GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!!   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話は前回よりも更にカオスな雰囲気で進めて行こうと思います。敵はワンダーホーゲルです
それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします



その3

レポート4 幽霊少女と蛍と狐 その3

 

弱い狐火を作り、吹雪の寒さを和らげながら横島を探して雪山を進む

 

【霊力はこっちね】

 

横島の霊力は少ないけど私はずっと一緒にいるから、微弱な横島の霊力もはっきりと感知できる

 

【うー寒い……】

 

いくら狐火で軽減しているとは言え中々冷える。早く横島を探そう……少し歩く速度を増して横島を探す。この山には「おキヌ」と言う幽霊の少女がいる。彼女が横島を見つける前に見つけないと

 

【あの女は危険】

 

蛍と同じ、私から横島を取ろうとする。そんなのはさせない、まだ人間になる事は出来ないけど、もう少しすれば人になれるだけの霊力と妖力が回復する。それまでは大人しくしているつもりだが、自分の加護を授けた人間を奪われるつもりはない。

 

【こっち……ふえ!?】

 

横島の霊力が急に高速で移動を始めた。えって言うか速い!?私のスピードじゃ追いつけない

 

【友情っすよ!青春っすよ!!!】

 

「やかましー!!そんな異常な青春は同類としてろやーッ!!!!」

 

徐々に近づいてくる横島の霊力とワンダーホーゲルの声。

 

「む?タマモ!?」

 

「クウッ!?」

 

私に気付いた横島は走っている勢いのまま私を抱き上げて頭の上の乗せる

 

「捕まってるんやで!変態がくるでな!!!」

 

そう叫んで走る速度を増させる横島。変態?と思い振り返ると

 

【男同士の熱い友情をー!!!互いに温まり合いましょーッ!!!】

 

信じられない寒気と恐怖を感じた。ナ二あれ怪物!?

 

「嫌だ!男は嫌だ!死んだほうがましだ!ああ!だけど死にたくねえええ!!!」

 

私が恐ろしいと思ったあの化け物に追われている横島は恐怖のせいか、半狂乱になっている。落ち着かせようと思い。頬をなめるが効果がない

 

「嫌だッ!俺は死なんぞッ!!!生き延びて、可愛くて、優しくて、柔らかいねーちゃんと暖めあうんだああああッ!!!」

 

「フーッ!!!」

 

横島のその叫びに怒りを覚えて噛み付くが、全然効果がない。ドンドン加速していく横島に必死にしがみ付いていると

 

【横島さーん♪こっちですよ♪】

 

おキヌが姿を見せて両手を広げると横島の目が怪しく輝き

 

「ねーちゃーんッ!!!!」

 

「コーン(駄目ーッ!!!)」

 

必死に横島を止めようとするが、悲しきかな。狐の身体で横島を止める事はできず、鋭角に曲がりおキヌのほうへと突進するのだった……

 

 

「ねーちゃーんッ!!!」

 

必死の形相で走ってくる横島さん。ここで待っていれば来てくれるって判った両手を広げて走ってくる横島さんを抱きとめる

 

「やーらかいな!いい匂いだなーッ!!!」

 

私の記憶では横島さんはこんな事をする人じゃないけど、よっぽど恐ろしかったのか、完全に暴走している

 

「コーン!こーん!!!」

 

ぺしぺしと前足で横島の額を叩いているタマモちゃんも無視して、私の腰と胸元に手を伸ばして

 

「これやー!これなんやー!ワイが欲しいのはーッ!!!」

 

横島さんの手が身体をまさぐるのを感じて恥ずかしいと思ったが、横島さんなら良いかと思い……いやむしろ大歓迎なので。抵抗もせずにいたのだが、突然その手が止まり。両手で顔を覆って

 

「わ、ワイはなんてことを!?うわああああ!蛍ーッ!!!!ごめんよおおおおッ!!!!」

 

大声で泣き出す横島さんに一瞬きょとんとなり、思考が停止する。今恐らく横島さんの頭の中では、蛍さんに浮気者と言われているシーンが浮かんでいるのだろう……

 

【横島さーんッ!!!友情っす!これっす!これなんっす!!「フーッ!!!」ぎゃあああああ!?】

 

髭面の幽霊が横島さんに組み付き、横島さんの頭の上のタマモがその顔に爪を立てる。その隙に横島さんは立ち上がり

 

「うわあああ!ホモはいや!蛍うう!俺はあああああッ!!!!」

 

頭を抱え号泣しながら走り去って行った。それを居って行く髭面の幽霊……

 

【ふ、ふふふふふふ】

 

横島さんに触られたことで着崩れた巫女服を直しながら、雪を蹴り上げて走っていく横島さんの背中を見て

 

【私がここまでしたのに、他の人の名前を言うんですねーッ!!!!】

 

絶対私の方が蛍ちゃんよりも横島さんの好きな料理を知っているし!私の方が胸も大きいんですからね!!!

 

【横島さん!止まってください!私の方が蛍ちゃんより良いって言わせて上げますから!!!】

 

「うわああああん!!蛍ーッ!!!!」

 

【横島さーん!お互いに温まりあいましょー!!!】

 

横島さんを襲おうとするホモの幽霊の顔面に肘うちを叩き込み、その勢いを利用して横島さんを追いかけるんだけど

 

【横島さん!】

 

手を伸ばして服を掴もうとするのだが、器用に回避しながら更に加速していく

 

「蛍も好きだけど、あの子も可愛くて、いややあ!お仕置きは嫌やーッ!!!」

 

くう!私が思っている以上に蛍ちゃんに教育されている横島さんは私の声を聞いてくれない。だがまだ間に合う!間に合う場所に私はいる!

 

(小竜姫様もいないし、愛子さんもいない!今この時が最大のチャンス!)

 

タマモちゃんと蛍ちゃんと言う予想外の敵はいるけど、今この時期ならば横島さんはそんなにモテてない。150年近く孤独で過ごし、逆行をしてまで手に入れたこのチャンス!!!

 

【絶対に逃がしませんッ!!!】

 

全力で横島さんの腰へタックルする。腰を押さえられると思うように動けなくなるからだ

 

「ぬあ!?」

 

【あ、あれ!?】

 

狙いは良かった。だが雪山と言う滑りやすい場所でのタックルは良くなかったようで

 

「うわあああああ!?」

 

「コーンッ!?」

 

【きゃあああああッ!!!】

 

【うおおおおッ!?】

 

私達は足を滑らせて、雪山を転がり落ち人骨温泉の露天風呂の方へと転がって行ってしまったのでした……

 

 

 

露天風呂に続く道のところで美神さんと並んで腰掛け、横島が戻ってくるの待つ

 

「こんな事になるなんて思ってなくて、ごめんね?」

 

美神さんがそう謝ってくる。だけど良く考えるとこれは本来なら私がいない筈の事件。だから横島は大丈夫な筈だ……

 

「きっと大丈夫だと思います。もうすぐ戻ってくると思います」

 

美神さんとそんな話をしていると

 

「「「うわあああああああッ!!!!」」」

 

3人の悲鳴が聞こえて驚いてその声の方角を見ると

 

「「ゆ、雪玉!?」」

 

とんでもなく大きな雪玉が転がり落ちてくる。それは真っ直ぐにこっちのほうに転がり落ちてきて、温泉の中に飛び込んだのだった……ゆっくりと浮かび上がってくる横島を見て

 

「よ、横島ぁッ!!!」

 

温泉の中に飛び込んで浮かんでいる横島とタマモを引っ張り上げようとすると

 

【私のオオオ!】

 

温泉の中でもしっかり横島の胴体を掴んでいるおキヌさんが浮かんでくる。その光景はかなりホラーで

 

「沈めッ!!!」

 

霊力を込めた拳骨を全力で容赦なく振り下ろしたのだが

 

【ホモバリヤー】

 

浮かんでいた髭面を掴んで盾にする。この感じ、間違いなく美神さんの技だ!?

 

【ふごおおおお!?】

 

幽霊の顔面だがしっかり砕く感触がする。おキヌさんはその間に再び横島に手を伸ばして

 

【ふふふふふふ、私の】

 

横島の身体に手を伸ばし怪しい笑みを浮かべている。それはどう見ても悪霊か何かにしか見えなくて……と言うかそれ以前に

 

「違うって言ってるでしょうがッ!!!」

 

横島は私のなんだからいつまでもくっついてないの!と叫び引き剥がそうとするが

 

【私のなんですー!!!】

 

やはり私とおキヌさんは相容れることがないようだ。ここで後腐れがないように潰しておこうと判断する、温泉の中だから多少動きにくいが問題ない

 

「何馬鹿やってるの!!横島君死ぬでしょうが!」

 

美神さんの一喝で我に返り下を見ると

 

「死ーん……」

 

ぷかーと浮いている横島を見て私とおキヌさんは声を揃えて

 

「横島ーッ!!!」

 

【横島さーんッ!!】

 

横島の名前を呼んで慌てて温泉から引き上げお湯を吐き出させるのだった……なお人工呼吸が必要だと思ったのだが、予想以上に横島の回復が早く

 

「げぼお!がぼお!げほごほ!!」

 

咽込む横島を見て、私とおキヌさんが舌打ちしたのは仕方ない事だと思う。こんな美味しい機会を逃がしてしまったことに軽くショックを受けるのだった……

 

 

 

温泉で喧嘩している蛍ちゃんとおキヌちゃんを一喝し、溺れかけて瀕死だった横島君がある程度回復したところで

 

「それで?貴女はなんなの?」

 

横島君にしがみ付いているおキヌちゃんにそう尋ねる。

 

【私はキヌと言って。300年位前に死んだ娘です。火山の噴火を抑えるために人柱になったのですが……】

 

やっぱり人身御供……悲しい過去なのだが、横島君の腕を抱え込んで幸せそうな顔をしている顔を見ていると、なんだかんだで幸せそうに見える

 

「……ギリ」

 

おキヌちゃんの向かい側で横島君の腕を抱えている蛍ちゃんが物凄い顔をしているけど、今はそんな事を考えている時間がないのでスルーする。横島君が助けてという感じで私を見ているけど、それも無視する

 

「だけどそう言う幽霊は普通は山の神霊になるのが普通よ。何かあったの?」

 

妖怪とか幽霊の妨害でもなければ人身御供になった。おキヌちゃんが山の神になれないわけがないと思い尋ねると

 

【そ、それが私幽霊としての才能がなくて、成仏も出来ないし……】

 

くすんくすんと泣き声を出すおキヌちゃん。だけどその腕はしっかり横島君の腕を抱え込んでいる

 

「でも300年前の幽霊何やろ?なんでワイのことを知ってるんや?」

 

横島君がそう尋ねる。300年前に死んだ少女が横島君のことを知っている。これは辻褄が合わない

 

【それがいつか判らないんですけど、横島さんのことが突然頭の中に浮かんで、それからずっと横島さんの事だけを考えてて】

 

くすくす笑うその姿に若干の寒気を感じるが、ある程度の仮説が出来た。

 

(魂が覚えていた記憶かな)

 

人間の魂は輪廻転生を繰り返している。おキヌちゃんと横島君は相当昔に知り合いだったというのがかなり高い可能性だ

 

「いい加減に離れろーッ!!!」

 

【乱暴ですね。横島さんは乱暴な女の子は嫌いですよね?】

 

「うえ!?俺に話を振らんといて!」

 

なんか修羅場を作っている横島君と蛍ちゃんとおキヌちゃんを見ながらおキヌちゃんを霊視する

 

(山の神にはなれてないけど、霊脈自体は繋がってるのね)

 

彼女の身体を縛っている強大な霊力の鎖。あれは間違いなく。霊脈だろう。だから成仏できないと……それなら

 

「ワンダーホーゲル!」

 

【っはい!?なんすっか!?】

 

正座しているワンダーホーゲル。私は彼を見て

 

「成仏するの止めて山の神になって見ない?」

 

おキヌちゃんを縛っている霊脈を切断して、変わりにワンダーホーゲルを山の神にすれば彼女は解放される。その代わりワンダーホーゲルが成仏できなくなるけど

 

【や、山の神!?なる!なるっす!俺達山男は街には暮らせないっす!】

 

そう、これでおキヌちゃんは霊脈から解放されて、成仏できるわね。まぁ横島君を好いてるみたいだから、成仏しないで現世にいるのが幸せだと思うんだけど、そうも言ってられないしね

 

「そう言うわけでいいわね?おキヌちゃん?」

 

【は、はい!】

 

蛍ちゃんと喧嘩をしながら返事を返すおキヌちゃん。自分が成仏できるかどうか?って段階なのに……まぁ幽霊でも恋をするわけだし、とは言え報われないと気付く筈だし……まぁ良いかとつぶやき、両手で印を組んで

 

「この者を捕える地の力よ!その流れを変え、この者を解き放ちたまえ!」

 

霊脈の流れをワンダーホーゲルに繋ぎ変えるとワンダーホーゲルの姿は白い着物姿になり、その手に弓矢を手にしていた

 

【おお遥か神々の澄んだ巨峰に響く雪崩の音がするっすよ♪】

 

楽しそうに笛を吹いて消えていくワンダーホーゲル

 

「なんなんやあいつは?」

 

横島君の呆れたような声。まぁ成仏できなかったのは遺体を見つけてもらえなかった無念もあるだろうけど、多分山が好きだったのね

 

「これで成仏できるわよ?」

 

ふよふよ浮いているおキヌちゃんにそう声をかける。だがおキヌちゃんは

 

【私成仏なんてしませんよ?私はずっと横島さんに憑いてるんですから♪】

 

嬉しそうに笑って横島君に抱きつくおキヌちゃん。成仏できるのに横島君に憑く事を選ぶなんて予想外で、さすがの私のなんと言えばいいのか判らなかった

 

「離れなさい!横島は私のなんだからね!」

 

【違います。私のなんです!】

 

両サイドから横島君を引っ張り合っている蛍ちゃんとおキヌちゃん……私は少し考えてから

 

「明日は少しピクニックとかするんだから、あんまり夜更かししたら駄目よ?」

 

蛍ちゃんとおキヌちゃんの好みは正直悪いと言わざるを得ないが、別に私に関係ないんだから横島君が頑張って2人を説得すれば良いと判断し、回れ右をして露天風呂を後にしたのだった。薄情者ーと叫ぶ横島君の声は当然ながら無視したのだった……

 

 

とりあえずいつまでも露天風呂で喧嘩しているわけにも行かないし、タマモも疲れた様子でぐったりしているので

 

「とりあえず。もう休んだほうが良いとおもうんだけど?」

 

睨み合っているおキヌちゃんと蛍にそう声をかけると

 

「それもそうね。明日はピクニックって行ってたし早く休みましょうか」

 

【そうですね。横島さん疲れてますよね?早く休みましょう】

 

ほっ、これで喧嘩はひとまず大丈夫そうだなと安心し、俺にあてがわれた部屋に向かうのだが

 

「蛍の部屋はあっちだろ?」

 

美神さんの隣の部屋の筈なのに、俺の部屋に付いて来ようとする蛍。なんとなーく嫌な予感を感じつつ言うと

 

「背中を流してあげれなかったから一緒に「駄目!はい!おやすみ!」

 

蛍の背中を押して、押し出す。確かにあの時は背中を流して欲しいと思っただけど……

 

(そう言うのは少し恥ずかしい)

 

やっぱり恋愛と言うのはもう少し段階的に進んで行くものだと思う。蛍が襖の向こうから

 

「じゃあせめてこれだけでも」

 

そう言って隙間から渡されたのはお札。なんのお札だろう?と思いながら拾い上げると

 

「おキヌさんが襲ってこないように」

 

「ありがとな!凄く嬉しいぜ!」

 

行け行けの性格のおキヌちゃんが入れないようになるお札。これはちゃんと張っておいた方が良いと判断し、部屋の隅にきっちりと札を貼ってから

 

「じゃあ寝よか?」

 

「コン♪」

 

尻尾を振っているタマモを抱き抱えて布団に潜り込みながら。

 

(おキヌちゃんかあ……あのこも可愛いよなあ)

 

蛍とは少しタイプが違うが間違いなく美少女と言える。勿論蛍も超美少女だ

 

「なんで俺のことを好きって言ってくれるんやろうなあ?」

 

自分で言うのも何だが、俺は馬鹿でスケベでいい所なんてないと思うのに、なんで蛍とおキヌちゃんが俺を好いてくれているのか判らず。思わず抱えているタマモにそう呟くと

 

「クウ」

 

ぺろっと頬を舐めるタマモ。その愛らしい素振りに俺も微笑み返し

 

「考えても判らんし、寝よか?」

 

「クウ♪」

 

もぞもぞと布団の中に潜り込んで来るタマモに笑みを零しながら布団に潜り込み、ふと窓の外を見て

 

「今日は満月か。綺麗だな」

 

さっきまでの吹雪も止んで、雲の切れ目から覗く満月を見て思わずそう呟き布団を頭まで被った、何故なら

 

【横島さん。お話しましょうよ~】

 

襖の向こうから俺を呼ぶおキヌちゃんの声がすこーしだけ怖かったからである……

 

「クウ」

 

横島が寝てから数時間後。横島の腕の中から抜け出したタマモは満月の光を浴びて、失っていた7本目の尻尾を取り戻し、その身体を金色に光らせるのだった……

 

 

レポート4 幽霊少女と蛍と狐 その4へ続く

 

 

 




次回はタマモちゃんのフェイズで行こうと思います。今登場しているヒロインの中では一番登場しているのにも関わらず、狐と言うことで不憫な目に合っているタマモを活躍させようと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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