GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!!   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は神魔の今後の方針の話とアスモデウス陣営の話を書いて行こうと思っています

GS試験での戦いで各々の陣営がどのように動いているのかと言う感じの話ですね。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その3

 

リポート27 新たな幕開け その3

 

アスモデウス陣営への決死のスパイ活動を終えたアシュタロスからの報告を聞いて、ワイ含め全員が首を傾げた。亜空間の攻撃転用は確かに恐ろしい技術や、今まではどうしても倒せない神魔を幽閉する事だけに利用していたそれを攻撃に転用する。これは神魔の長い歴史の中でも類を見ない発想や、無論気軽に使うことが出来ない上に、設備も必要と言う事でそう多用できる攻撃ではないが、下手に基地に攻め込んで全滅となる可能性が出てくるので情報を吟味する必要はあるが……最後の報告。これは流石にありえないとしか言いようが無い

 

「マジでやってるん?」

 

数多の聖遺物の回収。確認しただけで「ジャンヌダルクの旗の柄」「蛇の抜け殻」「アマンナの欠片」……他にも聖遺物をかなりの数集めていたとリポートには記されとるけど

 

「何するつもりなんでしょうね?……正直言って……ガラクタですよね?」

 

キーやんがそう呟く、歴史的な価値はあるかもしれんけど……正直言ってコレクション程度の価値しかない。そんな物を何故集めているんや?

 

「だが魔界正規軍に厳重に保管されていた聖遺物も盗まれているのもまた事実だ。何らかの意味がある」

 

オーディンの居る魔界正規軍の本部から盗み出す……それはコレクションを増やすだけで実行できるような物や無い

 

「アシュタロス。お前さんの意見は?」

 

一緒に行動していたアシュタロスに意見を求めると、私の推察ですがと前置きしてから

 

「ガープが開発した狂神石と言うのは鉱物ですが、生き物と言う特性を持っているそうです」

 

アシュタロスに新しく渡されたリポートに目を通す。血のように紅い石……見た目的な特徴は賢者の石見たいやな……

 

「これに特定の魔族や神族の因子を食わせ、媒体となる物に埋め込むことで擬似的にその神魔を再現するそうです」

 

次のページには写真が添付されており、伊達雪之丞が展開した魔装術をそれを見てワイはボソリと呟いた

 

「バルバトス?」

 

「そうらしいです、魔装術の適性のある人間にバルバトスの因子を吸収した狂神石を与え、擬似的にバルバトスを復活させたそうです」

 

……これはもしかするととんでもない事をガープはしようとしているんじゃ

 

「魔装術に適性のある人間を集め、擬似神魔を増やすか、擬似英霊を戦力とするつもりと言う訳か」

 

黙り込んでいたハヌマンがそう呟くが、アシュタロスは多分違いますとハヌマンの意見を両断し

 

「私は何らかの方法で英霊を直接現界させようとしているのではなかろうかと思っています。義経や韋駄天の事例を考えれば、それはありえない話じゃない」

 

……そうなったら最悪やな。英霊を現界させるだけでガープが満足するとは思えない、英霊を更に強化・改造するくらいは普通にやるかもしれん……

 

「判りました。最悪の可能性を考え、現段階で人間界で把握している聖遺物。魔界や神界で保管している聖遺物の警備を強化しておきます」

 

それくらいしか打てる手が無いって言うのが不味いなあ……とは言え。他にもまだ話し合う内容もあるし、聖遺物の事はここで中断するしかないか……

 

「んじゃ、今度はワイな。今回の事を踏まえて、天界・魔界に常駐しとる英霊を東京に派遣する事についてや」

 

本来英霊は奉り、信奉される存在や。それを人間界に派遣する、それは今までの神魔の常識では考えられない事態だが、今回のGS試験での出来事を考えれば、直ぐに動く事が出来、人間を護ることができ、ガープ達を退ける事が出来……そして

 

「ガープが特異点と呼ぶ横島忠夫の護衛が出来、なおかつ信用できる英霊を派遣するべきだな」

 

特異点が何かはわからん、だがガープが態々攫う事を考えているとなると、間違いなく何か特別な存在だ。それにワイ達からとしても横っちを護る事は最重要課題だ。ワイや、オーディンにハヌマンにアシュタロス。全員でどの英霊を東京へと派遣するかを話し合うのだが

 

「あ。すまぬ、お師匠様が人間界に行くと騒いでいるので、お師匠様は数に入れておいて欲しいんじゃが」

 

三蔵を?割と優秀な聖者だが、どこか抜けている上に人の話を聞かない三蔵が行くとなると、それをフォローできる人材が必要になる

 

「天界からやな。フォローできる人材を頼むで」

 

残念なことに魔界の人材で思慮深いと思われる人物は少ない、更に言えば魔界正規軍に属しているので自由に動かせる人物が居ないのでキーやんのほうで見繕ってくれと頼む事にした

 

「判りました、私の方で何人か選んでおきます」

 

すまぬと呟くハヌマンにしゃーないわと励ましながら、この日の夜遅くまでワイ達の会議は続くのだった……

 

 

 

 

最高指導者からの指示にあった英霊の人間界への派遣。それは天界でも波紋を呼ぶ結果となった、英霊は過去に偉業を為しその魂を昇華させた存在だ。ゆえに人間界へ派遣する事は当然ながら反対意見も多かった。特に武闘派の竜神族はそれが如実に現れていた。人間を見下し、英霊と言う存在も認めていない彼らの反発は凄まじかった……

 

「では、お前達が人間界へ行くのか?」

 

私がそう問いかけるとウッと呻くだけ……嘆かわしい事だ。仮に私が竜神王と言う役職でなければ、私自ら人間界に赴くのだが、それが出来ぬ立場にある事に腹立ちを覚えている上に、反対するだけで自ら動くつもりも無い若い竜神族を見てその苛立ちは限界を超えた

 

「自ら戦場に立てぬ者が私の決断に口を挟むなっ!!!」

 

私の一喝に顔を青褪めさせて出て行く馬鹿者達に思わず深い溜息を吐く。大体英霊を派遣する事だってガープの傀儡となる可能性が高く危険なのだが、神魔は人間界に行くと著しく弱体化する。ガープは何らかの術で能力をある程度維持しつつ、人間界に行く方法を確立している。そんな相手に弱体化したまま正規軍を動かす訳にも行かない、むざむざ相手に戦力を渡すわけには行かないのだから……

 

「英霊か……応えてくれる者がいればいいが」

 

英霊は本来座と呼ばれる異空間に存在している。概念的には最上級神魔の魂の牢獄と同じシステムだ、そこから分霊を呼び出す。しかし英霊は本来は地球の危機や、酷い闘争の時にのみ現れる。人間界で祭られている英霊とかならば、そこに納められた御神体を媒介に出現することがあるが、座に引っ込んでいる英霊を呼び出すことが出来るのか?それが私の不安の原因だった……

 

「確か……今現在天界にいるのは……三蔵法師と……マルタだったか?」

 

老師のお師匠様である三蔵法師。そして竜を従えた聖女マルタ……だったと思う。そこら辺は最高指導者の管轄なので仏教の私には管轄外だ……現にあった事がないのでうろ覚えとなっているのが現状だな……

 

「何にせよ。横島忠夫の護衛は必要だな」

 

ガープが特異点と呼び、捕獲することを考えていたのならば、横島忠夫をガープの手に渡すことは出来ない。保護する必要が出てくるのだが、最高指導者がそれにNOを出している。横島忠夫には素質があるので、それを妨害するような真似は好ましくないとの事だ。それならば護衛をつけると言うのが打てる手段だろう

 

「……そう言えば、清姫はやはり横島の側にいるのだろうか?」

 

ヒャクメに探して貰っているのだが、まだ見つかっていない清姫の事も気がかりだな……

 

「やはり竜神族からも誰か護衛に出すべきか……」

 

とは言え、護衛を任せることが出来るほど信用出来る竜族がいないのもまた事実……信用出来る竜神族は既にその大半が役職に就いており自由に動く事が出来るような立場に無い

 

「全く邪魔な物だな」

 

立場があるから護れる物があるが、その立場のせいで縛られるというジレンマを感じていると……

 

「そうだ。メドーサだ」

 

小竜姫から報告で聞いているが、悪巧みをしているような素振りもないし、実力もまた本物と聞いている。それにアシュタロスがスパイとして活動していることを知っている……護衛として派遣するのならばメドーサ以外の適任は居ないだろう

 

「そうと決まれば……」

 

妙神山にいるメドーサに近い内に人間界へ向かって貰うので、一度私の宮殿に来るようにと言う旨の手紙を送ることにするのだった……なお竜神王は知る由も無いが、その手紙がきっかけで

 

「なんで!?なんで貴女なんですか!?ここは私でしょう!?」

 

「妙神山の管理人が何を言ってるんだい!?ええい!ちょっと落ち着きな!」

 

身体を乗っ取った未来の小竜姫がメドーサへと襲い掛かり、メドーサがその冷や汗を流しながら必死に小竜姫を取り押さえようとすると言う珍事が妙神山で繰り広げられることになるのだった……

 

 

 

最高指導者との会議を終え自分の執務室へ戻るとブリュンヒルデが待っていた。その顔色は悪く、その表情を見ただけで理解した

 

「アマイモン閣下からです」

 

そっと差し出された手紙には、神魔混成軍の幹部としての座を辞任する事と、私への謝罪の言葉が綴られていた。

 

「アマイモンはもう駄目か」

 

独断で人間界へ向かい、ガープを後1歩の所まで追い詰めたアマイモンだが、ガープの亜空間を攻撃に転用した技を喰らい右腕を奪われた……神魔混成軍を編成する際の纏め役として召集したが。正式に神魔混成軍が結成される前にアマイモンが負傷してしまった。確かにその知力があれば隻腕でも十分に活躍出来るだろう。だが責任感の強いアマイモンは自らの独断で負傷した上に無様にもガープを逃してしまった。そんな自分を許すことが出来ないのだろう

 

「どういうことか判りませんが、義手の装着なども出来ず。また怪我の回復もある程度で止まってしまいます」

 

もしかすると亜空間を攻撃に転用すると、怪我の回復を阻害する効果もあるのかもしれないな……本来亜空間は封印などに用いられる。それを攻撃に転用する事で、負傷した状態で固定すると言う効果もあるのかもしれない

 

「申し訳ありません。私が止めるべきでした」

 

ブリュンヒルデが深く頭を下げるが、ブリュンヒルデの責任ではない……だが生真面目なブリュンヒルデの性格では、はいそうですかと受け入れることも出来ないだろう

 

「ブリュンヒルデ。暫く暇を与える」

 

「は?い、いえ!お父様!私はアマイモン閣下の変わりに「良い、良いのだ。ブリュンヒルデ。お前は最善を尽くした」

 

アマイモンが出てくればブリュンヒルデは意見出来るような立場に無い。それに負傷した段階で適切な処置をしたおかげでアマイモンは腕こそ失いはしたが、消滅することは無かった。もし消滅してしまっていたら、確実に1000年は復活することは無い、それを避ける事が出来ただけでも十分な働きをしたと言える

 

「アマイモンとて今の情勢は判っている。本当に不味い状況になれば、その英知を貸してくれるだろう」

 

アマイモンは元々アスモデウス達を配下としていた時期も合った、だから裏で手を引いているのはアマイモンではないか?

と疑われいたが、今回の事でアマイモンの疑いも晴れた。ならば時期が来ればアマイモンはその知恵を私達に貸してくれるだろう

 

「暇と言ったが、実は少し頼みたい事がある、悪いが人間界へ赴いて欲しい。英霊で横島忠夫を護る事が決まったのだが、準備に時間が掛かる。それまでの間、それとなく横島の近辺警護を頼む」

 

竜神王からメドーサを護衛に回すと聞いているが、やはり魔界からも護衛を出さなければ体裁が悪い。それも雑兵では面目も立たない。魔界正規軍副指令と言う役職のブリュンヒルデならばそういった面でも問題は無いだろう

 

「し、しかし私は「失敗したというのなら、これで取り返して来い。敵はガープだけじゃないんだぞ」

 

アスモデウス・アスラ・それに偽の蠅の王……敵はガープだけではない、1つの失敗に囚われ足踏みしている余裕は私達には存在しない

 

「判りました。早急に人間界に向かいます」

 

「ああ、頼んだぞ。ブリュンヒルデ」

 

正直な所、アマイモンの負傷の現場に居たブリュンヒルデに責任を追及しようとしている者も居る。それから逃がす為にも、1度魔界を後にした方がいい、肩を落として私の部屋を出て行くブリュンヒルデを見つめながら

 

「すまんな。ワルキューレ」

 

部屋の奥から姿を見せたワルキューレにそう声を掛けると

 

「いや、問題ありません。父上、私の存在に気付かぬほど気落ちしている姉上です。魔界に残すのは危険でしょう」

 

ワルキューレこそ横島を護りたいと思っているだろうに、その役をブリュンヒルデに譲ってくれた

 

「では続けてすまないが、香港での調査結果の報告を頼む」

 

「はっ!香港にてイレギュラーで逆行してきた美神美智恵と遭遇し、彼女と共に香港を調査した結果。何らかの魔術的な仕掛けが施されていることは確認しましたが、その全容を知ることは出来ませんでした」

 

美神美智恵か……ある意味今回の逆行が許可された元凶と言えるが、必要以上に干渉しようとしないのならばそこまで警戒することも無いだろう……しかし香港に仕掛けられた魔術か……あそこはかつての大戦の折の激戦区だった。そのせいか、天界と魔界と座標が合致していると言う場所だ。

 

「判った。魔術に特化した者を調査に出す。他には?」

 

「香港周辺でも聖遺物の盗難が多発、それと私は遭遇しておりませんが偽の蠅の王が潜伏している可能性があります」

 

偽の蠅の王か……ベルゼブルの力を借りた魔族はかつての戦争の主戦力だったが、今ではそれすらも敵か……とは言え、そこまで脅威ではないだろう。何せ自分の名を騙り、好き勝手しているベルゼバブをベルゼブルが許すわけが無い。近いうちにベルゼブル本人に断罪される事となるだろう

 

「判った。お前も疲れているだろう、休め」

 

失礼します!と敬礼して出て行くワルキューレを見送り、香港にベルゼバブの情報ありと言う旨の連絡をベルゼブルにしたが、決して独断で人間界へ向かうなと念入りに釘を刺す。もしもベルゼブルを誘き出すためにベルゼバブを泳がしているとなると現段階での魔界の最大戦力を態々罠の元へ向かわせる訳にもいかない

 

「……いつまでもお前達の思い通りになると思うなよ……アスモデウス」

 

GS試験では不覚を取り、今も好き勝手にかき回されているが、いつまでもお前達の好きにはさせないと決意を新たにするのだった……

 

 

 

キーやん達がアスモデウス陣営との戦いに備えている頃。アスモデウス達はまたも暗躍を始めていた……

 

「身体の調子はどうだ?ガープ」

 

ベッドで横になっているガープにそう尋ねると、ガープは読んでいた本を閉じ

 

「問題ない。もう数日の内に回復するだろう」

 

アマイモンと対峙したガープの負傷は酷い物だった。何日も意識を失い、呻いていた。このまま消滅してしまうのでは?と不安に思っていたが、回復してくれたようで一安心だ

 

「……まぁお前とセーレが馬鹿な真似をしなければもっと回復も早かっただろうがな」

 

「すまぬ」

 

ノスフェラトウを手駒にしようとして失敗し、更には魔力の残滓を残したせいでアジトが特定されそうになった。その時にガープがその残滓を消してくれたおかげでアジトの特定を防ぐことが出来たが、そのせいで回復に更に時間が掛かる事となった

 

「それでベルゼバブはどうだ?」

 

香港を中心に聖遺物を集めさせているベルゼバブか……真の蠅の王であるベルゼブルの力を魔装術で借り受けた小物は

 

「正直言って役立たずだな」

 

口先だけは立派だが、戦力として数えるだけの価値は無い。精々その無限に増える特性を生かしてスパイ活動や隠密行動に充てるくらいの価値しかないと告げる、するとガープは楽しそうに笑いながら

 

「所詮はその程度の小物だ。だが情報収集能力は使える、もう暫くは利用してやるさ」

 

ふむ?この反応では近い内に切り捨てるつもりか、まぁあの程度の小物は早急に切り捨てた方が良い。自分の命惜しさで我達の情報を魔界正規軍に売ろうとするかもしれんからな

 

「聞いてない!聞いてないぞ!アスモデウス!ガープ!なんだあの化け物は!危うく死に掛けたぞ!」

 

ベルゼバブが血相を変えて飛び込んできたのを一瞥すると、うっと呻くベルゼバブ。本当に典型的な小物だな、ガープが利用価値があると言わなければ迎え入れることも無い下等な魔族だ

 

「化け物?何と遭遇したんです?」

 

どうせワルキューレか竜神族とでも遭遇したのだろう。残滓こそ消せたが、偵察に神魔混成軍から誰か来てそれと遭遇したんだろうと思っていたのだが……

 

「死神だ……あれは死神だった……神魔殺しの死神だ!間違いねぇ!」

 

神魔殺しの死神……だと!?思わずガープのほうを見ると、ガープは心底楽しそうに笑いながら

 

「そうですか、それは失礼しました。まさか神魔殺しの死神が居るとは想定外。約束しよう、近い内にお前にも狂神石を与える、その為には体調を整えておけ」

 

本当に頼むぜ?と言って出て行くベルゼバブ。その姿が見えなくなってから

 

「正気か?あんな小物に狂神石を与えたとしても」

 

「ああ、暴走するだろうな」

 

じゃあなんでそんな奴に狂神石を与えるんだ?と尋ねるとガープはくっくっと笑いながら

 

「まぁ待て、全ては私の傷が治ってからだ……アスモデウス、悪いが適当に兵を動かして撹乱しておいてくれ。そうだな……あえて警護が厳重な所を重点的に頼む、失敗しても構わない。こちらから仕掛けるだけの力があるという事だけを示せばいい」

 

疲労の色が濃いガープに後は我に任せて眠れと声を掛け、ガープの部屋を後にすると

 

「!?これは失礼しました。振り返らぬ非礼お許しください」

 

背後に感じた強烈な魔力……振り返る事をせず頭を下げる。あの方は姿を見られる事を嫌う、故にこれが我が出来る最上級の敬意の示し方だ

 

「構わん、少し情報を与えに来ただけだ。天界から英霊が何人か人間界へ向かう事になった、恐らく横島忠夫の警護だ。良いか横島忠夫に手を出すな」

 

「存じております」

 

横島忠夫は特異点だ。それを手にする事が我達の勝利条件だが、今動き警戒を強めるのは愚策。戦いの中で隙を見て奪うのが最善

 

「それだけだ。これからの働きにも期待している、我の期待を裏切るなよ?アスモデウス」

 

その言葉を残し気配と魔力が消え去る。我は知らずの内に浮かんでいた冷や汗を拭っていると

 

「んー?どしたの?アスモデウス?」

 

ひょこっと顔を出したセーレに何でもないと返事を返し、丁度いい所に来たと笑いながら

 

「出るぞ、神魔混成軍が結成されようとして浮き足立っている今こそが仕掛ける最善の時だ」

 

将が出るからこそ、兵が動く。それに……期待していると言われただけで、血潮が沸く、これを抑えることは出来ない……

 

「了解。兵を集めるよ」

 

まぁ、僕は身バレすると不味いからと近くまでは送るよと笑うセーレに頼む。それから数分後アジトの前に並んだ兵を見つめる、その数は決して多くは無いが誰もが気力に満ちている

 

「さぁ行くぞ!!偽りの平和に終焉を告げるのだッ!!!!」

 

『『『『ウォオオオオッ!!!』』』』

 

我の鼓舞に合わせるように叫びを上げる兵達の先頭に立ち、セーレが作り出した門の先に見えている、魔界正規軍第一師団の基地を見据える。無論兵力はあちらが上だ。ならば時間はかけぬ、素早く攻め込み一気に攻め落とす!

 

「出陣だ!我に続けえッ!!!」

 

『『『『ウォオオオオッ!!!!』』』』

 

我を確認し、警報が響き、精霊石の銃弾が飛び交う戦場を駆ける。人間界での戦いなどは所詮は前座、今この時が本当の戦いの始まりなのだ……

 

この日魔界正規軍の第一師団はアスモデウスによる強襲により壊滅的な打撃を受ける事となる。そしてこの戦いを切欠に、くすぶっていた過激派魔族はアスモデウス一派に合流。その戦力を更に強大にするのだった……

 

そしてそれは奇しくも、横島が除霊試験に挑む日と同じ日だった……

 

別件リポート 本トトカルチョ 今後の予想へ続く

 

 

 




これで第1部は完結となります。日曜日に第1部終了時のトトカルチョの最終結果発表を行い、これで第1部は終了となります。それでは日曜日の更新もどうかよろしくお願いします

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