GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!!   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話で韋駄天の話は終わりになり、そのまま順番を変えた天竜の話に入っていきます、ちょっと+αもありますけどね、メインは「天竜」の話にして行こうと思います。あ、ここで言っておきますが、童子じゃないですよ?うん、童子じゃないです。ここがとても重要なので2回言っておきます。天竜童子じゃありませんのであしからず、それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その6

 

リポート19 開眼!疾走する魂! その6

 

水に包まれて消えていく横島達を見送り大きく背伸びをする。なかなかに面白い見世物だったな韋駄天の力をその身体に纏う……これは破格の能力かもしれない。そんなことが出来るなら

 

(俺とかも出来たりするんだろうか?)

 

もしそんな事が出来るなら、横島を鍛えておけば、ガープ達が本格的に動き始めた時に頼りになるかも知れんな……まぁアシュの野郎が反対すると思うが……杯に残ったワインを一気に呷り

 

「俺は帰るけど、お前は?」

 

ブリュンヒルデに差し出された杯を返しながら尋ねる。だがブリュンヒルデは両手を頬に当てて

 

「素晴らしい、本当に素晴らしい英雄でしたわ……」

 

……駄目だなこいつは、もう横島を完全に自分の英雄だと思い込んでいる

 

(まぁ、俺には関係ないか)

 

うん、ブリュンヒルデもいきなり突撃することは無いだろうし、アシュの野郎に伝えておけば良いだろう

 

「お前もいつまでも人間界に居るなよ?」

 

返事はないと思っていたが、ブリュンヒルデは頬に手を当てながらも

 

「はい、ご忠告どうもありがとうございます」

 

……本当にこいつが何を考えているか、判らんな……俺は小さく溜息を吐きながら、アシュの野郎のビルへと戻るのだった……

 

 

 

 

 

コツ……コツ……

 

私が歩く足音だけが暗い通路に響く、蛍の家と聞いてきたが……足を踏み入れて理解した

 

(ここには魔族が居る……しかもかなり上位の)

 

結界で誤魔化しているようだが、その中に入り込めば当然封じられている魔力を探知することは容易い

 

(蛍が親だと思い込んでいるのか、それとも本当に親なのか……)

 

前者なら蛍は人間なのだが、後者なら蛍もまた魔族と言うことになる

 

(もしそうならば、蛍を横島に近づけるのは得策じゃない)

 

横島が利用され、傷つく可能性があるのならば私はそれを排除する。横島が強くなるまでは私が護ると決めたのだから、心も身体も私が護る

 

「ふう……なんとかなったか……酷い霊体痛だ、良く生きていてくれた……」

 

通路の奥から聞こえてくる声。確かこれは芦優太郎と名乗った男の声だ、だが今その気配には魔族特有の物が混じっている……私はその魔力を頼りに迷路のようになっている通路を進み

 

「誰……いや、君は……シズク君だったかな?」

 

明るい光に満ちた部屋で眠っている横島の前に立っている優太郎が振り返り尋ねてくる

 

「……そういうお前は魔族だな?横島をどうするつもりだ」

 

こうして向かい合うと判る。今まで感じなかった魔力を放っている優太郎を睨みながら、いつでも氷の刃を作れる準備をしていると

 

「横島君は今は絶対安静だ。それが判らないわけではないだろう?」

 

その言葉に眉を顰める。私は横島に加護を授けている、その反応が弱くなっているのは判っていた……私はそれでも警戒を止めることは無く

 

「……お前が横島に危害を加えないとは言えない」

 

「判った判った。我が真名「アシュタロス」の名に置いて誓う。私は横島君に危害を加えるつもりは無い、心のそこから彼を救いたいと思っている」

 

アシュタロス……だがその名前は過激派魔族の頭領だと他のミズチに聞いている。だが自身の真名を賭けて誓うということは高位の神魔族には何よりも強い契約だ

 

「……判った。今は信じよう」

 

「助かるよ。さ、ついてくるといい、君の質問に答えよう」

 

そう言って横島に布団をかけて歩き出す優太郎。さっきまでの苦しそうな顔と違い安らかな顔で眠っている横島を見て、あの言葉に嘘はないと判断し私は優太郎の後を追って歩き出すのだった……

 

 

 

 

 

まいったねえ。私は自分の部屋に招きいれた少女を見て、内心溜息を吐いていた。視線だけで人を殺すことが出来るならとっくに私は死んでいるだろうなあ……それほどまでに凄まじい殺気を放っている。少女の姿をした竜神シズクに

 

「改めて名乗るよ。アシュタロスだ」

 

礼儀と言うことで名乗ると更にシズクから向けられる圧力が増す。

 

「……過激派の頭領が何をしている?」

 

はぁ……やっぱり私ってそういう認識なんだなあと軽くショックを受けながら

 

「最高指導者の指示で魔界の捜査をしてるんだよ。はい、これが証拠」

 

机の中から取り出した最高指導者からの指示書を見せると

 

「……なるほど、敵を騙すなら味方からか」

 

「まー本当に追われてるから実際はかなり辛いけどね」

 

最上位神魔族の一部は私のことを知っているが、下っ端は私の事を本当に敵だと思っているので狙われている。自由に外を出歩くのも大変なのだよ?と苦笑しながら言うと

 

「……お前のことはどうでもいい」

 

ばっさりと切られる。蛍には毒舌だと聞いていたけど、まさかここまでとは……最近めっきりメンタルが弱くなってしまった

 

「……何故泣く?」

 

「いや、悪いねえ……年だから最近心のほうが弱くなってしまってね」

 

お前それでも魔神か?と呆れているシズク君。まぁ魔神であるのは本当なんだけど、メンタルが人間に近くなっているのが原因なのかもしれない

 

「……まぁそれはどうでも良い、蛍も魔族なのか?」

 

シズク君からすればこっちが本題か……私は真剣な顔をして

 

「彼女は人間だよ。ちょっと先祖返りをしているようだけどね?」

 

少しの真実と嘘を混ぜる。シズク君は何かを考える素振りを見せながら

 

「……蛍は自分が先祖返りだと知っているのか?」

 

「いや知らないね。無意識でここに来たから、その時に魔力を封印して、記憶を少しばかり改ざんしたくらいだ「……最低だな、お前は」……自覚はしているから言わないでくれるか?」

 

本当はそんなことはしていないが、信じさせるためには仕方ない。もともと悪役を演じるのに慣れているし、うん、これくらいで私の鉄壁のメンタルは……

 

「……だから泣くな」

 

どうやらいつの間にか、私のメンタルは豆腐と言われるレベルにまで落ちていたようだ。

 

「……それなら良い。では何で横島を「蛍の婿に!」……駄目魔神か」

 

酷い言われようだ。だが娘の幸せを祈るのは親として当然のことだと思うのだが……

 

「……聞きたい事は聞けた。いつまでもこうしている訳にも行かないから美神の所に帰る……」

 

そう言ってソファーから立ち上がったシズク君は思い出したように振り返り

 

「……横島を利用するなら貴様を殺す」

 

その迫力は竜神の名に偽りの無いほどに鋭い物だった。魔神である私でさえも威圧されるほどに……

 

「肝に免じておくよ」

 

私がそう返事を返すとシズク君はその身体を水に変えて消えていく

 

「蛍にどうやって説明するかなあ」

 

自分の正体がシズク君にばれてしまったことをどうやって蛍に説明するのか?それにもう1つ

 

「どうしてあんな姿に……」

 

八兵衛と横島君の融合率を高めて霊力を覚醒させるためのベルトが、どうしてあんな形状に変化したのか?更に韋駄天の力をその身に纏うことに成功した。しかし当然ながらその反動が今の横島君の状態だ。ありえない過負荷が魂に掛かり、更に酷い霊体痛を起こしている……

 

「あの力は使わせないようにしないとな……」

 

あの霊力の篭手よりもはるかに酷い症状を起こしている。これは絶対に今の横島君に使わせていい能力ではないと判断し、気絶した横島君が持っていた2つの球体をポケットから取り出し、机の中に収めて厳重に封印するのだった……本当ならあのベルトも取り上げたかったが、横島君は身につけておらず、忽然と消えてしまった

 

「ドクターカオスに相談してみるか……」

 

使い魔の目を通して記録してある。流石の私も1人で調べて結論を得れるとは思えず、ドクターカオスの協力を得ることにしたのだった……

 

「おう、戻ったぞ、アシュ。なんかブリュンヒルデが横島の奴を英雄とか言ってたぞ?」

 

戻ってきたビュレトの言葉にまさか?と思いトトカルチョを見ると

 

【ブリュンヒルデ 7.4倍】

 

「また増えてるウウウウウウウウッ!!!!!」

 

「うお!?急に叫びだしてどうした!?」

 

さも当然のように増えていた名前に思わず私は頭を抱えて絶叫してしまうのだった……

 

 

 

 

あの謎のスーツの反動でロクに動けない俺はここ1週間。蛍とシズクとおキヌちゃんの3人に完全に介護されていた、流石に風呂やトイレは断ったが、と言うかそれをされると俺の中で色々何かが終わる。老人ってこんな気分なのかと言うのを10代で味わう事になるとは思っても見なかった。ようやく歩けるようになったので蛍と一緒に美神さんの事務所に行く事にした。一応あのスーツのことを調べたカオスのじーさんと優太郎さんの見解が出たらしいので、俺の体調が悪いということもあり、チビ達は留守番だ。玄関でさびしそうにしていたから出来れば早く帰ってやりたいと思いながら、事務所の中に足を踏み入れると

 

「横島君。そうか、やっと歩けるようになったのか!良かったな!」

 

「横島か。あの時は助かった」

 

俺と蛍が出勤できない間。美神さんの除霊を手伝っていた、八兵衛と九兵衛がそう声をかけてくる。俺は頬をかきながら

 

「いやまぁ。何とかってつくけどな?」

 

今も蛍とおキヌちゃんに手を引かれているからなあ、まだ全快とは言いがたいだろう

 

【ゆっくり座ってくださいねー?】

 

今もおキヌちゃんのポルターガイストでゆっくりと椅子に座らせて貰っている。なんか恥ずかしい

 

「天界に戻るのね?今までありがとう」

 

美神さんが八兵衛と九兵衛にそう声をかける。八兵衛はうむと頷きながら緑茶を口にし

 

「なんとか天界のほうで話を聞いてもらえるだけの準備が整った、後は……」

 

「俺の裁判だ。一応重罪を犯しているからな、操られていたことを考慮しても何らかの刑が言い渡されるだろう」

 

でも操られていたんだから仕方ないんじゃ……俺の考えている事に気付いたのか、シズクがのんびりと煎餅を齧りながら

 

「……神と言うのは色々と規則が多い、私もそれが嫌だから横島の家に居るんだ。めんどくさいから」

 

そ、そういうものなのか……神様も大変なんだなと思っていると

 

「横島君。本当にありがとう、君のおかげで某は九兵衛を助けることが出来た。感謝している」

 

俺の手を握って笑う八兵衛。でも俺は何も出来なかったと思うんだけど……

 

「素直にお礼を受け取っておきなさい。横島君が頑張った結果よ」

 

美神さんにそう言われるけど、本当に俺は何もしていないわけで……

 

「ゆっくりあせらず地力を付けろ。お前はきっといい霊能力者になる、俺と八兵衛が保障する」

 

九兵衛にまでそう言われて、なんで俺こんなに褒められているんだろう?と思わず首を傾げてしまう

 

「実感は無いと思うけど、横島が頑張ったのよ。この調子で頑張りましょう?」

 

蛍までそう言われて、本当に俺が何かしたとは思えないんだけどなあと苦笑していると

 

「では美神殿。我らは天界に戻るゆえ、ほんのわずかの謝礼で申し訳ないが、収めて頂きたい」

 

「俺からは金は無い、これで我慢しろ」

 

八兵衛が小判。九兵衛が身に着けていた黄金の腕輪を美神さんに手渡す、それを見た美神さんはそれを調べながら

 

「まぁ受け取っておくわ。全然足りないけどね、これは横島君への慰謝料として受け取っておくわ。ヨコシマンダッシュ?」

 

からかうように言うと御免と言って消える八兵衛。残された九兵衛も小さく頭を下げて消えていく……美神さんの言葉で思い出したけど、ヨコシマンダッシュ。ってどういうネーミングセンスをしてたんだろ?と改めて疑問を抱かずに入られなかった……

 

「さてと横島君」

 

「はい?なんっすか?」

 

机の上のせんべいに手を伸ばしたのがいけなかったのだろうか?と思いながら返事を返すと

 

「あのベルト。金輪際使用禁止ね?」

 

あのベルト?使用禁止って言われてもなぁ……俺は頬をかきながら……

 

「あれ美神さんが回収したんじゃないですか?俺持ってないですよ?」

 

は?っと言う美神さん。だって俺持ってないし……ちらりと隣の蛍を見るけど

 

「私も知らないわよ?」

 

じゃあ優太郎さんとか?とお互いに首を傾げていると

 

「まぁどこにあるのか判らないなら良いけど、仮に見つけても使用禁止だからね」

 

使用禁止……美神さんがそう言うのならベルトが危険だからと思うんだけど……

 

「ちなみに理由は?」

 

俺がそう尋ねると美神さんは眉を顰めて

 

「横島君が使った篭手の数倍の負荷が魂に掛かるわ、下手をすれば死にかねない物に使用許可を出せると思う?」

 

その言葉を聞いて俺が顔を青くしていると美神さんが追加で説明してくれた

 

1 あのスーツは着ている間幽霊に近い存在へと変化するため物質などを通過できる

 

2 あの球体は神魔族の魔力などを吸収して変化する特性がある(眼球に似ているので眼魂と呼ぶことにしたらしい)無論これも無意味に放置していいものではない

 

3 眼魂の力を自分にプラスできるが、その反動が極めて大きい

 

「判った?見つけても使用禁止、それを使うくらいならあの篭手にしておきなさい」

 

あれでも滅多に使うなって言われている、それを使えって言うくらいなら、それほど危険なんだろうと思い

 

「判りました、見つけても使いません」

 

まだ美人の嫁さんも貰ってないし、家でおとなしく留守番しているチビ達を残して死ぬ事も出来ないので頷くと

 

「判ればよろしい、じゃあ行くわよ?」

 

え?いきなり除霊?と俺が困惑していると

 

「せっかく小判貰ったんだし、これ換金してご飯にでも行きましょう?だから昼前に呼んだんだしね?」

 

そう笑ってウィンクする美神さん。俺は安心し小さく溜息を吐いてから

 

「1回。家に寄って貰えます?」

 

家で留守番しているチビ達を置いて食事に行くわけにも行かないのでそうお願いすると

 

「大丈夫、大丈夫ちゃんと迎えに行くから」

 

これで安心した。じゃあ立ち上がろうとすると

 

「……ん」

 

「うん。ありがとな?シズク」

 

俺に手を伸ばしているシズクの手を借りてソファーから立ち上がりながら、早く体が治るといいなあと心の底から思うのだった……

 

 

 

 

目の前で深く頭を下げている2人の韋駄天。私はその2人から回されてきた報告書を見ながら

 

「ソロモンのガープ、そしてアスラに遭遇したと?」

 

「はっ、その通りでございます。竜神王閣下」

 

ソロモンの魔神ガープ。魔界統一の騒乱の際にサタンと争っていた魔神。さらにアスラは天界に封印されているはずの魔神だ……

 

(これは不味いことになったかもしれないな)

 

ガープは魔界1と歌われた頭脳の持ち主だ。奪い去られた禁書の事と封印されているはずのアスラに出会ったと言う事をも考えると

 

(本当に魔人が解放されかねない……)

 

先代竜神王と名のある天使・竜神、そして魔界の勢力が協力する事でようやく封印することの出来た魔人。それを開放されるとなると、魔族と対立している今、確実にあの時よりも苦しい戦いになるだろう

 

「竜神王閣下。九兵衛の処罰は……」

 

八兵衛が心配そうに尋ねてくるが、九兵衛は確かに敵に操られ禁書を持ち出し、神界の兵士に手痛いダメージを与えたが

 

「九兵衛に裁きを申し付ける」

 

「はっ!」

 

深く頭を下げる九兵衛を見下ろしながら、九兵衛が持ってきた情報と受けたダメージを考えれば

 

「半月の謹慎処分に処す」

 

「は……は?」

 

「聞こえなかったのか?半月の謹慎処分だ。その後は神界正規軍に入り、ガープの追走に当たれ。良いな?」

 

「はっ!確かに」

 

「ならば下がれ」

 

2人して執務室を出て行く八兵衛と九兵衛を見つめながら

 

(謎の赤い石か……これは報告しておくべきだな)

 

九兵衛を狂わせたのはガープが所有していた赤い石が原因だろう。この赤い石を手にすることが出来れば、対策を練ることが出来るかもしれないが、魔界に出回っている物を天界が入手するのは難しいだろう……

 

(本格的に動き始めている。これは地上の竜族との会議の時も何かあると思うべきか……)

 

これだけ活発に動いているのだから、確実にこの時に動いてくるだろう……かと言ってここで会議を中断すれば、地上の竜族にいらない不信感を抱かせかねない……

 

(嫌な一手を打ってくれる……)

 

頭脳派のガープらしい嫌らしい一手だ。ここでガープ達の横槍を恐れて会議を見送れば、地上の竜族が天界の竜族に不信感を抱き、会議を行えばそれを妨害する一手を打ってくるだろう

 

「父上ー?」

 

考え事をしていると執務室の扉が開き、そこから少女が姿を見せる

 

「おお、天竜どうした?」

 

私の娘天竜姫が執務室に入ってくるのを見て、私は一抹の不安を抱いた、私が居ない間にまたガープに操られた神界の人間が娘を攫ってしまうのでは?と

 

「天竜よ」

 

「はい?なんですか?父上?」

 

人見知りが激しい天竜姫は前髪を伸ばして、目を隠している天竜姫の頭を撫でながら

 

「もうじき天界と地上の竜族の和平会談があるのは知っているな?」

 

「はい、存じております」

 

よしよしっと天竜姫の頭を撫でながら言葉を続ける。

 

「しかし最近魔族が活発に動いていることも知っているな?」

 

小さく頷く天竜姫。地上に連れて行くのは危険だな……かと言って天界に残しておくのも不安だ

 

「会議の時だが、妙神山に行くか?」

 

私がそう尋ねると天竜姫は小さく笑いながら

 

「はい、老師様と小竜姫に会いたいと思います」

 

斉天大聖殿と小竜姫がいる妙神山ならば、きっとここに残しておくよりも安全だと思う。本人も妙神山に行きたいと思っているのなら丁度いい、私は会議の時に天竜姫を妙神山に連れて行くことに決めるのだった……

 

「所でなんのようだったのだ?」

 

執務中に尋ねてくることのない天竜姫が尋ねてきたことが気になり尋ねると天竜姫は

 

「地上は面白いところがいっぱいあると聞きました。お土産をお願いしたいのです」

 

にこにこと笑う天竜姫の言葉に小さく笑いながら、判ったと私は返事を返し、天竜姫に自分の部屋に帰るように言い聞かせ

会議に向けての準備を進めるのだった……

 

 

 

 

「さてと、これでいいか」

 

「き、貴様!?な、何者「うるさいよ。がふっ!?」

 

厳重に警戒されていた天界の牢屋の中に突如現れる少年。バイパーに赤い石を授けたあの魔族だ。彼は周囲の展開の兵士を次々となぎ払い牢の奥へと進んでいく

 

「あら?どちらさまでしょうか?」

 

一番奥の牢に腰掛けている黒い着物に身を包んだ竜族の娘を見つけた少年は

 

「君の力を貸してほしい、そうすればここから出して上げるよ。そのあと手伝ってくれれば君は自由だ」

 

そう声を掛けられた少女はきょとんっとした後にくすくすと笑いながら

 

「自由ですか……ふふふ、それも面白いですわ。でも私はここで構いませんの、どうせ時間がくれば自由になるのですから」

 

ですのでお帰りくださいと少女に告げられた少年は

 

「じゃあこうしよう。君が手伝ってくれれば、君の思い人を探すのを手伝ってあげる」

 

「……いいえ、お断りしますわ。あの方は……もうずっと前に亡くなってしまったんですもの「生まれ変わっているとしたら?僕なら見つけることが出来る。望みの者を手にすることが出来る……僕。セーレなら」

 

その言葉に迷いを見せる少女にセーレはにやりと邪悪な笑みを浮かべながら

 

「さぁ、もう一度聞くよ。清姫、僕と一緒に来るんだ」

 

再度伸ばされた手を見て、清姫と呼ばれた竜族の少女は

 

「お会いできるのですか?また?高島様に」

 

少女もまた平安時代のときを生きた竜族の娘。高島が殺されたと知り、怒り狂い暴れた牢に封印された竜族の娘……それから1000年の時を待ち続けたのだ

 

「ああ。約束するよ、きっともうその高島も転生していると思わないかい?」

 

きっぱりと断言するセーレ。その言葉に嘘はないと判断したのか清姫は立ち上がると同時に腕を振るい、牢を破壊する

 

「ひゅー♪自分で出来たんだ」

 

「おとなしくしている方が開放されるのが早いと思って大人しくしていただけですわ」

 

望みどおりの力を見せた清姫にセーレは更に笑みを深め、牢屋から出てきた清姫の手を取り、溶けるように消えていくのだった……だがこのとき清姫は気付かなかった。セーレが手にした左腕に小さな魔法陣が浮かび上がっていることに……

 

 

 

 

 

 




別件リポート 芦優太郎の捜査録 その2へ続く

次回は残念ですが、別件リポートになります。今回の話の補足をやろうと思っています、ですのでまた前世の仕業は別件のあとを楽しみにしていてください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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