GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!!   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。この話でミズチ回は終わりになります。次回は「エミ」の話に入っていこうと思っています

あとはクリスマスの前に1つオリジナルの話を入れてみたいですね。ただこのペースだと話数がかなり心配になってきましたね……とりあえず100話は超えそうなので、どこかで第1部みたいで区切りにしようと思います!それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その5

リポート8 怒れる水神ミズチ! その5

 

 

持って来ていた霊力回復の薬をとにかく全部煮たんだけど……正直これはやばいんじゃと思い、美神さんの方を見て

 

「これ飲ませて大丈夫でしょうか……」

 

作っているときは気にならなかったけど、こうしてみると劇物にしか見えない。紫色だし、異臭を放っているし……これ飲ませたら横島に止めを刺すんじゃ……

 

「大丈夫よ。これはこういうものだから」

 

美神さんは平気そうな顔をして、大なべに残ったコップ一杯分の薬品を持っていく。あれだけ材料を煮たのに完成品はコップ一杯……

 

(あの中にどれだけ濃縮されているのかしら……)

 

私は絶対飲みたくないと思う。こういう時半分魔族で良かった、霊力の回復量が多いから1日寝れば回復する身体に感謝だ

 

「ホラ横島君!口を開けなさい!」

 

「ムガーッ!」

 

さすがの横島もあれのを飲むのは嫌なのか口を開ける気配がない。うん、それで良いと思う。だけど美神さんは

 

「高い材料を使ったんだから飲みなさい!!!」

 

紫色の薬品を横島の口の中に押し込もうとする。横島は動かない身体で必死に抵抗している

 

「ムガアアアア(イヤーッ!!!)」

 

口を閉じて嫌だ嫌だと首を振る横島。ベッドの上では

 

「みーみー!」

 

横島の真似をしているのかころころ転がっているチビ。最近チビは良く横島の真似をしているわね、タマモはタマモで

 

「フー!」

 

尾を逆立てて美神さんを警戒している。あれだけ毒々しい物を見れば誰だって警戒するとおもう。私だってそうする

 

「美神さん。やっぱりそれ飲ませるの止めましょうよ?」

 

確かに霊力は回復するかもしれないけど、横島に致命傷を与えかねない。タマモのあの反応を見るとそう思う

 

「駄目よ。これを作るのに200万は使ってるんだから、捨てることなんて出来ないわよ!ホラ!タマモも飲む」

 

スプーンで素早く掬い。タマモの口の中に薬品を入れる美神さん……これで反応を見ることが……

 

「ぎぐああ!?」

 

奇妙な声を上げてタマモは痙攣しながら倒れる。7本の尾に8本目が生えてきたけど……手足をピクピクさせて僅かに開いた口からは泡を吹いている。

 

「美神さん。やめましょう。横島が死にます」

 

【わ、私も止めたほうが良いと思います】

 

私とおキヌさんが声を揃える。確かに霊力は回復しそうだが、大妖怪のタマモが耐え切れないのだから横島だと更に危険だ。これはこのまま封印するべきだと意見すると

 

「駄目よ!今は平気かも知れないけど、あれだけの霊力消費を続けてたら早いうちに再起不能になるわ。ここはなんとしてでもこの薬を飲ませないと」

 

なんだ。高いから勿体無いと思っているだけじゃなくてちゃんと横島の……

 

「それに200万よ!200万!!!勿体無くて捨てられないわ!」

 

やっぱり美神さんは美神さんだった。私とおキヌさんが揃って溜息を吐く、記憶の中の美神さんよりかは大分優しいと思うが、それでも美神さんはやっぱり美神さんだった訳だ……だけど横島は横島でタマモの惨劇を見てからは更に口を固く閉じ、首を振り全力抵抗をしている。これでは飲ませるのは不可能に近いだろう……このまま美神さんが諦めてくれればいいわねと思っていると美神さんが切れた

 

「蛍ちゃん!おキヌちゃん!」

 

突然私たちの名前を呼んだ美神さん。なんだろうと思い振り返ると

 

「【きゃあっ!?】」

 

美神さんが素早く私のスカートを捲り。返す手でおキヌちゃんの巫女服の胸元をはだけさせる。慌てて元に戻すがその一瞬で横島は目を充血させて起き上がり

 

「ちちふともも~!「はい!飲みなさい!!!」がもが!?」

 

そう叫んだ瞬間美神さんに薬を全て飲まされ、白目を向いて痙攣している横島。私とおキヌちゃんの非難の視線が自分の背に向けられている事に気づいている美神さんは

 

「あ、あはは……まぁ緊急事態ってことで、犬に噛まれたと思ってね?」

 

「【美神さーんッ!!!】」

 

私とおキヌさんの怒声が重なるのだった。ちなみに横島はかなり危険な感じで痙攣しているのだが、その顔は緩みきっていてだらしないものになっていた……恐るべし横島の煩悩である。しかし薬のダメージはかなり深刻だったようで、横島は丸1日眠り続けるのだった……

 

 

 

俺が回復した翌朝。口の中はとんでもない事になり、何を食べても味がしないのでさっさとお茶漬けで朝食を済ませた所で

 

「今日はあの神社を調べるわよ。なにか判るかも知れないからね」

 

本人の言葉では暴走していたらしいミズチ。あれだけ強力な水神がこの神社に祭られていた理由を調べると言う美神さん。蛍と美神さんで調べてみたらしいんだけどそれらしい物はなかったらしい

 

「俺が行って何か判るとは思わないっすけど?」

 

ミズチと戦うときは使えていた陰陽術。だけど今は札を持ってもうんともすんとも言わない。美神さんの分析ではあの神社に何か秘密があるのでは?と言うことらしいが……

 

「物は試しよ。行くわよ」

 

「うっす」

 

雇い主がそう言うなら俺に文句を言う権利はない。いつものバンダナを頭に巻いて

 

「大人しくしてろよ?タマモ」

 

俺が飲んだ薬と同じ物を飲まされたタマモはまだぐったりしている。小さく返事を返すタマモに布団をかぶせる

 

「みーん」

 

タンスの上から飛び立ったチビが頭の上に乗ったのを確認してから、ホテルの部屋を後にしたのだった……

 

【横島さん……だ、大丈夫ですか!?】

 

「横島。もう……なんで鼻血を出してるのよ!?」

 

車の近くで待っていた蛍とおキヌちゃんを見て。薬を飲む前の2人の艶姿を思い出し思わず鼻血が噴出す、ワイは手で鼻を押さえながら

 

「なんでもにゃい、行こうぜ」

 

暫くは蛍とおキヌちゃんを直視しないようにしよう。絶対にあの白い肌と下着を思い出してしまう……そのたびに鼻血を出していてはさすがの2人も俺に愛想を尽かすかもしれないし……蛍とおキヌちゃんに嫌われるのは耐えられないので気をつけよう。今も難しい顔をしているし……絶対そうに違いない。鼻にティッシュを詰め込んでから車の後部座席に乗り込む。なお横島は気づいていないが、蛍とおキヌが難しい顔をしているのではなく、自分を確実に意識しているという事に対する喜びがあるのだが、顔を緩めるわけにも行かなかっただけである……

 

「まぁここがその神社だけど……見た感じ何もないのよね」

 

美神さんの運転する車でミズチと戦った神社に来る。ぱっと見普通の神社でこれと言って何もない

 

「みー♪」

 

小さな羽根を羽ばたかせ楽しそうに周囲を飛んでいるチビを横目に4人で神社の周囲を調べるがそれらしい物はない。いやあるにはあるのだが

 

「美神さん。この岩は?」

 

神社の脇の伸びた獣道。その先に安置されている大岩を見ながら尋ねる。こんな場所にあるのだから何か特別な物はあるのでは?とい思い尋ねる

 

「岩?なにそれ?って言うか横島君どこにいるのよ?神社の中?」

 

ん?普通にここにいるけど……俺は来た道を引き返し、俺を探しているような素振りを見せている美神さんと蛍に

 

「いや。ここに普通に道があるんですけど……」

 

美神さんと蛍は俺の顔を見て心底驚いた顔をする。なんでそんな顔をしているんだ?理解出来ず首を傾げていると

 

「そこ道ないわよ?横島」

 

「うえ!?」

 

蛍の言葉に振り返るが俺にはちゃんと道が見えている。なんで蛍と美神さんには見えないんだ……

 

「結界ね。横島君、私と蛍ちゃんの手を引いて案内して頂戴」

 

美神さんと蛍の手を引いて、自分の歩いている道の中に2人を引っ張る。美神さんは辺りを見ながら

 

「高位の結界術ね。普通の人間にはこれない場所ね」

 

そんな事を言われても困るんだけどなあ……俺には普通に見えているし

 

「それで横島君?岩って言うのはどっち?」

 

「こっちっす」

 

来た道を引き返していく、少し進むと立派とまでは言わないが祠に祭られた岩とその前に手を合わしている老婆の姿が見える。

 

「こんにちわ」

 

「あんれまあ……若い人がここをお参りに来るとは感心だぁ。ほれ、水神様に祈りなさい」

 

俺たちを見るとニコニコとと笑い岩の前からどいてくれる老婆。とりあえず岩のほうを見て手を合わせる

 

「おばあさん。ここも水神様の神社なの?」

 

美神さんがそう尋ねると老婆は立派な神社のほうを見て

 

「あれは、大分あとに作られた神社だよ。本当の水神様の祠はこっち……わしの婆様に聞いた話じゃが、この山は水神様の家なんじゃと」

 

どうもこの老婆はこの山と神社のことを知っているようだ。なら

 

「なぁ婆ちゃん。俺と蛍と先生は今この神社と山に祭られている水神様について調べてるんや。良かったら教えてくれんか?」

 

「おお!いいともさ!わしの家に来なさい、こっちじゃ」

 

俺達が来た道ではなく整備されている石段を降りていく老婆

 

「行きましょうか?美神さん?どうかしました?」

 

きょとんとした顔で俺を見ている美神さん。何をそんなに驚いているんだろう?

 

「あんた中々やるわね。助かったわ、行きましょう」

 

「はぁ?」

 

美神さんの礼の意味が判らず蛍と並んで石段を降りていると蛍が小声で

 

「あのおばあさん。私達を警戒してたから」

 

【そうそう私も見えてたみたいですし」

 

「ミミー♪」

 

上から声をかけてくるおキヌちゃんと遊び疲れたのか俺の頭の上に着地するチビ。俺はゆっくりと階段を下りている老婆の背中を見ながら

 

「ふーん?俺にはそうは思えなかったけどなあ……」

 

横島は気づいてなかったが、横島は親しみやすい性格をしている。老婆には自分の孫に似た背格好だったので、余計に警戒心を緩めることが出来たのだ

 

「とりあえずあのおばあさんに聞いてみましょう。この神社と水神についてね」

 

そう笑う美神さんに頷き老婆の家に向かう

 

「ささ!こっちにきんしゃい」

 

おいでおいでと俺を手招きする老婆。美神さんと蛍は俺の肩に手を置いて

 

「上手く話を聞いてね?」

 

「頑張ってね」

 

「……うっす」

 

なおその老婆は俺をかなり気に入ってくれたようで、上機嫌で水神とあの山の話しを聞かせてくれた上に

 

「ほれ、これもってけ」

 

「ど、どうも」

 

大量のスイカにとうもろこしなどをくれた。車に乗る俺たちに手を振り返してくれる老婆に手を振り返し、俺達ホテルの荷物を回収し、俺はぐったりしているタマモを抱き抱え、東京へと戻るのだった……

 

 

横島君と蛍ちゃんを家の前で降ろし、事務所に帰ってきた私は、あの山の麓に暮らしていた老婆から聞いた話を纏めていた。

 

「平安時代から存在していた水神の神社。そしてあの祠に安置された龍神鏡と呼ばれるあの岩……」

 

岩にしか見えないが、昔は鏡のように輝いていたらしい……それ所か2日前には光っていたのに、今日になって輝きが損なわれていて水神様が怒っているのじゃと言っていた老婆……

 

「ミズチと関係がある?」

 

真の御神体だと言う岩……そして平安時代には存在していた。そして最後のキーワードは

 

【確か陰陽師の高島とか言う人が作ったって聞いておる、昔話では強すぎる力を持つ水神様は天に帰ることが許されず、それを不憫に思った陰陽師がこの地を水神様の家にしたらしいんじゃ】

 

高島……それは六道のおば様から預かった陰陽師の本の製作者……

 

「……これは絶対何か繋がりがある」

 

横島君には見えていた見えない道。そして使いこなしていた陰陽術……間違いない。横島君は高島と言う平安時代の天才陰陽師となにか関係がある。それを知る為には今手元にある本。これの解読が必要だ

 

「明日にもカオスに依頼しましょう」

 

これは早急にこの本の中身を知る必要がある。横島君と高島の繋がりを知る為には……この内容を知る必要が在る

 

「まずは報告書を仕上げますか」

 

高島の事を調べたいが、まずはGS協会に上げる報告書を仕上げる必要がある。見鬼くんの画像があるので証拠はある、大まかな除霊の流れを書けば良いだろう。だけど今回は

 

「横島君のことも書かないと……」

 

陰陽術を使っている場面が何度も写されている。これを誤魔化す事は出来ない、だけど今の横島君はそれを使えないので、それも含めて書けば良いだろう。問題は1つ

 

「陰陽寮とかよね……それに他のGSも」

 

今は失伝している陰陽術の使い手。しかも歳若く、将来有望……それに妖使いとしての適性もある。引き抜こうとするGSがいてもおかしくはない

 

「時給上げましょう。うん、そうしましょう」

 

蛍ちゃんの時給を3000円から5000円にして、横島君を4000円にしましょう。本当は嫌だけどこのままだと2人とも引き抜かれかねないし

 

「明日また契約をしなおしましょう。

 

正直に言うと蛍ちゃんと横島君が私の事務所に来てから仕事がとてもしやすくなった、横島君は馬鹿はやるけど、親しみやすい性格をしているのでリピーターで依頼してくれる人もいるし……

 

「これは必要経費ね。必要経費……」

 

今あの2人がいなくなると私の事務所は大打撃を受ける。だからあの2人を手放すことは出来ない。まずは時給。次に待遇面を徐々に変えていこうと決める

 

「さてとさくっと仕上げますか」

 

殆どは見鬼くんの情報記録でやればいいし、報告書は完結明瞭に……そうそう忘れる所だった

 

「追加請求1億円っと……」

 

今回のミズチは相当危険だった、それこそ死んでもおかしくないくらいに……それくらい貰わないと割に合わない。請求書を書いてそれを報告書と見鬼くんの記録ロムと一緒にして机の上に置く。今回は郵送ではなく、しっかりGS協会の幹部と交渉しないと無理だろうから

 

「はー疲れた。一杯やって寝ますか」

 

おキヌちゃんは横島君の所に行ってしまっているので自分で冷蔵庫からビールを取り出し、中身を一気に煽って寝室に向かうのだった……

 

だが美神は横島の才能をまだ軽んじていた。失伝した陰陽術・妖使いとしての適性……まだ霊力をまともに使いこなせないが、それでもなお磨けば光輝く事がわかっている横島を引き抜こうとしている存在は六道家だけではなく、他にも存在していたのだった……

 

「歳若い陰陽師の卵……素晴らしい逸材なワケ……」

 

高ランクのGSしか見ることの出来ない、他の事務所の見習いの資料。それを見ていた褐色の女性は美神の所の横島と蛍を見て

 

「……絶対に引き抜くワケ」

 

その笑みを深め、GS協会の資料室を後にしたのだった……勿論。横島と蛍の資料をコピーし2人の住所や通っている学校をしっかりとリストアップしてから夜の街へと消えていくのだった……

 

 

リポート9 黒魔術師小笠原エミのスカウト その1へ続く

 

 




これにてミズチの話は終了になります。次の登場はエミの後の話になると思います、次回は原作の「上を向いて歩こう」に似た雰囲気でやるつもりですが、基本的にはオリジナルでお送りしようと思います。原作とは少し違う、エミとの遭遇を楽しみにしていてください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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