GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!!   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回はオリジナルの除霊を書いていこうと思います。その後は原作で面白いと思うもの、必要だと思うものを選んで書いていこうと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その6

 

 

リポート3 GSのアルバイトを始めよう! その6

 

美神さんに言われた通り。朝8時に事務所に行くとそこでは

 

「ヌアアアア!?目がッ!目があああああッ!?」

 

「フウウウウッ!!!!」

 

目を押さえてのた打ち回っている横島とその近くで威嚇体勢で唸っているタマモ。そして部屋の奥から聞こえてくるシャワー音

 

「横島。美神さんのシャワーを覗こうとしたのね?」

 

「チ、チガイマスヨ?ホタルさん」

 

目を両手で押さえながら呻く横島。だけど不自然な敬語のせいで判る、と言うかそんな事を考えなくても判る。横島がこの状況で覗きをしないわけが無いと……

 

(このままだと多分私も覗きに来るかな……べ、別にそれ自体は良いんだけど)

 

多分このまま私と横島にシャワーを浴びるように言われるだろう。本来では水でやるのだが、恐らく禊の儀式だからだ。

 

「ううーワイが一番最後にシャワー浴びるように言われてるんや。こんなの耐えられへん」

 

煩悩に忠実な横島が涙ながら呟く。だけど私は知っている……煩悩に忠実な横島の弱点を……のた打ち回っている横島の前にしゃがみ込む。スカートを履いているが、キュロットスカートなので構造上見ることが出来ないのだが、横島の視線を感じる。若干……いやかなり気恥ずかしい思いをしながら

 

「じゃあ私とシャワーする?」

 

少しの沈黙後。信じられない顔を色になった横島は次の瞬間には……

 

「ぶばあッ!?」

 

目と鼻と耳からありえない量の血液を出して意識を失う横島。横島は自分から飛び掛る場合もあるが、それは必ず失敗すると知っているからだ。成功するかもしれないとおもうと足踏みしてしまう。そして更に好意を向けられるのにも弱い、だからその弱点を考えれば昏倒するのは当然の事だったのだ

 

(ま。まあ私は別に良いんだけどね)

 

横島が望むのなら……一緒にシャワーをしても良いんだけどねと心の中で呟いていると

 

「ほ……芦さん来てたのね」

 

長い髪をタオルで拭っている美神さんは事務所の横で血の海に沈んでいる横島を見て、一瞬眉を顰めたがそのまま所長の椅子に座る

 

「言い難いのなら蛍でいいですよ。私もそのほうが良いですし」

 

必死に前足で横島を起こそうとしているタマモ。だけどそれは無駄と言うものだ、完全に意識を失った人間と言うのは中々起きる事は無いのだから。私は気絶している横島をソファーに座らせていると

 

「蛍さんはどうしてそんなのが好きなのかしら?私からすると理解できないわね」

 

仕事の前だからお酒を飲まず、変わりに水を飲んでいる美神さんがそう尋ねてくる。私はくすりと笑いながら

 

「横島の魅力は判りにくいですから」

 

私がそう笑うと美神さんはそう言うもの?と首を傾げている。私としては気付いてほしくはない、あの人は1000年も横島を持っていた。もし自分の気持ちと横島の事に好意を持たれると最大の敵になる。だから出来れば横島の良さには気付いて欲しくないなと思いながら

 

「それじゃあシャワーを浴びてきますね」

 

「うん。そうしなさない、除霊の前には身体を清めるのは当然の事よ。GSとしての心構えだからちゃんと覚えておきなさい」

 

その言葉に判りましたと返事を返し、私はシャワーを浴びるために浴室へと向かうのだった……

 

 

 

 

蛍の言葉に鼻血と耳血を出して意識を失った俺が目を覚ますと

 

「あら?おきた?横島も早くシャワーを浴びて身体を清めてくると良いわ」

 

「除霊の前の下準備だからね、ちゃんと身体を洗って来なさいよ」

 

髪を拭いながら言う蛍。それと除霊の準備をしている美神さん。俺は軽い頭痛を感じながら頭を振って

 

「さっきの冗談やったんか?」

 

俺と一緒にシャワーの言葉の真意を尋ねると蛍はふふっと小さく笑って

 

「本当よ。まぁ横島が鼻血を出さないようになったらね?」

 

また鼻に熱が溜まるのを感じた俺は鼻を押さえて

 

「シャワーを浴びてきまーすッ!!!!!」

 

俺は逃げるように浴室へと逃げ込むのだった……なおそこはちゃんと男性用と女性用に分かれていた。女性用は鍵がかかっていたので、男性用の浴室に入り、そこでお湯ではなく、水のシャワーで頭を冷やそうとしたのだが

 

「つ、冷たいッ!?当然か」

 

その冷水で完全に頭が冷えたのだが体も冷えた……

 

「あー冷たい」

 

今度はお湯にして身体を温め、美神さんと蛍に言われた通り、しっかりと身体を洗ってから浴室を出ると

 

「おお!美神さはーんっ!!!」

 

胸を大きく強調し、しかも丈の短いボディコン姿の美神さんを見た瞬間。飛び掛ったのだが

 

「はいはい。おいたは駄目よ。横島」

 

「ぎぇ!?」

 

Gジャンの襟を蛍に掴まれ、一瞬意識が遠のいた上に

 

「あんまりセクハラしてると減給するわよ!!!」

 

額に青筋を浮かべた美神さんの鬼の笑みに心こそ恐怖を感じ、俺は壊れたブリキ人形のように何度も何度も頷くのだった……

 

「じゃあ割と近い現場だから歩いていくわよ、はい、横島君」

 

ドスッ!(←重々しい音を立てて俺の前に置かれるリュック」

 

「……なんすか。これ?」

 

ちょっとした丘のようになっている巨大なバッグを前に目が点になる。これをまさか俺に運べと……

 

「除霊具よ。しっかり運ぶ事、落としたり壊したりしたら時給250円にするからね」

 

そう言って歩いていってしまう美神さん。俺は目の前のとんでもなく重そうなリュック背負う。見た目同様かなりの重さだがもてない事はない

 

「……なんかイメージと違う」

 

もっとこう……何と言うか霊的なイメージだったんだけどと呟くと

 

「それは仕方ないわ。GSによってそのスタイルは全然違うもの。美神さんは道具を使いこなす事にたけたGSだから」

 

そ、そんな物なのか……重いけど運べない事も無いリュックを背負い

 

「すぐにはついて行けん。道案内よろしく」

 

「ええ、行きましょう。横島」

 

蛍にこんなに重い荷物を持たせるわけにも行かない。気合を入れて立ち上がる俺の頭の上で

 

「コーン」

 

頑張れという感じで鳴くタマモの声に頷いてから俺はゆっくりと歩き出したのだった……

 

 

 

横島君と蛍さんを連れてきたのは私の事務所の近くの廃工場。なんでも5年ほど前に不渡りを出して社長が自殺した工場らしい

 

「さて、この手の除霊は比較的多いわ。今のこのご時勢だとね」

 

土地の再開発やバブルのおかげでこのような、廃工場などの除霊は比較的多い……だが

 

「自殺者って言うのは怨念が強い場合もあるわ。だからしっかりと現場を見て、追加報酬の話をする必要もあるから覚えておきなさい」

 

今回の除霊の報酬は1億円。軽く霊視をしながら工場を見て

 

(かなりの怨念が篭ってるわね。これは少し難しいかもしれないわね)

 

自殺した社長とやらの意識が残っているなら比較的簡単だけど、自我が崩壊してると不味いわね……

 

「横島君。霊体ボウガンと神通棍を」

 

「これと……これっすか?」

 

除霊具を持っている横島君にそう声をかける。横島君は背負っていたリュックを下ろして霊体ボウガンと神通棍を手渡してくれる

 

「じゃあ蛍さんはこれ、横島君は破魔札を持って蛍さんと一緒に行動して」

 

この手の除霊はまずは自殺者の魂を探す所から始まる。自殺現場にいる可能性が高いが、ほかに強い思い入れがある所にいる場合もあるからだ

 

「私は東側から回るわ。横島君達は西側から、霊を見つけても応戦せず撤退。見つかったら逃げなさい良いわね」

 

霊視の結果は東側に強い霊力を感じる、だから西側は安全な筈だ。実戦現場と言うのを肌で感じさせる事ができるいい機会だ

 

「判りました。美神さんも気をつけて」

 

私の意図に気付いた蛍さんに追加として破魔札を数枚渡し

 

「それじゃあ散会。単独行動は控えるのよ、横島君」

 

蛍さんなら心配がないが、横島君が狙われると危ないのでしっかりと念を押す。横島君もそれは理解しているようで

 

「うっす」

 

短く返事を返す横島君達と別れ廃工場の中に入る……

 

「空気が随分淀んでるわね」

 

これだと瘴気を探すのも一苦労ね……とは言えこの程度の除霊は何回も経験している。肉眼で見るのではなく霊視で見ればいい、あまり専門ではないのでそこまで強力ではないが、悪霊を探すのには何の問題もない

 

(近くの気配はなし……霊力の残滓は奥のほうに続いてるわね)

 

壊れている機械の残骸などに気をつけ、ゆっくりと奥へ進んでいくと

 

【ここは俺の……俺の俺の俺の……俺の工場だ……】

 

ぶつぶつと繰り返し呟いている幽霊を見て舌打ちする。既に自縛霊になりかけている上に自我が崩壊しかけている……

 

(だけどただの自縛霊一撃で決める)

 

神通棍に霊力を通して、後ろから一撃を叩き込もうとした瞬間

 

(ッ!これは!?)

 

周囲のドライバーやネジが浮かび上がり、私の方に飛んでくる。踏みとどまりそれを回避する

 

【お前、お前まえまえ!?ここ、こここここ!?ここは俺の!俺の工場だ出て行けエエエエエエッ!!!!】

 

近くの廃材や工具を飛ばしてくる自縛霊。よっぽどこの工場に対する執着が強いのか、強力なポルターガイストを使いこなしている

 

(これは不味い!)

 

場所が悪い上に1人で倒せる相手ではない。この工場全部が武器になるってことは今の手持ちの道具では不利すぎる

 

(いや、倒せなくは無いんだけど……絶対赤字になる)

 

持っているなけなしの精霊石と1千万の破魔札を使えば倒せない事は無いが、もったいないのでとてもではないが使いたくは無い

 

(あああッ!もう何で最近こんなことになるのよ!)

 

楽な除霊な筈なのにいたのはレギオンにポルターガイストを使いこなす自縛霊。予定が狂いまくっていることに舌打ちしながら、持っていた破魔札を投げつけると同時に1階へと飛び降り、西側へと走り出したのだった……

 

 

 

「ああ……怖いなあ」

 

幽霊を探して歩いているんだが、俺としてはそんな物は探したくない。出来ればずっと隠れていたいのだが

 

「こっちもいないわね。じゃあこっちね」

 

蛍の前でそんな情けない姿は見せたくないので意地で震える足を押さえ込んで歩いていく

 

「気配を感じるか?」

 

頭の上のタマモの霊力センサーを頼りにしてそう尋ねる。だがタマモは尻尾を振るどうもタマモのセンサーでも発見出来ないという事は

 

「こっち側じゃなくて東側ね。行きましょうか」

 

「うう……いかなあかん?」

 

誰が好き好んで幽霊がいる所に行きたいものか、だが絶対に行くって言うんだろうなあと思いながら、駄目もとで尋ねると

 

「ええ。行かないとだめよ」

 

「へーい」

 

どうせ嫌だといっても行くことになるのだから観念してゆっくりと東側に歩き出した

 

「横島。ちゃんと破魔札は準備してる?」

 

ボウガンに矢を装填しながら尋ねてくる蛍。出来るなら俺ああいうのを使いたいのだが、霊力が足りなくて使えない。必然的に破魔札になる

 

「ちゃんとホルスターを身につけてる」

 

あれだけ練習した唯一の武器とも言える。破魔札を納めている太もものホルスターから1枚引き抜く

 

「ちょっと奮発して500円だ!」

 

今までの練習用の1円・5円・10円・50円の札ではなく、自分で買い足した500円の札が4枚。これが今の俺の最大の武器になる

 

「あんまり無駄打ちしないように気をつけてね。霊力の消耗が少ないとは言え消耗はするんだから」

 

「判ってる。俺が霊力を使い切ると危ないんだろ?」

 

僅かだが霊力のある俺の身体は悪霊にとっては最高の入れ物になるらしい、だけど普段は霊力があって駄目らしい……なので使い切らないようにと何度も何度も注意されている。周囲を警戒しながら、東側に向かっていると

 

「コン!」

 

タマモが何かに気付いたのか鋭い鳴声を上げる。その方向を見ると破魔札を投げながらこっちに走ってくる美神さん。その背後には

 

【俺の俺の俺!!オレレレレ!!!オレエエエエエエ!!!!】

 

奇声を発しながら周囲の機械を操りながら追いかけてくる悪霊の姿。それを見た蛍が

 

「いけない!自我が完全に崩壊してる!あのままだと危ない!」

 

そう叫ぶなりフェンスを飛び降りて美神さんのほうに走る蛍。自我が崩壊した悪霊は危険だと聞いている、このままだと蛍と美神さんが危ない……俺は咄嗟に500円の破魔札を2枚取り出す

 

(行けるか!?)

 

距離は俺が普段的当てに使う距離の約2倍。それでも滅多に当たらないのにこの距離で行けるか?いや……考えるのは止めだ!!!

 

「いっけええ!!!」

 

両手の破魔札を裂帛の気合と共に投擲したのはいいが、その勢いで老朽化していた、通路の床が抜けて

 

「う、嘘オオオオオ!?」

 

「コーンッ!?」

 

タマモを抱えたまま、俺は真っ逆さまに落下してしまったため、破魔札が当たったかどうか?と言うのを見ることも出来ず、そして落下の衝撃で意識を失ってしまったのだった……

 

「な。何よ……今の」

 

美神は信じられないという感じで呟いていた。自分の破魔札が効かなかったのに、素人のしかも何の霊力もない横島の放った。破魔札であの悪霊が消滅したからだ。凄まじい青い炎を伴った破魔札が炎と光で悪霊を一撃で滅したのだ

 

「これが横島の潜在能力です……とは言え、見たのは私も初めてですけどね」

 

蛍は横島の力の凄まじさを知っていたが、それでもなお顔が引き攣っていた、何故なら2人の視線の先にはぽっかりと開いたクレーターが存在していたからだ……それは破魔札の命中した痕跡なのだが、その威力は到底500円の札の威力ではない

 

「とんでもない人材みたいね……これからどうなるのかしら?」

 

今はまだ自在にコントロール出来ないようだが、将来的に凄まじいGSになるかもしれない素質を目の当たりにした美神は、長い髪についた埃を振り払いながら

 

「横島君を如何するかはあとで考えるわ。とりあえずクライアントの報告して戻りましょうか?」

 

横島の力について考えることは後でも出来る。まずは除霊終了の報告をすべきだと蛍に声をかける

 

「そうですね……結構汚れてしまいましたし」

 

爆心地の近くの美神と蛍は煤と埃で汚れていた。折角の美女・美少女が台無しだ……二人は落としてしまった除霊具と居るはずの横島を探した。幸い2人の近くに横島とタマモは居たのだが……

 

「うー」

 

「クーン」

 

鉄くずに埋もれている横島とタマモを見て、苦笑しながら2人を助けだし

 

「まぁなんにせよ、初除霊は大成功でいいわよね?」

 

「ええ!大成功ですよね!」

 

美神と蛍はそう笑い合い。クライアントに報告を済ませ、後日報酬の話をするという事で除霊現場を後にしたのだった……

 

 

幕話へ続く

 

 




次回はオリジナルの話ですが、狂い始める歯車。それは逆行により歪みだったりするわけですよ。その歪みが強く出る話を書いてみようと思います。後半は横島と蛍の話でも書いて見ようかな?それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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