GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!!   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話は冥子をメインにして行こうと思います。あとはチビもメインに来るかもしれないですね
それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その2

 

 

リポート6 式神使い六道冥子登場! その2

 

クライアントとの待ち合わせの場所は新築のマンションの前だった。そこでクライアントと顔合わせをする予定だったのだが、そこには禿げた中年ともう1人いた

 

(嫌な予感はこれか!?)

 

私の霊感が囁いていたのはこれだったんだ。肩を出したピンク色のドレスに胸元を飾る紅いリボン。それと白の手袋……腐れ縁といでも言うのだろうか?そして私が一番苦手にしている「六道冥子」が私を見て嬉しそうに手を振っていた

 

「どうしたんですか?」

 

隣の蛍ちゃんが青い顔をしている私を見てそう尋ねて来る。お守りとして持たせた防護札はあるけど、冥子が相手なら全然足りない……

 

(ど、どうしよう)

 

蛍ちゃんと横島君を怪我させるわけには行かない。出来る事なら引き返したいが……それよりも早く

 

「令子ちゃん~待ってたよ~」

 

嬉しそうに笑って近寄ってくる冥子。もう逃げられない……私は隣の蛍ちゃんを見て小さく

 

(ごめんね。こんな仕事とは思ってなかったの)

 

(なんで急に謝るんですか?)

 

私の謝罪の意味が判らず首を傾げている蛍ちゃん。お願いだから、冥子が仕事の間暴走しない事を祈っていると

 

「ふーすんませーん。重いんで遅れましたー」

 

除霊具をかなり持って来たので遅れていた横島君の声がして振り返る。横島君の背後を浮いているおキヌちゃんとその翼で飛んでいるというよりかは浮いている感じのチビが見える

 

【横島さんを待っていたので遅れました】

 

「みみーんッ!」

 

横島君達が遅れてくると冥子は私の服を掴んでいた手を放して、私の後ろを見て

 

「まぁ~横島君~また会ったわねえ~」

 

え?横島君冥子と知り合いなの?私が状況を理解できないでいると、冥子の影からショウトラが飛び出して

 

「わーん♪」

 

とんでもない勢いで横島君に向かって走っていく……それは大好きな飼い主に遊んでもらいたい大型犬にしか見えなかった。

 

「げぶろお!?」

 

凄まじい勢いで突進された横島君は、荷物のせいで回避できなかったようでショウトラに倒される

 

「あらあら~ショウトラちゃん。横島君が好きなのね~」

 

のほほんと笑う冥子だけど、横島君はそれところではない

 

「わんわん♪」

 

圧し掛かられた上にリュックに潰されている横島君は顔を真っ赤にして

 

「いてええ!リュック!リュックがアアアア」

 

【よ、横島さん!!】

 

ショウトラに圧し掛かれて絶叫している横島君。近くのおキヌちゃんが助けようと手を伸ばすが

 

「ぐるるるるッ!!!」

 

唸り声を上げられた上に噛まれかけて、チビを抱えたまま

 

【ひーん!美神さーん!!!】

 

半泣きで近寄ってくるおキヌちゃんを見ながら、隣で目を丸くしている蛍ちゃんに

 

「冥子を泣かせたら駄目よ?全滅するからね」

 

下手をすると入院じゃすまなくなる。GSとして再起不能の可能性もあるだから怒らないようにと声をかけるが

 

「大丈夫~ごめんね~」

 

ハンカチで横島君の土埃を払っている冥子とそのぽわっとした空気に呑まれているのか、ぽーっとした顔をしている横島君を見て

 

「ギリっ!」

 

【バチッ!】

 

拳を握り締めている蛍ちゃんと霊気をスパークさせているおキヌちゃん。冥子が気付いてないだけで一触即発と言う感じの空気になってしまっている。まだ除霊も状況も何一つ把握してないのに……

 

「あ、あのー説明しても宜しいでしょうか?」

 

おずおずと話しかけてくるクライアントに私は穏やかに笑いかけながら

 

「よろしくお願いします」

 

とりあえずこのままでは埒が明かないと判断し、クライアントにそう頼み……

 

「ほら!除霊の打ち合わせをするわよ!蛍ちゃんも冥子もこっちに来る!」

 

手を叩き好き好きに動き回っている冥子達を呼び寄せるのだった……

 

 

 

「新築のマンションなのに、相が悪いのか悪霊が集まってきて人が住めんのです」

 

マンションの前で今の状況を話してくれるオーナーさんの言葉を手帳にメモする。こういう情報は案外馬鹿に出来ないのだ。美神さんも真剣な顔をして話を聞いている

 

「みー?」

 

「もうーチビちゃん可愛い~♪」

 

「みみーん♪」

 

六道さんはクライアントの話を聞かないでチビと遊んでいる。私にも懐いてくれないのに何で六道さんに懐いてるの!?納得行かないわ!その事に関してかなり文句を言いたいが、取り合えず今は除霊の打ち合わせに集中する

 

「かなりの数の悪霊が集まってきているので、お2人に協力していただこうということになりまして、今回ご依頼しました」

 

「私がね~令子ちゃんがいいわよ~ってお願いしたの~」

 

その言葉に嫌そうに美神さんが顔を顰める。見た所そんなに危なそうな感じはしないけど……美神さんは腕組をして何かを考えているようで六道さんの声が聞こえていなかったようだ。多分この建物の事を考え、どういうプランで除霊していくのかを考えているのだろう

 

「無視しないで~令子ちゃーん……無視されると、うわああああんっ!!!」

 

だがそれを無視されていると思ったのか、六道さんが泣き出すとその影から11体の異形が飛び出してきて

 

「なんでじゃあああ!?」

 

近くにいた私や美神さんを無視して、奥の方に居た横島の方に突進していく。11体の異形はリュックを背負っている横島を跳ね飛ばしてもみくちゃにしている

 

「よ、横島ッ!?」

 

【横島さんッ!?】

 

「こーん!?」

 

11体の異形にもみくちゃにされている横島を見て私とおキヌさん、それにタマモの絶叫で我に返った美神さんが

 

「止めなさい!冥子!うちのアルバイトを潰す気ッ!」

 

その一喝で我に帰える六道さん、即座に式神を自身の影に戻して

 

「ご、ごめんね~横島君~私泣いちゃうと式神を制御できなくて~」

 

そう謝る六道さん。この人とんでもない危険人物ね。接し方を考えないと……私は冷や汗を流しながら六道さんの評価を普通の人から危険人物へと跳ね上げたのだった。意識が無く痙攣している横島は

 

「コーン、コーン」

 

「わふ!わふ!」

 

タマモとショウトラとか言う白い犬のヒーリングで徐々に回復し

 

「あー死ぬかと思った」

 

頭をかきながら身体を起こす横島。私が声をかけようとするよりも早く

 

「みみーッ!!!」

 

おキヌさんの腕の中から飛び出したチビの突撃を顔面に喰らい

 

「へぶうっ!?」

 

再度引っくり返る横島。心配してたんだろうけど、もう少しチビには色々教えないといけないと思う。物凄く賢いからすぐに覚えてくれると思うし

 

「駄目よ。横島は疲れてるからね?」

 

「みー……」

 

顔にしがみ付いているチビの背中を掴んで横島から引き離すのだった……とりあえずなんにせよ。六道さんとの共同除霊は普段以上に警戒して注意しなければならないのだと悟るのだった……

 

 

 

あー酷い目に合った。冥子ちゃんの影から飛び出してきた異形、式神と言うらしい、それにもみくちゃにされたせいか全身が痛い。美神さんがくれた防護札のおかげでかなり衝撃を和らげる事が出来たらしい、直撃だったらどれほどの激痛だったのか?想像するだけでも恐ろしい

 

「コン」

 

頬を舐めてくれているタマモ。なんか痛みが引いてるけど、何かの特殊能力なのだろうか?とりあえず身体の痛みが収まるまで地面に座り込んで美神さん達の話を黙って聞くことにする

 

(おお♪視点が低いから見えそで見えない)

 

スカートの蛍と美神さんに神秘の三角形が見えそうで見えない。それが俺を興奮させる、もう少し屈めば見えるかも……若干姿勢を低くしようとした所で

 

【横島さん?話聞いてます?】

 

おキヌちゃんの声で顔を上げると不思議そうな顔をしておキヌちゃんが俺を見ている。

 

「え、えーとうん!ちゃんと聞いてる!」

 

本当は何も聞いてませんとは言えないので、聞いていたと言う。神秘の三角形が見たくなるのは健全な男子高校生としては当然だと思うのだが……

 

「グルル」

 

背中のタマモが唸っている。これは怒っている、邪まな考えをやめないと噛まれると判断し、美神さん達の話に耳を傾ける

 

【言いませんけど、そう言うのは駄目ですよ?ね?】

 

とても静かだがはっきりと聞こえるおキヌちゃんの声に背中を伸ばし

 

「はい……」

 

俺はそう呟いた。タマモもへそを曲げると怖いけど、おキヌちゃんの怖さはその非じゃない……流石幽霊と言わざるを得ない

 

【それならいいんですよ?えへへ】

 

ニコニコと笑い俺の隣に浮かぶおキヌちゃん。可愛い、確かに可愛いんだけど

 

(何が地雷か判らんから気をつけないと)

 

突然怒り出すことがあるので言動に気をつけようと心に誓うのだった。クライアントは図面を美神さんに見せながら

 

「このマンションは採光を考えて、上階に行くに連れて面積が小さくなっています」

 

採光?面積を小さく?駄目だ。どういうことか全然判らん……美神さん蛍。それに冥子ちゃんは理解しているようで時折頷いている。あれ?この中で話についていけてないの俺だけ?若干切ない気持ちになりなががら視線を落とす。そこには

 

「みい?」

 

「わふ?」

 

俺の顔を見上げるチビとショウトラ。いや動物は判らないのはわかるけど……なんかとても悲しい……

 

「なるべくユニークなデザインにしようとしたんで、複雑な多層構造にしたんですが……」

 

言いにくそうにするクライアントに蛍が図面を見ながら

 

「この多層構造のせいで、霊脈の流れが乱れている?」

 

霊脈が乱れると悪霊が集まると言うのは蛍にも美神さんにも聞いている。だから新しく建物を作るときはそう言うのも考慮しないといけないらしい、また地鎮祭や霊的な観点でアドバイスのできるGSに協力を頼むのが普通らしい。

 

「うーん。私は違うと思うわ、このアンテナね。このアンテナが丁度霊脈の上に来てるわ。この電圧で霊脈が乱れてるのね」

 

本当にさっぱり判らん……もっとGSの事を勉強しないと行かんな……膝の上でごろごろしているタマモの背中を撫でる。

 

「クウーン」

 

もう少し勉強しないと話に割り込むことも出来ない。ここは邪魔しないように静かにしていよう……甘えた鳴声を上げるタマモを撫でていると

 

「それで冥子?どうするつもり?」

 

美神さんがそう尋ねる。これは少し以外、美神さんだから自分の意を通すと思っていたのに……

 

「そうね~私が~回りの幽霊を食い止めるから、令子ちゃんと蛍ちゃんと横島君で結界を作って貰えばいいと思うわ~」

 

俺!?なんで俺!?しっかり頭数に入っていることに驚いていると冥子ちゃんはにこにこと笑いながら、期待してるという顔で俺を見て

 

「横島君は~妖使いなんでしょ~?」

 

「はい?妖使い?」

 

全く聞き覚えのない単語に聞き返してしまう。妖使い?なんじゃそら?俺が首を傾げていると

 

「横島君はまだ見習いよ。結界札なんて高位のお札は使えないわ。破魔札くらいなら使えるけどね。横島君は冥子のフォローをして頂戴。結界札は私と蛍ちゃんでやるから」

 

てきぱきと指示を出して、俺が運んできたリュックから除霊具の数々を取り出して装備していく、打ち合わせはこれで終わりと言うことだろう。本当は妖使いが何なのか聞きたいが、とても聞ける雰囲気ではないので、除霊の準備に集中する事にする

 

「ほい。蛍の分の霊体ボウガンと破魔札な」

 

蛍の分を纏めてある除霊具を渡す。あの大きいリュックの中の7割は美神さんの装備だ、蛍でも使いこなせない物が多く、オーソドックスなボウガンと破魔札が蛍の装備になる

 

「ありがとう横島」

 

にっこりと笑う蛍。俺はまだ未熟だから蛍達の影に隠れるしか出来ないだから、その分サポートに徹する。命懸けで守ってくれるのだから

 

「これくらいしないと罰が当たる」

 

そう苦笑してリュックを背負いなおすと同時に自分用の破魔札をホルスターに納める。膝の上にいたタマモは頭の上に乗せて

 

「コン!」

 

「今日も頼むぞ」

 

幻術と狐火を仕えるタマモ。蛍と美神さんを抜かれた場合、タマモの能力と俺の破魔札で対応しないといけないので正直頼りにしている。俺の破魔札の投擲術はまだまだ未熟だから、絶対当たると言えない訳だし

 

【私も頑張りますよ!横島さん♪頼りにしてくださいね!】

 

ポルターガイストを頑張れば使えるおキヌちゃん。力こぶを作るようなポーズをしているが、正直可愛いとしか思えない。しかしそれとは別に暗い考えが頭を過ぎる……

 

(女の子に護ってもらってばっかり……俺情けねえ……)

 

少しでも早く霊能力を使えるようになると良いんだけどと思いながら、その翼で俺の周りを飛んでいたチビを捕まえる

 

「み?」

 

小首を傾げるチビをGジャンのポケットに入れて

 

「大人しくしてるんだぞ?危ないからな?」

 

「みっ!」

 

判ったという感じで手を上げるチビ。美神さんと蛍に迷惑をかけるわけには行かないから、大人しくしてて貰わないとな

 

「横島君~頑張りましょう~?」

 

にこにこと笑う冥子ちゃんと並ぶ。式神使いなので式神を召喚した後は後方支援になるらしい、先頭は美神さんと蛍が担当して。俺と冥子ちゃんは2人の後ろについて2人の援護と言う手筈だ

 

「行くわよ。しっかりね。今回はかなりハードよ」

 

美神さんの言葉に頷き、マンションに入ろうとすると

 

(横島君は~GSの見習いさんなのね~私の方がお姉さんだから~わからないことは私に聞いてね~)

 

小さな声でそう言う冥子ちゃん。除霊についてはは間違いなく俺よりも詳しいはずだ

 

(よろしくお願いします)

 

俺が頭を下げながら言うと冥子ちゃんは嬉しそうに笑って、手を組んで俺を見て

 

(任せて~横島君♪)

 

頼られるのが嬉しいのか凄く嬉しそうに笑う冥子ちゃん。俺は大きく深呼吸し覚悟を決め、悪霊の巣窟となっているマンションに足を踏み入れるのだった……

 

 

 

マンションに入っていく美神達を見つめる白いツバメ。冥華が放った使い魔だ

 

(ん~予想よりも錬度が低いわね~)

 

あの令子ちゃんの弟子だからもう少し錬度が高いと期待していたんだけど、使えるのが破魔札だけとは正直期待外れだ

 

(あの狐ちゃんが主な攻撃手段なのかしら)

 

妖使いと言えば納得できるけど、GSとしては正直期待外れかな~それとも~

 

(まだ霊的成長期の前なのかしら~?)

 

霊力を持つ人間は、霊的成長期という物がある。もしかすると横島君はまだ霊的成長期に入ってないのかもしれない……

 

(もう少し様子を見てみようかしら~?)

 

霊力は素人より少しまし程度だけど、もしかすると何か特別な能力があるのかもしれないわね。あの令子ちゃんが弟子にしているんだから、GSとしての能力ではなく、もしかしたら特殊な能力があるのかしれないわね~

 

(もう少し様子見してみましょう~)

 

まだ決断するには早いと判断してツバメをマンションの中に行かせる。

 

「さて~どんな能力を持っているのかしら~」

 

除霊の中で何か特別な能力に目覚めるかもしれない。それにあの蛍ちゃんも歳が若い割にはかなり堂々としているし~

 

(凄い掘り出し物なのかもしれないわ~)

 

私の霊力でコーティングしてあるから、雑霊程度なら問題なく倒すことが出来る。私は期待を込めてツバメをマンションの奥へと向かわせた。そこで私が見たのは既に失伝されたはずの陰陽術……そして欲しいと、自分の手元に置いておきたいと思えるほどの才覚を横島君は私に見せてくれたのだった……

 

 

リポート6 式神使い六道冥子登場! その3へ続く

 

 




次回は少し戦闘回で進めていこうと思います。主には冥子の式神がメインになると思います。蛍とか横島とかは冥子を見ている感想になるかな?あとは最後に若干強い横島が出てくるかもしれないですね。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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