GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!!   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話は若干の戦闘回を書いて見ようと思います。基本的には美神さんか蛍の視点で進めて行こうと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします



その2

 

リポート3 GSのアルバイトを始めよう! その2

 

横島君と芦さんを連れて除霊に来たのはDランクのGSでも処理できるような簡単な依頼だったはずだ。だが蓋を開ければ雑霊たちは集合・融合しレギオンと化していた。レギオンは耐久力も高いうえに再生能力も持つ。ちゃんとした装備がなければ倒せないような強敵だ。神通棍と純度の低い精霊石が3つと念の為に持って来ていた、5000万と7000万の破魔札。装備が何もかも足りない……しかも能力が未知数の芦さんと横島君がいる。プロのGSとして研修生に怪我を負わせるわけには行かない

 

(これは不味いわね……)

 

1度撤退するしかないかもしれない。この建物に縛られているので追ってはこれない筈だけど……まさかと言う可能性もある。とりあえず……

 

「横島君!芦さん!取り合えず逃げるわよ!精霊石よッ!!邪を退けたまえッ!!!」

 

精霊石を投げつけレギオンを潰し、私は芦さんと横島君を連れて廃ビルの階段を駆け下りたのだった……

 

「はぁ……はぁ……これで少しは時間を稼げるわね。芦さんは何か除霊のスキルはある?いきなりで悪いけど実戦よ」

 

私だけで処理できるはずだったけど、レギオン相手で1人は多少不利。ちゃんと装備が整っていれば何とかできるんだけど……

 

「私が使えるのは霊波砲とこれですね」

 

芦さんの手に六角形の霊気の盾が現れる。確かにその密度は濃さそうだけど、これって……少し集中して霊視をして確信した

 

「そんな霊能止めておきなさい!他の守りが手薄になってるわよ!」

 

彼女の全身を覆っている霊力が全て手に集中している。確かにその盾の密度はかなり高いようだが、デメリットがありすぎる

 

「だけどこれ投げてある程度コントロールできますし、ぶつければ爆発するので結構便利ですよ?」

 

芦さんの言葉は的を得ている。事実若手の霊能力者がこういう風に戦うことはある、だけどレギオン相手では明らかに不利だ

 

「霊波砲をメインにしなさい、それで横島君は?」

 

「えーと破魔札の5円と10円と50円と100円が「役立たず!!」へぶうっ!?」

 

明らかに戦力外だ。頭の上の妖狐も戦力にならない、その怒りで横島君の顔に拳を叩き込む。もう猫を被ってる場合じゃないわ、死ぬかもしれないのでそんなことをしている場合じゃない

 

「そっちが素ですか?」

 

私をジト目で見ている芦さんは無視。物凄く睨んできてるけど、その程度で動じるこの美神令子様じゃないわ

 

「そうよ!悪い!とりあえず何とかこのビルから逃げるわよ!!!」

 

除霊費は4000万。とてもじゃないが割に合わない、これは1億貰わないと……とりあえず持っている神通棍に霊力を通し攻撃できるようにし、周囲を警戒しながら1階の出口に向けて歩き出したのだった……

 

 

 

レギオンになった雑霊を前に流石の美神さんも素が出始めていた、ぶつぶつと割に合わないだの、これだと赤字よ、赤字などと呟いている。どっちかと言うとこっちの方が美神さんらしくて安心する

 

(なぁ蛍。美神さんってこっちが素なんか?)

 

さっきまでは大人のお姉さんと言う感じだったのに、今はぶつぶつと呟き、指折りしながら何かを計算している。恐らく利益と収入を考えているのだろう

 

(そうよ?)

 

私が即答すると横島はふーんと呟きながら、まぁ良いかと呟いている。基本的には美人に優しい横島だ、性格はあんまり気にしないのだろう。ついでに妖怪や悪魔でも気にしないだろう。美人ならよしッ!それが横島だ

 

「コン!」

 

横島の頭の上のタマモが鳴く。すると横島は勢い良く地面を蹴り

 

「美神さーんっ!!」

 

「えッ!?きゃあ!?なにすんのよ!!!」

 

美神さんの胸の方に体当たりをして美神さんを押し倒す。軽く弾んでいる美神さんの胸と自分の胸を見比べる。圧倒的な戦力差があるけど

 

(まだ成長期!なんとかなる!)

 

自分に言い聞かせるように呟く。横島の好みの傾向が徐々に貧乳系になっているのでまだ大丈夫と思っていたのだ

 

「はーん♪やっぱり乳は大きい方がええなー」

 

横島が美神さんの胸に顔を埋めているの見て自分の胸を見て、物凄く悲しくなってしまった。

 

「なにしとるかーッ!!!このセクハラ坊主ッ!!」

 

「ふげろぶっ!?」

 

横島の顔面がビルの床にめり込む。だけど横島がこんな状況でこんな事をするとは思えない。周囲を霊視し……

 

「美神さん!横島飛んでッ!」

 

「え!?」

 

「はいよっ!」

 

横島が美神さんの手を掴んで後ろに飛ぶ。タマモはしっかり横島の頭も後ろにしがみ付いている。私は2人がはなれた事を確認してから

 

「行けッ!!」

 

サイキックソーサーをビルの床に叩きつける。すると

 

【ウゴアアアアアッ!?!?】

 

不気味な唸り声を上げてレギオンが姿を見せる。完全な擬態能力、ただのレギオンならこんな能力は持ってない筈だけど

 

「な!?まさかあんた気付いて?」

 

驚きながらもレギオンに霊波弾を当てて怯ませると同時に横島に尋ねる美神さん

 

「ワイやなくてタマモっす。な?」

 

「コーン♪」

 

横島の言葉に尻尾を振りながら返事を返すタマモ。だけど今はそんなことをしている場合じゃない

 

「私と美神さんの霊視をすり抜ける擬態。こいつただのレギオンじゃないわよ!早くこのビルを出ましょう!」

 

これだけ瓦礫が散乱していて、しかも雑霊がまた集まり始めている……このビルはレギオンのホームグランド。今の装備も何もかも足りてない私達で除霊は不可能だ。美神さんも同じ結論になったのか、再び精霊石を掴み

 

「精霊石よ!邪を退けたまえッ!!!」

 

精霊石が強烈な閃光を放つ。これにより再びレギオンが怯む

 

「こっちよ!」

 

近くに見えていた階段のほうに走り出そうとすると、それよりも早く

 

「駄目だ!蛍!」

 

横島が私の手を掴んで引き寄せる。えっと私が驚くのと同時に見えていた階段が中ほどから消滅する

 

(幻術!?嘘。こんなのレギオンが使う術じゃない)

 

幻術に擬態まで使えるレギオンなんて聞いた事が無い。もしかして今見えている2階の景色って

 

「蛍の予想とおり。俺達はぐるぐる回ってるだけみたいだな。そうだよな?タマモ」

 

「コン!」

 

幻術に長けたタマモが言うなら間違いない。私達は階段を降りているつもりでグルグル回っていた、だから地面に擬態したレギオンの奇襲を受けかけた。美神さんは渋い顔をしながら

 

「横島君。それにタマモだったわよね?貴方達は大丈夫なのよね?この幻術は」

 

認めたくないって言うのが良く判る顔をしている。横島は今は霊力は使えないけど、タマモと九尾の狐の加護がある。GSとしては充分に活動できるレベルなのだ

 

「ワイはさっぱり、違和感を感じるくらいっすね。タマモは?」

 

頭の上のタマモを見ながら尋ねる横島。タマモは前足をぴこぴこさせてから尾で横島の頬を撫でる。横島はふむふむと呟き

 

「きつねうどんを所望するそうっす」

 

タマモの加護のおかげかある程度言葉が判るらしい、正解と嬉しそうに鼻を鳴らすタマモ

 

「き、きつねうどん!?それで助かるならいくらで奢るわよ!だから早く私をこのビルから脱出させて!」

 

美神さんがそう怒鳴る。GSは命あっての物。こんな状況になってしまったのなら、撤退するのが基本だ

 

「じゃあワイには美神さんの胸触らせてください。今先払いで」

 

横島が美神さんに飛びかかろうとするのを見て、私と美神さんは同時に動いた

 

「「調子に乗るなッ!!!」」

 

「へぶう!?」

 

私と美神さんの挟み撃ちの裏拳で顔が変形する横島。鼻血を出してビルの床に沈む横島。その身体の下にいる金色の狐を見て

 

「「はっ!?」」

 

「キュー……」

 

横島の体重で完全に目を回しているタマモ……レギオンはまだ怯んでいて近くに霊気の気配は無いけど

 

「これやばいわ。どうする?芦さん」

 

「と、とりあえず。横島を運びましょう。タマモもその内起きると思いますので」

 

自分と美神さんの失態。これは完全に私と美神さんのミスだ。横島とタマモに背を向けて

 

「これって労働基準局とかに言わないでくれる?暴行とかでしょっぴかれるのはちょっと」

 

「大丈夫です。横島も美神さんの胸に飛びついてましたし、とんとんでしょう。ただその代わり私も横島も雇ってくださいよ。黙っておきますので」

 

とりあえず私と横島を雇ってもらわないといけない。今の暴行は充分に労働基準局に言われると不味い状況だ……とりあえず横島を連れて移動しないと……

 

「おーい。蛍ー!美神さんー!行くぞー!」

 

「コーン」

 

いつの間にか復活した横島が私と美神さんを見て笑いながら手を振る。横島が不死身に近い耐久力を持っているのは知ってたけど……まさかこんなにも回復が早いなんて……横島の頭の上で前足を振っているタマモに驚いていると

 

「うん……私の見る目が悪かったわね。横島君は霊力はまだまだだけどこの様子を見る限り、成長しそうね。このビルを無事に脱出できたら横島君も蛍さんも雇うわ。横島君にはあんまり高い時給は出せないけどね」

 

高い時給は出せないとは言え、255円ではないだろう。セクハラは明らかにマイナスだけど、少しは能力を認めてくれてるみたいだしね……

 

「ありがとうございます」

 

とりあえず美神さんの所であるバイトできる事が口約束だけど出来た。詳しい詳細はあとは無事に生き残ってからね……そしてこのビルを脱出すれば……

 

(私の幸福な物語が幕を開けるのよ!)

 

今度こそ私が幸せになるための物語が始まるのよッ!!!私は心の中でそう叫び横島の後を追いかけて今度こそビルの1階に向かって歩き出したのだった。

 

 

 

横島を先頭に今度こそ階段を下りていく一行を見つめる黒い異形。しかしその目に悪意は敵意はなく、むしろ微笑ましい物を見ているような視線だった。そうこの異形は芦優太郎。いや……アシュタロスの使い魔であり、その視覚を共有してアシュタロスはビルの自分の部屋でこの状況を見ていた

 

「まだか……もう少し追い詰めるべきなのだろうか?」

 

美神達が除霊に出かけたビルにいたのは、確かに駆け出しのGSでも倒す事ができるような雑霊だった。だがアシュタロスはそれを良しとしなかった。蛍から聞いている横島君と最高指導者から聞いている横島君。確かに好青年なのは認めるが、それだけでは納得しきれないアシュタロスは

 

(少し早いけど霊力を覚醒させてみよう)

 

と思ったのだ。使い魔を通じて自分の魔力を少し分け与え、レギオンへと変化させ。自分の使い魔を通じてレギオンを媒介に魔力を使い、特殊な能力を発現させてみたのだが

 

「まだかね?」

 

生命の危機になればなるほど霊力が発現する可能性は増していく、擬態化に幻術。九尾の狐の加護を持つ横島君なら楽に見破れる程度のレベルに抑えているのだが……

 

「横島君が未熟すぎるのか?」

 

おかしい、このレベルなら大丈夫なはずなのに……もしかすると蛍と美神令子とタマモに甘えているのかもしれない

 

「もう少しパワーアップさせてみるかな?」

 

そうすれば横島君の霊力が目覚めるかもしれない。しかし耐性のない属性攻撃をさせるのは良くないとおもう……

 

「うん。ここは火炎だね。耐性があるから大丈夫だろう、うん」

 

火炎に耐性があるから。あんまり高温じゃなければ大丈夫だろうと判断し、更にレギオンの魔力をつぎ込み……

 

ぶつん

 

「あ、あれ?」

 

レギオンとのリンクが切れた感触がする。使い魔のリンクで確認する。そこで見たのは

 

【グルオオオオッ!!!】

 

私の与えた魔力でパワーアップして最下位レベルだが魔族といえるレベルになってしまったレギオン……やば……魔力を回収しないと!慌てて魔力を回収し始めるが……

 

「な、なんかやばいわよ!タマモ、横島君!急いで!」

 

「急げって言われても無理やッ!タマモ何とかなるか!?」

 

「クーン……」

 

「あ、あれ?この魔力……もしかして……」

 

慌てている美神令子と横島君と頭の上で慌てた様子で鳴いているタマモ。そしてあのレギオンから私の魔力が発せられているのに気付いた蛍が辺りを見て

 

「あ」

 

「あ」

 

私の使い魔と蛍の目が合った。そして蛍の目が吊り上がって行く……一瞬だけ凄まじい殺気を私に叩きつけ

 

【帰ったらお仕置きするからね。お父さん】

 

その殺気におびえて使い魔のリンクが切れてしまった。これであのビルで何が起きているのか判らなくなってしまった、しかも私の魔力の回収は4割程度しか回収できてない。魔族レベルではないが、充分危険域だ。私は思わず天を仰ぎ

 

「の、ノオオオオオッ!!!!どうしてこんなことにいいいいッ!!!」

 

私は良かれと思ったのに!少しでも早く横島君が霊力に目覚めるように頑張っただけなのに!全部蛍の為にと思ってやったことなのに!!!全てが空回りした現実に絶叫し、蛍が帰ってきた時のお仕置き。それを考え恐怖した絶叫だった……

 

「ってこんな事をしている場合じゃない!!!」

 

とりあえず、もう1度使い魔を飛ばして……いやそんなことをするよりも自分で出たほうが早いか!?だが今私が動くと……

 

「アシュ様。長い間申し訳ありませんでした。メドーサいま……「来たぁッ!メドーサ!早速で悪いが仕事だ!」はっ?」

 

転移で姿を見せたメドーサ。何と言う絶妙なタイミング、今この瞬間だけはキーやんに感謝だ

 

「今このビルでレギオンと対峙している人間がいる。今後脅威になるかもしれないので監視をしてきてくれ!いいね!頼んだよ!!!」

 

椅子から立ち上がりメドーサの服を掴んで窓のほうに歩き出す。私の行動に驚いているメドーサが普段の冷静な素振りはどこへやら慌てた様子で

 

「え、えーと……どういうことなのですか!?「説明は後だッ!!!」

 

私はそう叫ぶとあのビルのほうに向かってメドーサを転移させたのだった。

 

「ふーこれでなんとか……え?」

 

これで横島君達は大丈夫だろうと汗を拭いながら机に座った私は、拭ったはずの汗が吹き出るのを感じた、何故なら

 

【メドーサ 倍率変化中】

 

メドーサのオッズの処理が始まっていた。これは上がるか、下がるか?これでは判らないが、何故か嫌な予感が頭を過ぎる

 

「ま、また私は何か間違えたのか!?」

 

また何か選択肢を間違えてしまったのかもしれない。私は溢れる冷や汗を拭いながら

 

「土偶羅魔具羅。少し休む、蛍が戻ったら教えてくれ」

 

【判りました。ごゆっくりお休みください】

 

土偶羅魔具羅に後を任せて眠る事にした。これは別に使い魔の視点を見るのが怖かったとか、蛍の鬼神の表情を見るのが怖かったとかじゃない。ただ疲れたので眠る!それだけだ!

 

「……無事に過ごせると良いなぁ……」

 

最近私の障壁も楽にぶち抜く蛍の剛拳の事を考えながら眠りに落ちるのだった……

 

リポート3 GSのアルバイトを始めよう! その3へ続く

 

 




次回は横島とメドーサの視点をメインに進めて行こうと思います。伽羅が少ないのでボリュームが少なくなりがちですが、もう少しでおキヌちゃんを出せるので少しは会話とかのパターンに幅をつけることが出来ると思います。そして情けない原作の横島に似せれるようにもっと頑張りたいと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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