GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!!   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は蛍とおキヌの逆行組みの話をメインにしていこうと思います。最初期から事務所のメンバーのおキヌとの情報交換は必要な話だと思うので、後半は冥子を出して行こうと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


リポート6 式神使い六道冥子登場!
その1


リポート6 式神使い六道冥子登場! その1

 

蛍ちゃんに来るように言われたビルは言われてなければ気付かないように複数の結界が張られていた。そのせいかビルを見ている人は私しかいない。周囲を観察しながら

 

【ここが今のアシュタロスさんの基地ですか】

 

そうとしか考えられない。ここまで念入りに結界を張るということは見つかってはいけないと言うことしか考えられない。となればアシュタロスさんの基地以外に考えられない

 

【失礼しまーす】

 

結界にはじかれない筈だから、入ってきて良いと言われていたのでビルの中に入る。

 

「早かったわね。美神さんは?」

 

そのロビーで新聞を見ていた蛍ちゃんがそう尋ねて来る。

 

【お昼からの仕事らしいので書類の整理に忙しいみたいなんで出てきました】

 

仕事に行く為の書類作成をしているときは邪魔をしない、これが暗黙のルールと言うのはあの時から変らない。コーヒーサーバーと軽いサンドイッチだけを用意して出てきたと言うと

 

「そう、横島にはカレーを用意してあるから朝食の心配もないわね。それじゃあこっちよ」

 

新聞を脇に抱えてエレベーターに乗り込む蛍ちゃん。その後をついて私もエレベーターの中に入り

 

【ここにアシュタロスさんは?】

 

呼び捨てすると良くないと思いそう尋ねる。蛍ちゃんはうーんっと少し考える素振りを見せてから

 

「少しトラブルがあってね。今回の話はそれも関係しているから、私の部屋で話すわ」

 

トラブル……もしかして私の記憶と少し事が起きていることも関係しているのかもしれない。

 

「色々と話を聞かせて欲しいんだけど……どこまで思い出せた?」

 

蛍ちゃんの言葉に少し考える。記憶はかなりあやふやだけど……わりかし覚えている。だけど……

 

【少し私の記憶と違うんですよね】

 

美神さんがやっていた事件でおきていないのが存在しているし、それに

 

【チビちゃんは直ぐに横島さんの所から居なくなってるんです】

 

確かに懐いていたけど、直ぐに野生化して横島さんのそばから居なくなっている。後は……

 

【女子高の事件もないし、精霊の壷の事もなかったです】

 

私の記憶であった美神さんが関わった事件がまだ起きていない。いや、それを言えば他のGSが解決してしまっている

 

「かなり違うの?えーと紙に書いてくれる?」

 

蛍ちゃんに言われて覚えている事件を紙に書いていく。オフィスビルの除霊はしたけど……

 

「女子高に、銀行強盗に、呪いの人形に、人魚の事件に、幽霊潜水艦……がないのね?」

 

蛍ちゃんの確認の言葉に頷く、これだけの事件がない。私の覚え違いと言うことはない筈だ、どれもこれも楽しかった思い出なのだから……

 

【それで蛍ちゃんのほうのトラブルってなんなんですか?】

 

私がそう尋ねると蛍ちゃんは自分の机の引き出しを開けて書類を机の上に並べる

 

【これは?】

 

書類に目を通しながら尋ねる。蛍ちゃんは険しい顔をしながら

 

「私とおキヌさん。ううん……もっといるかもしれない逆行者。その影響で少しだけど流れが変り始めてる。これもその1つ……」

 

書類を捲る、次のページには水神様の事が記載されていたが

 

【わ、私こんなの知らないです!】

 

水神様の事件なんてなかった。私の知らない事ばかりが起きている。蛍ちゃんがいきなり横島さんのそばにいるし、タマモちゃんもいるし、それに美神さんも少し優しいし、チビちゃんは横島さんに凄く懐いているし

 

「かなり知らない事があるわね。とは言えそこまで念入りに相談することも難しいわ。美神さんと横島に聞かれると不味いし、かといって話しすぎて凝り固まった考えを持つのも危険だし」

 

今この時期にこの事件が起きると思い込んでしまうことが危険だという蛍ちゃん。確かにその考えは私にも判る、思い込みって言うのはかなり怖いし……

 

「とりあえず記憶のことはあんまり気にしないで臨機応変って事で」

 

【ですね】

 

記憶と言うアドバンテージに頼りすぎると後が怖い、もし違う順番で事件が起きたらと思うと混乱してしまうから……先入観と思い込みは何よりも怖いと思う。っとここまで考えた所でふと思い出す

 

【横島さんが公休があるから、楽だなあって言ってましたけど、高校で公休ってありましたっけ?】

 

私がそう尋ねると蛍ちゃんは苦笑しながら

 

「それはね、若いGSを育てる特別な制度の中の1つなのよ「学生の霊的業務に関する法律」で「学生霊業法」って言われてるわ」

 

【学生霊業法……ですか?】

 

思わず鸚鵡返しで尋ねる。私の記憶の中にそんな法律はなかったと思うし、横島さんも美神さんもそんなことは言ってなかったと思うけど

 

「幽霊や妖怪が多くなってきてるからね、六道女学院とかだけじゃあ足りないから、民間の学校からでもGSとしての適正が高い生徒が受けれる特別な援助って所よ。学費の一定額の免除だったり、学校を休んでも出席日数に影響がなかったりね。まぁ指導してくれるGSがいて初めて受けれる制度らしいわね」

 

指導してくれるGS。横島さんの場合、美神さんが入りから条件を見てしているわけですけど……

 

【私の記憶だとそんなのはなかったと思うんですけど?】

 

だから横島さんは学校の出席日数が足りないとかで毎日困っていた。こんな制度があるならあの時も使っていたはずだ

 

「ああ。それは仕方ないわ、普通いくら霊能の素質があるからって知識も技能も足りないのをつれて除霊現場に行くGSなんているとおもう?自分も死ぬかもしれないし、弟子も死ぬかもしれない。早々援助を受けようなんてGSはいないわ」

 

そう言われると納得ですね。これで疑問に思っていたことが解決した、横島さんに余裕が見えるのはこの制度のおかげって事なんですね。1人で納得してうんうんっと頷いていると

 

「逆行の記憶も役に立つけど、いいことばかりじゃ無いって判ったでしょ?」

 

【そうですね、確かにそのとおりです】

 

これも逆行してきた私にとっては思い込みだったわけだ。今後こういうのが多いかもしれないから、気をつけておこう。あと時間があればそう言う関連の事を美神さんに訪ねてもいいかもしれない

 

「だから日々を楽しんで、難しく考えない方が良いと思うわ」

 

騒がしく楽しい日々。それを楽しく過ごす、これはきっと大切なことだと思う。だから

 

【じゃあさっそく横島さんの所へ♪「待ちなさい!」なんですか!日々を楽しめって言ったじゃないですか!】

 

さっそく横島さんの所に行こうとした私の肩を掴む蛍ちゃん。霊力を込めてるからしっかり捕まっている

 

「横島の所に行くのは私ッ!!!」

 

幽霊の動きを束縛する封印符を私に貼ろうとして来る。それを身体を捻ることで回避し、腕で蛍ちゃんの手を振り払う

 

【幸せになれるのは1人。最初から判りきっていたことですね】

 

判っていた仕事の時間までの2時間と少し、その間を幸せに過ごせるのは1人だけだと

 

「手加減はしないわ」

 

両手に封印符を構える蛍ちゃん。私は周囲のハサミや本をポルターガイストで浮かび上がらせ、応戦の姿勢をとる。向こうが実力行使に出るならこっちも実力で応戦しなければならない

 

【「覚悟ッ!!!」】

 

私と蛍ちゃんは互いの幸せのために目の前の敵を倒すために同時に駆け出したのだった……

 

「今日は騒がしいですね。アシュ様」

 

「蛍が友人を連れてきたらしいよ。元気で良いじゃないか」

 

最上階の優太郎と土偶羅魔具羅は2人の衝突で揺れるビルに若干冷や汗を流しつつ、そう苦笑しているのだった。なお決着がつくことはなく、慌ててビルを飛び出していく蛍とおキヌを見て苦笑することになるのだが、それはまったくの余談である。

 

 

 

「なんかこの依頼嫌な予感がするのよね」

 

横島君と蛍ちゃんの除霊の経験に良いと判断して引き受けた依頼だが、何か嫌な予感がする

 

(B-の依頼だから確かにハードルは高いけど……どうなのかしら?)

 

B-如きで私の霊感がここまで訴えかけてくるという事はめったにない。引き出しから筮竹を取り出して

 

「えいっ!」

 

この依頼のついての占いをしてみる。街中にいる2流の占い師と違って、GSは仕事の事を占いで調べる傾向がある。霊感が強いのでかなり当たる確率が高いからだ、そして占った結果

 

「うっ……引き受けないと経営のピンチ……」

 

恐らく当たるはずなので引き受けるしかない。だがそれだけの事となると何が原因だろうか?

 

(どこかの大手企業の下請け?それとも黒い組織?)

 

依頼自体は民間人からだけど、何か裏があるかもしれない……

 

「ちょっと備えておこうかしら」

 

(名、上位、超級?)GSへと大成するかもしれない2人の弟子に怪我を負わせるわけにも行かない。それに2人はアルバイト扱いなのだから、怪我をされると私の責任になるし

 

「防護札でいいわよね」

 

普段の除霊では滅多に使う事のない防護札を用意する。これは霊的なエネルギーを蓄えてある霊力で相殺するという中々高級な札だ。

 

(これでいいでしょう。でもなんなのよ?この悪寒は)

 

とんでもなく嫌な予感がしている。出来れば断りたいレベルだ……だけど断ることが出来ない。暫く悩んでいるとおキヌちゃんが戻ってきて

 

【美神さん?そろそろ仕事の時間ですよ?横島さんと蛍ちゃんが待ってます】

 

そんなに考え込んでいたのかと苦笑して、書類を引き出しに戻し、代わりに防護札を3枚取り出して

 

「よっし!それじゃあ行きましょうか!」

 

どれだけ嫌な予感を感じていても、私は美神令子。引き受けた以上は職務を全うするだけ!嫌な予感を振り払うために気合を入れてビルを出ると

 

「みみ♪」

 

「おはようございます」

 

チビを肩の上に乗せて、タマモを頭の上に乗せた横島君と眉を顰めている蛍ちゃんがいて、蛍ちゃんが眉を顰めている理由は恐らくチビだろう

 

「横島君。チビは置いて行った方が良いわ」

 

赤ちゃんのグレムリンを連れて行くなんて危ないというと横島君は困った顔をして

 

「おいていくと泣くんです……物凄く、それで窓ガラスが壊れました」

 

「みい?」

 

横島君の頭の上で首を傾げているチビ。あの小さい身体でそこまでの声を出せるとは思えないけど……嘘をついているようには見えない

 

「はぁ……面倒は横島君が見るのよ。あと荷物」

 

普段と同じリュックを横島君の前に置く。かなりの重量だけどあっさり担ぎながら

 

「うっす」

 

「みい!」

 

横島君の肩の上で手を振るチビ。なんであんたが返事をするのよ……

 

「チビ?危ないからおキヌちゃんと一緒な?おキヌちゃんお願い」

 

横島君がおキヌちゃんにチビを渡す、チビは当然ぐずるが

 

「大人しくしてるんだ、いいな?終わったら遊んでやるから」

 

「みぃ……」

 

しょんぼりとしているチビを抱き抱えているおキヌちゃんは

 

【可愛いです】

 

チビの頭を撫でてご満悦と言う表情をしていた。こんなんで大丈夫かしら?

 

「とりあえず現場に行きましょう?」

 

「そうね」

 

私は蛍ちゃんの言葉に頷き現場へと向かうのだった……美神達が事務所を後にしたあと、美神が見ていた依頼書にある紋章が浮かんでいた。それはGSならば全員が知っている「六道家」の家紋だった……

 

 

 

部屋で書類整理をしていると冥子が部屋に入ってきて

 

「お母様~冥子昨日お友達が出来たのよ~」

 

嬉しそうに言う、だけどその話はこれで5回目だ。よっぽど嬉しかったのねと苦笑しながら

 

「その話は~何回も聞いたわ~それにそろそろ美神さんと除霊でしょう~現場に向かったほうが良いわ~」

 

はっとした顔になり遅れちゃう~と言いながら部屋を出て行く冥子を見送り

 

「この子ね~横島忠夫君~」

 

私は見ていた書類に再度視線を戻した。今私が見ているのは部下に頼んで調べてもらった横島君のプロフィールだった。

 

【横島百合子。旧姓紅井百合子。通称、村枝の紅ユリと呼ばれた伝説のスーパーOLと呼ばれた、その手腕は今でも伝説になっている】

 

「百合子さんの~息子さんだったのね~」

 

スカウトしたけど断られてしまった。あの時の株の取り合いの戦争は中々スリリングで楽しかったわ~と昔を思う。あの後は仲良くなって、たまに夕食なんかもご一緒したけど、今は確かナルニアにいるのよね~

 

「ふふふ~これはいい機会かもしれないわね~♪」

 

百合子さんを六道の家に引き込むのは失敗したけど、横島君ならもしかしたら引き込むことが出来るかも?それに

 

「この子~妖使いの素質があるかもしれないし~♪」

 

かなり稀少な才能だが、妖怪と心を通わすことの出来る人間と言うのは少なからず存在する。横島君は人間に懐く事の少ない妖狐とグレムリンと一緒に暮らしているらしいし、これはもしかするともしかする人材かもしれない、なにせ40年来、世に出ていない妖使いになれそうな人材となるとぜひとも欲しい

 

(ただ令子ちゃんの~事務所でアルバイトしてるのよね~)

 

あの子の所から引き抜くのはかなり難しい。それが判っているからまずは冥子と一緒に除霊をさせてみる。多分令子ちゃんと一緒にアルバイトをしているという芦さんと言う子も一緒だと思うけど

 

「優秀なら~引き抜いてもいいわよね~♪」

 

それで出来たら冥子の事務所で働いてもらえると嬉しいわあ~と思いながら、着物の袖から1枚の紙と筆を取り出しそれに文字を書き

 

「汝に命を与える!彼の者を監視せよ!急急如律令ッ!!」

 

投げた札はそのままツバメの姿になり飛び立っていく。これは式神ではなく、使い魔だ。式神は自己の意識を持つので偵察にはあまり向かない。だが使い魔ならば与えられた指示を適確にこなす上に、使い魔の視界は術者とリンクさせることが出来る、これで私も横島君のことを知ることが出来る

 

「さて~どんな子なのかしら~」

 

妖使いの才能があったとしても人格に問題のある人間ならお断りだし、冥子を怖がるようじゃ問題外。冥子を理解しようとしてくれる人間じゃないと駄目。それにGSとしての才能がないなら妖使いとしての才能があっても宝の持ち腐れ

 

「しっかり見極めないとね~現六道の当主として~」

 

そう笑う女性。彼女の名は六道冥華……GSに関わる人間は勿論、政財界や世界の裏と表に深いつながりを持つ冥華。彼女は式神の視点を通じて横島を見極めようとしていた。先ほどまで瞳に写していた穏やかな光は消え、代わりに鋭いまでの光をその目に宿していた。六道家党首にして六道最高と謳われた式神使いとしての顔をしているのだった……但し

 

「いい子だったら~冥子のお婿さんにいいかもね~」

 

その眼光からは考えられない間延びした口調はそのままなのだった……

 

 

リポート6 式神使い六道冥子登場! その2へ続く

 

 




今回はインターバルの話なので少し短めです。次の話は冥子をメインにしようと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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