GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!!   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は日常的な話となります、暫くシリアスとか戦闘メインの話ばっかりでしたからね。日常的なほのぼのをこれでもかと書いていこうと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その2

 

 

リポート26 これから その2

 

美神さんが二日酔いで予定していた俺と蛍だけの除霊が延長となり、オーナーさんの都合もあり、1週間の延長となったので俺自身は覚えていないが、入院していたらしいので身体を鍛えなおす良い期間だと思うことにした

 

(テストも近いし。学校も行かないとなぁ)

 

また蛍に助けて貰わないと留年しそうだなあと苦笑しながら柔軟を終える。はーっと息を吐くと白くなる、まだまだ朝は寒いなあ

 

「みーむ!みーむ!」

 

「うーきゅー!うきゅ!」

 

チビとモグラちゃんが楽しそうに鳴いているのを見ると自然と頬が緩む。なおチビとモグラちゃんにも防寒具として服もどきを着せている(チビはクリスマスの時の俺のコスプレセットだが……)タマモは起こしてみたんだけど起きなかったので留守番だ

 

「準備できた?」

 

自転車に乗って準備は出来た?と尋ねてくる蛍にああっと返事を返し、俺は朝の日課となりつつあるチビとモグラちゃんの散歩を兼ねたランニングに出かけるのだった

 

「みー!!みー!!!」

 

「きゅきゅきゅー!!!」

 

いつもゴールにしている川原まで走って来た所でリードを外してチビとモグラちゃんの好きにさせてやる。やっぱり広い所を走ったり飛んだりしている方が生き生きしているな

 

【霊力の循環を意識しろ、休んでいる時も常に修行だ】

 

心眼の言葉でつい普通に休もうとしていたのに気付いて、数回深呼吸を繰り返してから霊力の循環を意識する

 

(こ、これか?)

 

身体の中心から指先に向かって暖かい感覚が広がっていくのが判る、これが霊力の循環なのか?正直自分ではこれで良いのかよく判らない

 

【うむ、その感じだ。その感覚を忘れるな。霊力はお前の力だ、意識をしなくてもコントール出来る様になれ】

 

なんとも難しい注文だなあ……でも心眼のおかげか少しずつ、霊力って言うのが判ってきたような気がする。

 

【ヒヒー♪】

 

そんなことを考えているとポケットからウィスプ眼魂が飛び出して、かぼちゃ頭にマント姿に変化してチビ達の方に合流する、ウィスプも子供なのか実に楽しそうだ

 

「だいぶタイムが縮んで来たわね。持久力と体力がついてきた良い証拠よ」

 

俺の隣に座って笑う蛍の言葉にそうかと返事を返す、自分では自覚してないけど蛍がそう言うのならきっとそうなんだろうな

 

「なんか見ていると微笑ましい気持ちになってくるわね」

 

「ああ。見てると和むよなあ」

 

チビやモグラちゃんがいるだけで日常が明るい物になってくるように思える。しかしそのなんだ……蛍が近くに座っているので甘い香りとかがして落ち着かない、もしここで俺が蛍の肩を掴んで抱き寄せたらどう……

 

(いかんいかん。そんなことを考えたらいかん)

 

頭を軽く振って一瞬頭を過ぎったピンク色の妄想を飛ばす。蛍には感謝している、目標も何も無かった俺に進むべき道を示してくれて、こんな馬鹿でなんの取り柄の無い俺を見限ることも無く応援してくれているんだ。そんなことを考えるなんて恩知らずにも程がある

 

(もっと強くならないと……)

 

今の俺は蛍におんぶに抱っこだ。蛍に迷惑ばかりかけている。だから……もっと強くなって……自分を信じられるようになったら……俺はきっと自分の想いを口に出来ると思う。だから今はまだ想いを告げるには早すぎる

 

「どう?バイクの免許の勉強は進んでる?」

 

「んーそこそこかなあ」

 

蛍が一緒にツーリングしようと言うので勉強をしているが、GSの勉強に学校の課題もあるので思いように進んでいない

 

「焦らなくても良いからね?ゆっくり頑張りましょう」

 

そう笑う蛍の顔を近くで見てしまい、なんか気恥ずかしいものを感じて立ち上がると蛍が悪戯っぽく笑っているのに気付いて、更に落ち着かないものを感じてしまう

 

「さ、そろそろ休憩も終わり。また走るわよ」

 

そうやな、シズクとおキヌちゃんが朝ごはんを作って待ってくれてるからなあ……そろそろ帰る時間か

 

「チビー、モグラちゃん帰るぞー」

 

川原で遊んでいるチビ達を呼び戻し、家に戻ることにするのだった……

 

「じゃ、私とおキヌさんは美神さんと除霊があるから、横島は申請書の準備をちゃんとしないと駄目よ?」

 

【今回のは楽な除霊って聞いているので直ぐに帰りますからねー♪】

 

GSの仮免許を受け取るためにはちゃんと書類を作らないといけないらしく、朝食の後手渡された書類の束に軽く絶望しながら、判ったーと返事を返し除霊に向かう蛍とおキヌちゃんを見送るのだった。でもいつの間に、俺の家は蛍やおキヌちゃんが当然のように居座るようになったんだろう……いや別に良いけどな。

 

「……まぁ、面倒だと思うが頑張れ、必要な事らしいからな」

 

百科事典並みの厚さの書類って面倒を通り越して嫌がらせだと思うけど、これをやらないと仮免許を貰えないのならやるしかないかと溜息を吐きながら俺はボールペンを手にする

 

「みみみみみ!みみー!みっ!みっ!みみー!!」

 

「うきゅ!きゅきゅー!うっきゅ!うきゅきゅー!」

 

TVの幼児向けの番組を見て短い手足を振って歌っているチビとモグラちゃんを見て、普段こんな事をしてるんだなあと微笑ましい気持ちになりながら、めちゃくちゃ細かくいくつも書かれている注意事項の数々とあまりに多い記入欄の数に気が滅入りそうになりながら少しずつ書類を書き始めるのだった……

 

「うーん?」

 

「……どうした?」

 

書き始めて数分立った所でどうも妙な感覚がして、手が止まってしまった。シズクがどうした?と尋ねて来たので

 

「いや、多分気のせいだと思うんだけど……誰かに見られてる気がしてな?」

 

俺を見ても楽しくなんか無いだろうから、多分気のせいだと思うけどと言うと、シズクの表情が険しいものになり

 

「……私のほうには思い当たる節があるな」

 

シズクが恐ろしい表情をして、ペットボトルを抱えて出て行くのを見てそんなに危険な状態なのかと激しく不安に思うのだった……

 

 

 

美神さんの除霊の助手として今日は現場に来たけど……5分ほどで除霊も終わり、現場の清め作業まで終わってしまった……

 

「これ本当に私必要だったんですか?」

 

本来美神さんが受けるような除霊ではないと思う。それにこんな簡単な仕事なら美神さん単独でも出来た筈

 

「ま、除霊の手伝いをしてって言うのは半分くらい口実だからね」

 

基本的に横島君が付いて来てしまうから、蛍ちゃんとおキヌちゃんだけと話がしたかったのよと笑う美神さん。どうもこっちが本命の話のようだ

 

【横島さんがいると不味い話なんですか?】

 

おキヌさんの問いかけに美神さんの表情が僅かに曇る。横島に関係する話となるともしかしてGS試験の時の魔力の問題でGSの仮免許も剥奪となるって事じゃ?と不安に思っていると

 

「ああ。仮免許はちゃんと発行されるから心配ないわよ?横島君が今回の事件の功労者みたいな所もあるから」

 

特にガープに殴りかかったその度胸はかなり買われてるみたい。じゃあ何が問題……

 

「研修期間が蛍ちゃんのほうが早く終わりそうなのよね」

 

研修期間?……私が首を傾げていると美神さんが説明してくれた

 

「横島君と蛍ちゃんだと基本的な知識量が違うし、それに霊力の扱いの差もあるし……多分横島君よりも早く本免許が発行されると思うんだけど、それで横島君がふてくされないかって心配でね」

 

う、うーんそれは確かに難しい問題かもしれない、一応私と横島は同期って事になるし。私だけ先に本免許になると言うのは気がかりだ

 

【本免許はまず美神さんが受け取って、時期を見て手渡せば良いんじゃないですか?】

 

「それも考えたんだけどねぇ、ガープのせいで大分GSの数が減っているってのもあるから、早い段階で蛍ちゃんには本免許を発行したいらしいのよ】

 

あーそう言えばニュースで言っていた気がする。GS試験に参加していたプロのGSが引退宣言とか……ガープと戦うのが怖くて逃げたって事なのかしら。でもそれは無理も無いような気がするけど……誰が好き好んでソロモンの魔神なんて言う規格外と戦いたいと思うのか?と言うことだ

 

「まぁ蛍ちゃんが先に本免許を取ってくれれば、こっちとしてはかなり有難いのよね。あのくえすが自分の事務所開設するらしいから」

 

はい?美神さんの言葉に思わず尋ね返してしまう。横島は優しくて良い人だって言うけど、私には到底そうは思えないし。何よりもガープの一件から明らかに横島を意識している。あの時の横島を抱きしめての勝ち誇ったような顔は忘れることが出来るはずもない……そしてそれから認識したのだ、あの人は私の敵だと。しかも相当危険な相手だと確信したのだ、そしてそれを裏付けるような証拠もある

 

(あの人は危険だ!)

 

先日お父さんの持っているトトカルチョの紙に変化があった。それはありえなすぎる変化でお父さんが思いっきり噴出していたから嫌でも覚えている。そしてそんな人が事務所を開設する理由は何だ?と考えたら答えは1つしかなかった

 

神宮寺くえす 124.9倍→0.7倍

 

私の1.3を超えた。しかもあの手のタイプは危険だ、自分の感情だけを優先する。そしてそんな神宮寺くえすが事務所を開設する、それすなわち

 

「研修制度ですね!?研修制度を使うつもりなんですね!?ちゃんと断ってくれるんですよね!?」

 

若手GSの育成の為に研修をさせる制度がある。対象者は仮免許と本免許を取って1年未満と言うのが条件で、所属している事務所同士の話しあいになるけど基本的には断る事も出来る。だから美神さんにその申請があっても断ってくれるんですよね!?と詰め寄ると美神さんは明らかに目を逸らして

 

「ごめん、パイパーの一件で1回だけくえすの要求を無条件で引き受ける約束を……」

 

「最悪だッ!!!」

 

神宮寺あの人は駄目だ。横島の好みの年上だし、胸も私よりも遥かに大きいし……完全に横島のストライクゾーンのど真ん中だ。私と神宮寺くえすの戦闘力の差を感じてしまい、思わずその場に蹲ってしまう

 

「でもそれが無くても私はその要請を受けたわ」

 

その言葉に思わず美神さんの顔を見ると美神さんは静かにと言うジェスチャーをしながら

 

「GS試験で横島君が魔力を使ったのは覚えてるわね?その魔力に関してくえすが心当たりがある、教えてもいいが、条件として横島君を研修によこせって言ってるみたいなの」

 

出来れば私も研修には出したくないけど、その件についてはくえすの話を聞かないといけない。だから今回は我慢してと言う美神さん。ここまで言われたら駄々を捏ねる訳には行かないし、それに横島の魔力に関しては私も知りたいと思っているので嫌で嫌で仕方ないけど、我慢するしか無さそうだ

 

「なんかごめんね?で、でもほら、数日程度だし蛍ちゃんが不安に思う事は無いと思うわよ!?」

 

励ますように美神さんが声を掛けてくれるけど、嫌な予感がとんでもない

 

【魔法使いなんですよ!?もうあれですよ!?絶対変な魔法とか、薬を使いますよ!?私が欲しいと思っているもの的な!あれを!ピンク色のあの薬を使うに決まっているんですよ!!】

 

この色ボケ巫女幽霊も死んでくれないかな、あ、もう幽霊だから死なないか……と言うか、この人普段何を考えているんだろう……

 

「……多分。大丈夫だと思うわ」

 

「なんでそんなに不安そうなんですか!?」

 

その口調ではとてもではないけど安心など出来るわけもない。というかあの人は絶対あれです、肉食系女子です。横島がぱっくり食われる未来しか想像出来ない

 

「うう……聞きたくないことを聞いちゃいました」

 

絶対安全だと思っていた参加者が脅威の敵へとなってしまっている。しかもその敵の下に横島を送り出さないといけない、そんな知りたくも無い未来を知ってしまった。私の精神的ダメージは相当なもので暫く動くことが出来ないのだった……

 

 

 

蛍がそんな精神的ダメージを受けている頃、神界でもとんでもない問題が発生していた……ガープとか、裏切り者が出たとかそういう話ではなく身内的な意味で深刻な問題だった

 

「ヒャクメー?いないんですかー……ってヒャクメーッ!?!?」

 

今後の方針を固める為にもヒャクメの能力を借りようと思い、ヒャクメの家を訪ねたのですが、私を待っていたのは

 

「……」

 

『横島様の所へ参ります。ではでは 清姫 追伸 竜神王様 役人は選んだほうがいいですよ?返り討ちにしましたが、襲われかけました』

 

鍵で外された清姫の能力を封印する腕輪と目を回して倒れているヒャクメ。そして壁に貼り付けられた清姫の手紙

 

「起きなさい!ヒャクメー!ヒャクメーッ!!」

 

いつ清姫が逃げたのか知りたくて気絶しているヒャクメを起こすと

 

「小竜姫?……ううう!怖かったのねーッ!あの子怖すぎるのねーッ!!!」

 

号泣しながら抱きついて来たヒャクメに何があったのか?と尋ねると

 

「うう、あのなのねー?清姫が逃げたのは私のせいじゃないのねー」

 

相当清姫が怖かったのか震えているヒャクメに詳しい事情を聞くと、竜神王との謁見の時に清姫を迎えに来た竜族が腕輪を外して、手篭めにしようとした所を反撃され、清姫は鍵を奪ってそれで逃亡されたと

 

「それでその竜族はどこに?」

 

追伸の内容を見る限りでは、その竜族は清姫を襲おうとして返り討ちにあって、鍵を強奪されたのだろう。となるとヒャクメを責めるのはお門違いと言うものだし、そもそも竜神王の家系の姫である清姫に手を出そうとしたその竜族のほうが責任重大だろう

 

「あそこなのねー?」

 

ヒャクメが襖を開けると丁寧に角を2本とも切り落とされた若い竜族が猿轡を噛まされ、逆さ吊りにされていた

 

「んーんーッ!!!」

 

助けてくれと叫んでいるであろう竜族を殺気を込めて睨みつけると白目を向いて気絶する。女性に暴行を振るおうとするなど同じ竜族としても神族としても認める訳にはいかない。それに角を失っているので一族からも彼を助けようと思うものはいないだろう

 

「ううう……これって私の監督不行き届きになるのねー?」

 

不安そうに尋ねてくるヒャクメに大丈夫ですよと笑いかける。どう考えてもあの馬鹿の責任なのでヒャクメが責任を感じることは何も無いですよと言いながら清姫の手紙を壁から剥がし、気絶している馬鹿を吊るしているロープを切り

 

「竜神王様に報告に行きましょう」

 

「……減給だったら嫌なのねー……」

 

自分が任されたのに逃亡されてしまった事に責任を感じているヒャクメを励ましながら、私は馬鹿を引きずりながら竜神王様の宮殿に向かうのだった……

 

「ふむふむ。なるほどなるほど……」

 

報告と清姫の手紙を見せると額に青筋が浮かんだ竜神王様。先代の孫娘である清姫に手を出そうとした竜族は顔を青褪めさせて震えている。どんな裁きが下されるのかと考えて脅えているのだろう。娘を持つ竜神王様が今回の事件を聞いて恩情で済ませる筈も無く

 

「ちょうど魔界正規軍に竜族の文官の要請が来ておる」

 

その言葉にがくがく震えだす竜族。これは下界への追放なんかよりよっぽど厳しい罰則ですね

 

「これより無期限の魔界正規軍への出向を命じる。連れて行け」

 

嫌だ嫌だと叫ぶ竜族を引きずっていく近衛兵。極刑よりも酷いその罰則に竜神王様の怒りの深さが判る

 

「さて、ヒャクメ。清姫の居場所は判るか?」

 

「えっと……た、多分なのねー。横島さんの所に向かっていると思うのねー?」

 

まぁまず間違いなく東京に向かっているでしょうね。仮にも竜族の中でも高貴と言われる血脈だ

 

「竜神王様。迎えに行きましょうか?」

 

何かあってからでは遅い、私が迎えに行きましょうか?と進言すると

 

「いや。清姫には好きにさせておく」

 

予想外の言葉に驚いていると竜神王様は

 

「好いてもいない男に触れられそうになったんだ。そのショックを考えると無理に連れ戻すのは酷だと思ってな……横島とか言う人間には申し訳ないがな。清姫の好きにさせてやろう」

 

竜神王様の判断に口を出すわけにも行かないので判りましたと返事を返す。

 

「ヒャクメは清姫の居場所が判ったら連絡してくれ、信用できる部下を護衛に回す。連れ戻しはしないが、護衛をつけるくらいなら構わないだろう」

 

「判ったのねー!直ぐに見つけるのねー」

 

ヒャクメの気合の入った返事に空回りしないかなと心配に思っていると

 

「それと小竜姫にも新たに命を下す」

 

私にもあると思っていなかったので少し驚いたが直ぐに姿勢を正す

 

「メドーサが今日付けで正式に天界所属の竜族として復帰する。暫くの間、妙神山で預けるからメドーサを頼む」

 

はい?予想外の命令に思わず尋ね返す。え?メドーサも妙神山で暮らすんですか?いや、冤罪なのは知ってますけど……性格的に絶対私と馬が合わないと思うんですけど……

 

「ま?これからよろしく頼むよ?小竜姫?」

 

からからと笑いながら私の頭に手を置くメドーサに

 

(老師になんて説明しよう、後部屋はどうしたら……)

 

急に増えた同居人のことをどうやって老師の説明すればいいのか、私は頭を悩ませながら竜神王様の宮殿を後にするのだった……

 

 

 

日本から届いた2通の手紙。1つは忠夫からで、もう1つは美神さんからの手紙だった

 

『おふ……母さん。えーと大変だったけど、GS試験に無事合格することが出来ました。まだ仮免許やけど、本免許を貰える様にこれからも頑張るわ 後な、蛍も試験に合格したで。2人で合格出来てほんま良かったわ』

 

よっぽど嬉しかったのか、大阪弁が混じっている忠夫からの手紙に苦笑しつつ、合格出来て良かったなあと呟く。もう1通の美神さんからの手紙は最初は忠夫が合格したことに対する件とそれと忠夫の手紙には書かれてなかった事も明記されていた

 

『横島君の才能の高さを正直侮っていました。勝てるわけ無いと棄権することを薦めましたが、横島君はその相手も倒しGSの仮免許を手にしました』

 

プロが言うのだから忠夫では勝てない相手に勝ったって事何やろうな……あの臆病な性格の割にはよう頑張ったと褒めてやらんと行かんなあ

 

『ただ横島君は目立ちすぎました。明記出来ないことをお許しください。ただ名前を知るだけでも危険な魔族なので横島君のご両親の身の安全を護ることを考慮して明記しません。横島君はGS試験の裏で暗躍していたとある魔族を殴り飛ばしました。これにより恐らくその魔族に目を付けられたのは明らかです』

 

あの馬鹿何やってるんだろうね……なんでそんな魔族に喧嘩を売ったのかと考えて……

 

(蛍ちゃんの為かな……)

 

忠夫は臆病で争いごとを好まない、そんな忠夫が自分から仕掛けたと言うことはよっぽど許せなかったのか、誰かを助けたいと思ったのどっちかだろう……

 

『横島君を護る事を考え、今後はより本格的なGSの修行に入っていきます。横島君を預かっている以上、死なせません、必ず1人前のGSに育て上げることをお約束します。それでは失礼致します』

 

丁寧に手紙を送ってくれた美神さんに感謝しながら手紙を封筒に戻し

 

「1回日本に戻るかねえ」

 

ナルニアみたいな辺境ならうちの人の浮気癖も収まると思ったけど、全然収まる事無く、日付が変わるまで待っていたけど、こんな時間になってもまだ帰ってこない。

 

「決めた。日本に帰ろう」

 

忠夫のことも心配だし、今やっている仕事が一区切りついたら日本に帰ろう。もう愛想も尽きたし、離婚しても良いか……蛍ちゃんのことも気になるし、忠夫も手紙じゃなくてちゃんと労ってやりたいし

 

「そうと決まればちゃっちゃっとやりますか」

 

契約がまとまりそうなのが3件と仕事の指示を纏めないといけないのが5件。正直数日で終わらせるのは難しい所だけど、仕事をしていればまさか日本の帰るなんてあの馬鹿亭主も思わないだろうから、終わってから不意をついて日本に帰ってやろうと思い。私は鞄から書類の束を取り出し書類整理を再開するのだった……

 

 

リポート26 これから その3へ続く

 

 




基本的にこれからは第二部に繋げる話となっております。なのでくえすが動くのも、百合子さんが日本に戻るのも第二部の話となります。次回は清姫や愛子さんの話を書いてみたいと思っています、これも第二部の話につなげることが出来るように書いてみたいと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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