GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!!   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話も第二部に続く話の内容となります。今回は「愛子&シルフィー」「タイガー&ピート」「カオス」の話を書いていこうと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その3

 

リポート26 これから その3

 

GS試験に参加すると言う事で横島君達が学校を休んで1週間。まだ横島君達は学校に来ない

 

(なにかあったのかな?)

 

私の記憶では割と直ぐに学校に来ていたけど……やっぱり全部私の記憶通りに行くわけじゃないのねと改めて実感する。私の記憶ではピート君には妹なんかいなかったし、蛍さんがいる事自体で私の記憶が役に立たないのは判っているし

 

「うー愛子さん……ヘルプミー」

 

私の机に上に倒れこんできて助けてくれと呟くシルフィーさんを見て大きく溜息を吐く

 

「また課題が出来てないの?」

 

うんっと呟くシルフィーさん。毎日学校にこそ来ているけど、授業中寝ている事の方が遥かに多い。生まれ育った島じゃこんな勉強したこと無いから何もかも判らないと言っているけど、同じ条件のピート君が頑張って勉強しているのだから、もう少しやる気を出したほうがいいと思う

 

「もう直ぐお兄ちゃんとかが退院するから、それで課題をやってないのがバレると怒られる。最悪お父さんに手紙で告げ口される」

 

がたがた震えているシルフィーさん。そんなに父親が怖いの?と尋ねるとシルフィーさんは

 

「私はお母さんに似ているから基本的にはお父さんは甘いよ?でも……横島君の血を吸おうとして迷惑を掛けている事を告げ口されると思うと……下手をすると島に強制連行されちゃうかも」

 

……私としてはそっちのほうがいいと思う。欲望に身を任せ、横島君を襲っている所は良く見るし、私が何回も机で強打して横島君を助けている事を考えるとそっちのほうが横島君にとっては良いと思う

 

「ねー?愛子。今回は見捨てた方が良いんじゃない?優しいのは判るけど、ちょっとシルフィーのは目に余ると思う」

 

シルフィーさんは色々と問題視されている、人外で学校に通いたいを願う人のテストケースとしてシルフィーさんとピート君が選ばれれたけど、ハッキリ言ってシルフィーさんは選択ミスと言わざるをえない

 

「1回島に帰って良識を学んだほうがいいと思うわ」

 

「お願い!見捨てないでー!愛子様ぁッ!!」

 

私の腰にしがみ付いて叫ぶシルフィーさんに

 

「ちょっ!?スカートを離しなさい!脱げる!脱げるからぁッ!!」

 

スカートを引っ張られているのに気付いて慌てて両手で掴むけど、シルフィーさんの力が強くてどんどんずり落ちていくのが判る

 

「こらあ!男子こっち見んな!!!」

 

「サイテーね!!」

 

私の状態に気付いた男子がガン見しているのに気付いて顔が熱くなる。なんで私がこんな目に合っているのかと叫びたくなる。友達の女子が壁になってくれているから見られることは無いと思うけど、恥ずかしくて仕方ない

 

「お願いー!見捨てないでえッ!!!島にはまだ帰りたくないー!横島君の側が良いーッ!!!」

 

「離してって!スカートは駄目!駄目って!?そっちはもっと駄目ぇッ!!!」

 

シルフィーさんの指が下着に掛かるのを感じて全力で振りほどこうとするんだけど、其処は流石ハーフとは言え吸血鬼。全く振りほどくことが出来ない上に

 

(やばいっ!これめちゃくちゃやばいッ!!)

 

下着とスカートの生地が悲鳴を上げている。私の身体と服は霊体なので本来なら破けることなんてありえないのだけど、吸血鬼だからか服とかがやばい!このまま破けてしまったら私は確実に痴女だ。それだけはなんとしても防がないといけないのだけど

 

(れ、れれれ!霊体化も出来ないぃぃッ!)

 

霊体化して逃げようとも思ったけど、シルフィーさんに掴まれているせいか霊体化も出来ない。スカートと下着の悲鳴がどんどん大きくなるに連れてどんどん私も焦ってくるし、私を囲ってくれている女子もいるけど、男子生徒の視線が向けられているので恥ずかしくて仕方ない

 

「ほ、本当駄目だってぇ!!」

 

「お願いだから見捨てないでぇッ!」

 

私とシルフィーさんの悲鳴が重なるけど、悲鳴を上げたいのはむしろ私のほうだと思う。そもそも見捨てるなんて言ってないのにッ!っていうか本当にスカートと下着がやばいッ!!

 

「愛子ッ!ごめんねッ!!」

 

女子生徒の声に振り返ると何かの粉末が頭からかけられた、こ、この香りはニンニク?

 

「あーっ!!!!!!!!!!!!!」

 

シルフィーさんが断末魔の悲鳴を上げ、痙攣して動かなくなる。きゅ、吸血鬼にニンニクって本当に効いたのね……私はぎりぎりの所で耐えてくれたスカートと下着に感謝しつつ

 

「ごめん、1回消えるわ」

 

手を離したら破けてしまいそうなので1回霊体に戻って服を修復すると声を掛け、姿を消すのだった……

 

「……ごめんなさい、錯乱してました」

服の修復が終わったのでまた具現化すると、シルフィーさんが正座していて、膝の上に大量の辞典が置かれていた。吸血鬼にどこまで効果があるか判らないけど、ガーリックパウダーで弱体化しているのか、顔が歪んでいる

 

「いや、本当横島君と離れるの嫌でさ」

 

……それなら横島君を襲うのを止めれば絶対横島君は拒絶しないと思うんだけどね……どうもシルフィーさんは自分の欲望に忠実すぎるのが問題だと思う。でもまぁそれは横島君への恋心ゆえの暴走かと苦笑しながら

 

「次やったら絶対許さないからね?」

 

いきなり教室でストリップをさせられかけるなんて悪夢としか言いようが無い。だから今回だけは許すけど次は無いよと釘を刺す

 

「……本当反省しています」

 

声の響きから本気で反省しているのが判った。それに助けてくれと言っているのを見捨てるのも気分が悪いので

 

「課題見せて、教えてあげるから」

 

愛子本気なの!?と私を囲ってくれた女子がそう叫ぶけど、同じ人を好きになったってよしみって事で今回だけは助けてあげようかな。ただし

 

「今度横島君に迷惑をかけたら2度と助けないからね」

 

イエスマムッ!と敬礼するシルフィーさんに苦笑しながら、シルフィーさんの膝の上の辞書をどけてシルフィーさんの課題を教えてあげる事にするのだったが

 

「愛子。絶対あんた行き遅れするタイプだわ」

 

ぼそりと呟かれたその一言。未来で実際行き遅れた私には余りに痛い一言で思わず机に突っ伏してしまうのだった……

 

 

 

GS試験でお互いに重傷を負って入院していた僕とタイガーさんは奇しくも同じ日が退院の日で一緒に病院を出たのですが……

 

「タイガーさん。本当に大丈夫ですか?」

 

まだ包帯を巻いているし、足元もふらついているので本当に大丈夫なのか?と尋ねると

 

「全然大丈夫ですジャー?ワッシは身体は頑丈ですけん」

 

にかっと笑う顔を見る限りではやせ我慢とかではないと言うのが判る。それならあんまり大丈夫か?尋ねるのは失礼に当ると思い、それなら良いのですがと返事を返す

 

「ふう、しかし……シルフィーが横島さんに迷惑をかけてないか激しく不安です」

 

僕達よりも早く退院した横島さん。きっともう学校にいっているだろうから、シルフィーが迷惑をかけてないか激しく不安になる

 

「あー大丈夫じゃないですかのー?チビとモグラがついてるけん」

 

横島さんが基本的に連れている2匹の戦闘力の高さは知っているつもりだ、下手をすると並みのGSよりも強いかもしれない……だから最悪の事態になることはまず無いと確信しているのですが

 

「……蛍さんとかに怒られるの僕なんですよ」

 

どんまいですじゃーっと肩を叩いてくれるタイガーさんにありがとうと呟く。横島さんに対しては過保護すぎる蛍さんやシズクさんに怒られる恐怖は言葉にはしにくいが、真面目に怖い。特にシズクさんは氷柱を心臓に向けてくるので死の恐怖を感じる

 

「ワッシはフルボッコにされた挙句氷の棺じゃったのー」

 

遠い目をしているタイガーさん。どうもシズクさん達にボコボコにされたことがあったようだ……横島さんの回りにいる女性は皆強すぎる。そしてそれでいて横島さんを傷つける者を許さないので、本当に気をつけないといけない

 

「ピートさんは知っとるかのー?あのチビって言うグレムリン。鬼を一撃で倒したことがあるらしいんじゃ」

 

……それは種族的に考えたらありえない話だ。グレムリンはぎりぎり悪魔と言えるレベルの低級の悪魔だ。どっちかというと妖精とかそういうのに近い種族で、鬼とは比べるまでも無く弱い

 

「エミさんが言うには横島さんの霊力とか、タマモの妖気とか、シズクさんの竜気とかに触れて突然変異してるらしいんじゃ……もう大人のグレムリンよりも遥かに強いとか……」

 

……見た目は可愛いが、実はとんでもない種族に変化しているかもしれないチビに少しだけ恐怖を感じた。シルフィーが横島さんに襲い掛かる度に電撃で迎撃しているが、そのうち大変なことになるような……

 

「横島さんの近辺は魔窟ですね」

 

今の段階でも横島さんの周りにはたくさんの妖怪がいますが、もしかすると今後まだまだ増えていくかもしれないと思うと、横島さんはGSではなく、別の何かを目指したほうがいいような……

 

「タイガーさんはどうするんですか?僕は教会に帰りますが」

 

タイガーさんにどうするつもりですか?と尋ねるとタイガーさんは思い出したように

 

「退院したら1度唐巣神父を尋ねるようにとエミさんに言われてたんじゃ、今から尋ねて行っても迷惑じゃないかノー?」

 

唐巣先生の性格を考えたら多分大丈夫だと思いますよ?と返事を返し、タイガーさんと一緒に教会に向かって歩き出すのだった……

 

「先生、今帰りました」

 

「おかえりピート君、それと……タイガー寅吉君だったね?小笠原君から話は聞いてるよ」

 

除霊帰りなのか聖書と札を机の上に置きながら笑顔で声を掛けてくる唐巣先生を見て、タイガーさんは

 

「除霊帰りでお疲れでしょう?また後日お伺いするんじゃー」

 

除霊は体力と霊力を消耗する。いくら先生ほどのGSでも除霊の後は疲れ切っている、タイガーさんはそう判断して引き返そうとするが

 

「いやいや、構わないよ。早い内に話をしたいと思っていたからね、さ、座るといい」

 

椅子を指差され、タイガーさんは少し悩んだ素振りを見せながらお邪魔するけんと言って、教会の中に足を踏み入れるのだった……

 

「紅茶の茶葉がある……僕がいない間もちゃんと仕事が合ったんですね」

 

荷物を部屋に置いてから、キッチンでお茶の用意をしていると、見覚えの無い紅茶とお茶の缶を見つけて、先生がちゃんと報酬を貰って仕事をしていたのが判り安堵の溜息を吐く。入院している間唐巣先生がお金を貰っているのかと言う不安を感じていたが、そうじゃなくて本当に安心した

 

「お茶をいれ……あれ?」

 

唐巣先生と話をしているはずのタイガーさんの姿が無い。僕が首を傾げていると

 

「タイガー君ならもう帰ったよ。早速試したいことがあるってね」

 

そうなんですか……折角お茶を淹れたんですけどね……と呟きながら唐巣先生の前にお茶とお菓子を置いて

 

「何の話をしていたんですか?」

 

「ああ。タイガー君の除霊スタイルの事についてね。彼は体格は恵まれているが、彼の霊能はあまり攻撃に向いていない。それに対して小笠原君は攻撃と呪いに特化しているからね、補助系はあまり詳しくないから、そっちのほうで何か指導してもらえないか?と頼まれたんだよ」

 

補助系ですか……確かにタイガーさんは体格も大きくて、腕力もありそうに見えますけど、性格が穏やかだから余り殴った

りするのは性格的に向いていないだろう。それは得意としている霊能が精神感応という所にも出ていると思う

 

「何を指導したんですか?やっぱり聖句とかですか?」

 

僕も教わっている聖句を教えてあげたんですか?と尋ねると唐巣先生は苦笑しながら

 

「それだと私の弟子になってしまうだろう?あくまでタイガー君は小笠原君の弟子だ。あんまり口を出すのはお門違いと言うものだよ」

 

それなら何を教えてあげたんだろうか?と考えてみるが、これだって言うのが思いつかない

 

「ピート君やシルフィー君には向いてない技術だから思い当たる節が無いのも当然かな。一応話の中では言ったけど、その修行はしなかったからね。私がタイガー君に教えたのはヒーリングの基礎だよ」

 

と言っても私はあんまりヒーリングが得意じゃないから、使い方の基礎を教えてあげただけどねと呟く、そう言えばヒーリングは稀有な霊能の上に元々再生能力の高い僕やシルフィーでは使う感覚を思うように掴めないだろうから、と言って教えて貰わなかった事を思い出した

 

「無論使いこなすのが難しい霊能の上に、回復量も安定しないだろうから実践レベルで使うのは恐らく長い修行が必要になるだろうけど……私の勘だときっと彼に向いていると思うよ」

 

にこりと笑う唐巣先生だったけど、次の瞬間には真剣な顔になって

 

「ではピート君。申し訳ないが、ブラドーにこの手紙を出してくれないか?」

 

ブラドー島に?唐巣先生から手渡された分厚い便箋を受け取りながら、首を傾げる。ブラドー島に手紙を出すことはそう難しいことじゃない、使い魔の蝙蝠に頼めば国際便よりも遥かに早く届く。でもなんで父さんに手紙を?

 

「ピート君がGSの仮免許に受かった事を伝えないといけないだろう?それに息子と娘を預かっているんだ、近況を伝えるのは当然のことだろ?」

 

そう言われるとその通りですねと呟き、その分厚い便箋から1匹では駄目だなあっと思い2匹の蝙蝠を呼び出して

 

「これを父さんに届けてくれ」

 

「「キイッ!」」

 

元気良く鳴いて飛び立っていく蝙蝠を見送っていると勢い良く教会の扉が開き

 

「ただいまー!今帰りましたー!!」

 

元気なシルフィーの声が教会に響く、僕は苦笑しながらシルフィーの分のお茶を淹れてきますねと唐巣先生に声を掛け、キッチンへと戻るのだった……

 

 

 

培養液の中に浮かんでいる鎌田勘九朗。見た目だけはある程度回復させることが出来たが、恐らく培養液から出した瞬間に死ぬじゃろう、それほどまでにガープの魔炎の威力は凄まじいものじゃ。メタソウルに魂を移して助ける事を考えたが、傷ついた肉体と魂の今の状態ではメタソウルに魂を移すことも出来ないので、まず最低限……メタソウルに魂を移せるレベルまでの治療を施しているのじゃが……正直よくここまで回復したなと感心する

 

(強靭な身体と魂じゃなあ)

 

アシュタロスに提供してもらった特製の回復用の培養液の効果が高いのもあるが、回復には鎌田勘九朗自身の生命力と生きるという気持ちが何よりも大事だ。普通なら死んでいてもおかしくないダメージを受けてもなお生きているのは単純に鎌田勘九朗の生命力の高さがあってのものだ

 

「さてと……そろそろ回復してきた所じゃから聞くぞ?もしワシの言葉に返事を返すことが出来るなら、手を動かしてくれるかの?」

 

流石に少し早いかの?と思いながら尋ねてみると右腕が僅かに動く……駄目もとで尋ねてみたので返事があった事に驚きながら

 

「まず判っていると思うが、このままではお主は死ぬ。判っているな?」

 

自分の状態は判っているのか、こくりと頷く鎌田勘九朗に続けて

 

「ワシはお前に2つの選択肢を与えることが出来る、1つはこのまま死ぬこと、もう1つは人間じゃない身体で生き延びるか……お主はどっちがいい?生きたいか?それとも死にたいか?」

 

死にたいか?と尋ねると首を振る。そうか……人ではない身体となったとしても生きていたいか……

 

「うむ、心得た。ヨーロッパの魔王ドクターカオスが必ずお前さんを生かしてやろう」

 

メタソウルの準備はまだ出来ていないが、作成する事は出来る。そうすればお前を生かすことが出来る、功労者の1人をこのまま死なせる訳には行かんからな

 

「ではまた眠っておれ、身体の調整だけはしないと……む?どうした?」

 

メタソウルを組み込むボデイの調整をすると言うと、とんとんとケースを叩く。ボデイに何か注文があるのかのう?

 

「安心するがいい、ちゃんと元通りの身体「どんどんッ!!」むう……」

 

写真を元に復元するつもりだと言うと、力強くケースを叩く……これはもしかして……

 

「男の身体は嫌か?」

 

こくこくと何度も頷く鎌田勘九朗。ふむ……なるほどなるほど……これだけの反応を見せるという事は……これしかないの

 

「女の身体が良いと言うんじゃな?」

 

身体を動かすのも辛いはずなのに何度も何度も力強く頷く。まぁ元はマリアとテレサの有機ボディを作った時の試作があるから、それを男に改造するよりもそのまま使う方が楽じゃな

 

「あい判った。女のボディで調整してやろう、眼球の再生が終わったらお前さんの好きなように身体を整形する。それで良いな?」

 

ぶんぶんという擬音が聞こえてきそうな勢いで頷く鎌田に少し引きながら任せておけと声を掛け

 

「さ、もう少し眠っておれ、調整が出来るのは大分先じゃからな」

 

メタソウルの生成にも時間が掛かる、それに加えて鎌田の魂がメタソウルに移植するのに耐えれるようになるまでの時間も考えると半年は掛かる計算だ。鎌田自身もそれが判っているのか、徐々に反応が弱くなって行く。

 

「よっぽど男の身体が嫌じゃったんだな」

 

なんでも性同一性症だったらしく、よっぽど男の身体が嫌だったんだろうなと呟き部屋の明かりを消す

 

「カオスー?ご飯できるよー?」

 

テレサのワシを呼ぶ声に今行くぞーと返事を返し、ワシは地下を後にするのだった……

 

 

 

そしてこの頃東京から遠く離れたある山奥では

 

「ふむ、娘と自分を助けてくれた人間の元へ行きたいというのじゃな?」

 

どこか田舎を思わせる家の中で着物を着た立派な髭を持つ老人がそう呟く、だがその老人には耳と尻尾があり人間ではないのが一目で判る。そしてその老人の前で座っているのは妙神山に行く時、横島が遭遇した人狼の犬塚クロその人だった……

 

「娘が言うのです、武士として命の恩人の顔を知らぬ上に感謝の言葉すら言わぬというのは余りにも非礼。無論人間界との繋がりを絶っているのも重々承知しておりますが、我が娘ともども人間界へ行くことをお許しください、長老」

 

里1番の剣士であるクロの頼みであるから長老としてもかなえてやりたいと思う所だが、人狼族は人間との繋がりを絶って長い。そして何よりも迫害の歴史があったからこそ結界を用いて里を隠している。確かにシロとクロの言うことも判る、だがはいそうですかと長老も返事を返すことが出来なかった

 

「腕と目を失う覚悟で天狗殿と戦う事を選んだ某が間違っていると、そして天狗殿にも恐れる事無く、自らの意思を通した横島殿は確かに人間ではありましたが、信用に値する武士であったと言えます。どうか、ご許可を」

 

繰り返し頭を下げられた長老は参ったのう……と呟きながらキセルの灰を囲炉裏に落とす

 

「仕方あるまい、お主にそこまで言われたのでは駄目と言う事も叶うまい。特例として許可する」

 

「ありがとうございます!長老」

 

半日の間交渉を続け、やっと許可を取る事が出来たクロが長老の家を出ると

 

「っと!」

 

それと同時に鞘に納められた刀が投げ渡される。咄嗟にそれを受け止めたクロに

 

「……俺の刀だ。ちゃんと返しに来い」

 

「ポチ……ああ、ありがとう。借りていく」

 

里で2番目の剣士であり、クロの旧友でもある犬飼ポチから投げ渡された刀を腰に差したクロはそのまま家へと戻り

 

「父上。長老はなんと?」

 

「支度を整えろシロ。行くぞ、横島殿を探しにな」

 

「はいっ!」

 

そしてこの日人狼族里からシロとクロが横島を探して旅立つのだった……

 

 

リポート26 これから その4へ続く

 

 




かなり早めにシロを登場させますが、基本的にはマスコット枠での参戦となります。そして鎌田は……女の人造人間として復活する予定です。大分先ですけどね、次回は仮面ライダーのベルトの分析の話を書いてみようと思います。ここまでノータッチでしたからね、ちゃんと書いておきたいと思ったので

それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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