている」

 

ミズチ!?なんで水神で龍神が人間の家で!?

 

「なんか横島君を気に入ったんだって」

 

なんでそんなのほほんっと言えるんだろう?これは結構な一大事だと思うけど

 

【そうですね。ちょっと心配になってきたんで見に行きましょうか?】

 

ゆ、幽霊までいる……美神さんってかなり凄いのねっと思っていると

 

「みぎゃ!」

 

台車から飛び出したグレムリンが柱に追突して目を回している

 

「ぷっ!」

 

なにこれ、面白い……肩の力が抜けていくのが判る

 

「まぁもう少しで来ると思うから待ってましょ?トランプでもしませんか?」

 

蛍ちゃんに言われて確かに暇つぶしには良いかと座り込んで

 

「クウ?」

 

寝ていた九尾の狐と目が合う……飼い猫ならぬ飼い狐なのか、首のリボンが愛らしいが……やはりペットとか、家族として存在して良い相手ではない

 

(美神さんって凄い)

 

同年代だけど、幽霊・グレムリン・九尾の狐と普通にいるようなGSはどこにもいないと苦笑しながら、配られたトランプを手にするのだった

 

「みみみみみみみみみみみみみーーーーーーーッ!!!!!」

 

目を覚ましたグレムリンがまた凄まじい勢いで台車を回し始めるのを見て、また思わず笑ってしまうのだった……

 

 

 

織姫の所で大量のエクトプラズムの服を受け取り、更にこんな服を作って欲しいという要望を書いた紙を渡し、チビとタマモのプレゼントも入手した俺は直ぐに山を降りた。扉を開けて!とか聞こえたけどガン無視だ

 

(さーて急いで帰らんとなぁ)

 

まだ時間的な余裕はあるけど、待たせると悪いと思い早足で厄珍の所に向かっていると

 

(うおおおお!?なんて!なんて!!!美少女なんやあ!?)

 

流れるような銀髪にそれを引き立てるかのような黒いドレス。そして完璧なプロポーション

 

「おっじょうさぁん!僕とお茶しませんか!」

 

鞄に荷物を詰め込んでその超が着く美少女に飛びかかった瞬間

 

「死になさいな」

 

無造作に向けられた手の平から飛び出した漆黒の炎。飛び掛っていたせいか直撃で貰ってしまう

 

「ふっぎゃあああああ!?」

 

目の前を漆黒の炎が埋め尽くした……あまりの痛みにその場で蹲る。熱くはないのになんだこの痛みは……

 

「……」

 

俺を見下ろして去っていこうとする美少女。だが俺にはやるべき事がある

 

「ちょっ、ちょっと待ってええ」

 

震える足に活を入れて呼び止める。幸い荷物は無事のような一安心だ

 

「な、なぁ!?な、なぜ動けるんですの!?」

 

なんでやねん、なんで動いたらあかんねん

 

「そりゃ生きてるから動くやろ?」

 

ちょっと痛いけど大丈夫。炎だったから多分タマモのお守りが効いたんだと思う

 

「あ、ありえませんわ……魔界の炎を受けて平気なんて」

 

なんか青い顔をしてぶつぶつ呟いているけど、なんのことだか俺には判らん、ポケットに手を突っ込み目的の物を取り出す

 

「なんですの?」

 

怪訝そうな顔をしている美少女。だけどなんか俺には泣いてる様に見えた……

 

「なにってハンカチ。泣いてるように見えたから」

 

肩を竦めて後ずさる美少女。なんやねん……ワイが何をしたって言うんや……しかもきっちりハンカチは手にしてるし

 

「何を根拠に言っているのですか?」

 

俺を睨む美少女。その鋭い眼光のせいか思わず背筋が伸びる

 

「ん~そう思ったからかな?」

 

なんか判らないが、この子が泣いているように見えた。だから俺はハンカチを差し出したが、こうして見ると泣いていたようには見えない。俺の気のせいやったんかなあ……目の前の美少女はなにかを考え込むような素振りを見せている。ふと顔を上げると

 

「や、やば!!遅れてる!!んじゃあな!!!ハンカチは返してくれなくても良いから!!!」

 

蛍とか美神さんに怒られるううう!!!俺は心の中でそう叫びながら美神さんのマンションへと走ったのだった……

 

「へんな奴」

 

走っていくバンダナの少年。その少年から押し付けられたハンカチを燃やそうと思ったが……

 

「まぁ良いですわ。借りておきましょう」

 

ちらちらと降ってくる雪を見て私は考えを改めた。まぁこんな汚れたハンカチでも無いよりかはまし……そう呟き私が持つには相応しくない、ボロボロのハンカチをポケットに入れその場を後にしたのだった……

 

 

 

「おっくれましたああ!!!」

 

横島君が大慌てで私のマンションに駆け込んでくる。遅いと言おうと思ったが、その背中の大量の荷物を見て

 

「何を買って来たのよ?」

 

それなりの給料は上げているつもりだけど、それを考えてもかなり多い

 

「へへ。はい、おキヌちゃん。クリスマスプレゼント」

 

その荷物から取り出したのはエクトプラズムで編まれた、スカートにジャケットにシャツ。それに帽子と手袋まである

 

「遅いと思ったら織姫の所まで行ってたの?」

 

琉璃がそう尋ねる。織姫の所は東京から離れた山の奥確かに遅くなるのも納得だ

 

【横島さん♪ありがとうございます、これ私から】

 

おキヌちゃんがずっと編んでいたセーターとマフラーを受け取った横島君は

 

「サンキュー。おキヌちゃん、これ大切にするぜ。えーと次は美神さんと蛍にこれ安物だけど結構悩んだっすよ」

 

私と蛍ちゃんにそれぞれブレスレットとペンダントを差し出してくる横島君。確かに安物だけど、まぁお洒落な代物だから

 

「ありがと」

 

「ありがとう。横島大事にするわね」

 

大切な宝物のように胸に抱える蛍ちゃんを見ていると今度は

 

「ほれータマモはこれな」

 

今度取り出したのは紅い衣装。サンタ衣装だ

 

「コン♪」

 

「おーしおし、可愛い可愛い」

 

サンタ衣装を着せたタマモを可愛い可愛いと撫でている横島君。本当に動物が好きなのねと思ってみていると

 

「み?」

 

ボクは?ボクは?と言わんばかりに目を輝かしているチビには

 

「じゃーん♪美神さん、蛍どうよ!」

 

横島君が私達の前に見せたチビは

 

「みみー!!」

 

横島君とお揃いのGジャンと赤いバンダナを巻いていた。チビが横島君のコスプレをしているように見える

 

「ぷっ!なにそれ可愛いじゃない」

 

【本当ですね。可愛いです】

 

「本当ね」

 

みみーっと嬉しそうに手足を振っているチビ。これなら家の事務所のマスコットにしても良いかもしれない、タマモとセットで

 

「んでシズクはこれな」

 

差し出したのはコンパクトと櫛。シズクはそれを受け取りさっさと距離を取ってぼそりと

 

「……ありがとう」

 

その白い顔が若干赤くなっていて微笑ましい物を感じていると

 

「横島君?私には何かないの?」

 

琉璃がそう尋ねると横島君は明らかにうろたえはじめる。あ、琉璃が来るの伝えてなかった……

 

「こんど何か用意するんで今日の所は勘弁してください。琉璃さん」

 

横島君がぺこぺこと頭を下げるのを見た琉璃はふーんっと呟く。明らかに不機嫌そうにしているのが判る

 

「じゃあ待ってあげるけど、横島君。この長い銀髪だれの?」

 

琉璃が横島君の服についている髪を取る。それは長い長い銀髪で

 

「ヨコシマ?ちょっと話をしたいのだけど?」

 

【横島さん?ちょっとこっちに来ましょうね~】

 

「嫌ややー!!!誰か!誰か助けてえええええ!!!」

 

蛍ちゃんとおキヌちゃんに引きずられていく横島君から目を逸らし、机の上のワインに手を伸ばしコルクをあける

 

「じゃあ待ちに待った乾杯と行きましょうか」

 

「ですね♪」

 

私は琉璃のグラスにワインを注ぎ、次に自分のグラスにもワインを注ぐ。部屋の奥から聞こえてくる横島君の悲鳴を無視するためにオーディオの電源を入れてから乾杯をするのだった……そして横島君の悲鳴はシズクが料理を終え、部屋の奥から聞こえてくる悲鳴を聞いて慌てて奥の部屋まで飛び込むまでの10分間響き続けているのだった……

 

「クーン」

 

「みーん」

 

そしてチビとタマモは恐怖のあまり、ソファーの陰に隠れ、出てくる事はなかったのだった……

 

リポート12 吸血鬼の夜 その1へ続く

 

 

 




次回から「極楽愚連隊」の話に入って行きますが、これもかなりのオリジナル要素を入れてやっていこうと思います。様々なプラスアルファでどう変わっていくのかを楽しみにしていてください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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