GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!!   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は狐フェイズですね、まぁGSを知ってる人なら判ると思いますが、ナインテール・フォックス。
まんま九尾の狐ですね?そして九尾の狐といえばタマモちゃんです。好きなキャラなので少し早めに出してみる事にします
基本は狐フォームですけどね。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします



その2

 

リポート2 ナインテール・フォックス その2

 

夕食の準備をしていると忠夫がこそこそと学生服の中に何かを入れて歩いてくる

 

「忠夫」

 

キッチンの中からそう呼ぶと、忠夫はしっかりと学生服の腹の所を押さえて

 

「なんでもないで!なんでもないんやで!!」

 

ぽっこりと膨らんでいる学生服を見れば、何かを隠しているのは一目で判る。それになによりも

 

「まだ何も言ってないで」

 

首をぶんぶんと振り、更に手を振るオーバーリアクション。明らかに怪しい……なべの火を止めて

 

「怒らないから何を持ってきたか教えるんや」

 

まぁ物によっては怒るけどなと心の中で付け加える。これが捨ててあったエロ本とかなら今月のお小遣いは無しにしようと思っていると

 

「あのな、おかん……この子なんやけど、飼っても良いか?」

 

忠夫が私の前に置いたのはボロボロで薄汚れた子狐。今は眠っているのか動く気配が無い

 

(尻尾が2本。妖怪か?)

 

蛍さんの話では忠夫は妖怪に縁が出来やすいって聞いてたけど、これもその1つなのかしら?

 

「なぁ?あかんか?こんな泥だらけで可哀想や……」

 

忠夫の言うとおり、その狐はあちこち汚れている、もしかすると怪我をしているかもしれない、そう考えると確かに痛々しい……少し考えてから

 

「怪我が治るまでやで?もし出て行こうとするなら無理に捕まえたらあかんで?」

 

狐と言うのは我が強い。あんまり人間になれる生き物ではないと聞いている、それは妖怪ならなおの事そうだろう。もし出て行こうとするなら止めたら駄目と言う条件をつけると

 

「ありがとう!おかん!俺ちゃんと世話するわ」

 

嬉しそうに笑う忠夫。大樹に似たせいで女好きでスケベだけどその本質は誰よりも優しい子だから

 

「おかん。この子お風呂に入れても大丈夫かなあ?」

 

忠夫の手元を見る。確かに汚れてボロボロに見えるけど傷は殆ど無いわね。お風呂に入れて綺麗にしてから手当てしたほうが効率が良いと判断し

 

「良いわよ。ただし湯船は駄目だからね?桶よ?」

 

「はーい」

 

狐を抱えて歩いていく忠夫の背中を見つめながら冷蔵庫を開けて

 

「狐が油揚げを食べるって本当かしら?」

 

謎は残るがとりあえず用意してみようと思い。私は油揚げを薄味で煮る事にしたのだった……

 

 

 

 

風呂の桶の中でも起きる気配のない狐を綺麗に洗って、ドライヤーでぬれた毛を乾かしてみたら

 

「おお……ぴかぴかや」

 

金色ともとれる黄色の毛はとても綺麗だ。電灯の光でもぴかぴかと輝いているのが判る

 

「ふかふかや」

 

それにふかふかと柔らかくてぬいぐるみみたいだ。だけど生きているのでほのかに暖かい……

 

「可愛いなあ」

 

犬とか猫も好きだけど、この狐は別格だ。まだ眠ってるけどとても可愛い……

 

「お袋みてーぴかぴか」

 

「あら本当。綺麗な毛ね、もうご飯できるから座ってまってなさい」

 

お袋の言葉に頷き和室の畳の上に座り、自分の隣に狐を横にしながら

 

「おとんは~?」

 

「残業。今日は帰って来れないかもね」

 

そっか。残業かあ……もしかしたらナルニアのことが関係しているのかもしれないと思っていると、お袋が夕食を運んできてくれる

 

「今日はカレーなんやね!」

 

「忠夫好きやろ?」

 

「うん!大好きや!」

 

特にお袋のカレーは出汁が良く効いていて美味しい。そばやとかで食べるカレーと同じ味がするから好きや。皿の横のスプーンに手を伸ばすと

 

「そのまえにほれ」

 

お袋が小さな皿に載せた油揚げを差し出してくれる。狐といえば油揚げ

 

「おきるかなぁ「コン!コン!!」起きてる、食い意地の張った奴やなぁ」

 

風呂の中でも起きへんかったのに油揚げの匂いで起きてくる所を見ると、食い意地の張った狐やなと思う。狐の目の前に置くと

 

「はぐ!はぐはぐ!!!」

 

凄まじい勢いで食べていく、狐が揚げを好きって本当やったんなと思いながら俺もカレーを頬張るのだった……

 

「んーこんなもんかあ?」

 

夕食の後。籠と布とタオルをお袋に貰い狐のベッドを作ったのだが、こういうのは初めて作るのでこれで良いのかどうなのかが不安だ。狐は狐で油揚げを5枚ほど食べたらお腹を上にしてまた眠ってしまっているので反応を見ることも出来ない

 

「とりあえず駄目なら駄目でまた考えれば良いか」

 

くーくーと寝息を立てる狐を篭の中に入れて毛布をかぶせる。これで良いだろうと判断し

 

「ふあ……俺も寝るかあ」

 

蛍とのGSの訓練で霊力と体力を使い切っているので、俺も正直しんどいので布団に潜り込むと同時に俺は深い眠りに落ちるのだった……

 

 

 

チチチチッ!

 

外から聞こえてくる鳥の鳴声で目を覚ます。うっすらと目を開き周囲を確認する、見たことの無い物が並んだ部屋の中。そして自分は籠の中で眠っている。今までの朝と違い少し混乱し

 

(ここはどこ?)

 

咄嗟に飛びのき周囲を確認し、直ぐにその警戒を止めた。なぜなら

 

「ぐおおおおお」

 

怪獣みたいないびきをかいている少年を見つけたから、私は彼を探してここまで来た。だからここが安全なのだと判り篭の中から出て寝ている少年に近づく

 

「ぐおおおお。ぐるるるるる」

 

凄まじいいびきを立てる少年に抗議の意味も込めて、ぺしぺしと前足で少年の顔を叩く、暇だしやることも無いのでただの暇つぶしだ。そんなことを思いながら

 

(何でこいつを探してたのかしら?)

 

こいつの傍なら安全だとわかってここまで来たのだが、こうしてみても霊力も少ないし、金持ちにも見えない。如何してここに来たんだろう?横島の場所に……

 

(ん?横島?……なんで私こいつの名前を知ってるの?)

 

どうしてこの少年の名前が横島だと知っているのか判らず、混乱しながらも前足を動かしていると

 

踏み

 

(ぁ)

 

「ふぎあああああああ!?なんや!?目が!目がアアアアア!!!!」

 

おもいっきり肉球で横島の目を押してしまい悶絶している横島を見て小さく頭を下げるのだった

 

「いてて……おお!起きたんやな!狐「ガブッ!」ほあちゃあああああ!?」

 

狐呼ばわれが気に食わなくて思いっきり手を噛み付くと再び絶叫する横島。それをみて噛むのを止める

 

「狐って呼ぶのが駄目なんか?」

 

「コン」

 

「うーむ……シロ?「グルルルル」シロはだめなんやな?OK」

 

その名前はどこか懐かしい気もするが、気に食わない。それに私にはちゃんと

 

(タマモって名前があるのよ!)

 

心の中でそう叫ぶ、残念な事に今の私が人間に化ける事ができるのは夜の間だけ、しかも霊力が一番高まる満月の丑三つ時じゃないと完全に人化することは出来ない。だから届かないと思いながらもそう叫ぶと

 

「ふえ?タマモ?」

 

「コン!?」

 

なんで判ったのか判らず変な鳴声が出ると横島は

 

「そーか、お前タマモって言うんだな?って言うかなんで俺はわかったんやろなぁ?」

 

どうも本人も今一理解して無いらしいが私の名前が伝わったのでよしとしよう

 

「俺は横島な?横島忠夫。判るか?」

 

「コン」

 

判るわよと言う意味をこめて返事をすると、横島は嬉しそうに笑いながら

 

「よっしゃよっしゃ。んじゃあ朝飯食いに行こうぜ」

 

私を抱えて歩いていく横島。暖かくてこのままで良いやと言う気持ちになり、私は大人しくしているのだった

 

「あら狐ちゃん元気になったのね?」

 

「お袋。狐ちゃんじゃなくてタマモって言うらしいぞ?」

 

横島が横島のお母さんと話をしているのを聞きながら朝ご飯の油揚げを食べていると

 

「忠夫がつけたの?」

 

「んや。自分でタマモッて」

 

「そうなの……」

 

普通は何を言っている?という所だけど霊能力を持つ息子を持つ母親だから、驚くほど簡単に納得していた

 

「それで今日は蛍さんとGSの訓練をするんでしょ?お弁当作ってあるけどもって行く?」

 

「持っていくわ。疲れるし腹減るしな。そんじゃご馳走様!」

 

横島は手をあわせてご馳走様と言うと私を見る。何を言いたいのか理解した私は横島の足にしがみ付き、そのままするすると登っていき、頭の上で伏せる

 

「しゃあ!じゃあ行ってきます」

 

横島はお弁当の入った鞄を抱え、私を頭の上に乗せたまま出掛けて行ったのだった……私は横島の頭の上でバランスをとりながら

 

(ふあーいい天気)

 

暖かい日差しと安心できる横島の傍って事もあり。私はうとうとと浅い眠りに落ちていくのだった……

 

 

 

 

いつもの公園で横島を待ちながら今日の訓練を考える。破魔札の投擲術に、ちょっとした近接戦闘の心構えを教えれば良いだろう

 

(横島なら何かとんでもないことを閃きそうだしね)

 

横島の最大の武器はその柔軟な思考にある。型に嵌らないその戦術はトリッキーで対峙するのが難しいスタイルだ、その最大の武器をなくしてしまうのは惜しい。だから教えるのはあくまで基礎程度で良いだろう

 

「蛍ー」

 

横島の声がして振り返り、絶句した何故なら横島の頭の上に見覚えのある狐がいた……

 

(た、タマモ!?なんでこの時期はまだ殺生石で寝ているはずじゃ!?)

 

アシュ様の侵攻が終わった後に、目覚めたはずのタマモが横島の頭の上で寝息を立てているのをみて絶句していると

 

「蛍。タマモ妖怪みたいなんだけど一緒にいても大丈夫か?」

 

頭の上のタマモを見てそう尋ねてくる横島。うーん……妖力は殆ど無いし、9本あるはずの尻尾も2本……状態としては半覚醒くらいだから大丈夫かな?

 

「大丈夫よ。だけど急に妖力が上がったら危険だから毎日連れてきてね」

 

様子見をするほうが良いと判断しそう告げる。恐らく逆行してきたタマモさんの力で予定よりも早く目覚めたけど、力が足りないって感じだと思うから

 

「やっぱり蛍に相談してよかった。ありがとな」

 

嬉しそうに笑う横島はお弁当の入っている鞄の上にタマモを寝かせる。全く起きる気配が無いのは妖力を回復させる目的のためだろう

 

「よっし!じゃあ今日は如何するんだ!」

 

屈伸運動をしながら尋ねて来る横島。霊力が殆ど使えないから基礎しか使えないけど、物覚えは速い。そこは百合子さんの血だろう

 

「今日は軽く組み手と破魔札の投擲術ね。早く投げれるようになったほうがいいからね」

 

今日の訓練メニューを言いながら振り返ると、屈伸運動していた横島の姿はない

 

「組み手は嫌やーッ!!!!」

 

砂煙を上げて逃げていく横島。私は手にしていたヘッドギアをタマモの近くにおいて

 

「待ちなさい!横島ーッ!!!」

 

「嫌やー!!アッパーもボディブローもいやああああ!!!」

 

私の近接戦闘は美神さんに教わったボクシングかシロと小竜姫に教わった剣術だ。剣術では横島に不利だと思ってボクシングにしていたというのに、それでも逃げ出した横島を追いかけて全力で走り出したのだった

 

「ボデイは!ボディだけは許してええ!!」

 

前の組み手で思いっきり打ち抜いた左の脇腹を押さえてる。完全なトラウマになっているようだ……

 

「待ちなさい!横島!!!」

 

滝のような涙を流して逃げ回る横島を捕まえて、元の場所に戻りながら

 

(!この気配は……神族?)

 

だけど程度が低い、天界から追放された神か……その視線は眠っているタマモを見ている。大方九尾の狐を倒した功績で元の地位に戻ろうと考えている浅ましい神だろう

 

(これは一悶着あるかもしれないわね)

 

最悪横島とタマモが危ない。私は嫌や!嫌やあと泣いている横島を見て

 

「横島。今日の訓練は中止にしましょう、このまま遊びに行きましょうか?」

 

訓練を見られると横島がまだ霊能力に目覚めてないことが露見してしまう。そうなれば横島とタマモだけのときに襲われるかもしれない。横島は九尾の狐を庇った人間とかと言う理由で殺されてしまうかもしれない、そのリスクを考えればこれが正しい選択だろう

 

「遊び?どこへ!どこへいくんや!」

 

さっきまでの涙はどこへやら嬉しそうに笑っている横島に微笑み返し、特に考えて無いわと返事を返してから

 

「私の行きたいところ。横島の行きたいところに行きましょう?」

 

私は横島が好きな物は知ってるけど、もう1度新鮮な気持ちで知りたいという気持ちもある。だからそう言うと

 

「そっか。じゃあ色々見て回って、どこかでピクニックもいいかもしれないな」

 

タマモを頭の上に乗せて鞄を手にする横島と一緒に私は公園を後にした。私達のことを監視している神族のことは取り合えず後回しに……いや、正確には

 

「グルルルル」

 

「……上等じゃない」

 

横島の頭の上から私を睨みつけてくるタマモとの睨みあいで神族のことをすっぱりと忘れていたというほうが正しいのかもしれない……横島はその雰囲気を恐れ、空を見つめていたりするのだが、それは全く関係ないので割愛しておく

 

 

リポート2 ナインテール・フォックス その3へ続く

 

 




次回はアシュ様のフェイズとか小竜姫の視点を入れても良いかもしれないですね。今回も少しだけ戦闘の話を入れたいと思っていますので、狐フォームは可愛いので好き、人間時も可愛いのでタマモは好きですね。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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