GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!!   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回で横島と悪戯好きの小悪魔の話は終わりなります。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします



その3

 

リポート5 横島と悪戯好きの小悪魔♪ その3

 

おキヌちゃんが用意してくれた朝食を食べ終え、チビと遊んでやる

 

「みー♪」

 

手にじゃれ付いてくるチビ。本当に愛らしいし賢いな。もう甘噛みを覚えたようだ

 

「クウ?」

 

ちなみにタマモは膝の上で丸くなっている。ここはタマモの居場所なのでチビが乗ろうとすることはない。その代わり肩の上はチビの居場所で、頭の上は2人の話し合い(?)で決まっている。ちなみに頻度としてはタマモの方が多い

 

【ちびちゃん。可愛いですねーおいでおいで】

 

おキヌちゃんが手を叩いて呼ぶ。だけどチビはぷいっとそっぽを向いて

 

「みーみー」

 

いやいやと言う感じで尻尾を振る。チビは中々気難しい性格をしているのかもしれない……俺には懐いてくれてるんだけどなあ……

 

ピンポーン

 

「ん?誰やろ?」

 

今日は仕事がないって聞いてたから、美神さんじゃないはずけど……それとも急な仕事かな?と思って玄関に向かう

 

「はーい。あれ?美神さん、それに蛍?」

 

玄関に居たのは美神さんと蛍だった。2人揃ってくるなんて珍しいなぁと思いながら家の中に招き入れる

 

「みっ!」

 

俺の肩の上で手を上げるチビ。挨拶を教えたら意外なほど早く覚えてくれた。

 

「おはよう。チビ」

 

蛍と美神さんがおはようと言うとチビは短い手を振りながら

 

「みーん♪」

 

おはよーと返事を返す。みっとしか鳴けないけど、結構感情豊かだし、それに素振りも愛らしい

 

「まぁ上がってください」

 

リビングに美神さんと蛍を通すとおキヌちゃんが

 

【美神さんそれに蛍ちゃん?とりあえずお茶を入れますね?】

 

俺が用意しようと思ったのだが、おキヌちゃんが用意してくれるらしいのでソファーに腰掛けると

 

「みーん」

 

俺の肩を滑り台のようにして滑り降りてくる。膝の上でころんと転がりみっと両手を広げる

 

「可愛いわね」

 

美神さんが可愛と言ってチビに手を伸ばすが

 

「みっ!」

 

その手をさっとかわして俺の隣で伏せているタマモの背中の上に避難する

 

「……嫌われてる?」

 

ぼそりと呟く美神さん。これに少し慌てながら

 

「チビはなんかあんまり人に懐いてくれないみたいで」

 

おキヌちゃんや美神さんにも懐かない、それに蛍にもだ

 

「気難しいって言うより警戒しているのね。生まれたばかりで力も弱いし……安心できる横島にしか懐いてないのね」

 

蛍がそう呟く。そう言うものなのだろうか?膝の上でみっ?と首を傾げているチビを抱っこする

 

「美神さんとか怖いのか?」

 

「みい?」

 

不思議そうに首を傾げるチビ。俺が何を言いたいのか理解していないようだ。なので

 

「ほい」

 

抱っこしたまま美神さんの方に向ける。これで怖がっているかどうか判るはず

 

「みみみーっ!!!」

 

両手両足をじたばたさせるチビ。次におキヌちゃん

 

「みみみーッ!!!」

 

同じように手足をじたばたさせる。最後に蛍に向けると

 

「みー!」

 

美神さんとおキヌちゃんよりかは暴れないが、それでも暴れる。ためしに俺の前に座らせると

 

「みみ♪」

 

短い足で立ち上がりとととっと歩いてきて服を掴む。なんだこの反応の違いは……嬉しいとおもう半面何か複雑だ

 

「マジで俺だけみたいなんっすね」

 

冗談だと思っていたが、この様子を見る限り本当のようだ。まじで俺のことを親だと思っているのか?

 

「まぁグレムリンはかなり気難しいみたいだしね」

 

若干引き攣った顔をしている美神さんがそう言う。俺にはそんな事はないんだけどなあ……

 

「それでどうしたんですか?今日仕事ですか?」

 

2人が尋ねてきた理由が判らず尋ねる。ちなみにチビは暇なのか

 

「み!みっ!」

 

短い手でGジャンを掴んで登って遊んでいる。俺は遊び道具か何か?と思っていると

 

「TVの撮影だけどなかった事になったわ」

 

予想外の言葉に一瞬何を言われたのか判らなかったが、直ぐに我に帰り

 

「えっ!?どうかしたんですか!?」

 

今も撮影されて居うると思ったので驚きながら尋ねる

 

「それがね。他のGSの除霊の取材に着いて行く事になったらしくて、残念だけど今回は見送るんだって」

 

そうなのか……だけど不思議と残念とは思わなかった。だけど一応

 

「残念っすわ!折角アイドルデビュー出来ると思ったのに!」

 

そう笑う。まぁ実際僅かながらに落胆はしている、だけどチビとタマモを見世物にするくらいならTVに出たくないと思っていたので、あんまり気にはならない

 

「横島はアイドルって感じじゃないわよ」

 

【そうですね。横島さんがアイドルなんて向いてないと思いますよ】

 

蛍とおキヌちゃんの言葉に若干ショックを受ける。庶民派アイドルなんて者が居るんだから、別にそこまでないって事はないと思うんだけどなあ……

 

「横島君はまだGS免許がないから、一応チビとタマモは私の保護妖怪として預かっているわ。もし横島君が資格を取れば正式に保護妖怪になるからね」

 

保護妖怪かぁ……保護って言うよりも家族って感じなんだけどな、俺からすれば

 

「み」

 

「コン」

 

タマモに首を咥えられ運ばれているチビ。そう言えばタマモにも懐いているな……

 

「それと来たのは明日の仕事の話。明日昼から仕事だからね?場所は事務所の近くだから上手く行けば、その日の内には終わるわ。だからちゃんと準備しておいてね。学校に行っても良いけど、疲れると思うから止めておいて方が良いと思うわ」

 

美神さんの言葉に少し考える。除霊の仕事はかなりハードだ、学校に昼間だけとは言え学校に行くのはしんどいと思う

 

「判りました。とりあえず電話しておきますね」

 

 

仕事か。最近はなんか学校に行ってるより、GSの仕事をしているほうが多いなあ……と思いつつも。しっかり美神さんが書類を書いてくれているので公休扱いなので出席扱いなので助かっている。だけど……

 

「蛍また助けてくれな?」

 

俺の言いたい事をすぐに理解してくれた蛍が頷きながら

 

「ええ。勉強ね」

 

その代わりかなり難易度の高い試験を受けさせられる事になるので蛍に助けてもらわないと絶対赤点だ

 

「そう言うわけだからちゃんと心構えをしておいてね?それと遅刻厳禁ね」

 

そう笑って出て行く美神さん。蛍は良い機会だからと笑い

 

「チビの成長記録でもつけてみる?」

 

成長記録?机の上でなーに?と言う感じで首を傾げているチビを見る。そう言えば生まれたばかりの赤ちゃんなんだからそう言う記録をつけてみるのもいいかもしれない。机の中から手帳と巻尺を取り出して

 

「おキヌちゃーん。量り持って来てー」

 

【はーい。今もって行きますねー】

 

そして蛍の提案でチビの成長記録をつける事になるのだった……

 

 

 

横島がグレムリンを育て始めてから4日後。やっとビルに帰ってきたお父さんにその事を話す。本当はどこに出かけていたのか?とかも聞きたいけど、嫌な予感はしないから多分私に害のあることじゃないと判断した。だからお父さんが話してくれるまで待つことにしたのだ。

 

「ほほう。それはまた珍しいね、グレムリンは中々人になれない妖怪なんだけどね」

 

若干疲れた顔で苦笑しているお父さん。何をしてたのかは知らないけど、仮にも魔神であるお父さんが疲れているとなると、過激派がらみの話なのかもしれない……

 

「まぁそれも横島君の才能なんだろうね」

 

横島の才能かぁ。霊力の圧縮・凝縮が横島の才能だと思っていたけど……実は他にもあったのかもしれない

 

「まぁ大丈夫だと思うよ?名前さえ付けなければ大人になれば出て行くよ」

 

名前……?お父さんがさりげなく言った言葉に停止する。そういえば横島は……

 

「も、もしかして名前をつけたとか?」

 

引き攣った顔をしているお父さんに頷くと

 

「まずいねえ……もしかすると……もうそのグレムリンはずっと子供のままかも知れない」

 

「ど、どういうこと!?」

 

私がそう尋ねるとお父さんは頬をかきながら

 

「言霊って強いんだよね。チビって名前もそれは言霊で、もしかすると横島君の使い魔のチビって事になってしまえば多分身体的な成長はないかもしれない……」

 

あ、ありえる……私が横島につけさせていた成長記録と比較してみるのも良いかもしれない

 

「まぁその場合は恐らく横島君の使い魔として霊的な成長はするかもしれないよ?」

 

式神化ってことかも知れない。ただあのチビグレムリンがどんな能力を身につけるかと言うのは楽しみだが

 

「盗撮とかだったらどうしよう?」

 

「あはは……いくらなんでもそれは……」

 

無いと言い切れない所が怖い。使い魔は使役者によって成長を変えるから……横島の優しい面が前に来ればヒーリングとかを覚えるかもしれない、だけどスケベの面が前に来ればと考えるだけでも恐ろしい……まぁそうなるとは限らないのでそこまで恐れることはないだろう

 

「所でお父さんはどこに行ってたの?」

 

ここ数日姿の見えなかった理由を尋ねるとお父さんは無言で大量の札を差し出してくる

 

「これって土の護符?こんなのどうしたの?」

 

それは五行相克で言えば水の属性に強い、土の属性の札の数々だった

 

「集めれるだけ集めてきた。どこぞの馬鹿の過激派が八岐大蛇の系譜のミズチの祠を破壊した」

 

眉を揉み解しながら言うお父さん。だがこれはかなり不味い問題だ

 

「なぁ!?う、嘘でしょ!?」

 

八岐大蛇。邪龍としては最高位に位置する龍族。人界では最狂と言われる龍の1体だ。だから念入りに封印を施されている。だがその眷属となれば話は別だ。それは既に別の固体なので封印はされていない、代わりに神として崇められている筈なのに……

 

「人間を操ってね破壊したんだ。東京に来るとは思えないが、念の為にね」

 

念の為……ミズチは水に属する龍神だ。土には弱いはず……とは言え……八岐大蛇の系譜となると並の相手ではない筈だ。もしかすると地属性の札にも強いかもしれない。だが無いよりかはましな筈だ

 

「横島君と美神に分けて渡しておくと良い。もしもと言うこともある」

 

そう言って渡された札を抱え込む。お守りとしてはかなり優秀なはずだ……私は渡された護符を手に自分の部屋に戻り、私のほうでもミズチと事を調べる事にした。もし襲われたらと言うこともある。八岐大蛇に属するミズチなんて強大すぎる水神相手に出来る事なんて殆どないけど……出来る限りの備えをしておくべきだと思うから……

 

「美神さんにもそれとなく伝えておいた方がいいかもしれないわね」

 

顔が広く、情報に詳しい美神さんにも伝えておいたほうが良いかもしれない。もしかしたらお父さんが入手できない情報が手に入るかもしれないから……だけどその前に……

 

(1度おキヌさんと話をした方が良いかもしれないわね)

 

今回のグレムリンの件に加えて、ミズチの事も聞いたほうが良いかもしれない。私が知らないだけで起きていたのかもしれない事件だし……

 

 

 

蛍がミズチに対する情報を整理している頃。公園では

 

「みー!みー!!」

 

「あんまり遠くに行くなよー」

 

横島がチビと一緒に遊びに来ていた。横島の考えでは、ずっと家に閉じ込めておくのは良くないと言う考えだ

 

「みーん♪」

 

初めてくる公園に楽しそうに鳴きながら進んでいくチビ

 

「こら!遠く行ったら駄目だって!!」

 

パタパタと飛んでいくチビを追いかける。見た目は鈍重そうだけど、意外とチビは素早いから少し焦る

 

「あら~可愛いわぁ~」

 

追いかけていくと、チビは大きな白い犬の近くに腰掛けている女性の方に近づいていた。それを見て慌てて走り

 

「わあああ!!すいませんすいません!!」

 

その女性から慌ててチビを引き離す。可愛い外見でもチビはグレムリンと言うれっきとした妖怪だ。一応美神さんの保護妖怪だから、チビが怪我でもさせたら大変だと思いチビを抱き抱える

 

「みーん♪」

 

俺に遊んで貰っていると思っているのか楽しそうに鳴くチビに少し脱力する

 

「大丈夫よ~私もGSだから~」

 

へらっと笑う女性を見返す。短めに切り揃えられた髪と品のいいブラウス。どうみてもお嬢様と言う感じの女性だ。

 

「ふぇ!?」

 

まさかこんなのほほんとした女性がGSだとは思っておらず驚いた顔をする。ふと隣を見ると犬だと思っていたが、良く見ると犬じゃない!?犬よりも一回り大きいし、何より顔がかなり精悍だ。虎とか狼と言っても通用する

 

「ショウトラちゃんって言うの~その子は~」

 

俺の抱えているチビを見ながら尋ねて来る女性。俺はチビを抱きなおして女性のほうに向けながら

 

「チビッす。グレムリンのチビ」

 

「みー♪」

 

俺の腕の中で両手をピコピコと振るチビ。ん?美神さん達と反応が違うぞ?なんか友好的?

 

「可愛いわぁ~だっこしてもいい~?」

 

そう笑う女性に少し悩む。腕の中のチビを見ると

 

「み?」

 

普段は警戒する素振りを見せるチビが無警戒だし、顔を向けてみても暴れる素振りも見せない

 

「どうぞ」

 

試しにとチビを渡してみる。女性は自分の隣の犬の背中を撫でながら

 

「この子はショウトラちゃん~チビちゃんの変わりに抱っこしてもいいわよ~」

 

「わふ」

 

俺の足元に来るもふもふの犬の前にしゃがみこんで見る

 

「うおおお!?」

 

「わふわふ♪」

 

前足で圧し掛かって俺の頬を舐めるショウトラ。なんか知らんが懐かれてる!?

 

「あは~ショウトラちゃんが凄く懐いてる~君いい子なのね~」

 

チビを抱っこしてそう笑う女性。チビも暴れていない所を見ると少し驚く、美神さんや蛍におキヌちゃんでも暴れるのに……

 

「みー」

 

「ふふふ~可愛いわぁ~」

 

擦り寄ってくるチビに笑みを零す女性。珍しいなぁ……チビが懐くなんて……ほわほわと笑う女性。今まで会った事のない女性だなぁ……と思う

 

(だけどナンパは出来んッ!!!)

 

俺が育てているチビが居るのに、親としてそんな真似は子供に見せられん!!!チビがぐれてしまう!!!

 

「みっ?」

 

首を傾げているチビは女性の腕から飛び上がって

 

「みー!みー!」

 

すりすりと擦り寄ってくるチビを抱っこする、それと変わりショウトラが女性の前に戻る

 

「貴方のお名前は~」

 

にこにこと笑いながら尋ねて来る女性。既に立ち上がり、ショウトラを連れて帰る準備をしている。散歩を終えて帰る所なのだろう

 

「横島です。横島忠夫」

 

チビが居なければ、あの手を掴んでナンパをするのだが。それが出来ないもどかしさを感じる……

 

「みー?」

 

ああ、お前は可愛いよ?チビ。だけどお姉さんとは比べてはいけないと思うんだ。お前の愛らしさとお姉ちゃんの愛らしさは全く別物なんだ。

 

「横島君とチビちゃんね~私は六道冥子。またどこかでね~」

 

にこにこと笑いながら歩いていく冥子さん……さんって言うかちゃんだな。あの人はまた会いましょうと笑って去っていく冥子ちゃんを見送り

 

「んじゃ帰るか?」

 

「みー!」

 

元気良く返事を返し、抱きついてきたチビをしっかりと抱き抱え、俺はゆっくりと家へと帰路へ付いた。だが不思議とあの冥子ちゃんとはまた会うような気がするのだった……

 

 

リポート6 式神使い六道冥子登場! その1へ続く

 

 

 




次回は結構話を飛ばして、冥子の話に行こうと思います。今回のファーストコンタクトはそんなに悪い感じじゃないですよね?
次回は蛍とおキヌの逆行組みの話から入っていこうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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