GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!!   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話は竜神王の憂鬱と言うことで天界の竜神王に色々とトラブルとか、前回の清姫の処分とかの話を書いていこうと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


別件リポート

別件リポート 竜神王の憂鬱

 

小竜姫からの報告書に目を通した私はその報告書をきっちりと纏め、机の奥に戻してから深く溜息を吐いた

 

(清姫を脱獄するようにそそのかした魔族の情報はない上に、英霊を傀儡に……か……)

 

人間霊の中にも優れた武勲を挙げた者は、その魂を昇華させ英霊へと至る。無論最上級神魔と比べると劣るが下級や中級に匹敵する能力を持つ者も居る。

 

(源義経……か)

 

武勲に長けた勇敢な剣士。それが魔族によって操られ、自らの意思を失っている……その報告を聞いて私は確信した。今暗躍している魔族は間違いなくガープだと……仮にも英霊と呼ばれる存在を操ることが出来るのは、最上級神魔で無ければ難しいだろう……恐らく九兵衛を操っていた魔族と同一犯……そしてそれは間違いなくガープの仕業、心を操る術に長けたあいつの仕業としか思えない

 

「なんとかして捉えることが出来ればいいのだが……」

 

私は知っている過激派として追われているアシュタロスが味方で情報を集めてくれていることを……だが未来視の魔王と称されたアシュタロスが特定できないとなるとよほど上手く立ち回っているのだろう。アスモデウス一派、その首領アスモデウスは魔力・戦闘技術・戦略どれをとっても1級の将と言える。そしてガープもまた戦術と魔術そして魔科学に秀でた優秀な参謀……なんとかしてガープだけでも捕らえる事が出来ればアスモデウス達の作戦を妨害することも出来るのだろうが……

 

「無理な話か……」

 

ガープは頭が切れる。自分の能力の限界を知り、そしてその限界を超える研究を繰り返している。仮に補捉できた所で捕縛するのは不可能に近い。どうあがいても完全に後手に回るしかない今の状況に溜息を吐く事しか出来ない

 

「閣下。清姫をお連れしました」

 

私が溜息を吐いていると執務室の扉を叩く音と部下の声が聞こえる

 

「清姫だけ入れ、お前は執務に戻れ」

 

はっとと言う返事の声と同時にゆっくりと扉が開き清姫がゆっくりと部屋の中に入ってくる

 

「久しいな。清姫」

 

今までずっと着ていた黒の着物ではなく、白と緑の以前着ていた着物を着ている姿を見て少しだけ驚きながら清姫の名を呼ぶと

 

「はい。お久しぶりです閣下」

 

穏やかに笑うその表情は笑顔だけ浮かべていた以前の物と違い、心からの笑顔だった

 

「全く馬鹿なことをしたな。後100年で無罪放免だったというのに」

 

その笑顔に驚きながらそう言うと清姫はまた悲しそうな笑みを浮かべて

 

「だって高島様が転生なさっていたんですもの……100年待ったら今度はいつ会えるか判らないじゃないですか」

 

その言葉を聞いて深く、深く溜息を吐く……

 

「天界で暮らす気は無いのか?」

 

「ありませんわ」

 

即答する清姫にさらに溜息を吐く、私が清姫を1000年幽閉することを選んだのには理由がある。1000年前の平安京で大量虐殺を行った清姫。本来なら処刑なのだが、それが出来ない理由がある

 

「先先代が聞いたらなんと嘆くか」

 

清姫は先先代の竜神王の孫娘に当る。無論今それを知っている竜族は上層部だけだが、それが私が清姫を処刑できず、幽閉と言う裁きを下した理由だ。清姫は天界での暮らしに飽きて、地上におりそこで人間に恋をした。1000年経てばその想いも消えると思ったのだが……どうやら違っていたようだ

 

「また地上に戻りたいのですが?ご挨拶も碌に出来なかったですし、シズクがあの方の側に居るのも嫌ですし……ですので早く地上に戻れる許可をください」

 

「駄目に決まっておるだろうが!!」

 

魔術で忘れているとは言え、清姫はガープ達の一派に接触している。どれだけの魔族が集まっているのか?それに操られていないか?などの様々なことを調べる必要がある

 

「完全に白と言う結果が出るまでは天界で監視処分だ」

 

「そんな!?」

 

悲壮そうな顔で叫ぶが、これでさえも温情審判と言える。丁度そのタイミングで扉が叩かれる。恐らく清姫の監視を頼んでいた神族が到着したのだろう

 

「来たのねー?」

 

ぽやっとした表情で笑うヒャクメ。まだ覗き癖とサボり癖はあるが、最近しっかりしてきて近いうちに正式に天界正規軍に配属が決まっている。それまでの間清姫の監視を兼ねて共同生活して貰うことにしたのだ

 

「では清姫。しばらくの間ヒャクメと暮らすように後、脱走など出来ないように力を封じる腕輪をつけて暮らすように」

 

「う、うそ……あうあう。早くちゃんとご挨拶したいのに……」

 

細い両手首に黒い腕輪が嵌められ、あうあうと呻く清姫を連れて執務室を出て行くヒャクメを見送りながら、私は地上での竜族との話し合いの結果を纏めた書類に目を向けるのだった……

 

 

 

 

 

むすっとした表情で私の家の部屋の隅で座っている清姫ちゃんを見ながらフライパンを振るう

 

(うーむ。知らない子なのねー?)

 

竜神王様からの指示で監視するように言われたけど、私の記憶には存在しない竜族の少女だ……しかも1000年前の高島の知り合い……

 

(んー?これも逆行の影響?)

 

私は既に現代の私と完全に融合しており、今の私は未来のヒャクメであると同時に過去のヒャクメでもある。だから判る清姫は未来の世界には存在しなかったと、まぁ今こうして存在しているのだからそれについては仕方ないんだけど

 

「会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい」

 

エンドレスで会いたいと呟いているその姿がとても恐ろしい……

 

(なんで私ばかりこんな目に……会うのねー)

 

小竜姫にはよく八つ当たりをされて、そしてその上で恐ろしい気配を発している少女の監視役……とても悲しくなってきた

未来の経験を生かして少しだけ自分の立場を良くしようと思っただけなのに……

 

「清姫ちゃん?なにか食べるのねー?」

 

「ぷい」

 

そっぽを向いて話しさえ聞いてくれない、どうすればいいのか全然判らないのね……

 

(精神鑑定とかはもう済んでいるのに……)

 

私は既に清姫ちゃんの精神などを完全に調べて異常が無いことを確信している。それなのに監視しろ……っと言うのはたぶん建前

 

(魔族に協力したというのがあるからそう簡単に開放できないってだけなのねー)

 

そもそも清姫ちゃんは先先代の竜神王様の孫娘。血脈を大事にする竜族にとって処刑できる相手ではないし、清姫ちゃんが結婚すればまた強力な竜族が生まれ、竜族はさらに繁栄するという目論見があるから絶対に処刑されることは無い。だから監視と言うのが建前と言うのは皆判っている。作った野菜炒めを皿の上に乗せて

 

「ご飯にするのねー?」

 

「……会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい」

 

ぶつぶつと繰り返している清姫ちゃんは食事に手をつける気配が無い、うーむ。これは仕方ないのね。奥の手を使うのね

 

「あっと」

 

手が滑った振りをして数枚の写真を清姫ちゃんのほうに落とすと

 

「!?!?」

 

一瞬だけ視線を向けて慌てて写真に手を伸ばそうとするがそれよりも早く写真を拾い上げる

 

「ギロリ」

 

こ、怖いのねえ!?これ目線だけで人を殺せる目をしているのね

 

「どうして横島様の絵がここに?」

 

絵じゃなくて写真なのねーと心の中で呟きながら

 

「面白い人間だから監視しているのね?いっぱい写真があるのねー?」

 

見せびらかすように写真をちらちらと見せると

 

「シャーッ!!!」

 

「危ないのねー!?」

 

左手だけを竜の爪にして飛び掛ってきた清姫ちゃんの攻撃をしゃがんで回避する。力を封印されている筈なのに、信じられない素早さなのねー……

 

「ふー!ふー!!!」

 

ね、猫なのね……私の落とした写真を抱え込んで唸っている清姫ちゃん、少しだけ手を伸ばして見るが

 

「ふしゃー!!!」

 

何度も何度も爪を振るってくる。この子が良く判らなくなったのね……

 

「お手伝いしてくれるなら写真を分けてあげるし、いい子にしていたらそれだけ早く解放されるのねー?」

 

「こほん。ヒャクメさん?私はどうすればいいのですか?

 

ガラッと態度を変えた清姫ちゃんに苦笑しながら私はちゃぶ台の前に座って

 

「まずは美味しいご飯を食べて、身体を休めるのねー」

 

平気そうな顔をしているが、私には判っている清姫ちゃんが弱っていることが……それは当然だ。色々な神族に調査や尋問を受けているのだから疲れていて当然だ。だからまずは休むのねーと笑うと

 

「はい。ではその……頂きます」

 

手を合わせて箸を手にする清姫ちゃんを見ながら、これからどうやって清姫ちゃんと仲良くなるか?私はそれを考えながら自分の作った野菜炒めに箸を伸ばすのだった……

 

 

 

 

 

「ふー疲れた」

 

私は家に帰ってくるなりそう呟いた。地上の竜族の会談の纏めに、今後展開の防衛をどう固めるか?など考えること、やるべき事は山ほどあるのだから

 

「父上。おかえりなさい」

 

ととっと駆け寄ってきた天竜の頭を撫でる。過激派が天竜を攫うことを模索しているのでしばらく外出などさせることが出来ないが、こればかりは仕方ない。娘を殺されるわけには行かないからな

 

「ただいま、天竜」

 

駆け寄ってきた天竜の頭を撫でるとえへへと笑う天竜の姿に笑みがこぼれる。天竜はまだ子供だ、これから起きるかもしれない戦争に天界の権力争いには巻き込みたくないと

 

「父上!てんりゅーは人界で友達が出来たのです!」

 

嬉しそうに言う天竜の言葉に笑みがこぼれる。天竜と同年代の竜族はおらずいつも1人だったから友達が出来たと言うのは喜ばしいことだ

 

「あげはと言うのですが、とても優しくていい子でした。また会いたいです」

 

会いたいかぁ……もう少し天界の情勢が落ち着けばまた人界に連れて行ってやろうか

 

「それによこしまもとても優しかったです」

 

横島……まさか娘の口から出てくると思っても居なかった名前に内心動揺する。天竜は私の動揺に気付かず笑顔のままで

 

「とても良い人でした、あの方にもまたお会いしたいです」

 

……いやいや、まだ天竜は子供だからきっと憧れとかきっとそういうのに違いない

 

「天竜?夕餉の準備をするから手伝いなさい」

 

「はーい!では父上失礼します」

 

妻に呼ばれて走って行く天竜の背中を見つめ

 

「……まさかな。いやいや、それはない」

 

うん。絶対に無いと思うが、念の為に確認を……ああ、絶対にないはずだ……トトカルチョの紙を見て大きく深呼吸してから紙を開くと

 

清姫 5.1倍

 

天竜姫 11.7倍

 

「嘘だ!?」

 

清姫はまだ判る。だが何故私の娘が……思わず私はトトカルチョの紙を落としてその場に蹲るのだった……

 

シルフィー 24.7倍

 

とか訳の判らない上昇をしている者もいたが、それよりも自分の娘の名前……これが受け入れがたい結果と言うのはこういう物のことを言うのか……私は受け入れがたい結果を見てしばらくの間立ち上がることが出来ないのだった……

 

「母上。今度わたしはよこしまとあげはと遊びたいです」

 

「そうね、今度はもっとゆっくり遊べるといいわね」

 

なお天竜の名前がトトカルチョに刻まれたが、それは恋心などではなく、ただ優しいお兄さんに対する憧れだったりする……まぁ恋心にならないとは言い切れない所でもあるが……

 

竜神王が立ち直ったのは外回りに出ていたイームとヤームが戻り、声を掛けられてからだった……

 

 

なお竜神王が精神的ダメージでダウンしている頃アシュタロスはと言うと……

 

「増えてる!?また増えてる!!!」

 

どんどん増えていく名前に驚愕し、そしてガクガク震えながら

 

「や、殺られる……私が悪いんじゃないのに殺られる……」

 

トトカルチョの参加者が増えるたびに危機感を感じ暴走する蛍に恐怖し、逃げることを考えていたのだが

 

「オトーサーン……ナンデシラナイヒトばかりフエルノカナア?」

 

「……ききき、キタアア!?ま、待て待て待て!!!蛍!おち……ッぎゃあああああああああああ!!!!!!!」

 

ハイライトの消えた目でハンマーを引きずりながら現れた蛍、アシュタロスがどうなったかは誰も知らない……ただ1つ言えるのは、蛍の焦りとか暴走する恋心が文字通り叩きつけられた。それだけが判っているただ1つの事だった……

 

 

 

芦蛍 1.3倍

美神令子 1.0倍

メドーサ 2.6倍

ヒャクメ 3.5倍

×××××× 2.2倍

タマモ 5.7倍

小竜姫 4.1倍(現在)

小竜姫 1.4倍(未来)

おキヌ 2.4倍

×× 2.0倍

六道冥子 2.7倍

マリア 3.4倍

夜光院柩 4.7

シズク 5.5倍

神代瑠璃 7.7倍

シルフィー 7.8倍→24.7

アリス 6.5倍

神宮寺くえす 124.9倍

愛子 7.8倍

テレサ 6.9倍

清姫 5.1倍

天竜姫 11.7倍

ブリュンヒルデ 7.4倍

 

 

リポート21 ああ、騒がしき日常

 

 




前回の前書きで書いたとおり、次のリポートは「カモナ・マイ・ヘルハウス」「チョコレート人間誕生」の二つとオリジナルの日常の話を加えた話になります。チョコレート人間誕生は大幅にアレンジして、ただのバレンタインの話になると思いますけどね、それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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