GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!!   作:混沌の魔法使い

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その2

 

 

魔法陣に吸い込まれてきてしてしまった世界で見つけた雑誌には「今勢いのある除霊事務所特集」と銘打たれており。子供のとき良く見た漫画「GS美神」の世界に紛れ込んでしまった?と言うのが俺と御成の出した結論なんだけど

 

「しかしここは本当にGSの世界なんでしょうかな?」

 

首を傾げながら歩く御成がそう呟く、俺だって信じられないけど、信じるに値する証拠があるからなあ

 

「んー証拠は結構あるけどね」

 

手にしている雑誌を見ながら御成にそう返事を返す。見開きのページには「美神除霊事務所特集」と書かれており、ちゃんと写真とそこへの行き方も記されていた。だから今美神除霊事務所に向かっているんだけど

 

「タケル殿、今手持ちは?拙僧は2000円ですが」

 

「……750円」

 

2人合わせても2750円。漫画ではかなりの守銭奴だったし、たったそれだけで俺と御成の話を聞いてくれるだろうか?と言う不安が頭を過ぎる

 

「唐巣神父殿を探す方がいいのでは?」

 

GS美神の漫画の中ではかなり優しい人物と書かれていた唐巣神父。確かに唐巣神父の方が話を聞いてくれるかもしれない……雑誌の中に唐巣神父の教会の場所が書かれてないかな?と思いページを捲っていると

 

「た、たたたた!大変!!」

 

前の方から沢山の人たちが慌てた様子で走ってくる。これはただ事じゃ無いぞ

 

「どうなされたのですか?」

 

御成が息を切らして走ってきた老人にそう問い掛けると、その老人は俺と御成を見て

 

「何をしておるんじゃ!早く逃げないと危ないぞ!向こうの方で悪霊が沸いて出て来ておるんじゃ!おぬしたちも早く逃げるんじゃ!」

 

そう言って再び走っていく老人。俺は老人が走ってきた方角を見て

 

「御成!俺様子を見てくるよ!御成はとりあえず、美神除霊事務所に向かって!」

 

ゴーストに変身すれば俺だって悪霊と戦えるかもしれない、そうすれば皆が逃げる時間を稼げるかもしれない。それにここが本当にGS美神の世界なら、美神さん達が来るまで時間を稼げば良いんだし……俺がそう言うと御成は暗い表情で

 

「し、しかし!タケル殿。今タケル殿の手元に英雄の眼魂は……」

 

御成が心配している事は判る。俺の手元には「オレ魂」と「闘魂ブースト」と必死に手を伸ばした結果、手元にあった「ムサシ眼魂」の3つしかない、だから普段のような相手に合わせて戦い方を変える事は出来ない

 

「それは判っているよ。でも俺にはこのまま黙ってみている事が出来ないんだ」

 

俺が行けば助けることが出来るかもしれない。それなのにここで黙ってみている事は出来ないんだ

 

「判りましたタケル殿!しかし無茶はいけませんぞ!拙僧直ぐに美神殿を探して戻って来るゆえ!」

 

そう言って雑誌を逆さまに持って走っていく御成に苦笑しながら、俺は老人が指し示した悪霊がいる方角へと向かって走り出すのだった……

 

「あ、あれは!?アラン!?」

 

悪霊がいるという場所に居たのは漆黒のパーカーに身を包んだ、ネクロムに酷似したライダーだった。顔にはネクロムと同じくまるで潜水ゴーグルのようなバイザー。左腕には眼魂をセットする機械。

 

(まさかアランもこの世界に!?)

 

じゃあ、あの老人が言っていた悪霊ってもしかして「眼魔」なのか!?……どうなっているのか判らないが、ここでアランを見逃すわけには行かない。階段を飛び降りて広間の方に向かいながら

 

「アラン!」

 

俺がそう叫ぶと目の前のライダーは不思議そうに首を傾げながら

 

「は?アランって誰だ?」

 

身振り手振りだが訳が判らないと言うことを伝えたそうなネクロム(?)アランじゃ無いならまた別の幹部か!それならますます黙ってみている事は出来ない

 

【アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!】

 

着物の中からオレ魂を取り出し、走り出しながら

 

「変身!」

 

【カイガン!オレ! レッツゴー!覚悟!ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト!】

 

黒いパーカーに1本角を持つライダー。「仮面ライダーゴースト」へと変身し、目の前のネクロム(?)に向かって走り出す

 

「どうなってるんやあ!?誰か説明してくれえ!」

 

「おおおッ!!」

 

突然大阪弁で叫ぶネクロム(?)に俺は渾身の力を込めた正拳を繰り出すのだった……

 

 

 

突然アランと叫んで俺に拳を叩きつけてきた、ウィスプに似た姿に変化した青年の拳……凄まじい殺意を感じ慌てて避ける

 

「のわったあ!?」

 

上半身をマトリックスのように逸らして回避する。ゴウっと凄まじい勢いで空気が切れた音がしたのが恐ろしい

 

(あ、あぶな!?)

 

ジャックランタンは遠距離攻撃と回避に特化している分。接近戦にはあんまり強くない、回避力は高いが、打撃・防御力はかなり低い、あの威力で殴られたら動きが鈍ってしまう。そのまま地面を蹴って距離を取る

 

「なあ!?」

 

攻撃が当たる事を確信していたのか、信じられないという感じで叫ぶ目の前の青年に

 

「落ち着け!俺はアランって奴じゃ無い!「じゃあイゴールか!ジャベルか!!」

 

だから誰だ!?イゴールにジャベルって!!!こいつは一体何と俺を勘違いしているんだ!?

 

「しらねえよ!?なんだその鼻が長そうな名前は!」

 

「鼻が長い!?お前は何を言っているんだ!?」

 

俺だって訳わかんねえよ……ただイゴールって聞くと鼻が長いって言うイメージが……うっ!頭痛が……

 

「と言うか!頼むから本当に攻撃を!止めてくれ!」

 

こんなアホな会話をしている中も攻撃が連続で繰り出され続けている。蛍と唐巣神父の近接訓練のおかげで何とか捌く事が出来ているが

 

(あかん!手が痺れてきた!)

 

防御力の低さが響いてきた。受け止めているが、これだけ容赦なく攻撃を続けられていると流石に手が痺れてきた

 

「話を聞けぇ!!」

 

なんでこいつは人の話を聞かないんだ!だんだん苛々してきて、ナイトランターンを突き出して

 

「燃えろッ!」

 

どうも頭に血が上っているようなので交渉は出来ない。ここは1度叩きのめしてから!そう判断し、とりあえず距離を取る時間が欲しかったので、牽制用の火炎弾を打ち出す

 

「な!?ぐああ!?」

 

拳を振るう体制のままだったから、火炎弾の直撃を喰らって吹き飛ぶ青年。あ、あれ?牽制のつもりだったんだけど……

 

「ぐ!?ぐあああ!?」

 

地面を転がって炎を消火している。その苦しみ様から、ある考えが頭を過ぎる。それはさっきの青年が幽霊だったと仮定した場合だ。そうなると俺はとんでもなくまずい事をしてしまったかも……

 

(や、やばあ……)

 

仮面の下で冷や汗が流れるのが判る。ナイトランターンによる攻撃はそのどれもが除霊に特化した攻撃になっている

 

「くっ!やっぱりお前は敵か!」

 

やばーい!!!また勘違いが進んでしまったああああ!!!!!俺は思わず叫びそうになりながら

 

「いやいや!悪気はなかった!だからいい加減に落ち着いて話し合いを!」

 

今度こそ交渉を!そう思って近寄ろうとするが、それよりも早く眼魂を取り出す。もう話し合いをする段階ではないと判断し、俺は覚悟を決めて

 

「行くぞ!牛若丸!」

 

まだ霊力が充分じゃ無いが、牛若丸の戦闘経験に賭ける。韋駄天では暫く動けなくなるデメリットが大きすぎる。それならまだ後遺症もそこまで酷くなく、扱いやすい牛若丸の方が良い。それに近接に特化した牛若丸の方なら峰打ちとかで弱らせる事も出来ると期待する

 

【はい!参ります!】

 

やる気満々の声で返事を返す牛若丸に笑みを零し、同じようにベルトに眼魂をセットする

 

【アーイッ!シッカリミナー!シッカリミナー!】

 

【アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!】

 

紅いパーカーゴーストと紫のパーカーゴーストが空中で何度も何度もぶつかる

 

「「変身!」」

 

【闘魂カイガン! ブースト! 俺がブースト!奮い立つゴースト!ゴー!ファイ!ゴー!ファイ!ゴー!ファイ!】

 

【シュっバット!八艘!壇ノ浦ッ!】

 

俺が牛若丸魂に変身すると同時に向こうも変身が完了する。赤いブレードを油断なく構えるその姿を見ながら、俺も刀を構え同時に走り出し、お互いの剣がぶつかるその瞬間

 

【FINAL ATTACKRIDE!D!D!D!DECADEッ!】

 

上空から黄色のカード見たいのを蹴り破って何かが俺達へと突っ込んできて

 

「「なぁ!?」」

 

俺達の驚愕の声が重なる同時にその何かの一撃が俺達へと炸裂したのだった……

 

 

 

なんか分からんがぶつかり合っている2人のライダーを止める為にルージにはほかに敵がいないかの警戒をしてもらって俺は走りながらちょっとした事で手にしたディケイドライバーを腰に装着し、出てきたライドブッカーからカードを1枚取り出し……

 

「変身!」

 

カードを翻し、セットする。

 

【KAMENRIDE!DECADE!!】

 

音声と共に俺の左右に9つの虚像が現れ、俺に重なった後に俺の姿は変わった後に複数のカードの様なのが顔に突き刺さると共に灰色の所がマゼンタに染まり、世界の旅人で世界の破壊者である「仮面ライダーディケイド」に変身完了する。

 

「ええかげんに……」

 

【FINAL ATTACKRIDE!】

 

そのまま別のカードを取り出して再びディケイドライバーにセットし…

 

「せんかーーーーい!!」

 

【D!D!D!DECADEッ!】

 

音声の後に出現したレールの様に展開された黄色のカードへ向けて飛び上がった後に潜り抜けて行き、姿を変えて今度は剣でぶつかり合おうとした2人のライダーの中心に炸裂させる。

 

「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」」

 

2人のライダーはその衝撃で吹き飛んで俺が着地するとともに変身が解除される。

 

赤い姿だった青年は転がった後にこっちを見て、その後に驚く様子を見せたので俺ももう1人の方に向いて唖然とする。

だって、ぶつかり合っていたもう1人のライダーの正体がなんと…

 

「俺ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

「この世界の横島さん!?」

 

マジかよ!もしかして介入するのまずったか!?と焦っていると複数の足音とタケル殿おぉぉぉぉぉぉぉ!の声が聞こえて来て、その方向に見て言葉を無くす。同じように見たルージも驚きの様子で見ていたのが横目に入った。

 

そこにいたのは美神さん達に知らない綺麗な女性がいたのだが、その中の1人が忘れられない…俺を愛してくれた人だった。

 

「ルシ……オラ……」

 

過去の平行世界の筈なのに俺は思わず呟いてしまった。

 

 

 

 

 

こ、これはどういうこと?私は目の前の光景を見て絶句した。倒れている横島と驚いた表情で私を見ている横島。私の目の前には2人の横島が居たのだ

 

「こ、これはどういう!?「うきゅうううう!」へぐろ!?」

 

途中で会った御成とか言うお坊さんがモグラちゃんに跳ね飛ばされているのが視界の隅に映るけど、今の私にはそれ所ではなかった

 

(い、今……ルシオラって)

 

小さい声だったけど、聞き違えるはずが無い。今確かにもう1人の横島は私の事をルシオラと呼んだ……なんでその名前を……

 

「うきゅう!うきゅうう!」

 

私が混乱している中。モグラちゃんが倒れている横島の元に走っていく。その姿を見て我に帰る、ウィスプの力は強力だが、その分反動も後遺症も非常に大きい。変身後は暫く動くことが出来ないのだ

 

「大丈夫!?横島」

 

目の前で硬直している横島が誰かは判らない、だけど今の私には倒れている横島を助けるほうが優先だ

 

「おーう……蛍かあ?ヘルプミー……」

 

ピクリとも動くことの出来ない横島の胴に手を回して、近くに来ていたモグラちゃんの背中の上に乗せる

 

「うきゅ♪」

 

「よろしく……モグラちゃん」

 

横島を背中に乗せて離れていくモグラちゃんを見ながら、黒い着物を着ている青年と呆然とした表情で俺を見ている横島

 

「ル、ルシ……「私は、芦蛍よ。貴方は?」っ!そうか!俺も横島だ」

 

もう1度私の名前を呼ぼうとする横島の言葉を遮って言うと、辛そうな表情をして名乗る横島。色々話をしたいけど、今はそれ所じゃ無い。

 

「まずは美神さんの事務所に行きましょう。そこでどういう事か話をしましょう」

 

こんな所で話をする訳には行かない、とりあえず美神さんの事務所に行きましょうと言って離れると神宮寺が

 

(平行世界の横島は貴女を知っているようですわね?)

 

私が何者なのか?それを気にしている神宮寺。今はまだ私の正体を知られるわけには行かない、特に神宮寺には……

 

「他人の空似じゃない?」

 

「……まぁ今はそう言うことにしておきましょうか」

 

怪訝そうに私を見ている神宮寺の姿に溜息を吐いていると、美神さんが私の肩に手を置きながら

 

「なんかとんでもない事になりそうね」

 

「ですね……」

 

別の世界の横島にウィスプに似た姿に変身する青年……どうもあの魔法陣は異なる世界同士を繋げてしまった様だ……

 

(これからどうなるのかしら?)

 

2人の横島を見比べているシズクやチビ達にもう1人の横島に駆け寄る少年を見ながら、私はもう1度深く溜息を吐くのだった……

 

【                                              】

 

移動している横島達を見つめている、黒い軍服のような物に身を包んだ青年は鋭い視線でタケルを見つめて

 

「天空寺タケル……そうか。お前もこの世界に来ていたのか……」

 

憎ましげにタケルの名前を呼んだ青年はゆっくりと背を向けて、その場を後にしたのだった……


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