学校に眼魂があるかもしれない、と言う美神さんの考えを聞いて俺はアランやタケルと出会ってから始めて学校に来たんだが
「目がア!目がああッ!!!」
「うきゅ」
「ワン♪」
モグラちゃんとキャットのWクローを喰らって目を押さえて悶絶しているシルフィーちゃん。見た目お嬢様で性格も明るくて人気者だけど、その実半吸血鬼と人間と吸血鬼の間に生まれた混血児で、隙あれば俺の血を吸おうとするし、時々後ろを尾行してくるし……色々と残念な美少女だ。
「すいません、横島さん。シルフィーには僕がちゃんと注意しておくので」
申し訳なさそうに頭を下げる男子。顔つきや雰囲気がシルフィーちゃんに似ているが、それも当然だ。なんせ双子の兄妹なのだから似ていて当然だろう。
「いや別に良いぞ?頼れるセコムが居るから」
ピートが言っても効果がないなら正直抑止力としての期待は持てない。だから俺はモグラちゃんやチビを頼るから大丈夫だ
「横島君?何時の間にまた九尾の狐拾ってきたの?」
机の上に腰掛けるデザインの古いセーラー服を着ているのが愛子。彼女もまた付喪神と言う妖怪だが、その真面目な性格でクラスの委員長みたいになっている
「拾ってきたと言うか……朝起きたら増えてた。な?タマモ、キャット」
「ワン♪」
「コン……」
楽しそうに鳴くキャットと疲れたように鳴くタマモを見ていると
「何で狐なのにワンって鳴くの?それになんで猫?」
不思議そうに尋ねてくるシルフィーちゃん。両手で目を押さえているのでまだ視界は定まっていないのか明後日の方向を見ている
「いや?俺もしら「お兄ちゃーん!見てみてー!面白いの拾ったー♪」へぐろ!?」
突然聞こえてきたアリスちゃんの声に振り返ろうと思ったが遅かった……人外の力をフルに使ったアリスちゃんの突撃に俺は耐え切ることが出来ず、身体の中からべきべきと聞こえてはいけない音を聞きながら、意識を失うのだった……
「ごめんね?ごめんねお兄ちゃん……」
俺が目を覚ますと目に涙を溜めてごめんねと謝ってくるアリスちゃん。タマモとキャットに舐められて若干べとっとしているシャツに眉を顰めながら身体を起こして
「大丈夫だ。だから泣かなくて良いよ」
今にも泣きそうなアリスちゃんの頭を撫でる。あんまり住んでいる所から出て来れないからはしゃぎ過ぎてしまっただけ、その程度で怒りはしない……その事については怒らない。これは間違いない
「所でさ?アリスちゃん?俺の上着をもさもさ食ってるこの黒い馬何?」
今日は授業ではなく、霊の事件についての調査と言う事で私服で来ている。そして座り込んでいる俺の上着をもさもさ食っている黒い馬。金色の2本の角が見えるから普通の動物では無いのは判る。
「ぐーちゃん!?駄目だよ!?お兄ちゃんの服を食べたら駄目!」
「グー?(もさもさ)」
アリスちゃんに駄目と言われても、もさもさと食べ続けている黒い馬。少し寒くなって来たのは気のせいでは無いと思う
「みむう!」
「コン!」
「うきゅう!」
モグラちゃんやチビにタマモが馬の頭を叩いて止めようとしているが
「ぐー♪(もさもさ)」
全く意に介さずもりもりと俺の服を食べ続けている馬。何故馬が俺の服を食っているのか?そして
「「ひゃー♪」」
両手で目を隠しながらもしっかりと指の隙間から俺をガン見しているシルフィーちゃんと愛子。
「こ、これは魔界の魔獣では?」
ぐーちゃんと呼ばれた馬を見て顔を青くしているピート。なんと言うかこれ収拾つかないんじゃ?俺は溜息を吐きながらもう7割消滅している上着を脱いで
「これだけにしてくれよ?Tシャツとかジーンズは絶対に駄目だからな?」
上着を脱いで馬の前においてそう言う。露出狂になるのは絶対に駄目なので念を押して言うとぐーちゃんは
「ぐう!」
判ったと言わんばかりに頷いて上着の残りをもさもさと食べ始める。動物は嫌いじゃ無いけど、いきなり上着を食われると言う異常事態に正直混乱していると
「お待たせしましたのジャー!最近学校で多い霊現象を全部調べて来たのジャー!」
あ、タイガー……悪い……お前にそれを頼んだの忘れてた……大粒の汗を額に浮かべ大量の紙を抱えているタイガーの心の中で謝る。
「ぐー♪」
「のわああ!?な。なんですのじゃああ!?この黒い馬は!?あああー!!調査結果がぁああ!?」
そしてぐーちゃんに体当たりで吹き飛ばされ、紙をもさもさと食われてて絶叫しているタイガーを見ながら
「ぐーちゃんってなんでも食べるのか?」
「うん♪お肉と魚以外は何でも食べるよ?髪の毛も」
髪の毛も?俺とピートが揃ってタイガーの方を見ると
「ああああ!止めるんじゃー!ワ、ワシの髪を食べないで欲しいのジャーッ!!」
タイガーの背中の上にぐーちゃんが乗って、髪の毛をくわえて
「ぐー(ぶちぶち)」
「アーッ!!!!!」
タイガーの髪を容赦なく食いちぎっているぐーちゃんを見て、俺とピートは野球部のクラスメイトからヘルメットを借りて無言で被るのだった……本当こんな状況で眼魂探しなんか出来るのか?っと俺は幸先に不安を感じずには居られなかった……
「ありがとうございました」
私はここ最近の夜悪霊が大量発生していると言う地域に住んでいる人達から話を聞いて回っていた
(んー共通しているのは夕暮れ時から深夜か……)
タケルとアランの世界に眼魔とか言う悪霊が出現するのは決まってその時間。しかし人間を襲う事無くどこかに消えていくらしい
(消えていく場所に何かある?)
消えていく方角はもう取り壊しが決まっている古い神社。しっかりと地鎮祭を行い、祭神はしっかりと別の神社へと移動して貰ったので禍つ神になる心配も無いらしいが、その代わり本来の神域としての効力を失っているので眼魔とやらの棲家になっているのかもしれない
「そっちはどうだった?」
手帳の情報を纏めていると門矢が来てそう尋ねてくる。別の世界の横島で私を……ルシオラを救えなかったと後悔した横島……そう思うと若干胸が痛いが、門矢の世界と私の世界は違うので、謝る事は出来ないし、謝られても困るだろう。だからこそ普通に対応する
「廃神社に眼魔が住み着いている可能性がある見たいね。活発に動き回るのは夕暮れから深夜1時までらしいわ」
「幽霊の力が増す時間か……どうするつもりだ?」
んー正直に言うと私達じゃ眼魔とはまともに戦えないし……横島とか門矢達を頼る事になる
「とりあえず全部眼魂を集めてから考えるわ。じゃ、美神さんと合流しましょうか?」
了解っと言ってGS協会の方に歩き出す門矢。美神さんとおキヌさんはは琉璃さんに情報を聞きに行ったので、合流場所をGS協会にしたのだ。私はゆっくりと歩きながら
(横島は大丈夫かなあ)
なんか妙に嫌な予感がするので横島に何か危ないことが起きているんじゃないか?と少し心配になってしまうのだった……
俺とピートはヘルメットで髪の毛を護ることが出来た。だがタイガーは
「うう……酷いですのジャ」
ぐーちゃんにその髪の毛の6割を齧られて涙を流し、アイマスクをしている。こいつは女が苦手で限界を超えるとセクハラをし始める。愛子やシルフィーちゃん、そしてアリスちゃんにセクハラをさせる訳には行かないのでアイマスクを付けさせ
【イヒヒ♪】
ウィスプ魂。ジャックランタンモードが紐を引っ張って歩かせている。こうして見ると危ない趣味をしている人間に見えなくもない、しかし予防策と言うのは絶対に必要だ。それにあんなむさくるしい男と手を繋ぐより
「図書館って絵本ある?」
「あるかなあ?判らん」
可愛いアリスちゃんと手を繋いでいる方が良い。それにシルフィーちゃんは……手を繋ぐとそのまま血を吸われかねないのでちょっと手を繋ぐとかは勘弁して欲しい。だって今も……
「お兄ちゃん放してー!横島君の血が欲しいッ!」
目を真紅に光らせ、鋭い牙を生やして暴れている姿を見ると正直怖い
「シルフィー!いい加減にしないと僕も怒るぞ!」
暴走モードのシルフィーをがっちり掴んでいるピート。頼むから解放しないでくれよ?あと愛子はモテモテね?と言ってからかって来るが、生死が関わるようならモテもテにはなりたくない。なんせ俺の目標は美人の嫁さん(蛍)を貰って、二人でGSで頑張るのだから、死んでしまっては意味がない
「ここ見たいね。最近多い生徒が楽しい夢を見るって言う図書館は」
ぐーちゃんに大半を食われてしまった調査結果だが数枚残っていた。そしてその中に1つ気になるものがあった
【その図書館に行くと不思議な夢を見ることが出来る】
【シンデレラになった夢を見た】
など、それにピーンっと来た。タケルの話では「グリム眼魂」があるらしく、グリムはグリム童話。つまり図書館に居ると思ったのだ
「そう言えばアリスちゃん」
「なーに?」
「ぐーう?」
アリスちゃんと一緒に返事を返すぐーちゃんに苦笑しながら
「面白い物って何を拾ったんだ?」
あっと思い出したように呟いたアリスちゃんは肩から提げた鞄から丸い物を取り出す
「これー!お兄ちゃんのじゃ無い?」
それは眼魂だった。はいっと差し出されたそれを受け取り上を確認する。えーとNOは11……手帳を開いて確認するとツタンカーメン眼魂だと思う
「アリスちゃん。これどうしたの?」
「ぐーちゃんが食べようとして、食べれなかったみたいで吐き出してたの拾った」
……そうか。若干べとっとしているのはそれか……ハンカチで拭って図書館に向かって歩き出す。じゃっかん眼魂が震えているように思うのは勘違いでは無いと思う
「ぐー」
ぐーちゃんが手元のツタンカーメンを見つめている。どうやらまだ食べることは諦めていないようだ、凄まじい腹ペコだ……ただチビとかを食べる気は無いのか頭の上や背中に乗せているので一安心していると
「着いたわよ横島君。なんか妙な霊力を感じるけど……これじゃない?」
愛子に言われて顔を上げると確かに図書館から妙な霊力を感じる……
「よし。タイガー行け」
「なんでワシがぁ!?」
身の危険を感じたので図書館の扉を開けてタイガーを蹴り込むと
シュバアッ!
「アーーーッ!!!」
触手見たいのが伸びてきてタイガーを絡め取る。とんでもない衝撃映像だ……しかもそれだけでは終わらず
「「え?」」
その衝撃映像に停止していたピートとシルフィーちゃんも絡め取って図書館の中に引きずり込んで、その扉を閉める
「なぁ?逃げたら駄目かな?」
あれ絶対駄目だよ?死ぬよ?俺じゃどうしようもないって……シズク居ないのに変身したら反動で死ぬよ?動けなくなってシルフィーちゃんに血を吸われて詰むよ?だから逃げよう?と愛子に尋ねると
「駄目よ。友達を見捨てたら駄目よ」
ですよねー俺は深く溜息を吐いて手を繋いでいるアリスちゃんを見ると
「お兄ちゃん!なにあれ!?凄く面白そう」
泣いていると思ったら嬉しそうで正直反応に困る。ぐーちゃんとチビ達は
「み、みむう?」
「コン……」
「ワン……」
「うきゅう」
止めたほうが良いよ?と言わんばかりだ。そしてぐーちゃんは
「ぐー♪」
一瞬見えた大量の本に目を輝かせている。恐らく食料だと思っているのだろうが、なんとも恐ろしい子馬だ
「じゃ、と、とりあえず入ってみるか……」
警戒しながら図書館を開くと
「「「すやぁ……」」」
とても安らかな顔をして眠っているピートやタイガーが居て困惑していると
【ふむ?君は眼魂を持っているのか……なるほど。やはりここで騒動を起こしたのは間違いではないようだね!】
眼魂が光りそこから声が聞こえる。なんと言うか胡散臭い外人としか思えない
「えーとグリムさんで良いんですよね?」
【その通りだ。アランを知っているかね?】
知っていると返事を返すとグリム眼魂は伸ばしていた触手を納めて
【すまないが、彼の所へ連れて行ってくれ。私にはまだやる事があるのだよ】
そう言って俺の手の中に納まるグリム眼魂。回収できたのは良いけど、やることってなんだろうか?
「えーと?グリムさん?やることってなんですか?」
愛子がそう尋ねるとグリム眼魂は楽しそうに光ながら
【あの何も知らない者に色々な事を教える。それがこの私の役目なのだよ】
……なんかすげえ駄目な人な様な気がする……だけどまぁ……回収できたのでよしとしよう。鞄の中にグリム眼魂を仕舞って、寝ているピート達と本を齧ろうとしているぐーちゃんを止めようと奮闘しているチビ達を見て
「とりあえず。アリスちゃん。ぐーちゃん止めて?」
賠償金とかがでたって言ったら間違いなく美神さんが暴れるのでそうお願いすると
「絵本読んでくれる?」
いつのまにか絵本を抱えているアリスちゃん。高校の図書館になんで絵本が?と思ったがそれで止めてくれるなら全然問題ない
「良いよ。だからお願いぐーちゃんを止めてくれないか?」
「ぐーちゃん!駄目だよ!」
アリスちゃんに駄目と言われたぐーちゃんはぐうっと鳴いてその場に座り込む
「み。みむう……」
「クウ」
「ワフ」
「うきゅう」
止めるのに必死になっていたチビ達にご苦労様と心の中で呟き、アリスちゃんが差し出し来た絵本を受け取り、ピート達が起きるまで絵本を読んであげることにしたのだった……なお愛子は
(やっぱり横島君は良いお父さんになる)
アリスを膝の上に乗せて優しく絵本を読んでいる姿を見て、そんな事を確信しているのだった……
「横島さんは眼魂を見つけることが出来ましたかね?」
横島さんの学校の近くの公園で待機しているとルージ君がそう呟く
「判らないなあ……見つけてくれていると良いけど……」
部外者なので学校に入る事ができず、こうして2時間近く公園で待機している。日向ぼっこと思えば良いのだが、なんか切ない……
「ほう……お好み焼き……大阪の味……実に興味深い」
そしてアランはさっきから横島が置いて行った本の中の料理の本ばかりを見つめている。さっきからずっとこの調子だ……小説や漫画も置いて行ってくれたけど、正直そこまで読みたいとも思えないので俺はずっと暇を持て余していた
(アランってこんな奴だったのか?)
この世界に来てから、美味いと言ってもりもりとご飯を食べている姿ばかりを見ているのでアランの性格が正直良く判らなくなってきた……マコト兄ちゃんは知っていたのだろうか?それともこの世界に来て食事の楽しさに目覚めてしまったのだろうか?完璧な世界を作るとか言わなくなったし、アランには良い傾向なのだろうか?と色々と考えていると
「本も全部読んじゃいましたしね……暇ですね……」
ベンチに座ってそう呟くルージ君。眼魔の出現の可能性を考えて待機しているけど、そんな気配は無いし……本当ただこうしているだけって凄く疲れるなあ……深く溜息を吐いたところで
ジリリリリリ!!!
アランの隣に置いてある目覚ましが鳴る。それを聞いたアランは、凄まじい勢いで目覚ましを叩いて止めて
「昼食だ!」
嬉しそうにシズクさんが作ってくれたお弁当の入っている鞄に手を伸ばす。そんな姿を見て俺はまた深い溜息を吐きながら
「お茶でも買って来るよ。ルージ君は緑茶で良い?」
「あ、はい!お願いします!」
実に嬉しそうな顔をして鞄を開ているアランとそんなアランを見て苦笑しているルージ君を見ながら、俺は近くの自販機に飲み物を買いに行くのだった……だがこのときの俺は当然知る由もない。横島さんの学校では2つ目の眼魂が発見されていたのだが、まさかそれがとんでもない悲劇をもたらす事を今の俺は知る由も無かったのだった……
そして2枚めの調査結果。音楽室で楽器が勝手に鳴る、これは学校でありがちな怪談かとも思ったが、ベートーベン眼魂の事もあるので調査に来た。だけど問題は別にあった
「誰か楽器演奏できるか?」
全員さっと目を逸らす。この音楽室での現象は簡単に言うと楽器を演奏していると、光る音符が現れて演奏を教えてくれるという物だ。しかしあんまり下手だと駄目だし、上手すぎてもだめ……
「ピアノなら僕が!」
「「「お前は動くな!楽器に触るな!」」」
俺達の怒声がピートに向かう。ピートが楽器を演奏するとどんなものでも音波兵器になる、そう判っているので使わせるわけがない
「んーフルートなら吹けるんだけど持って来てないし……」
お嬢様みたいな外見だけじゃなくてそう言う楽器も演奏できたんだ。正直意外だな
「ワ、ワシは全然無理じゃ」
お前には何一つ期待していないぞタイガー。しかし俺も楽器は演奏できないし……愛子を見ると
「校歌なら行けるとおもうけど駄目よね?」
校歌で召喚されるベートーベン。なんか嫌だな……それに出てきてくれると思えない
「猫踏んじゃったなら出来るよ?」
アリスちゃんが手を上げながらそう言う。うーむ……ならアリスちゃんに頼むか?と思った瞬間
♪~♪~
ピアノの演奏が聞こえてくる。驚いて振り返ると
「コン」
「ワン」
タマモとキャットが前足で鍵盤を器用に叩いて演奏している。そしてその前で
「みみみー♪みむう!」
「きゅーうきゅ♪」
チビとモグラちゃんが前足をピコピコ振りながら歌っている……
(馬鹿な!?チビとモグラちゃんはともかく、タマモとキャットがピアノを!?)
俺の知らない内に我が家のマスコットがとんでもない進化を遂げていたことに俺は心底驚いた
「あ、適当だと思ったらちゃんとメロディーになってる」
「す、すごいけんのう……横島さんのペットは……」
シルフィーちゃんとタイガーも驚いたのかそう呟いている。あと言っておくがタマモ達はペットじゃなくて家族だからな?
「ぐー!ブルル!ぐーぐー!!」
モグラちゃんとチビに釣られてぐーちゃんも歌って踊りだす。なんと言うか思わずさっきまでアリスちゃんに呼んでいたブレーメンの音楽隊みたいだと思ってしまった
「ブレーメンの音楽隊みたい♪皆凄いねー!」
アリスちゃんが手を叩きながら喜んでいる。なんともほのぼのした良い光景だ……
「可愛いわねー。見ているだけでも癒されるわ」
本当だな。これは蛍やおキヌちゃんにも見せてあげたいなと思う。そして演奏が終わりに近づいた頃。壁が光りグレーの眼魂が出て来たのだが出て来た場所が悪かった……
「ぐー♪」
「「「あ」」」
パリーン……
楽しそうに鳴いて踊っていたぐーちゃんの後ろ足が炸裂し窓ガラスを粉砕して飛び去っていくベートーベン眼魂
「「「た、たたたた!大変だぁ!!!」」」
折角見つけたのにまた見失うわけには行かない。
「「先に行きます!」」
ピートとシルフィーちゃんは窓を開けて外へと飛び出していく、俺には当然そんな事は出来ないので、チビとモグラちゃん、そしてチビとタマモ抱き抱え、慌てて音楽室を飛び出してベートーベン眼魂を探す為に学校を後にしたのだった
「よーし!頑張れぐーちゃん!」
「ヒヒーン♪」
アリスちゃんはぐーちゃんの背中に乗って追いかけてきたんだけど、予想よりも遥かに早いぐーちゃんに正直驚いてしまうのだった……
なお横島達がベートーベンを探し出した頃。近くの公園で待機しているタケル達にはとんでもない悲劇を襲っていた
「んー良い天気だし、お弁当もおい……「キラーン!(ドスゥッ!)目がぁ!目がああ!!!」
弁当を食べていたタケルの目にぐーちゃんが蹴り飛ばしたベートーベン眼魂が衝突し、その激痛に暴れるタケル
「何をして……あああああ!?わ、私の弁当が……」
そしてその暴れているタケルに弁当を蹴り飛ばされ、地面に落ちた弁当を見て蹲るアラン。そして
「あっつういいいいいい!?」
ルージは運悪くアランが落した味噌汁を頭の上にかけられ、その熱さに地面を転がりまわっていた……
そしてそんな3人の目の前を馬の蹄の痕が着いたベートーベン眼魂がころりと転がるのだった……