GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!!   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話は戦闘回になる予定です。とは言え勝てる勝負ではないのでかなり不利な戦闘になるのは当然ですね。主な焦点は横島になります、戦闘ではなく人格面でですけどね。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その3

 

 

リポート8 怒れる水神ミズチ! その3

 

なんか……変な感じだなあ……何も見えない闇の中。俺は何とも言えない不思議な感触を味わっていた

 

(水の中なんだよな。ここは)

 

意識を失う前に見た濁流のような水。そんな水の中にいるんだから息苦しい筈なのにとても穏やかな気分だ。もしかしてこのまま死んでしまうから?と一瞬不吉な予想が頭を過ぎるが、そんな嫌な感じもない。ここはどこなんだろうか?と思っていると脳裏に断片的といえばいいのだろうか?様々な場面が浮かんでは消えていく

 

漫画で見るようないかにも陰陽師と言う格好をした青年

 

その青年を見つめる緑色の髪をした少女

 

(あれ?あの子どこかで見たような?)

 

どこかで見覚えのある少女の姿に首を傾げる中も映像は変わっていく

 

神社の前で小さな岩に文字を刻み。札を貼る青年とその青年の隣で岩を見つめている少女

 

次の瞬間には少女の姿は岩の中に消えていく。だが完全に消えるその瞬間に青年の頬に手を伸ばし、自身のほうに引き寄せ額に触れるだけの口付けをする。

 

【……またどこか、ここじゃない時代で、貴方じゃない貴方に私は会いに行く。それまでさよなら……高島】

 

その言葉と同時に奇妙な感覚は消えて、代わりに信じられないくらいの息苦しさが襲ってきて慌てて目を開ける。

 

「がぼがぼがぼおおおお!!!」

 

予想とおり水の中だったが、驚いて絶叫してしまう。当然ながら水の中なので声にならない上に酸素を吐き出してしまい

 

(あかん死ぬ!!!)

 

水の中って事は水面は上か!咄嗟に上のほうに光が見えるのを見つけて必死に泳ぎ

 

「ぶっはああ!し、しむう……」

 

水面から顔を出して荒い呼吸を何度も繰り返して、必死に酸素を取りこんでいると

 

【み、見つけましたぁ!横島さん!無事で良かったぁ!!】

 

「が、がぼおお!?」

 

上空から突撃してきたおキヌちゃんに再度水面に押し込められる。だがこうして探しに来てくれたということは美神さんたちも無事だろうし、何よりも

 

(み、見えたぁ!!!)

 

水面に突撃した事でおキヌちゃんの巫女服の前が少しはだけ、ほんの少しだけ見る事の出来た双丘に痛いほど心臓が高鳴るのを感じるのだった……おキヌちゃんに案内され、平泳ぎで泳いでいるうちに見えてきた。水の上に浮かぶ神社……まだ大分距離はあるが、そこには美神さんと蛍の姿が見える。それにチビとタマモの姿があって一安心した。

 

【も、もう!横島さんはスケベなんだから!】

 

俺の頭の上でいやんいやんと身体をよじるおキヌちゃん。水面から出ると自分の胸が少し見えていたことに気付いてからはずっとこうだ。案内してくれるのはありがたいが、このままでは命がないので

 

「今度何か埋め合わせはするから……ごぼ!がぼ!普通に接してくれないかなあ?」

 

事故だったのでどっちが悪いとは言えないが、だけど素肌を見た俺の方が圧倒的に悪い。だから今度埋め合わせをするので普通に接してくれとお願いすると

 

【判りました♪私別に横島さんなら恥ずかしくも何ともないんですけどね】

 

えへへと笑うおキヌちゃん。なんでこんなに良い子が俺の事を好きって言ってくれるんだろうか?蛍にしてもそうだけど

 

(なんで俺なんかを……)

 

何をしても駄目な俺を何で?と言うことを考えながら泳いでいると神社の前に来たようで、石畳の上から

 

「大丈夫?横島?」

 

俺に手を伸ばしてくれる蛍の手を握り返し、ひっぱり上げられながら

 

「なんとか」

 

俺はそう返事を返しながら神社の石畳の上に上がる。すると美神さんが見鬼くんを手に周囲を警戒しながら

 

「今近くに敵の気配はないわ。今のうちに着替えてきなさい。神社の中で」

 

その視線の先には荷物が置かれている、元々長丁場の予定だったので着替えも準備してある。まさか1日目で使うとは思ってなかったが……このままでは破魔札も使えないので早めに着替えてきた方が良いだろう

 

「じゃあ着替えてきます」

 

このままだと風邪を引くかもしれないので早く着替えたほうがいいだろう。神社の境内の中で着替えるのは悪いと思うが緊急事態なのでここは我慢して貰おう。境内の中に入る前に手を合わせて中に入ろうとして

 

「覗かないでね?」

 

冗談で言うとおキヌちゃんが肩を竦めて明後日の方向を見ていて口笛を吹いている

 

「すまん。タマモ頼む」

 

「コン」

 

俺は裸を見られて喜ぶような趣味はない。なので、石段の上で日向ぼっこをしているタマモにそう頼み境内の中に足を踏み入れたのだった……

 

 

 

水中に浮かぶ神社を見つめる2つの視線。メドーサとシズクだ……ここはシズクの世界。霊力の気配を消すなんて事は簡単な事なのだ

 

「随分とすごい能力だね。水の近くならもっと強いんじゃないのかい?」

 

槍を肩に担ぎながら尋ねる。山の中でこれだけの異界が作れるなら水の近くならもっと強力な結界を作れるのでは?と尋ねると

 

「……無理。この山と神社は高島が私の為に水の流れ・霊力の収束を調整してくれた山。水の近くでも、ここじゃないとこれだけ強力な異界は作れない」

 

高島ねえ……聞き覚えのない名前だけど、シズクの話を聞く限りでは陰陽師もしくは風水師なのかも知れない

 

「……それにこの力は他の水神から奪った力だから」

 

「お前さん?指名手配にでもなる気かい?」

 

神の力を奪う。同系統の神では不可能ではない話だが、それは重罪だ。下手をすれば私と同じでブラックリストに載る事だって考えられる

 

「……問題ない。力は後で返す、分身体を使ってたから問題ない」

 

シズクはそう言うと指を鳴らして空中に水で出来たいすと机を作り座る。私の分もあるが当然水なので座ろうか悩んでいると

 

「……ぬれないから大丈夫。メドーサも座ると良い」

 

そう笑うシズク。断るのもおかしな話なので座る。すると眼下の水が柱のようになり、その姿を巨大な龍に変える……8つ首の大蛇……

 

「これが分身体ってやつかい?」

 

さっきの話にあった奴かもしれないと思い尋ねる。見た所だと水を媒介にした術のようだけど……霊力もあるから本物としか思えない。それに8つ首は八岐大蛇を連想させる。分身といえるレベルの能力ではないだろう

 

「……そう。私の得意技……これであの少年を見極める」

 

少年と言うと横島か。確かに今の横島はあまりに弱い。ここで見極めてみるのも面白いかもしれない。私は槍を消して神社に襲いかかろうと牙をむく巨大な龍の姿を見つめるのだった……シズクは操作に集中しているのか目を閉じて動く気配がないので

 

「一杯やるかねえ。良い肴になりそうだ」

 

魔力で槍を収納している空間から酒のボトルを取り出す。グラスがないのでそのまま煽りながら、水龍とGSの戦いに視線を向けるのだった……

 

 

 

まさか異界を作れるほど強力な水神だったとは予想外ね。高位の神や魔族は自身の力を使い、異なる世界を作ることが出来るとは聞いていた、だけどこうして見ると信じられないと言う感想しか感じない

 

(とりあえず記録ね)

 

見鬼くんには映像記録の機能もあるのでしっかりと記録しておく。後の情報にもなるし、なによりも

 

(これだけ危険な山だったんだから追加報酬をもらえないと割に合わないわ!)

 

心の中でそう叫び自分を奮い立たせるが、状況としては最悪のまま。山の中にあった神社がそのまま異界に取り込まれ、周囲は全て水。どう考えてもミズチの領域であり、勝てる要素はどこにもない。かと言って異界の中から逃げる方法なんて知らないので正直言って詰んでいる……どうした物かと考えていると

 

【ギャオオオオオッ!!!!!!】

 

咆哮と共に水が盛り上がり、巨大な身体を持つ8つ首の龍が姿を見せる

 

「まさか八岐大蛇ッ!?」

 

とんでもない大物だ。龍族の中でも最高位に属する最強最悪の龍、はっきり言って勝ち目などない……なんでこんな高位の龍が……

 

「斐伊川の化身……水の……そうか!」

 

八岐大蛇は斐伊川の化身として扱われる事もある。龍族に属するが、水神と言う解釈も出来る。つまり私達が対峙しているこのミズチは八岐大蛇に属する水神。ミズチの中でも最高位のミズチだったのだ……

 

「美神さん!来ます!!」

 

蛍ちゃんの言葉に我に帰り咄嗟に後ろに飛ぶととんでもない威力の水の柱が立つ。直撃を喰らえば水神符に防護札が一瞬でお釈迦になるようなそんな強力な霊力と物理を兼ね備えた一撃だ。だが問題なのはそれではない、今の水を吐き出したのは首の1つ。大きく口を開いている首は3つ……まさか!

 

「精霊石よ!!!」

 

カオスから受け取っていた複製精霊石を2つ取り出し霊力を込め投げる。空中で壁になると同時に八岐大蛇の吐き出した水のブレスを弾き飛ばしてなお存在している

 

(今度これはもっと買っておきましょう)

 

効果を見る限りでは複製とは言え、最高レベルの精霊石と同じ効果があるという事が判った。今度はもっと買っておこうと心に決め

 

「おキヌちゃんは周囲の警戒!背後から首が回ってこないように監視してて!」

 

八岐大蛇の首は8本。正面だけではなく背後も警戒してなければならない、だけどそこまで手が回らないのでおキヌちゃんに頼む

 

「だけど攻撃は避けなさい。あれだけの霊格だと幽霊と言っても危険だわ!」

 

【はい!判りました!】

 

八岐大蛇の霊格を考えると掠っただけでもおキヌちゃんには致命傷だろう。とは言え監視を頼まないわけには行かないのだ

 

「チビとタマモは!?」

 

「もう隠れてます!」

 

蛍ちゃんがそう叫びながら鞄から霊体ボウガンを2丁取り出して片方を私に投げてくる、距離があるのでまず破魔札も水神符も届かない。効果があるかは不安だが霊体ボウガンに賭けるしかない

 

「美神さん!俺はどうすれば良いですか!」

 

いつものGジャンGパン姿ではなく、普通の黒の上下に着替えてきた横島君が境内から飛び出してくる。人手が足りないが霊体ボウガンを使えない横島君では正直言って役に立たない。だけど……いつまでもそんな事を言っていても横島君が霊能力に目覚めないだけ

 

(ここは荒療治だけど……やってみる価値はある!)

 

潜在霊力は高いのだから何かのきっかけで解放されるかもしれない。そして相手とすれば最強最悪の八岐大蛇……その霊格に引きずられる事で霊力が目覚める事だって考えられる

 

「横島君!これを持ってなさい!私と蛍ちゃんは攻撃に集中するから護りは任せるわよ!!!」

 

自分の分は必要最低限の枚数だけ残し、予備の分の水神符を全て取り出して横島君に押し付ける

 

「う、うっす!!!」

 

震える声で返事を返す横島君。今回は防御に気を回しているだけの相手ではない、不安は残るが横島君に防御を任せるしかない。

 

「行くわよ!!横島君!蛍ちゃん!」

 

相手はとんでもない強敵だ。生き残れる可能性は極めて低い……しかし戦わないわけには行かない

 

「生き残ったら好きな物なんでも奢るから気合を入れなさい!!」

 

「うっす!!」

 

「横島よろしく頼むわよ!!!」

 

もしかすると生き残る事すら難しいが、こんな所で死ぬつもりはない。気合を入れ上下左右から襲ってくる水のブレスと、凄まじい勢いで突進してくる巨大な牙を相手に勝ち目のない戦いに挑むのだった……

 

 

 

目を閉じて私の作り出した水の大蛇との視覚リンクで高島の転生者を見ているのだが……

 

(……力は引き継がなかった?)

 

本来高位の陰陽師と言うのは、身につけた術をその魂に刻む。転生することで記憶を失うが、魂は覚えている。何かのきっかけで解放される可能性が高い……それなのに転生したと思われる少年は逃げるだけ……いや

 

「このお!!水神符ッ!!!」

 

無様に泣きながらも手にしていた札を叩きつけ、水のブレスを無効にしている。僅か、本当に僅かながら陰陽師としての力は残っているのかもしれない。

 

(……あの札はそんなに強力な物ではない)

 

何回か戦ったGSと言う現在の退魔師も同じような物を使っていたが……これだけの効果を持ち得なかった。恐らく、転生者の少年と一緒にいる2人の女性が使ったとしてもあれだけの効果はないだろう……

 

(……興味深い)

 

札で私のブレスを防ぐ度に少年の霊力が解放されている。そこは高島の転生者だけあり非常に強力だ……だけどなぜ

 

(……泰山父君の祭に挑戦したんじゃ?)

 

泰山父君。閻魔様の試練に挑み完全なる転生を目的にしていたのでは?話に聞いていただけど高島があの時代では最高峰の陰陽師だった。その知識と術を重要視した陰陽寮から泰山父君の祭に挑戦するように言われて嘆いていたのを覚えている。まぁ性格は少しおかしい物だったけど……実力は確かだった。泰山父君の祭。あれは本来死んだ陰陽師のみが挑戦でき、しかも魂の容量が(桁外れor並外れ?て)無ければ挑戦できない。それを生身で挑戦するなんて無謀の極みだ……私でさえ泰山父君に会おうとは思えない。それだけの難しい試練だ……

 

(……失敗した?)

 

その術に失敗して不完全に転生してしまったのか?それとも泰山父君の祭に挑戦しなかった事で処刑されたのか?私が封印された後のことだったから判らない……

 

(……もう少し攻撃してみる)

 

少しずつ霊力が上がってきている。もしかするとこのまま追い詰めれば高島が得意としていた五行陰陽術を開眼するかもしれない。

高島が全ての陰陽術そして式神の扱いに長けた実力・名声ともに最高の陰陽師だった。性格には若干の難があったが……霊力を散らしめる封魔術。火・水・木・金・土の五行からなる攻撃・防御にも使える五行陰陽術に加え、独自の陰陽術を開眼した天才でもある。その貴重な才能をあの少年が引き継いでいるのか?それがどうしても気になる

 

「ほどほどにしておきなよ?あの中の面子の誰か1人でも殺したら、私がお前を殺すことになる」

 

メドーサの呟きに判っていると返事を返し、亜麻色の髪と黒髪の女に4本の首を向け、もう1本を少年のほうに向けたのだった……

 

 

 

【シャアアアア!!!】

 

「ぎゃあああああ!!!」

 

何故か美神さん達ではなく俺を狙い始めた首の一本に絶叫する。タマモとチビは境内の中に隠れているので普段の回避の補助は狙えない。唯一の救いは

 

【横島さん!ジャンプ!ジャンプして!!!】

 

背後からの奇襲がないので俺のサポートをしてくれているおキヌちゃんの存在だ

 

「どっひゃあああ!!!」

 

【がアアアア!!!】

 

大口を開けて俺を飲み込もうとしてきた首を回避して、そのまま走り出し

 

「いけえ!!!」

 

蛍と美神さんに向けられたブレスを防ぐために水神符を投げる。これで残りは7枚……最初は数枚余るかもしれないと思っていたが……

 

(やべえ!消耗が早い)

 

俺にも水のブレスが来るようになったから水神符の消耗が激しい。美神さんもそれに気付いているようで

 

「馬鹿!私達は何とか避けるから自分のみを護るのに使いなさい!!!」

 

両手に霊力の盾を作ってブレスを弾こうとしていた美神さんがそう怒鳴る。だけどあんな盾で弾けるようには見えなかったのでこれで良かった筈だ。美神さんと蛍が無事なのを見て一瞬気が緩んだその瞬間

 

「横島!避けてッ!!!!」

 

【横島さん!】

 

蛍とおキヌちゃんの声が聞こえた瞬間。背中にとんでもない衝撃が走る……それは首の1つが吐き出した水のブレス。蛍が投げてくれた霊力の盾を容易く貫き俺の背中を打ちぬいたそのブレスに

 

「う、があ!?」

 

苦悶の声を上げたと思った瞬間。石畳に2回ほど叩きつけられ、そのまま俺は水面に背中から落ちゆっくりと水の中へ沈んで行ったのだった……意識を失う瞬間に聞こえたのは

 

【……お前はここまで?それとも先に進むの?】

 

期待するかのように、それとも失望したとでも言うかのような……蛍でも美神さんでもない澄んだ女性の声と

 

【だー。んでこんな事になるかなあ……はぁ。少しだけ、少しだけだからな?今回は俺が力を貸すからな?今回だけのサービスだからな?】

 

どこか俺に似た声をしている困ったような青年の声だった……

 

 

 

水の柱を上げて沈んでいく横島……咄嗟に投げたサイキックソーサーも意味はなく簡単に貫かれた

 

(あいつが……)

 

唸り声を上げる八岐大蛇。最上級の邪龍?神族?関係ない……横島を私から奪った……

 

(もういい、もういい……)

 

手首のブレスレットに手を伸ばすこれが私の魔力と霊力を制限させている物……これを外せば魔族としての私の力が使える。倒せないにしてもあの蛇にダメージを与える事が可能になる。

 

(ゆるさない……許さないッ!!!)

 

私が手に仕掛けた幸せを奪った。あれだけの威力のブレスを受けて未熟な横島が生き残れるとは思えない。

 

「蛍ちゃん!?早く立って!もう一撃来るわよ!」

 

うるさい……

 

【蛍ちゃん!急いで!!】

 

うるさい!!!

 

(私の気持ちなんて判らない癖に!!!)

 

私がどんな思いで逆行を考えたかも知らないくせに、私はあの時代の全てを失ってでももう1度横島に会いたかったんだ。父も母も友人も全て捨てて、この1回しか出来ない逆行に全てを賭けたのに!!!!

 

【【【ガアア!!!】】】

 

三つ首から吐き出されるブレス。それを避けるためにブレスレットを外そうとした瞬間

 

「急急如律令ッ!!!霊符を持って命ずる!!!水の力を散らしめよ!!」

 

水面から飛び出してきた札が空中に六芒星を描き、吐き出されたブレスを無効化する。それと同時に水面から横島が飛び出してきて

 

「急急如律令ッ!!!霊符を持って命じる!我が傷を癒せ!」

 

神社の上に降りた横島は更に札を使って自身の傷を癒す。

 

「よ、横島君?それは?」

 

横島が立て続けに使った高位の陰陽術。美神さんが信じられないという感じで呟く

 

「なんかわかんないっすけど、判ります。使えますよ陰陽術。大丈夫か?蛍?」

 

心配そうに私に手を伸ばす横島。私は外しかけたブレスレットを元に戻し

 

「心配したのはこっち!!今度こんなことをしたら許さないんだからね!!!」

 

そう怒鳴り涙を拭って立ち上がる。横島が生きてるなら魔力を使わない。まだ魔族としての力を横島には見せたくないから

 

「どういうことかわからないけど戦力として数えていいのね?」

 

「うっす!大丈夫っす!」

 

破魔札を構える横島からは霊力が溢れている。あれだけの霊力があれば大丈夫。それにさっきの封印術と陰陽術があれば八岐大蛇の力を削いで脱出する隙が生まれるかもしれない

 

「蛍ちゃん!横島君のフォローに回るわよ!横島君は陰陽術の準備!少しでもいいから八岐大蛇の力を削いで!そうすれば脱出の隙が生まれるかもしれない」

 

素早く作戦を立てる美神さん。私はその言葉に頷き両手にソーサーを作り出し横島のフォローに回る。横島は両手に破魔札を構え意識を集中する……

 

「行くわよ!2人ともしっかりね!!」

 

霊体ボウガンではなく、両手に破魔札を構える美神さん。そして8つの首全てが同時に私達に向けられる。さっきまでは脅威だったが、今は大丈夫だと思える。今度は何とかなると私は確信していたのだった……

 

 

リポート8 怒れる水神ミズチ! その4へ続く

 

 




次回は戦闘回の続きになりますね。陰陽術を使う横島がメインのポジになると思います。とは言え今回限りですけどね
それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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